猫の皮下点滴をご存知ですか?下痢や慢性腎臓病等で脱水している状態の猫に電解質や水分を補うために行います。皮下点滴は飼い主の自宅でも行いますが、刺す場所や刺し方が心配ですよね。この記事では猫の皮下点滴について、自宅でのやり方やコツ、注意点を解説します。
この記事の目次
目次を閉じる猫の皮下点滴とは?自宅でのやり方やコツを解説!
記事モデル:ひな
点滴は人間と同じく、猫にも一般的な治療法の一つとなっています。愛猫が脱水症状を起こしたとき等に、主に電解質、水分の補給をする目的で点滴が行われます。
この点滴が自宅で可能なことはご存知でしょうか?猫の皮下点滴にはいろいろなメリットもあります。
しかし、飼い主さんが慣れない点滴を愛猫に施す場合は、獣医師と違いなかなか手こずるかもしれません。
そこで今回「MOFFME」では「猫の皮下点滴の利点と、点滴を行う際の注意点」について
- 猫がどんな場合に点滴を必要とするのか?
- 皮下点滴の利点
- 猫の皮下点滴のやり方や注意点
そもそも猫の点滴とは?どんな場合に点滴が必要になるのか
点滴は猫の治療のために有効な方法ですが、当然、日常生活で何の支障も無ければ点滴が必要になることはありません。
飼い主さんにとっては、愛猫がどんな病気にかかると点滴が必要となるのか、不安な方々も多いことでしょう。
こちらでは、
- 腎臓病等、点滴が必要になるケース
- 猫の点滴の種類は2つ
猫の点滴とは?腎臓病等、点滴が必要になる場合も解説!
猫はもともと飲み水が少ない環境で生きてきました。そのため、少量の水分でも効率よく生活できるように進化しました。しかし、その影響で年齢が上がるにつれ、腎臓に大きな負担がかかっていきます。
一般的に猫は高齢になるにつれ腎機能が低下していきます。一度失われてしまった腎機能は元に戻らないため、慢性腎臓病(CKD)となる割合も高いです。
慢性腎臓病になると腎臓で水分を再吸収する力が弱まり、進行すれば尿量が増えて脱水状態に陥ります。この場合に点滴をすれば、無理なく水分を補い脱水症状を改善したり尿毒症を和らげたりすることが可能です。
猫の場合は慢性腎臓病は生涯にわたって治療が必要であり、数日~数週間おきに定期的な点滴をするケースもあります。
猫の点滴の種類とは?静脈点滴と皮下点滴の2種類ある!
猫に点滴をする場合、主に実施されるのが「皮下点滴」と「静脈点滴」の2種類です。こちらではそれぞれの特徴を解説しましょう。
皮下点滴の場合
こちらの点滴は、皮下(皮膚と筋肉の間)に点滴の液を注入する方法です。皮下に入った点滴の液は毛細血管から時間をかけてゆっくり吸収されていきます。皮下点滴は短時間(5~10分程度)で済むため、入院をせずに行うことが出来ます。
点滴の必要量や頻度は脱水の程度や体重などによって異なります。自宅で行える点滴の多くは皮下点滴となります。
静脈点滴の場合
こちらの点滴は猫の血管へ直接、点滴の液を注入する方法です。前足の静脈を使うことが多いです。猫の症状が重篤である場合や緊急性の高い場合に、動物病院で行われる方法です。水分補給の効率が高く、薬物も同時に投与できます。ただし、こちらは自宅で行うことができません。
また、皮下点滴とは対照的にゆっくり時間をかけて投与していくため、入院が必要になるというデメリットがあります。
猫の皮下点滴のメリットとは?
前述した通り皮下点滴は自宅でも可能です。飼い主さんの中には、皮下点滴へ関心を持った方々もおられることでしょう。
こちらでは皮下点滴のメリットである
- 自宅で皮下点滴をした方が費用が少ない
- 愛猫の負担も軽減される
- 飼い主が治療に参加できて安心
メリット①:かかる費用が少ない!動物病院の料金との差は?
動物病院で皮下点滴を行う場合、診察料と点滴の費用だけでも3,500円程度かかります。週に1回のペースで皮下点滴をするなら、1か月当たり約14,000円かかります。
一方、自宅で皮下点滴を行う場合は次のような費用がまずかかります。
- 輸液:1,080円(500ml)
- 翼状針:1本100円
- 点滴チューブ:1本1000円(1~4回で交換必要)
輸液(1000円×4回)+翼状針(100円×4回)+点滴チューブ(1000円)=5400円
このように、動物病院で行う場合に比べておよそ1万円程度費用を抑えることができます。メリット②:愛猫の負担が少ない
自宅での点滴ならば、動物病院へ通院する愛猫の精神的負担が軽減されます。猫にとっては、意にそぐわない動物病院への移動、待合室での待ち時間も大きなストレスとなります。
自宅の場合は待ち時間が無いですし、皮下点滴であれば5~10分程度で終わります。点滴治療が終われば、愛猫はすぐに自分のベッドや家のソファーで休めることでしょう。
なお、点滴パックはカーテンレールのフックに吊るすことがおすすめです。点滴パックの位置が高いと、それだけ点滴の液も早く流れます。
メリット③:飼い主も治療に参加できる
ご自分の愛猫が病を抱え、苦しそうにしている姿は飼い主さんにはつらいものです。治療を獣医師に任せきりでは、歯がゆい飼い主さんも多いことでしょう。
そんな時にこそ自宅での点滴を行えるなら、飼い主も治療に参加でき、愛猫の治療へ貢献できるはずです。
飼い主が点滴治療を行い数カ月ほどで、数値が正常値に戻り愛猫の食欲も戻り、普段と変わらない生活を過ごせているケースが多いです。
ただし、点滴で使う針は太く長いものを利用します。飼い主さんや家族では手もとが定まらず慣れない作業に、どうしても点滴治療が行えない場合もあることでしょう。
そんな時は無理せずに、動物病院で点滴を行った方が無難です。
猫の皮下点滴のやり方やコツとは?嫌がる猫にはどうしたら良いか
自宅での皮下点滴は効果的な治療方法ですが、身体に針を刺す作業は、他人はおろかご自分に刺すことも行った人はほとんどいないはずです。
また、針を刺すので当然猫も痛みを感じます。そのため抵抗される可能性もあります。慣れない作業と、猫が暴れる状況で皮下点滴を行えない事態もあり得ます。
こちらでは、
- 自宅での皮下点滴のやり方やコツとは?
- 皮下点滴の注意点
愛猫が暴れる!自宅での皮下点滴のやり方やコツを解説!
愛猫が我慢できず動いてしまい、皮下点滴がうまくいかないことも多いです。そんな時は、肘より先は触らないことを心がけましょう。
猫の手が動くからといって指先を押さえると、猫は指先を触られるのを嫌がり余計に抵抗します。猫の肩甲骨さえ抑えれば、皮下点滴が行い易くなります。
皮下点滴のやり方として、猫は後ろに逃げるので、猫のおしりと保定する人の体をくっつけます。そして両手で肩甲骨あたりを優しく包むように保定すると前に飛ぶこともできなくなります。この様にするのがおすすめです。
とはいえ、飼い主さん1人で点滴をしなければならないケースもあるはずです。
この場合は、愛猫をキャリーの中に入れれば、逃げ難くなります。また、愛猫を保定(動かないようにする)のための保定袋という商品も販売されています。
点滴用の穴がついている商品もあるので、こちらを利用してみるのも良いでしょう。
皮下点滴の注意点とは?消毒や圧力に気をつけよう
利用する点滴バッグをまずアルコールで消毒します。その後、愛猫に点滴を開始しますが、皮下点滴はどんなに早くいれても問題ありません。
そのため、私たち人間が静脈点滴をするときのように、点滴の液がぽたぽた落ちているような状態ではなく、1本の線になるようにスムーズに流れている状態がベストです。
必要量を点滴することができたら針を抜きます。針を抜いた後は、点滴の液が漏れださないようにするため、優しくつまむように数十秒刺した箇所を軽く押さえましょう。
点滴が無事に済むと飼い主さんは安心するはずです。しかし、点滴後の心のケアも忘れずに行いましょう。
信頼する飼い主さんに針を刺されてしまい、愛猫はショックで呆然としてるかもしれません。点滴後は愛猫が我慢したことを褒めてあげ、体をさすり寄り添うことが大切です。
もしもの時に備えてペット保険に加入しておくのがおすすめ!
飼い主さんが皮下点滴のために動物病院を利用したとしても、ある程度の治療費を軽減できる方法があります。
それはペット保険を利用する方法です。万が一皮下点滴が必要な病気にかかってしまったときに治療費をできるだけ、ペット保険への加入を検討してみましょう。
ペット保険では、かかった治療費を補償割合(例:5割補償・7割補償)に応じて賄うことができます。
補償割合が大きくなると、その分保険料は高くなりますが、いざと言う時に手厚い補償が受けられます。
MOFFMEでは、一括比較サービスや猫のペット保険に関する記事を取り扱っているので、是非参考にしてみましょう。
まとめ:猫の皮下点滴とは?やり方やコツを解説!
猫の皮下点滴(自宅点滴)の利点と、点滴を行う際の注意点について解説してきましたが、いかがでしたか。
今回は
- 点滴をすれば、無理なく水分を補い脱水症状の改善、尿毒症も和らげることが可能
- 皮下点滴は、この皮下(皮膚と筋肉の間)に点滴の液を注入する方法
- 猫の皮下点滴はコスト安で、愛猫の治療へ貢献できる点がメリット
- 皮下点滴は飼い主さんと、家族の誰かの計2人で行うのが理想的
- 点滴の後は愛猫が我慢したことを褒めてあげ、心のケアに努める
- 皮下点滴が難しければ無理をせず、動物病院で行う