糖尿病を患ったペットは、インスリン投与のために、定期的な通院が必要です。通院費用が高額になるため、通院補償に手厚いペット保険がおすすめ。また、すでに糖尿病を患っているペットでも入れるペット保険もあります。ここでは、ペット保険と糖尿病について解説していきます。
この記事の目次
目次を閉じる糖尿病はペット保険で補償されるの?おすすめの保険もご紹介!
生活習慣病ともいわれる糖尿病ですが、犬や猫も糖尿病に罹ることがあります。人間と同様に、食事管理やインスリン注射などによる治療が必要です。
今回「MOFFME」では、
- 糖尿病とはどのような病気なのか
- 糖尿病の症状と診断方法
- 糖尿病になる原因
- 糖尿病にかかりやすいとされる犬・猫について
- 治療方法と治療費
- 糖尿病の予防方法
- ペット保険で糖尿病の治療費は補償される?
- 糖尿病への補償が手厚いペット保険を紹介
について詳しく解説していきます!
糖尿病は継続的に治療が必要となることが多く、医療費も大きな負担になりやすい疾患です。ペット保険で糖尿病の治療費は補償できるのか、糖尿病の治療方法や、治療費について解説します。
すでにペットが糖尿病に罹っているという人も、ペットの万が一に備えておきたい人、これからペットを飼おうと思っている人もぜひ参考にしてください。
またMOFFMEではペット保険の比較ランキングを公開しているのでぜひご確認ください。
糖尿病ってどんな病気?疾病について解説!
糖尿病とは、血糖値を下げるインスリンの働きが十分でないために、血液中の血糖値が高い状態が続く病気です。
血糖値が高い状態が続くことにより、抵抗力が弱くなりさまざまな疾患に罹りやすくなったり、併発したりする恐ろしい病気でもあります。
糖尿病はI型とII型に分けられ、犬の糖尿病のほとんどがI型糖尿病、猫の糖尿病のほとんどがII型糖尿病と言われています。
単純に糖尿病を発症するパターンと、ホルモン異常や自己免疫疾患、ストレスなどが原因となってインスリンが正常に働かない、分泌されない状態になっているパターンがあります。
糖尿病の症状は?白内障との関係について
糖尿病は初期症状がほとんど無いため、飼い主さんが気づきにくい病気です。どのような症状が出るのかを知っておくことで、早期発見・早期治療を行うことができ、さまざまな病気の併発も防げるでしょう。
ここでは、
- 糖尿病の症状
- 糖尿病末期の症状
- 診断方法
について解説していきます。
犬の糖尿病では、発症から1〜2カ月で白内障を併発してしまうことがあります。ただし、早期治療を行うことで、白内障などの合併症の予防や進行の抑制ができるので心配ありません。
ここで紹介する症状がペットに見られたら、すぐに病院で診察してもらいましょう。
糖尿病の症状とは?末期の時の症状とは
糖尿病の主な症状は以下の通りです。
- 多飲多尿
- 食べる量が増える
- 体重減少
- 食欲不振
- 元気がない
- 脱水
- 嘔吐
- 下痢
- 尿のにおいが変わる
- 毛艶が悪くなる
末期になってくると以下のような症状が見られることがあります。
- 糖尿病性ケトアシドーシス
- さまざまな合併症や感染症
- 昏睡状態
糖尿病は合併症や感染症も恐ろしいですが、末期症状でとくに注意が必要なのが「糖尿病性ケトアシドーシス」です。
糖尿病性ケトアシドーシスとは、血液中に酸性の物質が増加することで起こる糖尿病の合併症です。症状は、ぐったりしている、食欲不振、嘔吐や下痢など。最悪の場合、昏睡状態になり死に至る恐れのある恐ろしい合併症です。
他にも肝疾患や白内障、皮膚病や膀胱炎など合併症だけでなく、感染症にも気をつけなければいけません。
初期症状としてわかりやすいのは、多飲多尿です。頻繁に水を飲むようになった、トイレの回数が増えたなどの変化が見られたら、病院で診察を受けることをおすすめします。中には寝ている時にお漏らしをする犬や猫もいます。
糖尿病の診断方法は?血糖値検査だけでは判断できない!
糖尿病の検査は、血液検査や尿検査が代表的ですが、血糖値の検査だけで糖尿病の治療を行うのは危険なため、さまざまな検査を実施して糖尿病と診断されます。
単純に糖尿病を発症しているわけではなく、インスリンが正常に働かない原因となっている病気が隠れている可能性もあるためです。
主な検査方法は以下の通りです。
検査内容 | 検査方法 |
---|---|
血液検査 | 血液中の血糖値の検査 |
尿検査 | 尿に糖が出ているかの検査 |
眼科検査(犬の場合) | 糖尿病性の白内障になっていないかの検査 |
超音波検査・X線検査・画像検査など | 他の病気が隠れていないか検査 |
これらの検査を行って糖尿病かどうか診断されます。また、糖尿病の合併症がある場合は、糖尿病治療と同時に、合併症の治療を行う必要がある場合もあります。
感染症や合併症が多い病気であるため、検査も慎重に行われます。単純に血液検査だけで分かる病気ではないため、検査費用は高額になるでしょう。
糖尿病の原因は?
糖尿病を引き起こす要因とされているのは、肥満やストレス、膵炎や運動不足などが挙げられます。他にも遺伝的要因や、感染症によって、インスリンが正常に分泌されなくなる場合もあると言われています。
ここでは、
- 犬に多いとされるI型糖尿病とは
- 猫に多いとされるII型糖尿病とは
- 持病や既往症、先天性疾患から発症する可能性もある
について解説していきます。
健康なペットはもちろん、すでに病気にかかったことがある、病気持ちや持病持ちであるペットも気を付けなければいけません。
I型糖尿病とⅡ型糖尿病とは?
種類 | 状態 |
---|---|
I型糖尿病 | 膵臓がインスリンを分泌していない状態 インスリン注射が必要になる 犬に多いとされている |
Ⅱ型糖尿病 | インスリンの分泌が不足している状態 生活習慣や肥満などが原因で発症することが多い 猫に多いとされている |
上記のようにI型糖尿病とII型糖尿病は、同じ糖尿病でも原因や治療方法が異なります。
I型糖尿病は、インスリンを作り、分泌する膵臓がそもそもインスリンを作れなくなっている、またはインスリンに対する体の反応が悪くなっている場合に診断されます。生涯に渡り、インスリン治療が必要となります。
II型糖尿病は、食べ過ぎや肥満、運動不足など生活習慣によって引き起こされることが多いとされています。インスリン治療を行わない場合もあるそうです。インスリンは分泌されているけれど、量が不足している、またはインスリンが効きにくくなっている場合に診断されます。
持病や既往症・先天性疾患から発症する場合もある
単純に糖尿病を発症するわけでなく、持病や既往症、先天性疾患などから発症する場合もあるのが、糖尿病の恐ろしいところです。
なんらかの疾病の治療で、長期的にステロイド剤を服用することで糖尿病を発症したケースもあります。
糖尿病を引き起こしやすいといわれているのが、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)や膵炎です。クッシング症候群は、副腎皮質ホルモンが出過ぎてしまう病気です。
中年齢以上で発症することが多いとされ、合併症として糖尿病や高血圧、膵炎、感染症、血栓症などがあります。こういった持病から糖尿病を併発している可能性もあるため、検査は慎重に行われます。
すでに持病があるペットを飼っている、過去に病気にかかったことがある犬や猫は注意が必要です。
糖尿病はどんなペットがなりやすい?かかりやすい犬・猫について解説!
糖尿病を引き起こしやすいペットの特徴は以下の通りです。
- 肥満体型
- 避妊手術を受けていない
- 中〜高齢
- クッシング症候群や膵炎を患っている
- その他持病がある
上記の特徴に当てはまる犬や猫は、糖尿病を引き起こしやすいとされていますが、犬の場合、遺伝的要因によって引き起こされる可能性もあります。
特に肥満体型は、糖尿病だけでなく他の病気のリスクも高めるため、あまり太らせすぎないようフードを工夫するなどが必要でしょう。
また好発犬種(糖尿病を発症しやすい犬種)といわれている犬の種類もあります。
上記の犬種は糖尿病にかかりやすいとされていますが、上記犬種に限らず、さまざまな犬種で発症が見られます。
糖尿病の治療方法は?治療の値段はどれくらいかかる?
糖尿病の治療方法は以下の通りです。
- インスリン投与
- 食事療法
- 運動療法
上記の治療方法について解説します。また、治療にかかる費用についてもそれぞれ解説するので、万が一の時のためにも知っておきましょう。
PS保険が発表している高額保険金お支払い事例によると、2021年10月、猫の糖尿病に支払った保険金額は「41万7千円」だったそうです。糖尿病の治療費がかなり高額になることが分かります。
①:インスリン投与
インスリン投与は、I型糖尿病の治療で必要となる治療方法です。II型糖尿病の場合、インスリン投与による治療をしない場合があります。
I型糖尿病の場合は、生涯に渡り、インスリン投与が必要となる場合もあるため、その分治療費用の負担も増えるでしょう。
- 治療方法
- 治療費
上記について解説します。
治療方法
膵臓で作られ、分泌されるインスリンを注射で補充することで、血液中の糖の量をコントロールする治療です。
ペットに適したインスリンの量はそれぞれ異なるため、入院をして量を決めることもあります。退院したあとは、飼い主がペットに注射をしてあげなければいけません。
食事の回数だけインスリン注射を行うため、通常1日2回の投与が必要です。
食事をしっかり摂ってくれなければ、インスリン投与ができないため、しっかり食べてくれる量や食材の工夫が必要になります。また、インスリン注射をしていても、食事内容には十分注意が必要です。
1日に必要なエネルギーや食事量を計算し、決まった間隔で与えるのがおすすめされています。糖尿病を持つペットに向いているフードなどがあるため、それらを与えるのも良いでしょう。
治療費用
インスリン投与にかかる値段は1本6,000〜10,000円ほどです。インスリンの種類や量によって異なりますが、目安としてこのくらいかかることは覚悟しておきましょう。
また、インスリン注射に必要な注射器にも使い捨てと、数回使用できるものがあり、それらにも別途費用が必要です。
さらに、インスリンの量が決まるまで入院することも考えられるため、入院費用も加わってきます。生涯にわたりインスリン投与が必要と考えると、かなり高額な治療になるでしょう
②:食事療法
インスリンは分泌されているけれど量が少ない、うまく反応していない場合、食事のコントロールで治療を行うことがあります。
II型糖尿病の場合は、食事療法などインスリン治療以外の治療を選択することが多いでしょう
ここでは、
- 治療方法
- 治療費用
について解説していきます。
治療方法
名前の通り、食事で補えるエネルギー量をコントロールしながら、血液中の糖のバランスをとる治療方法です。
食事の量を減らし回数を増やす
食後、高血糖になりにくい食材を与える
高炭水化物の食事は控える
上記のように食事をコントロールして治療をします。ペットが食べたものや量、回数は必ず控えておき、病院で医師に相談しましょう。
また、食事療法は、インスリン治療中のペットでも必要となります。獣医師さんが糖尿病によい食事やおすすめの食事の量、回数などを教えてくれるので、指示に従って治療を行いましょう。
治療費用
動物病院によっては、療法食を処方してくれる場合があります。食事療法の治療費用は病院によって異なってくるため、目安を算出するのは難しいです。
また、動物病院でおすすめされるフードを購入する場合もあるでしょう。大体、健康食とされるフードと同じくらいの値段がかかると思っていてよいかもしれません。
インスリン治療に比べると治療費は安いかもしれませんが、定期的に通院や検査が必要なため、食事療法の場合も治療費は高額になりがちです。
アニコム損保が発表している、糖尿病の猫の治療費は以下の通りです。
糖尿病の治療にかかる費用・回数 | 金額・回数 |
---|---|
平均診療費用 | 12,238円 |
平均入院費用 | 58,473円 |
平均通院回数 | 13.4回 |
参考:「猫との暮らしとお金」
③:運動療法
II型糖尿病は、食べ過ぎや肥満、運動不足などが原因で発症する病気です。そのため、食事療法とともに、運動療法を行う場合もあります。
ここでは、
- 治療方法
- 治療費用
について解説していきます。
治療方法
毎日、適切な運動を行う必要があります。獣医師さんの指示に従い、運動をさせるようにしましょう。
ただし、運動をさせすぎたり、いきなり運動をさせると、低血糖の症状を起こすことがあるため注意が必要です。必ず医師の診断のもと、相談して治療方法や治療内容を決めましょう。
治療費用
運動療法は特に治療費はかかりませんが、場合によっては病院でリハビリのように運動させる必要があることもあります。その場合は、1回の通院につき、病院が定めている費用が必要になります。
また、食事療法やインスリン投与と併用して治療することもあるため、定期的な通院は避けられません。
アニコム損保が発表している、糖尿病の犬の治療費は以下の通りです。
糖尿病の治療にかかる費用・回数 | 金額・回数 |
---|---|
平均診療費用 | 12,765円 |
年間診療費 | 86,802円 |
平均通院回数 | 6.8回 |
猫に多いとされるII型糖尿病は、経過によって治療が必要なくなる場合があります。しかし、犬に多いとされるI型糖尿病は治らないといわれており、生涯治療が必要です。治療費の負担も大きくなるでしょう。
参考:「糖尿病の診療費」
糖尿病の予防方法は?すでに病気の子にもおすすめな方法について解説!
犬の糖尿病は、遺伝的な要因があるとされていますが、飼い主が気を付けてあげることで発症を防ぐことは可能です。
健康な子から、すでになんらかの疾患や持病、既往症があるペットにもおすすめの予防方法は以下の通りです。
- 体重の管理をする
- 運動習慣をつける
- ストレスに注意する
- フードはカロリーや成分で選ぶ
- 避妊手術をする
1番重要なのは、体重と食事の管理です。猫や犬のフードは安価なものから高価なものまで、かなり種類が豊富ですよね。
毎日の食事は健康な体を作るためにも非常に重要なものです。必要なカロリーの量はペットによって異なってくるため、獣医師さんに相談してみるのも良いでしょう。
できるだけ添加物の含まれていないフードやサプリ、良質なタンパク質や脂質が含まれているものを選ぶのがおすすめです。
食事に加えて、散歩などの運動で運動習慣をつけ、定期的にストレスを発散させるなど行うと良いでしょう。
糖尿病はペット保険で補償されるの?
糖尿病の治療費が補償の対象となるかは、ペット保険によって異なりますが、基本的に、糖尿病は補償対象とされているペット保険が多いので心配ないでしょう。
ここでは、
- 糖尿病はペット保険で補償される?
- 糖尿病で通院中・治療中でもペット保険に加入できる?
について解説していきます。
加入後であれば基本的に補償される
先述の通り、糖尿病の治療は基本的に対象となっているペット保険が多いため、加入後に糖尿病を発症してしまっても補償されることが多いでしょう。
ただし、中には糖尿病を発症すると、翌年の更新ができない保険もあるので注意が必要です。犬の糖尿病は継続した治療が必要となる場合が多く、治療費の総額が高額になります。
そのため、加入前に糖尿病は対象となっているか、更新不可とされる病気はあるか、きちんと見ておきましょう。
基本的にペット保険は、病気やけがになる前に加入しているほうがメリットが大きいものです。病気になってから慌てて加入を検討しても、すでに治療中の病気の治療費は補償されない可能性も大きいため、注意しましょう。
また、ほとんどのペット保険が、健康食品や医薬部外品の補償はしていません。療法食などは補償されない場合が多いため、自己負担となるでしょう。
ただし、通院費用や入院費用、処方される医薬品に関しては補償される(※プランによって異なる場合もある)ので、糖尿病で食事療法を選択していても、自己負担額を減らせます。
糖尿病でもペット保険に入れるが補償対象外になる可能性も
糖尿病を発症してからでも加入できるペット保険はあります。しかし、基本的に治療中の病気がある場合、その病気にかかる治療費は補償対象外となることがほとんどです。
病気でも入れる保険は存在しますが、無条件で加入できるわけではありません。治療中でも入れる保険や、持病があっても入れる保険の場合、条件付きでの加入となるのが一般的です。
また、保険会社によって特定の病気の既往歴がある、治療中である場合は加入できないこともあるため注意が必要です。
ペットの万が一に備えておくためにも、病気になる前、けがをする前に加入しておいたほうがメリットは大きいでしょう。
まとめ:糖尿病はペット保険の補償対象になる!
糖尿病は、さまざまな合併症や感染症を引き起こす可能性がある恐ろしい病気です。初期症状がほとんど無いため、飼い主さんが気づきにくいのも特徴でしょう。
少しでもペットの様子がいつもと違うと感じたら、すぐに病院で診察してもらいましょう。早期治療で白内障などの合併症を防ぐことができます。
この記事でお伝えしたことを纏めてみました。
- 糖尿病にはI型とII型がある
- 原因は肥満やストレス、運動不足など
- 体重や食事の管理で発症を予防できる
- 主な治療はインスリン投与・食事療法・運動療法
- 治療費用が高額になりがち
- 通院がメインとなる
- 糖尿病はほとんどのペット保険で補償対象とされている
- 病気になってからのペット保険加入は条件付きになることがある
- 糖尿病には通院補償が手厚いペット保険がおすすめ
最近ではペットも高齢化社会と言われています。できるだけ長く健康に一緒に生きていくために、高額な治療を選択しなければならないこともあるでしょう。
ペットとより良い生活を送るためにもペット保険で、けがや病気に備えておくのがおすすめです。
MOFFMEでは、他にも様々なペットやペット保険に関する記事を多数公開しておりますので、ぜひ参考にしてみてください