犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)をご存知ですか?膝蓋骨が脱臼し、初期では無症状が多いですが、進行すると歩き方がおかしい等の症状が見られます。治療としては安静療法、レーザー治療、手術等が行われます。この記事では、パテラの原因から症状、治療法、予防まで解説します。
この記事の目次
目次を閉じる犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)とは?痛がらないこともあるので注意!
犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)という病気はご存じですか?
獣医さんがワンちゃんを診察していると、毎日のように膝蓋骨脱臼の症状を持つ犬に遭遇すると言っても過言ではないほど、よく見られる病気です。
飼い主は愛犬が膝蓋骨脱臼(パテラ)であることに気づかない事が多いそうなのです。というのも、初期の段階では痛みや歩行の異常などの症状がみられないことが多いからです。
しかし、無症状のまま知らずに放っておくと、状態が悪化してしまい、痛みが出たり歩き方がおかしくなったり、ひどい場合だと歩けなくなってしまって手術が必要になる事も。
そうなると、愛犬に可哀想な思いをさせてしまいますし、手術の費用もかかります。
そこで、今回「MOFFME」では、犬の膝蓋骨脱臼について次の事をお伝えします。
- 犬の膝蓋骨脱臼の原因と症状、グレードを紹介!
- 犬の膝蓋骨脱臼の治療法や治療費、予防方法を解説
- 膝蓋骨脱臼になりやすい犬種や年齢、性別を紹介
最後までお読みいただければ、犬の膝蓋骨脱臼について正しい知識がつき、早期発見や予防法などが分かります。
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犬の膝蓋骨脱臼とは?原因や症状、グレードを解説!
毎日元気に動き回っている愛犬。元気なのは良い事なのですが、ケガもつきものですよね。
犬のケガで多いのが「脱臼」です。脱臼はいろいろな部分で起きますが、骨の関節が本来あるべき位置からズレる状態の事を言います。また脱臼はケガだけでなく、先天性の原因でも起こることがあります。
犬の場合、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)が多いのが特徴です。
特に小型犬に多いとされています。
そこで、次の事について説明していきます。
- 犬の膝蓋骨脱臼とはどんな病気?
- 犬の膝蓋骨脱臼の原因は?
- 犬の膝蓋骨脱臼の症状とグレードを解説
そもそも犬の膝蓋骨脱臼とは?どんな病気なのか
犬の膝蓋骨脱臼についてですが、膝蓋骨脱臼は別名「パテラ」とも呼ばれています。
脱臼は、一般的に肩や肘、顎、股、膝など、関節部分で起きます。
この脱臼の中でも、膝蓋骨と呼ばれている膝のお皿の部分が、大腿骨の「滑車溝」(かっしゃこう)と呼ばれるくぼみに収まっている正常な状態から外れて脱臼する事を膝蓋骨脱臼と呼んでいます。
内側に外れると内方脱臼、外側に外れると外方脱臼と呼びます。犬の場合は内側に外れるケースが多くみられます。
犬の膝蓋骨脱臼の原因は?先天性と後天性の場合がある!
犬の膝蓋骨脱臼の原因は2つあります。先天性の場合と後天性の場合です。
2つのうち、先天性の場合が圧倒的に多いです。
生まれた時から、膝関節周囲の筋肉や靭帯に異常がある、滑車溝が浅い事などが原因です。
先天性の場合、生まれてすぐに発症するケースもあれば、大きくなるにつれて発症してくるケースと両方あります。
生まれた時は気をつけて見ている事が多いですから気づきやすいかもしれませんが、大きくなってから発症した場合は、うっかりすると見逃してしまいそうですので、注意が必要です。
一方、後天性の場合は、外傷性、いわゆる「ケガ」によるものです。
犬はとにかく元気に飛び回りますから、外での交通事故や高所からの飛び降りの着地失敗、転倒などで足をケガして生じるものです。
犬の膝蓋骨脱臼の痛みや歩けない等の症状は?グレードも解説!
犬の膝蓋骨脱臼はどのような症状が出るのでしょうか?
最初は無症状の事が多いので気づきにくいです。しかし、徐々に歩き方がおかしくなり、足を引きずるようになったり、足がつけなくなったり。ひどくなると、痛みが出て全く歩けなくなる事もあり、実に様々な症状が起きます。
そこで、膝蓋骨脱臼の程度を表す「グレード」を一覧表にしました。
膝蓋骨脱臼は脱臼の程度によって、グレードⅠ~Ⅳまでの4つに分類されます。
症状 | |
---|---|
グレードⅠ | 基本的に無症状。 時々症状が出ることも。 日常生活に問題なし。 |
グレードⅡ | 時々足を浮かせて歩く。 足の曲げ伸ばしをすると簡単に戻る。 日常生活に大きな問題はなし。 |
グレードⅢ | 足を引きずって歩く。 常に脱臼している状態。整復は可能。 |
グレードⅣ | 骨の変形がおき、 膝を曲げたままの状態で歩いたり、 全く歩けなくなることも。 常に脱臼している状態。 整復も不可能の重症。 |
グレードⅠとⅡは症状が軽いので、余り気にならず、飼い主の方で気づかないケースもあるでしょう。
しかし、繰り返し脱臼を起こしてしまうと関節炎を引き起こし、痛みが出ることもあります。
グレードⅢからⅣになると症状も重くなっていきます。骨の変形がはじまり、最悪、手術でも治らないくらいの状況に陥ることもあります。
なお、グレードⅢまでは予後は良好で手術の成功率は90%以上との報告があります。無事に治る病気と言え、再手術の必要がないケースが殆どです。
ですから、日頃から犬の歩き方を観察して、歩き方がおかしかったり、急に鳴いて痛そうなしぐさをした時にはすぐに獣医さんに診てもらい、早期発見、早期治療をするようにしましょう。
犬の膝蓋骨脱臼の治療法、治療費、予防を詳しく紹介!
犬が膝蓋骨脱臼になった場合の治療や予防方法は、どのようなものになるのでしょうか?
出来れば膝蓋骨脱臼になってほしくはないので、予防出来るものなら予防したいですよね。
ただし、先天性の場合は予防が出来ませんので、治療法や費用はしっかりと把握しておきたいものです。
そこで次に、以下の事を解説していきます。
- 犬が膝蓋骨脱臼をした場合の、投薬・レーザー治療・手術等の治療方法と治療費について
- 犬の膝蓋骨脱臼の予防方法について
膝蓋骨脱臼のレーザー治療や手術等の治療法、治療費用を紹介!
犬の膝蓋骨脱臼の治療法には主に次の3つの方法があります。
方法 | 治療内容 |
---|---|
投薬 | 脱臼はしているが、無症状や数ヶ月に1回程度の軽い症状の脱臼の場合は、 痛み止めや消炎剤の薬を飲んで様子を見ます。 |
レーザー治療 | 炎症や痛みなどの症状を一時的に和らげるためにレーザー治療をします。 |
外科手術 | 元の位置に膝蓋骨を戻してあげる整復手術をします。 重症化すると、後ろ足の骨が変形したり靱帯が損傷したりして、 手術自体が出来なくなります。 早めに手術を行うことで膝蓋骨脱臼の完治が望めます。 |
※サプリメントも使用することがあります。
では、実際に膝蓋骨脱臼をした犬の治療費がどのくらいかかったかの一例をお知らせしましょう。
例)トイプードル・1歳
散歩中に、後ろ足をスキップするようにして歩くようになったので、動物病院へ。診断の結果、膝蓋骨脱臼が判明。
手術(膝蓋骨を正常位置に戻す)をした場合の費用です。
<診療明細書>
診療項目 | 金額 |
---|---|
診察 | 800円 |
入院(5泊6日) | 15,000円 |
検査 | 25,000円 |
全身麻酔 | 15,000円 |
手術 | 165,000円 |
点滴 | 14,400円 |
処置 | 10,500円 |
注射 | 6,000円 |
薬 | 2,300円 |
計 | 254,000円 |
出典:アイペット損害保険株式会社「膝蓋骨脱臼(パテラ)」の場合の保険金請求事例
※あくまでも一例です。動物病院によって、診療項目の金額は異なります。
入院は6日間かかり、費用は254,000円と高額の医療費が掛かった事が分ります。
手術をすると、医療費はグンと跳ね上がりますね。
犬の膝蓋骨脱臼の予防は?運動や食べ物、室内環境の管理が大切!
犬が膝蓋骨脱臼にならないようにするための予防策として、どんな事に気をつければ良いでしょうか?
原因が先天性の場合は、生まれつきの事ですので防ぎようがありませんが、後天性の場合は、外傷によるものですから、注意すれば予防出来ます。
予防策としては次の4つがありますので参考にしてくださいね!
床を滑りにくくする
ツルツルした床(フローリングやタイルなど)は滑りやすく、転ばないように足で踏ん張りますよね。そうすると膝に大きな負担が掛かります。
ですから、床を滑りにくくする事が大切です。具体的には滑り止めのマットを敷いたりカーペットを敷いたりして対策をすると良いでしょう。パッドの毛が伸びていても滑ってしまうので注意してください。
食べ物と体重の管理をする
太ると膝への負担が増します。特に小型犬の場合は、1kg増えただけでも膝への負担は倍増します。
肥満にならないように、体重の管理が大切です。そのためには、1日に食べさせる量を守り、ダイエット用のドッグフードにしておやつは控えるようにしましょう。
適度な運動をさせる
膝への負担を減らすために、普段から適度な運動をして後ろ足の筋肉量をアップさせておく事が大切です。ただし段差への飛び乗りや飛び降り、ジャンプなどの動きは逆に膝に負担がかかってしまうので注意してください。
また、術後1~2か月は、やはり安静にしてジャンプや急回転する動作を避けて、しっかりと治すようにしましょう。
太ももの内側のコリをほぐす
太もも内側をくるくるとやさしくマッサージしてあげましょう。マッサージする事で血行が良くなり、コリがほぐれて関節が柔らかくなります。膝の屈伸運動も行うと良いでしょう。
膝蓋骨脱臼になりやすい犬種や年齢、性別はある?
ところで、膝蓋骨脱臼になりやすい犬はいるのでしょうか?
絶対に膝蓋骨脱臼をしない犬はいません。すべての犬が膝蓋骨脱臼を起こす可能性はあります。
ただし、小型犬の方が膝蓋骨脱臼になりやすいです。
犬種としては、トイ種の犬に多く見られ、チワワ、トイプードル、パピヨン、ポメラニアン、ヨークシャテリアなどです。
小型犬は特に内側に外れる内方脱臼が多いのが特徴です。
また外方脱臼は大型犬に起こりやすいです。
年齢は、特に関係なく全ての犬に生じます。先天性の場合は赤ちゃんの時からですし、後天性の場合はケガによって起きるからです。
性別では、メスの方が発症しやすいです。オスと比べると約1.5倍というデータがあります。
もしもの時に備えてペット保険に加入しておくのがおすすめ!
犬が膝蓋骨脱臼になると、温存治療(投薬やレーザー治療など)の場合は、1回あたりの通院費は高くありません。
しかし、根本治療の手術となると、入院や長期的な治療が必要になり、多額の治療費がかかります。
先ほど、膝蓋骨脱臼で手術で根本治療した場合の金額をご紹介しましたが、6日間で約254,000円掛かっています。
これを全額自己負担となると大変ですよね。
ですから、もしもの時のために、ペット保険に加入しておくと負担が大幅に減ります。
例えばある保険会社では9割が保険でまかなわれますので、実質の負担額は、25,400円で済みます。随分と助かりますよね。
犬はさまざまな病気やケガになる場合があり、その都度全額自己負担はキビシイ状況になります。
MOFFMEではペット保険に関する記事がたくさんありますので、参考にしてみてくださいね!
まとめ:犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)は治る?予後が良好な病気か
ここまで、犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)についてお伝えしてきましたが、いかがでしたか?
今回の記事でお伝えして来た事は次の通りです。
- 犬の膝蓋骨脱臼は最初は無症状の場合が多く、気づきにくい。
- 犬の膝蓋骨脱臼は滑車溝から膝蓋骨が外れた状態の事で、内側に外れるケースが多い。
- 犬の膝蓋骨脱臼は、先天性の場合が多いが、外傷性の後天性のものもあるので注意が必要。
- 犬の膝蓋骨脱臼の重症度はグレードⅠ~グレードⅣに分かれており、早期発見、早期治療をする事で予後は良好で治る。
- 犬の膝蓋骨脱臼の治療法は、投薬、レーザー治療、外科手術がある。
- 外科手術は費用がかさむので、万が一に備えてペット保険に加入することをオススメする。
- 犬の膝蓋骨脱臼の予防は環境を整え、運動や食べ物にも気をつける事。
- 膝蓋骨脱臼になりやすい犬は、トイ種の小型犬が多く、メスの方がなりやすい。
犬の膝蓋骨脱臼は、早期発見をすれば治る病気です。
愛犬の様子を注意深く観察し、少しでもおかしいなと思ったら、獣医さんへ診てもらい、早期治療をするようにしてくださいね。
MOFFMEでは他にも様々なペットや保険に関する役立つ記事を公開しておりますので。ぜひご覧ください。