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犬の肝硬変をご存知ですか?慢性肝疾患が進行することが原因で、嘔吐や腹水、下痢、肝性脳症等の症状を引き起こします。治療としては、食事療法等症状を緩和する治療を行います。この記事では犬の肝硬変について、原因から症状、治療法、治療費、予防まで詳しく解説します。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬の肝硬変とは?治療の予後や余命はどうなのか

肝臓はビタミンや酵素などの生成を行う重要な臓器です。人では肝炎など、肝臓の病気になることは一般的に知られていますが、犬も肝臓の病気にかかることを知らない方もいるのではないでしょうか。


犬も人と同じように、慢性肝疾患などによって長期的に肝臓へのダメージが蓄積されていくと、肝硬変となってしまう場合もあります。


犬が肝硬変と診断された場合、どのような治療を行うのか気になりますよね?また、何が原因となるのか、症状はどの様なものなのか、気になる方は多いのではないでしょうか?


今回「MOFFME」では、

  • 犬の肝硬変について、症状や原因は?
  • 治療方法や治療費は?予防法はあるのか?
  • かかりやすい犬の特徴
  • 万一に備えるためのペット保険

についてご紹介したいと思います。


この記事をお読みいただければ、犬の肝硬変について詳しくお分かりになるかと思います。治療法や予防法についてもご紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。


またMOFFMEでは、ペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

犬の肝硬変は治る?原因や症状を詳しく解説!

人の場合、お酒の飲みすぎなどで肝臓の病気になってしまう事がありますよね。犬はお酒も飲まないし、肝臓の病気とは無縁なイメージがあるかもしれませんが、犬でも肝臓の病気を発症することがあります。


特に、慢性肝疾患などで長期的にダメージを受け続けると、肝硬変になってしまう事もあるのです。


では、肝硬変とはどのような病気なのでしょうか?


ここでは、

  • 肝硬変とは?
  • 原因や検査方法について
  • 症状や合併症について

をそれぞれ解説していきたいと思います。

そもそも犬の肝硬変とは?予後や余命についても解説!

肝硬変とは、名前からも分かるように、肝臓が硬くなってしまう病気です。なぜ硬くなってしまうのでしょうか?


肝臓は肝細胞と呼ばれる細胞が集まって形成されているのが普通の状態なのですが、肝硬変になってしまった部位は線維に変わってしまいます。


コラーゲンと聞くと、プルプルしているのではないの?と考える方もいるかと思いますが、骨の主要成分にもコラーゲンが含まれています。線維に置き換わってしまうと、肝臓としての機能を果たすことができなくなるため、様々な症状が出ることになります。


肝臓はとても丈夫な臓器と言われており、全体の80%が障害を受けない限り、正常に働くとも言われています。


症状が出るということは、全体の80%が何らかのダメージを受けている、ということになるため、肝硬変は肝臓の病気の末期と言えるのです。そのため、進行した状態になってしまうと、余命はわずか、ということになってしまいます。


治療を行ったとしても、予後は食事などに気をつける必要があります。

犬の肝硬変の原因とは?血液検査等の検査方法も紹介!

肝硬変は突然起こる病気ではなく、肝臓へのダメージが蓄積することで起こる病気です。そのため、発症する前に何らかの肝臓の病気になっていることが多くなります。


原因となる病気としては、

  • 慢性肝炎
  • 脂肪肝

などが挙げられます。


多くの場合、これらの病気が長く続いたため、肝硬変を発症してしまう事になります。


犬の慢性肝炎発症のメカニズムははっきりと解明されていませんが、原因は遺伝性、薬物、感染症などが挙げられます。


これら以外にも、胆管結石などが原因で胆汁が停滞してしまった場合や、犬糸状虫症などが原因となる場合もあります。


検査をする方法としては、

  • 血液検査
  • エコー検査
  • レントゲン検査

などを行い、症状を見て判断をします。


検査費用としては、エコー検査が5,000円前後、レントゲン検査が5,000~10,000円程度となります。(日本獣医師会診療料金実態調査

犬の肝硬変の症状は?餌を食べない等の症状や合併症を解説!

どのような症状が出るのかと言うと、先ほどもご紹介したように、肝臓は80%に異常がみられても、正常に機能することもあります。そのため、軽度の肝硬変であった場合、無症状となることもあります。


進行した場合には、症状として、

  • 嘔吐・下痢
  • 腹部の痛み
  • 黄疸
  • 食欲低下・体重減少
  • 異常行動
  • 腹水

などが見られます。


まず肝臓の辺りに痛みが生じます。痛みが生じている場合、かなり病状が進行していることになるため、注意が必要です。


また黄疸が生じます。白目や歯茎、皮膚が黄色っぽく変色します。最初は薄いため気づきにくいですが、症状が進行するとかなり目立つようになってきます。


さらに食欲が低下し、嘔吐を起こす場合もあります。食欲低下による体重減少も起こります。さらに、肝機能の低下により脂肪を吸収できなくなることで、さらに体重の減少が起こることとなります。


肝臓の機能低下により、アンモニアが分解できなくなると、肝性脳症を合併症として引き起こすこともあります。肝性脳症になってしまった場合、

  • 攻撃的な性格
  • 痴呆
  • うつ状態

などの異常行動が見られるようになります。ただ異常行動よりも発作、特に重積発作が深刻です。


腹水が見られる場合もあります。腹水は腹腔内に体液が溜まっている状態です。ただの水ではなく、栄養素も含んでいるため、細菌感染を起こしてしまうこともあり、腹膜炎を併発してしまう可能性もあります。

犬の肝硬変の治療法、治療費、予防法を詳しく紹介!

犬が肝硬変と診断されてしまった場合、どのような治療を行うことになるのでしょうか?肝臓の病気の末期症状と言われる病気になるため、大掛かりな手術が必要になるのでは、と心配する方もいるかもしれません。


肝硬変を完治させる治療法は確立されていません。そのため、進行を遅らせることや、残っている肝細胞を守ることを治療として行うことになります。


ここでは、

  • 治療法や治療費
  • 予防法

についてそれぞれご紹介していきます。

犬の肝硬変の手術等の治療法、治療費用を紹介!

犬の肝硬変は完治させる治療法が確立されていません。肝臓腫瘍の場合は、手術を行うことで完治する可能性はありますが、肝硬変の場合はそういう訳にはいきません。


そのため、治療と言っても、進行を遅らせるなどのことしかできないのです。治療法をいくつか挙げると、

  • 薬物治療
  • 食事療法

などになります。


薬物治療は、肝機能を改善させるための薬や、腹水が溜まるのを防ぐために利尿薬の処方、痛みを抑えるための鎮痛剤、食欲増進剤、制吐薬、止瀉薬、輸液、利胆薬、脳圧下降剤(発作が起こっている場合)などを使用します。中には漢方薬を使用する場合もあります。どれも肝硬変に劇的に効果があるわけではないので、犬の不快感を和らげる程度の治療となります。


肝硬変の場合、食事療法も行うことになります。肝臓病の場合は低蛋白食が基本です。質の良い蛋白質を供給します。


薬物療法や食事療法などしか治療法が無いため、一度の治療費はそれほど高額なものにはならないかもしれません。しかし、一生付き合っていくことになるため、通院することが多くなり、治療費は徐々に高額になっていきます。

犬の肝硬変の予防は?肝臓にできるだけ負担をかけないようにする

肝硬変を予防するには、肝臓に負担をかけないようにすることが重要になります。


特に、原因となる病気、慢性肝炎や脂肪肝などにならないよう、気をつける必要があります。


脂肪肝の原因の一つは食べ物の与えすぎです。肥満にならないよう、食事の量や質に気をつけましょう。


また、慢性肝炎の原因としては、特定の薬剤の使用やペットフードの添加物が原因となることがあります。慢性肝炎を防ぐためにも、質の良い食事を与えるようにしてください。

肝硬変にかかりやすい犬種や年齢、性別はある?

肝硬変はどの様な犬でも発症する可能性のある病気ですが、かかりやすい犬の特徴としては、高齢ということが挙げられます。


徐々に肝臓の機能が低下していく病気で、一気に症状が広がることはあまり無いため、発症するのは高齢の犬が多くなります。


遺伝性の慢性肝炎の好発犬種は、

  • ベトリントンテリア
  • ウエストハイランドホワイトテリア
  • ダルメシアン
  • ドーベルマン
  • スカイテリア

です。肝炎が悪化すると肝硬変となってしまうため、これらの犬種では十分に注意してあげるようにしましょう。


定期的に血液検査やエコー検査などを受け、早期発見早期治療ができるようにすることをおすすめします。特に高齢になってからは、半年に1回程度、検査を受けるとより安心と言えます。

もしもの時に備えてペット保険に加入しておくのがおすすめ!


犬も肝硬変になることをご紹介しましたが、他にも多くの病気にかかってしまう可能性があります。また、病気だけでなく、事故などで怪我をしてしまう可能性もあるのです。


このように、病気や怪我をしてしまった場合、多くの方がペットを動物病院へ連れて行きますよね。そこで治療を受けた場合、当たり前ですが治療費を支払うことになります。


人が病院へ行った場合、治療費は3割負担などとなっているため、そこまで高額な治療費を支払うことは少ないと思います。しかし動物病院は自由診療になるため、治療費は全額飼い主さんが負担することになります。


もし大きな病気などになり、高額な治療費が必要になってしまうと、飼い主さんの金銭的な負担は大きなものとなってしまうのです。


このような金銭的負担を減らすためにも、ペット保険に加入しておくと安心です。


MOFFMEではペット保険に関する記事を多数掲載していますので、ぜひ選ぶ際の参考にしてください。

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まとめ:犬の肝硬変は回復する?

いかがでしたか?ここでは犬の肝硬変についてご紹介してきました。


ここでご紹介したことは、

  • 犬の肝硬変は肝臓の病気の最終段階
  • 慢性肝炎や脂肪肝が悪化することが原因
  • 診断には血液検査やエコー検査を行う
  • 嘔吐や下痢、腹水や肝性脳症からの異常行動などが見られる
  • 回復することは非常に少なく、現状を維持するための薬物治療や食事療法を行う
  • 高齢の犬に発症が多い
  • 万一の病気に備えて、ペット保険に加入しておくと安心

になります。


肝硬変は肝臓の病気の末期症状と言われています。そのため、進行した状態で病院を受診すると、余命が短い、などと言われてしまう事もある恐ろしい病気です。


完治させることは難しいですが、早期発見をすることで、現状を維持することは可能になります。定期的な健診などを受け、病気の早期発見ができるようにしておくことをおすすめします。


MOFFMEでは他にもペットに関する記事を多数掲載しています。興味のある方は是非参考にしてください。