犬に牛肉を与える際は、おやつとして少量を与えるか、基本のドッグフードに添えるのがおすすめです。生のまま食べることも可能ですが、細菌による食中毒の危険性があるため、おすすめできません。この記事では、犬に生の牛肉を与えても良いのか解説すると共に、牛肉の与え方や注意点なども紹介します。
この記事の目次
目次を閉じる犬の餌として生の牛肉を与えても大丈夫なのか解説
記事モデル:りこ&にこ
牛肉は家庭の食卓にも馴染みの深い食材です。ステーキや焼肉と食欲をそそる匂いに反応して、愛犬からおねだりをされることもあるでしょう。
犬は本来は肉食動物でしたが、人間と暮らすなかで雑食動物へと変化していきました。では、肉食動物であった犬に生の牛肉を食べさせてもよいのでしょうか。
生の牛肉にはリンやタンパク質、脂質などエネルギーとなる栄養が多く含まれています。このように犬の体にも必須栄養素が豊富な食べ物ですので与えても大丈夫です。しかし、いくつかの注意点もあります。
そこで今回「MOFFME」では
- 生の牛肉を与えてもいい?加熱すればより安全に!
- 牛肉の栄養やメリットは?
- 知って安心!与え方と注意点
- 犬も喜ぶ!牛肉使用の手作りごはんレシピ
を中心に説明していきます。
与え方にもポイントがあります。好きな食べ物を安全に与えるために詳しくご紹介していきますので、ぜひ最後までご覧下さい。
生の牛肉を与えても大丈夫だが加熱したほうが安心できる
生の牛肉を与えても大丈夫ですが、加熱をすることをおすすめします。
腸の長さは大型犬で約3mとなっており動物性たんぱく質を非常に素早く吸収でき生肉の消化吸収を効率よく行うようにできています。
しかし新鮮なものであれば大丈夫ですが、与えるときには牛肉だけに限らず、病原性細菌などにも注意が必要となってきます。
また加熱して与える場合は、肉の表面が殺菌できる焼き方がよいですが、加熱しすぎでビタミンが欠乏し栄養が壊れてしまう場合もでてきます。
犬にとって牛肉はごちそう
基本的に牛肉は加熱したほうが安全
生の牛肉を与えても大丈夫でしたが、感染症の恐れからやはり加熱したものがよいでしょう。
人間の食中毒の原因になるカンピロバクターは、キャンピロバクター症とも呼ばれ細菌性腸炎を引き起こします。
鶏や牛などの家畜の腸に存在する細菌であって生肉に付着しており、レバーの内部にも存在しています。触れたことにより、手や包丁、まな板などから野菜などの食品に菌が付着してしまう場合があります。
発症する主な症状は
- 粘液性・血様性の下痢
- 腹痛
- 嘔吐
- その他消化器症状
- 発熱
- 脱水症状
このような症状は、人間だけに限らず免疫力が低下している老犬や子犬のような抵抗力が低い動物も発症することもあります。
カンピロバクター菌に汚染された水や食品、または感染した動物の排泄物などに接触すると感染してしまいます。
また、腸管出血性大腸菌O157についてはわかっていませんが、やはり肉は加熱したほうが安全でしょう。詳しくはこちらをご覧下さい。
老犬は牛肉を控えたほうがよい
健康な犬には与えることはよいことですが、老犬には控えたほうがよいでしょう。
年を重ねるにつれて、味覚も鈍くなりはじめ、食欲も減っていくこともあります。また体力も落ちてくることから、食べる物によっては消化吸収に負担がかかる場合もでてきます。
今までの運動量よりも少なくなっているので、代謝も低下しており食事量や必要な摂取カロリーも変化しています。
また消化しづらい脂肪が多く含まれており消化不良や、あるいは膵臓の炎症による下痢・嘔吐などを引き起こす場合があります。
さらに歯が弱くなることで、食べ物を噛み砕く力が大きく低下してしまい弾力のある食材は、食道に詰まる可能性もでてきます。
このようなことを考慮して、与えることは控えたほうがよいでしょう。
参考:犬は完全な肉食ではない
野生のオオカミが起源であるといわれていますが、オオカミは狩りで捕らえた大型から小型の哺乳類の生肉や、腐肉・昆虫・植物など幅広い食物を食べています。
ですので、オオカミは雑食する肉食ということになり、犬も肉食寄りの雑食ということになります。
もともと肉食だった動物ではあるため、消化がしやすい食材で基本的には問題ないのですが、現代の食生活は変化してきています。犬は肉食で生肉は安全であるということは極端な意見であるといえます。
また、生肉だけしか与えなければ、ビタミンや鉄分、肉以外の部位から摂取される栄養素が足りなくなってしまいます。そして、これらの部位を摂取するには、購入先が限定されるうえ寄生虫・細菌・腐敗という問題があり難しい現状になっています。
また、穀物に関しては、口内に炭水化物を分解する消化酵素を持っておらず、体は短い腸内でタンパク質を分解・吸収しようとして栄養の吸収率も低く体に負担をかけることになってしまいます。
効率のよい栄養摂取を求めるのであれば、生肉とほぼ同じ栄養成分・水分含有量・必須栄養素を均整に配合されているこちらのドッグフードをご覧下さい。
参考:人獣共通感染症に注意
人獣共通感染症はペットから人間へと伝染る病気のことをいいます。先に説明しましたカンピロバクター菌も含まれています。
少量でも感染してしまう恐れがあり、体内に菌が入ると2日~7日くらいで発熱や腹痛・吐く・下痢などの症状が現れる場合があります。
主な病原菌
- カンピロバクター菌
- 腸管出血性大腸菌O157
- 腸管出血性大腸菌O111など
それでは、どのようなときに感染してしまうのでしょうか。
- 食べ物などの口移し
- 食べ物を扱うところにペットを近づけた場合
- 就寝中の添い寝による接触など
また、生肉を食べてカンピロバクターに感染した場合飼い主にも感染する可能性もあり注意が必要です。
感染の可能性のある糞便も使い捨ての手袋を使うなどして速やかに片付け、手の消毒は入念に行うようにしましょう。
もしも感染した場合には、自然に治癒することもありますが、下痢や嘔吐を伴う脱水症状がみられる場合は点滴静注にて体内の水分を補います。病院にて抗菌薬などの処方を受けましょう。
牛肉の栄養やメリットを紹介
それでは栄養素やメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。
バランスがよくアミノ酸を摂取するのに適した食材です。また免疫力の強化や肥満を抑制したりする作用もあります。
また天然のミネラルを多く含む食物の一つでもあります。
ここからは
- 体を作るタンパク質は大切な栄養素
- 重要なエネルギー源である脂質摂取は必要
- 代謝を助けるミネラルは体の調子も整える
をご紹介します。
注目されるたくさんのメリットをチェックしていきましょう。
タンパク質:犬の体を作る最も大切な栄養
豊富な栄養素の一つに健康維持にも役立つタンパク質があります。
動物の体の構成している成分は約70%を占めている水分が最も多く、次に約20%を占めるのがタンパク質です。
このタンパク質は、筋肉や骨、血液など体内でほとんどの部位に関与している重要な成分です。個々のはタンパク質はそれぞれに小さな物質が50個以上結び合って、多様な形態をとりながら存在しています。この小さな物質をアミノ酸と呼んでいます。
アミノ酸は吸収されると肝臓へ運ばれ、エネルギー源になったり、体の一部に合成されたりします。
タンパク質の効能は
- 筋肉の成長を助ける
- 成長期の骨や筋肉の成長に役立つ
- 皮膚や被毛の維持を保つケラチンの合成をする
脂質:重要なエネルギー源
良質な脂質を適量、摂取することでも重要なエネルギー源となります。
脂質である必須脂肪酸は、体の中でつくることができない細胞膜やホルモンを作る上でなくてはならない栄養素です。
脂質の効能は
- 生命維持や活動する上で必要なエネルギー源
- タンパク質や糖質の2倍以上のエネルギー供給
それでは、脂肪が足りなくなるとどうなるのでしょうか。
脂質の不足は
- 皮膚の乾燥
- かゆみ
- 輝きのない被毛
このように、体内だけでなく体の外側である皮膚や毛並みにも影響が出てくる場合があります。
ミネラル:代謝を助けて体の調子を整える
たんぱく質・炭水化物・脂質の3大栄養素の機能をサポートするミネラルは、体調を整えて骨や歯など組織構成をする成長に欠かせない働きをしてくれます。
また、動物の体内には自然界にある全てのミネラルが存在しておりカルシウムやリンなど比較的多く存在している主要ミネラルと亜鉛や鉄などのような微量ミネラルとがあります。
ミネラルの効能は
- 抗酸化作用
- 余分な成分の排出
- 神経の伝達効果に作用
- 細胞の働きを円滑にする
など、体の臓器や組織をスムーズに働かせるために必要な成分です。
また鉄分は、生存いくうえで必須な金属ミネラル成分で地球上の生物すべてが持っています。また犬の体内にある鉄分の多くはタンパク質と結合、存在をしています。
亜鉛は細胞の接着剤の役割を果たします。体内に入った食物から犬自身の体のタンパク質やDNAが合成される場合に作用して、皮膚から内臓・粘膜・被毛のすべての細胞がきちんと作られ機能するために必要です。
また、体内で抗体の生産を活性化させ免疫機能を向上させるという健康のための重要な役割を果たします。
牛肉の与え方と注意点
それでは、安心して与えるにはどのように調理したらよいのでしょうか。また注意する点とはどのようなことなのでしょう。
ここからは
- 焼くよりも茹でる・蒸した方がいい?
- 一切不要、味足しはいらない
- 消化不良(下痢や嘔吐など)を引き起こす脂身の食べ過ぎ
- 注意が必要!食物アレルギー
- 参考:部位はどこが好き?骨付き肉と脂身には注意!
をさらに詳しく説明していきます。人には香辛料の効いた肉は美味しくて食べやすいですが、犬には与えてはいけない食材です。注意点もチェックをしていきましょう。
焼くよりも茹でる・蒸すほうがおすすめ
人間は普段、焼いて調理する焼き肉やBBQなどで食べることが多いようですが、肉類は調理方法により含まれる栄養成分量が大きく変わってきます。
こちらは脂身が一番少ないとされるモモ肉の比較です。
焼もも肉 | 茹でもも肉 | |
---|---|---|
エネルギー | 264cal | 375cal |
たんぱく質 | 10.8g | 25.7g |
脂質 | 19.9g | 28.2g |
(出典:食品成分データベース)
このように、焼くよりも茹でた方が含まれる栄養は失われていません。また、たんぱく質の量を多く残すことができるのも茹でた場合になります。
焼く場合は、なるべく油を使わずに火を通して与えてあげましょう。また焼くことにより焦げがついてしまい有害物質となる場合があります。
もっともおすすめの与え方は茹でたり、蒸したりすることです。また、味付けはせずにしっかりと冷まし食べやすい大きさに切り分けて与えるようにしましょう。
味付けは一切不要
スーパーマーケットで販売されている香辛料の効いた肉には、ソース・塩や砂糖などの調味料で味付けされています。味付けされたものを与えることは避けた方がよいでしょう。
嗅覚が優れているので、匂いだけでも素材の美味しさを感じることができます。また喉越しや食感なども感じる傾向もあり、食べる食材によっては好き嫌いはでてきますが、味付けは必要ないものとなります。
味付けの食材の多くは、たくさんの砂糖が加えられているほか、口にしてはいけないニンニク・玉ねぎ・ナツメグなどが使用される場合があります。
もしも味付けされたものを食べしまった場合は、かかりつけの獣医師に早急に相談しましょう。その際には、何を・どのように・どのくらいの量食べたかを伝えましょう。
数時間後には中毒症状が現れる場合もあり危険です。その後の様子をよく観察する必要があります。
脂身の食べ過ぎは消化不良(下痢や嘔吐など)の元
脂身の食べ過ぎには注意が必要です。脂身の固まりを目を離した隙に急激にたくさんの量の食べたしまったなどの場合、以下の症状が伴うことがあります。
- 下痢
- 嘔吐
- 急性膵炎
急性膵炎に関しては、シュナウザーやシェットランド・シープドッグが症状を起こしやすい場合が多いため特に注意をしましょう。
また骨付き肉には注意が必要です。骨を噛むことが大好きな動物ですが与えることは100%安心とはいえないでしょう。
スペアリブなどの肉は、噛んでいると軟骨が外れて食道と胃の間の噴門に詰まる場合があります。
また削れた骨などを飲み込んでしまうと体内を傷つけてしまうため、場合によっては緊急開腹手術などが必要になることもあります。
食物アレルギーに注意
アレルギーのなかで牛肉は多くの報告が挙げられている食べ物の一つとなります。
主なアレルギーの症状としては
- かゆみ
- 発疹
- 脱毛
- 下痢
- 嘔吐
- 目の充血
また顔・耳の内側や目のまわり、口まわり、股の内皮膚などが赤みを帯びている・足の裏・指の間などを舐めたり噛んだりしているなどの様子の変化もみられます。
アレルギーを持っていない場合でも、初めて与える際はよく様子を見ながら少量から食べさせましょう。1度食べて大丈夫だったとしても、2度目、3度目に発症する場合があります。
万が一アレルギーのような症状がみられたら、獣医師に相談しましょう。診てもらう際には、詳細がわかると判断がしやすくなります。
- いつ
- どの部位の肉を
- どのように
- どのくらい
- その他に一緒に食べた食材はなにか
などを伝えるとよいでしょう。
参考:犬が好きな牛肉の部位は?骨付き肉と脂身には注意!
たんぱく質が豊富で脂質が少ない牛ロースや牛モモなどの部位がおすすめですが、脂が乗っている部位のバラやサーロインなどを好むことが多いようです。
部位別での和牛100gあたりの脂質量
- バラ 50.8g
- サーロイン 47.5g
- ロース 37.4g
- モモ 18.7g
(参照:日本食品標準成分表)
このように好きな部位は脂質の多いものになります。繰り返しになりますが、脂身の与え過ぎは肥満の原因にもつながるので与える量・頻度には十分に気をつけましょう。
また、骨付き肉などは与えるのを避けたほうがよいでしょう。調理により加熱された骨は脆くなっています。
食べている際、削れた骨を飲み込んで内臓を傷つけてしまったり消化することができなかったり、腸に詰まって腸閉塞を起こす可能性もでてきます。また喉に詰まって窒息死してしまう場合もあります。
牛肉を使った手作りごはんのレシピを紹介
大好きな牛肉を使ったレシピで、愛犬も喜ぶ手作りご飯を作ってあげましょう。簡単で美味しい我が家のおすすめメニューにいかがでしょうか。
塩気無しカリカリのビーフジャーキーと肉のうまみを楽しめるロールキャベツです。
- オーブンで作るビーフジャーキー
- 玉ねぎを使わないロールキャベツ
こちらの2品をご紹介します。
最近忙しくて一緒の時間を過ごせなかったなど、愛情たっぷりの手作りごはんを一緒に楽しむことでスキンシップにもつながります。
オーブンで作る犬用ビーフジャーキー
【材料】
- 牛肉600g
【作り方】
- 牛肉のかたまりを5ミリぐらいの厚さに切る。
- オーブンのトレーにクッキングシートを敷きその上に並べる。
- 180度のオーブンで30分ぐらい焼き少しだけ焦げ目をつける。
- 一旦出してトレーにたまった油を捨て150度に下げ、再び30分焼く。
- クッキングペーパーを敷いたザルの上で冷ます。
玉ねぎを使わない犬用ロールキャベツ
【材料】(4個分)
- 牛ひき肉50g
- 人参みじん切り4/1本分
- しいたけみじん切り2/1枚分
- セロリみじん切り適量
- キャベツの葉2枚
- 玉子適量
- 生クリーム適量
- オリーブオイル適量
- ボウルにひき肉と野菜類を入れ生クリーム・玉子・オリーブオイルを加えてよく混ぜ合わせる。
- キャベツの葉は人用と同じようにゆで葉脈の固い部分を切り落とし縦2等分にする。
- 1を4等分にし2で巻いて小さなロールキャベツを4個作り巻き終わりを楊枝で止める。
- 小鍋にセロリの葉・人参の皮・キャベツの切り取った葉脈部分を敷いて3を乗せる。
- 水を注いでその上にセロリの葉をかぶせて煮込む。
ポイントは、セロリの葉を取り除き冷ましてから崩してフードに乗せます。また味付けが必要ないので、新鮮なものを選び素材の味を生かしましょう。巻き終わりに使った楊枝は食べる前に必ず外しましょう。
犬に生のままの牛肉を与えても大丈夫?のまとめ
いかがでしたか。犬に生のままの牛肉を与えても大丈夫でしたが、与える際のメリットやデメリットもあることが分かりました。
そして、犬の健康維持にとって必要な食べ物でもあり、おやつとして少量を与えるか、または基本のドッグフードに添えるのがおすすめです。
この記事のポイントは
- 肉食寄りの雑食で生の牛肉を与えても大丈夫である
- 基本的には加熱したほうが安全に与えられる
- 牛肉の栄養素による多くのメリットがある
- 調理別の与え方と味付けや部位などの注意点
- 牛肉使用の簡単手作りレシピで愛情ご飯
でした。
また与える際には食事・おやつのトッピング・間食など合わせて全体の20%を上限としたほうがよいでしょう。また仔犬や初めて与える際には十分な注意が必要となります。
飼い主だけが愛犬の健康を守ってあげることができます。共に長く楽しい毎日を送るためにも、しっかりと様子を観察し健康管理をおこなっていきましょう。
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