内容をまとめると
- 重度のストレスを抱えている可能性がある
- 舐める理由がストレスの場合はストレスの原因の排除を優先することが大切
- 動物心理学や動物行動学に詳しい獣医師に相談することがおすすめ
- ペットの医療費は保険適用されないので、もしもの時に備えてペット保険に加入しておくと安心
犬は愛情表現などから人の顔をなめることがありますよね。可愛いと思う反面、しつこいとやめさせたいと考えることもあるのではないでしょうか。そこで今回は、犬が人の顔をなめる理由やしつこい顔なめをやめさせる方法について詳しく紹介します。
この記事の目次
目次を閉じる犬が人の顔をなめるのはなぜ?しつこい顔なめをやめさせるには
犬はいろいろなタイミングで人の顔などをなめてきますよね。
ほんの少しであれば可愛らしいですし、なめられた方も嬉しくなってきます。
ただ、そもそもなぜ犬は人の手や顔をなめるのでしょうか?
今回はそんな疑問を解決するために、
- 犬が人の顔をなめる理由
- 顔をなめるのがしつこい時のやめさせ方
- 犬が人の顔をなめるのは大丈夫?
- 犬が顔以外の場所をなめる理由
犬が人の顔をなめる理由とは?
犬が人の顔をなめるのは、いくつかの理由があると言われています。
その理由は以下のようなものです。
- 愛情表現
- においが気になる
- おねだりをしている
- 心の病気の可能性
犬が人の顔をなめる理由①:愛情表現
愛犬と一緒に遊んでいる時や愛犬がご飯を食べた後などに人の顔をなめるのであれば、「大好き」という気持ちを伝えてくれていると言われています。
犬は信頼している相手に対して口や顔をなめるといったことをします。
愛情表現のためになめてくることもあるため、遊びやスキンシップを取っている時になめてくるなら、「大好き」「信頼してる」と伝えてくれているのではないでしょうか。
もし、嫌われていないか心配、飼い主として信頼されているか不安に思っているのでしたら、犬の行動をチェックしてみると良いでしょう。
また、こういったタイミングでなめてきた時は、その思いに応えて思いっきり遊んであげてくださいね。
犬が人の顔をなめる理由②:においが気になる
飼い主がご飯やお菓子などを食べた後に口の周りをなめてくるなら、食べた物のにおいが気になっているからです。
どんな食べ物を食べたのか気になっていたり、良い匂いがするからその発生源である口のにおいを嗅ぐこともありますね。
なめてくるのは、美味しそうなにおいだから自分も味わいたくてなめる可能性が高いです。
そのため、何かしら食べたりした時にこういった行動がみられるのであれば、「食べた物が気になっているのかな?」と考えてみると良いかもしれませんね。
愛情表現と違うのは、食事後にこの行動を取るという点です。
食事の後かどうかで判別できるので、気になった時は直前に何をしていたか思い出してみると良いでしょう。
犬が人の顔をなめる理由③:おねだりをしている
犬は空腹の時に、ご飯の催促をするために飼い主の口の周りをなめることがあります。
これは犬の祖先としても知られるオオカミの習性にもあり、犬の場合はその名残と言われています。
オオカミは自分の子供にエサを与える際、獲ってきた肉を一度自分で噛んでから子供に食べさせます。
そのため、子供のオオカミはお腹が空いた時に気持ちを伝えるため、親の口周辺をなめておねだりします。
この習性が犬にも残り、お腹が空くと飼い主の口元をなめてご飯をおねだりしているのだそうです。
ご飯だけではなく、おやつを要求している時にもなめることがあるので、時間帯を確認しながらどちらをねだっているのか判断してみてください。
犬が人の顔をなめる理由④:心の病気の可能性
少し顔をなめる程度だったり、注意すればやめるのでしたら特に問題はありません。
しかし、何度も注意しているのにしつこいくらいなめてくる場合は、犬の様子を注意深く観察するようにしましょう。
あまりにも顔なめがしつこいというのは、犬が不安を感じている可能性があります。
不安以外にも恐怖やストレスを感じている時にも見られ、飼い主の顔をなめるのはその気持ちを訴えるためになめてきます。
他にも、犬が自分を落ち着かせるために飼い主の顔をなめているとも言われていますね。
念のために何かトラウマがあったり、犬にストレスを与えるような飼育環境になっていないか、愛犬と十分なコミュニケーション時間確保ができているか、この機会に確認してみましょう。
また、頻度が多くかなりしつこいようであれば、心の病気である可能性も捨てきれません。
どうしても心配な場合は、心療に強い動物病院に相談して解決の糸口を探ってみることも検討してみてください。最近では、犬の行動診療に強い心療内科を行っている動物病院もあります。
犬のしつこい顔なめをやめさせる方法
記事モデル:あかね
愛犬がなめてきてくれるのはとても嬉しいですが、どんなことにも限度があります。
顔なめがあまりにもしつこい場合や長い場合は、さすがにやめてほしいと思ってしまいますよね。
そんなしつこい顔なめをやめさせたいのであれば、
- 冷静に対応する
- おやつやおもちゃを使って気をそらす
- 愛犬がストレスを感じていないか生活を見直す
- どうしても心配な時は動物病院へ
冷静に対応する
何度もしつこく顔をなめる時の対処法でダメな行動は、騒いだり大袈裟に反応することです。
飼い主はやめてほしいと訴えていても、犬はそれとは逆に飼い主が喜んでいると認識してしまいます。
すると、もっと喜んでもらうためにしつこくなってしまうため、本当にやめてもらいたいであれば、きちんと冷静に対応するようにしましょう。
大声で騒いだり過剰な反応を見せたりせず、落ち着いた声で「やめて」「待て」とだけ指示します。
指示した後はしばらく愛犬から目を逸らし、何もせずにいましょう。
なめることをやめ、落ち着きを見せたらしっかり褒めて遊んだりおやつをあげてください。
実際にやってみると難しいですが、焦らず少しずつ繰り返していきましょう。
おやつやおもちゃで気をそらす
上の方法を試してみてもなかなか落ち着いてくれないようであれば、一度部屋から出て別の場所で待機します。
数十分後に部屋に戻り、犬が冷静になっているようなら、またなめられる前におもちゃで思いっきり遊んであげましょう。
遊んでほしくてなめている場合は、満足できるまで遊んであげることで顔なめをやめさせることができます。
また、飼い主をなめることで落ち着きを感じている場合は、おやつを手の上に乗せた状態であげてみてください。
たったこれだけのことでしつこい顔なめから解放される可能性もあります。
ただ、顔をなめている最中にいきなりおやつをあげると、「顔をなめればおやつが貰える」と覚えてしまいます。
与える場合は指示を出したり、部屋を出て愛犬が冷静になってからにしましょう。
ストレスを抱えていないか生活を見直す
しつこい顔なめをやめさせることも大切ですが、なめる理由がストレスからくるものなら、まずはそのストレスの原因の排除を優先してみましょう。
上でも少し書きましたが、しつこい場合は何かしらのストレスを感じている場合があります。
飼い主が大袈裟に反応していることが原因でないのでしたら、今の生活環境を一度見直してみることをおすすめします。
愛犬に対して嫌がるようなこと恐怖を与えるようなことをしていないか、また、そのような物がないかを確認してみてください。
自由に行動できなかったり、無理に何かをさせられている場合は、それがストレスになっているかもしれません。
他にも部屋の状態が悪かったり、環境が突然変化した時などもストレスを感じることがあります。
ストレスの原因はいろいろとあるので、犬の行動をよく観察しながら「これが原因かも」と思うものを探してください。
多い原因の1つとして、愛犬とのコミュニケーション時間が極端に短いケースが挙げられます。
心配な時は病院へ
何をやってみても上手くいかない、しつこい顔なめをやめさせることができない時は動物病院に相談するのもおすすめです。
場合によっては病気が原因になっていることもあるため、どうしても心配な時は迷わず頼ってみてください。
もし、
- なめ方がとにかくしつこい
- なめ始めると長時間にわたってなめ続ける
- 回数やしつこさが悪化してきている
犬が人の顔をなめるのは大丈夫?
記事モデル:あかね
犬が顔をなめる、犬に顔をなめられるというのは非常に微笑ましい光景ですよね。
しかし、きちんと対処しないとお互いの健康に影響を及ぼす可能性があります。
そこでここからは、
- 犬になめられることで病気になる可能性がある
- なめられた場合はすぐに洗う
- 化粧した顔を犬がなめるのは大丈夫?
病気になる可能性がある
犬の口内や唾液には様々な菌が存在しています。
その菌の中でも特に注意してほしいのが、人獣共通感染症であるパスツレラ病に感染する恐れのある菌です。
基本的にパスツレラ病は単純に舐められるのではなく、犬に噛まれたり、犬の唾液が口に入ったりすると感染する可能性があるため、口を舐められないように気をつけましょう。
パスツレラ病に感染すると、
- 皮膚化膿症
- 骨髄炎
- 外耳炎
- 呼吸器系疾患
- 髄膜炎
- 敗血症
- 子供
- 高齢者
- 糖尿病患者
イヌは約75%が口腔内常在菌としてこの菌を保有していると言われているため、普段から注意しないといけません。
ただ、犬にとっては愛情表現のひとつとして行っている行為です。
そのため、病気が怖いからと言って拒絶するのは犬を傷付けてしまう可能性があります。
もしなめられそうな時は、顔の前に手を持ってきて顔や口をなめられないようにするなどして対処してみてください。
他にも、「待て」や「おすわり」でなめさせないようにすることもできます。
待てやおすわりはとても便利な指示ですので、早めにしつけて覚えてもらうようにしましょう。
なめられた場合はすぐに洗う
犬に口周辺を舐められた時はすぐに洗うようにしてください。
上で紹介した病気の心配もありますし、犬はいろいろな物をなめたり口にします。
例えば、犬自身の肛門や排泄物といった汚い場所や物です。
そういったものをなめた状態で手をなめられるというのは非常に汚いだけではなく、さまざまな病気の危険もあるため忘れずに洗うようにしてください。
また、来客時は飼い主以外の人をなめることもあるでしょう。
そういった時は上で書いたように待てやおすわりでなめさせないようにするか、なめられたらすぐに洗うようにしてもらうと良いですよ。
犬が化粧した顔をなめるのは大丈夫?
犬が顔以外の場所をなめる理由は?
犬は顔だけではなく他の部分もなめることにも理由があります。
- 手や腕をなめる
- 犬自身の体をなめる
- 床をなめる
- なめる場所から理由を考えてあげることが大切!
手や腕をなめる理由
人の手や腕をなめる理由はいくつかあります。
遊んでほしい
遊ぶ、撫でるといった動作をする時は必ず手を使うため、犬も手は遊んだりしてくれるものとして覚えているようです。
そのため、遊んでほしい、構ってほしいと思っている時は手や腕をなめたり鼻先などでつんつん、と突いてくることもあります。
匂いが気になる
ハンドクリームや食べ物の匂いが手に付いている時はその匂いが気になって嗅いだりなめたりします。
自分以外の動物の匂いがする時も鼻でよく嗅ぎ、なめて確認することもありますね。
ストレスを感じている
犬自身が嫌なことや怖いことをされた、感じた時や不安に思っている時も飼い主の手をなめます。
ストレスを感じている時は、繰り返し何度もなめたり耳が後ろに倒していたりなど、普段とは違うなめ方や状態になるので、注意深く観察してみてくださいね。
他にも、相手にやめてほしいと伝えていたり、怒っている飼い主を落ち着かせようとしている時にもなめてくることがありますよ。
犬自身の体をなめる理由
犬が自分のことをなめる大きな理由は、グルーミングです。
グルーミングとは毛づくろいのことで、汚れやほこりなどをなめて取り、自分自身の体を綺麗にしています。
どの犬でも行うことで基本的には問題のない行動です。
しかし、同じ場所を何度もなめたり、長時間にわたってしつこい程なめ続ける場合は注意してください。
ストレスを感じている可能性もありますし、皮膚の赤みや脱毛が見られる場合は、皮膚に何らかの異常が現れていることも考えられます。
グルーミングの頻度や時間が明らかに普通ではない時は、状況などをよく確認して動物病院で診てもらうようにしましょう。
床をなめる理由
食べ物の匂いや食べこぼしがあると床をなめることがあります。
人間の食べ物はもちろんですが、犬用のおやつがこぼれていたり匂いが残っている時も確認のために行います。
特に問題はないものの、衛生面を考えるとあまり良くない状態ですので、見つけた時はきちんと拭き取るなどして犬がなめないようにしましょう。
基本的には食べ物の匂いなどが消えればなめるのも自然とやめます。
しかし、同じ場所をしつこくなめていたりなかなかやめない場合は、退屈でストレスを感じている可能性があります。
あまり構ってあげていないのであれば、意識して遊ぶ時間を作ってストレスを解消させてあげるようにしましょう。
また、床や物をずっとなめ続けている時は、致死率の高い胃捻転症候群の可能性も考えられます。
床や物をなめる以外にも、下痢や食欲の低下、嘔吐などが見られる場合は念のために動物病院に連れて行くようにしてくださいね。
なめる場所から理由を考えてあげることが大切!
犬がなめる場所によっていろいろな理由があることが分かります。
相手に気持ちを伝えようとしていたり、自分のことを落ち着かせようとしていたり、清潔さを保つためなどその理由はさまざまです。
普段は理由なんて気にしていなかったかもしれませんが、そこには重要な意味が込められている場合もあります。
なめている時の状況やなめる前の様子などを確認しながら、愛犬が伝えたいことを読み取ってあげるようにしてみてくださいね。
言葉が通じない分、行動や仕草がとても大切なコミュニケーションとなるので、無視せずにどんな理由があるのか考えるようにしましょう。
まとめ:犬が顔をなめるのがしつこい場合の対処法
今回は、なぜ犬は人の顔をなめるのか、なめ方がしつこい時の対処法など解説していきました。
いろいろなことを紹介したので、ここで内容をまとめていきましょう。
- 顔をなめるのは相手に気持ちを伝えるため
- しつこい場合はストレスや病気の可能性もある
- やめさせたい場合は大袈裟に反応してはダメ
- 犬だけではなく、生活環境を一度見直すことも大切
- 顔をなめるのは人にも犬にもあまり良くない
- なめられた時はすぐに洗うようにする
- 顔以外の部分をなめるのもワケがある
- なめる場所で何を伝えたいのかを考えてあげよう