犬は『黒』と『白』しか識別することができないという話を聞いたことがありますか?犬の視界や視力にまつわる話はたくさんあります。今回のMOFFME記事では、犬の視覚機能や色別認識力、視界を弱らせる病気など詳しく紹介していきます。
犬の視界はどうなってるの?犬の視覚機能や色別認識力を紹介
- 犬の視覚機能について
- 犬の視界に悪影響を与える病気
- 犬から見える世界
犬の視覚機能について解説
犬を飼った事がある人、もしくは飼っている方は、経験があると思いますが、愛犬の名前を呼ぶと反応して、こちらを見ます。そこでお気に入りの『おやつ』や『おもちゃ』を見せると、それにも反応を示します。
この事から、ある程度の視力があると判断できます。
そこで犬の視覚機能について詳しく解説したいと思います。視覚機能とは一言で言うと「目で見る能力」のことです。
具体的には、近景や遠景に対する視力、動体視力、光の存在を感じる感覚機能を指します。
視覚機能を下記の項目に分類して、次の見出し以降で詳しく解説します。
- 犬の視力
- 犬の動体視力
- 暗い場所における犬の視力の識別能力
- 犬種ごとの視野
- 犬が紫外線を識別できるかどうか?
犬の視力は0.26程度
犬の視力は0.26程度です。
犬が狩猟を行っていた歴史的背景や、比較的遠い距離でも『名前を呼ぶと戻って来る』事から、犬は視力が良いと思っている人も少なくありません。しかし、視界はぼやけて見えることが多いのです。
犬は遠視気味で、犬の目から70㎝以内は見ることが苦手です。1mほど離れると、焦点を合わせる事ができます。
ですが、2~3m離れると視界がぼやけて見えます。人間と比較して水晶体が厚い事に加えて、目の位置が正面ではない為、焦点を合わせにくい事が理由とされています。
動体視力は驚異的レベル
視力とは逆に、動体視力は驚異的なレベルです。動体視力は人間の4倍以上あり、テレビなどの動画もコマ送りに見えると言われています。
テレビの場合は1秒間に30フレームの画像が表示されており、人間は違和感無く、滑らかに見る事ができます。一方、犬の目では、カクカクした動きになってしまいます。
実験の結果によると、ジャーマンシェパードは、800m先の動いている物体を認識できました。また、ハウンド犬などは1500m先にいる人間が出した合図を認識できた事例も存在します。
暗い場所でも識別可能
暗闇における犬の視界、物を認識する能力はどうでしょうか?猫が暗闇を得意としている事は有名ですが、犬も夜行性の為、暗闇を得意としています。
犬の網膜の下には”タペタム”(輝板・きばん)と呼ばれる反射板があります。このタペタムは、わずかな光でも増幅させる事ができる為、暗闇でも物を認識する事ができます。
犬が暗闇で物を認識する能力は人間の5倍以上と言われています。逆に明るい場所では、このタペタムが光を拡散してしまう為、ぼやけて見えるのです。
犬種で視野は異なる
短頭種とマズル(口のまわりから鼻先にかけての部分)の長い犬種とでは、全体視野(右目と左目の視野を合計)が異なります。
短頭種、いわゆる鼻ぺちゃと呼ばれている犬種(パグなど)は全体視野が約220度(人間は約180度)で、物を立体的に見ることは得意ではありません。
一方、マズルの長い犬種(ミニチュア・ダックスフントなど)は全体視野が約270度と範囲が広く、背後に動物がいても認識する事ができます。また、物を立体的に見ることが得意です。
ちなみに、両目で立体を認識する両眼視野は人間が120度に対して、犬は80度とやや狭くなっています。
紫外線も認識できる
2014年にイギリスで行われた研究で、犬が紫外線を認識できることが証明されました。紫外線や赤外線など、人間の目では確認できない光を不可視光線と言います。
人間が認識できる可視光線よりも、短い波長を紫外線(UV波)と言い、可視光線より長い波長を赤外線と言います。
今のところ犬が認識しているのは、紫外線と言われていますが、その理由は、はっきりしていません。
愛犬がどこか一点をずっと見ている事はありませんか?もしかしたら、紫外線が影響しているかもしれません。
犬の視界に悪影響を与える病気を解説
人間と同様に、犬の目にも様々な病気があります。病気が進行すると犬の視界に多大な影響を与える他、失明してしまう事もあります。
- 白内障
- 緑内障
- 角膜の病気
- 網膜の病気
- その他(視神経症、ぶどう膜炎など)
白内障
白内障は、眼の中にある透明なレンズ(水晶体)が白濁する病気です。
レンズが曇る訳ですから、当然、視界は悪くなります。症状が進行すると完全に視力を失ってしまう為、治療が必要です。
白内障の治療は、初期であれば目薬で行いますが、根本的な治療には手術が必要です。ですが、症状が進行しすぎた場合は、手術ができない場合もあります。できるだけ早期発見する事が大切です。
とは言え、白内障の初期症状は肉眼では分かりにくい為、定期的に獣医師さんの診断を受ける様にしましょう。
緑内障
緑内障は眼に圧力がかかる事で、様々な症状を引き起こす病気の事です。症状が進行すると、視力を失うだけではなく、痛みや炎症を伴う事もあります。
緑内障の治療は様々な目薬を使用しますが、眼科専門の動物病院の場合は、手術を行って治療する場合もあります。
緑内障も肉眼では非常に分かりにくい病気です。愛犬の眼が赤い、黒目(瞳孔)がいつも大きい、または眼を気にする仕草を見せた場合は、獣医師さんの診断を受ける事をお勧めします。
角膜の病気
眼球の一番外側を覆う膜を角膜と言います。ドライアイなどの乾燥、ケンカなどの外傷、細菌感染、異物が付く、化学物質などが原因で角膜炎を発症します。
角膜炎が進行すると、角膜潰瘍(かくまくかいよう)と言う病気になります。角膜に穴が空いて、最終的には失明します。
めやにや、涙が頻繁に出る、眼が赤い、ショボショボしている、やたらと眼を気にしている、などの症状が現れた場合は、早急に獣医師さんの診断を受けましょう。
網膜の病気
角膜や水晶体を通して入ってきた情報(光)を脳神経へ伝達する組織を網膜と言います。網膜は眼球の奥に内張されています。
プロボクサーの職業病として知られている『網膜剥離』とはこの網膜がはがれてしまう病気の事です。事故などの、頭部や眼球への物理的な衝撃が原因で発症します。
眼に何も異常が無いのに、物に当たる、暗闇で動かない、視力が低下している場合は、獣医師さんに相談しましょう。
他にも、網膜変性症と言う遺伝性、進行性の病気があります。網膜の異常により脳神経への情報伝達に障害が生じる病気です。残念ながら難病に指定されています。
その他
その他の病気についても解説します。
視神経が炎症する視神経症、ぶどう膜が炎症するぶどう膜炎と言った眼球の各組織に異常をもたらす病気があります。
これらの病気も、めやにや、眼が赤い、やたらと眼を気にしている、などの症状が現れることが多い為、これらの症状や仕草を確認した場合は、速やかに動物病院で獣医師さんの診察を受けましょう。
また、これら病気の診察や治療に即しては、ペット保険が適用できる場合があります。MOFFMEでは、無料相談を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
犬から見える世界はどんな感じなのか
ここからは『犬から見える世界はどんな感じなのか』という事で、犬の視界をテーマに解説したいと思います。
前途では、犬の視力や動体視力、視野の範囲など、視覚機能について解説しました。
犬の視力はあまり良くありませんが、動体視力が驚異的でした。暗闇での識別能力が高く、紫外線も認識できます。
犬種によって視野の範囲が異なり、人間よりも視野が広範囲ですが、立体を認識する範囲が人間よりも狭くなります。
色別認識力はどうでしょうか?「犬は色が識別できない」もしくは「犬は白と黒しか見えていない」と言う説を聞いたことがありませんか?果たして本当なのでしょうか?
と言う訳で、
- 犬は白と黒しか見えないは本当?
- 犬にわかるのは『青と黄色』
犬は白と黒しか見えないは本当?
犬にわかるのは『青と黄色』
では犬にわかる色は何色でしょうか?
人間の持つ3種類の錐体細胞は青、緑、赤の光の波長を検出する事ができます。一方、犬の2種類の錐体細胞は、青と黄色を検知することができます。
人間の場合、3色を用いて複雑な色の違いを認識していますが、犬の場合は赤が識別できません。赤に近い色はグレーに見えていると考えられています。
また、オレンジや緑については、濃淡に違いはあっても、黄色っぽく見えており、青や紫も青っぽく見えています。
この様に、犬は色調を区別できていて、単にモノクロームではないのです。
まとめ
犬の視覚機能、眼の病気、視界について解説しました。視力はあまり良くありませんが、動体視力に優れています。暗闇も得意で、紫外線も認識できました。
また、犬の視界に悪影響を与える病気についても、寿命に直結するリスクこそ低いものの、早い段階で獣医師さんの診断を受けた方が良いことが解りました。また、普段から定期的に検診を行う事も重要です。
犬の視界については、人間よりも広い範囲を見る事ができます。色認識も青と黄色を認識する事ができます。
いかがでしたでしょうか?愛犬とのより良い生活の為に、少しでもお役に立てれば幸いです。
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