【獣医師監修】犬もうつ病になるの?原因や症状、改善方法や治療手段など詳しく紹介のサムネイル画像

犬もうつ病など、心の病気になってしまうことがあります。しかし犬は人間と違い、言葉を話すことができません。したがって明確に診断できるわけではない点に注意が必要です。この記事では、犬がうつ病になってしまう原因や症状を説明すると共に、具体的な改善方法や治療手段について解説します。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬もうつ病になるのか解説

ペットを飼っているご家庭では、愛犬が元気に玄関まで出迎えてくれると嬉しいものです。また、ペットがいない方でも動物カフェなどで触れ合いと癒しの時間を楽しむこともあるかもしれません。


繊細で感受性豊か、また人間と同じようにストレスを感じることもある動物です。そして継続的に、何かしらのストレスがかかっていた場合にはこころの病気になることがあります。


最近ずっと体を舐め続けていたり、呼びかけても反応が薄かったりなど、今までにない様子の変化はないでしょうか?


今回「MOFFME」では

  • うつ病などの精神疾患を発症する?
  • 発症の原因とはどんなこと?
  • 知って安心!うつ病になった場合の改善方法
  • うつ病が改善しない場合はどうする?

を説明していきます。


現在は多くが、室内にて家族とともに暮らすようになったペットですが、動物本来の行動をとることが難しくなっている状況も、ストレスを増やしてしまう一因かもしれません。


愛犬をうつ病にしないために、さまざまストレス対策や改善策などについて詳しくご紹介していきます。ぜひ最後までご覧下さい。


また、MOFFMEではペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

犬もうつ病などの精神疾患になることがある


現代病でもあり、ストレスによる心の病気のひとつであるうつ病は、人間だけの病気ではありません。犬も精神疾患になる場合があります。


精神疾患とは、脳の働きの変化により行動・感情などに偏りがみられる状態のことをいいます。症状としては、うつ病や不安障害・摂食障害・統合失調症、または中毒性行動などさまざまな症状や状態が起こりえます。

犬のうつ病が増えている

動物の中でも賢く、それゆえにストレスが余計にかかったり、心が傷ついたりと精神的な病気を発症してしまい、その数は近年増えているようです。

心のバランスを崩したときになってしまう病気ですが、人間の場合は病院にて診療を受けたり、家でゆっくり療養したり、または身近な人に悩みを聞いてもらうなど、さまざまな対策ができます。

しかし動物の悩みは聞いてあげることはできませんので、飼い主などが毎日の生活の様子から体調の変化などを気付いてあげることが、とても大切になります。

撫でられることが好き、またはおすわりは家の中だけでなく外でもできるなど、飼い主による思い込みにても、心に負担をかけている場合があります。

このように何かしらの理由でストレスが増え、発症へと繋がっているといえるでしょう。

はっきりとした診断は不可能

心の病はとても複雑です。医者が患者さんをうつ病と診断するためには、その患者さんがどのようなときに気分が落ち込むのか、頻度はどのくらいなのかなど問診にて心の状況をきちんと把握したうえ病状を判断します。


しかし、動物とは会話ができないので理解したくてもできません


ただし、次に挙げるような心の病にかかることが分かっており、これらに加えてうつ病になる可能性は十分にあるようです。


分離不安症

  • 飼い主と離れて一人になることで不安になり、留守番中に吠え続けたり不適切な場所で排泄する、または家のなかの物を壊したりするなどの行動
  • 飼い主がお風呂に入る程度のレベルであっても、強い不安を感じてしまうことがある場合

常同障害

  • 長い時間の孤独やストレスにより、意味のない同じ行動をひたすら続けたり、繰り返してしまう行動
  • 体の一部である足先や脇腹などを舐め続ける・尾を追いかけてクルクル回る・同じ場所を歩き回るといった行動をとる・自分の身体を傷つけてしまう行為

このように精神疾患は複雑で、うつ症状や問題行動が現れているのは分離不安や常同障害が原因の可能性もあります。

原因や症状はさまざま

動物の鬱は、その原因や症状もさまざまです。

いずれにしても、長期にわたるストレスや強い不安、あるいは恐怖などが発症の原因となることが人間でも犬でも一緒であると言えます。

また、その症状はうろうろする・食欲がなくなる・元気がなくなるなどの行動の変化や過剰な抜け毛・立っていても座っていても頭を上げている・しっぽや耳が垂れるといったボディーランゲージが変化してきます。

このような場合、飼い主が早く気付いてあげることが重要です。そうすることで心の健康を取り戻す対策や治療がおこなえます。

参考:犬もうつ病で死んでしまうことがあるの?


自分の意思で積極的に自死を選んでしまう人間のような行動は起こしませんが、餌を食べず、水も飲まないマイナス感情による自殺は起こってしまう場合はあります。


これは南米コロンビアであった自死の事例です。


空港に置き去りにされたある犬の悲劇と題され、コロンビアのパロネグロ空港に飼い主に置き去りにされた推定2才のメス犬、浮き雲(名前)が一カ月も飼い主を探し回ったにも関わらず死んでしまったという内容です。


浮き雲は、空港内の多くの人混みのなかで匂いを嗅ぎ分け、飼い主を探し続けましたが、ついには建物の片隅みにうずくまります。空港の職員、旅行者がエサや水を与えたにもかかわらず、飼い主に会えないという絶望がそれらをすべで拒否させてしまいました。


通報により動物保護シェルターのスタッフの懸命な点滴治療も及ばず、この世を去ってしまいました。獣医師によると死因はうつ病(心の病気)だったということです。


残念ながら、このようにうつ病で死んでしまうケースも起こりえます。

犬のうつ病の原因とは?

健康な状態である場合、理由もなく発症することはほとんどなく心に影響を与えるようなことや生活の変化によることが多くの要因となってきます。


またそのような場合、接し方によっては悪化をさせてしまう場合もあります。


それでは、ストレスサインに早めに気づいて、早期に対処をしてあげるにはどうしたらよいのでしょうか。


ここからは、いくつかの要因を例にとってご紹介します。

  1. コミニュケーション不足
  2. 運動不足
  3. 環境変化
  4. 飼い主との関係

どのような状況でストレスがかかってしまうのか、チェックして参考にしてください。

原因①:コミュニケーション不足

まずは、飼い主とのコミュニケーション不足があります。一緒に楽しく過ごす時間は、とても大切なものです。


日々の生活のなかでは、家事や育児、または仕事に出勤するなど忙しく、あまりかまってあげられないこともあるでしょう。


このようなとき、コミュニケーションの不足による寂しさが大きなストレスとなり、発症へと繋がってしまう場合もあります。


そこで

  • 好きな遊びをする
  • 体を撫でてあげる

などのことを行ってみましょう。


そして留守番中も不安や寂しさ孤独感を感じさせる場合があります。少しでも、このような心を和らげてあげるには、どのようなことをしてあげるとよいのでしょうか。

  • テレビやラジオをつけておく
  • 音楽を流しておく
  • 知育おもちゃを与える

夜間の留守番は、室内が暗くなってしまうので照明がつくようにタイマーをセットをしたりするとよいでしょう。


また、どうしても時間の都合がとれない場合は、名前を呼んで笑顔で話しかけてあげるなど、多く声かけすることで不安を軽減させることができるでしょう。

原因②:運動不足

人間のうつ病と同じように、運動不足も原因の一つになる場合もあります。


運動は不安や落ち込んだ気持ちを改善しストレスホルモンを正常に戻すことが、多くの研究で分かっています。犬は運動をすることが大好きな動物です。このようなことから散歩や遊ぶことはとても大切な時間となります。


飼い主と遊ぶ時間が少なかったり、散歩の時間が短いなど運動不足がストレスの原因になる場合もあります。このようなときは散歩の他に、ドッグランなど広い場所で走らせるなど体力を思いきり使える時間をつくってあげるとよいでしょう。


また、体力が落ちているシニア犬や、すでに症状が見受けられる場合には、軽い運動でも効果が得られるでしょう。

原因③:環境の変化


運動と同じく、環境の変化によって落ち着かずストレスを感じやすくなってしまいます。

しかし環境の変化といってもさまざまですが、どのようなことが繋がってしまうのでしょうか。

【引っ越し
  • ハウスやトイレの場所が変わったりするなど、違う環境に不安を感じます。今まで愛用していたベッドやタオルなどを捨てずに持っていくと安心できることが多いようです。
【家族構成が変わる
  • 結婚や出産などで家族が増えた場合、新しい生活により家族などとふれあう時間を持てなくなったりすることで、元気がなくなってしまうことがあります。また進学や転勤などで、懐いていた人がいなくなるなど寂しさによって食欲不振になる場合もあります。
【同居犬が増える
  • 新しい仲間が増えたことで喜んで興奮しすぎたり、逆に不安定になってしまうこともあるようです。犬同士の存在がストレスにならないように、接するときは同じようにふれあってあげましょう。

原因④:飼い主との関係

飼い主の愛情表現は、なくてはならない大切ものとなります。愛情などが不足した場合も不安によるストレスを感じてしまいます。


飼い主とのよい関係を築いていれば、ストレスも軽減されます。


また次のように

  • 今まで受けていた愛情を受けられなくなってしまったとき
  • 家族間の関係の変化を敏感に感じとりストレスに感じてしまうとき
  • 飼い主の対応がその都度に違い一貫していないとき
  • 怖がらせて罰などを与えてしまうとき

このような場合もあります。


悪いことをしたときには適切なタイミングと適切な強さで罰を与えなければ怖いというストレスを与えるだけになってしまいます。


そして自分の不満を向けたりすることは、信頼関係が大きく壊れていく可能性があります。愛情もしつけも常に変わらない接し方で心に不安を持たせないようにしてあげましょう。

犬がうつ病になった場合の改善方法

それでは、もしもうつ病になってしまった場合、正しい治し方はあるのでしょうか。また、どのようなことを行ってあげれば改善につながるのでしょう。

そこでここからは
  1. まずは身体的な病気などではないことの確認
  2. 今までの生活の中から問題点を探る
  3. 一緒の時間にスキンシップ
  4. 不安やストレスをなくすには?
改善方法をご紹介します。

また、本当に発症しているのか飼い主が見分けることは、なかなか難しいこととなります。

そこで、この病気を見分けるなど獣医がどんな質問にもネットで相談、回答してもらえる犬うつ病こちらも合わせてご活用ください。

まずは身体的な不調ではないことを確認をする

うつ病は心因的な疾患ですが、心ではなく身体的な病気が原因でいつもと違う行動がみられたり、元気をなくしたりしている場合もあります。


また、心の病気も体の病気も同じような症状がみられることも多く、飼い主が正しく見分けることは難しいでしょう。


それでは、身体的な病気が原因で現れる一例では

  • 普段と違う胃腸の症状
  • 空気を食べるようなしぐさ
  • 多食や過食
  • 食欲不振や絶食
  • 過度の体を舐めるしぐさ

このようなとき、精神障害を原因にするものではない場合があり、身体的な病気などを引き起こしている可能性もあるようです。


消化器疾患感染症代謝性疾患などさまざまな病気によってもいつもと違う行動は挙げられています。また、研究結果では過度の体を舐める行動がみられた場合、胃腸障害を起こしていたとの例もあります。


このような症状がみられる場合には、まず獣医師に診察してもらうことをおすすめします

改善方法①:自分や犬の生活を振り返って問題点を探る

このように、はっきりした判断ができない病気なだけにその違いを見分けることは容易ではないでしょう。


しかし、飼い主と犬との日々の生活を振り返ってみると、何がきっかけであったのか問題点を探ることはできます。


先に説明させていただいた、愛情を受けられなくなってしまった、家族間の関係によるストレスや過度なしつけなどの他にも、さまざまな要因が考えられるでしょう。


そして、嫌がっているサインを見逃してしまっていたなどのことも一因である場合があり、ストレスサインといわれている、暴れる逃げようとする震えるなどの行動や歯を剥き出すなどの攻撃的なしぐさなどがあったかもしれません。


ある程度の原因を絞り込こむことで、改善にむけて効果的な対応ができることにつながります。

改善方法②:犬と過ごす時間を増やす

大好きな飼い主と一緒に過ごす時間を増やすことは、気持ちを元気にするだけではなく、体の免疫システムも活発になります。


そして体を動かすことは、リンパ系の活動的な働きによりバクテリアを殺す作用が促されます。しかし、動かさなければ休眠状態のままになってしまいます。


散歩以外にも

  • ドライブ
  • ドックラン
  • 犬同士遊ばせる
  • 好みのおもちゃを与える
  • マッサージで体をほぐしてあげる

このように、本能を刺激して体を動かす遊びでのストレス発散や、スキンシップによる愛情を受けることで心のバランスも整ってきます。


また忙しい日々のなか、思うように時間を作れない場合でも、優しく声をかけながら体を撫でてあげるなどのことでも満足感を得ることができるでしょう。

改善方法③:犬の不安やストレスを取り除く


不安やストレスの原因が思い当たった場合、そのことを取り除いてあげることが必要となってきます。

また、次のようなことも挙げられます。

【飼育環境がストレスの場合】
  • 照明の明るさ
  • 過度な芳香剤の利用
  • 嫌がる素振りをみせる音楽再生
  • 室内の暑さ・寒さの温度の変化
【食事環境がストレスの場合】
  • 十分に与えている思っていても満たされていない場合もあります。
このように原因となる例を挙げればさまざまですが、日々の反応や様子を見ながら不安やストレスの要因を解消してあげましょう。

また、ストレス解消グッズであるおもちゃや動物用のガムなどで、イライラや不安な気持ちを紛らわせるなどの対処法もあります。

犬のうつ病が改善しない場合

さまざまな改善策をおこなったにも関わらず、よい状況に向かわなかった場合はどうしたらよいのでしょうか。


心の病は動物行動診療の認定医が在籍する動物病院や、獣医動物行動診療科を設置する動物病院にて治療を行うことができます。


行動診療科とは、今までの行動に伴う相談を受け、行動の種類の多岐にわたる獣医学的な面も考慮しながら治療を行っていきます。


しかし、このような認定医は極めて少なく気軽に受診できない場合が多いようです。また、心の病気を診察してくれる動物病院もありますがこちらも少ないのが現状です。

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治療の一環としては薬物療法で薬が投与される場合があり、主に抗うつ剤や抗不安薬、抗不安作用のあるサプリメントなどが使われることが多いです。


このように、不安を和らげることや気持ちを落ち着かせてあげる、そしてまた元気を取り戻す改善策として動物行動診療科での受診をおすすめします

参考:ペット保険を利用できるか確認しておこう

精神疾患で動物病院に通院した場合、ペット保険は利用できるのでしょうか。


また診療費は大きな金額になりやすいため、どこまで補償してくれるのかなど知っておきたいところです。


保険会社によって適用される条件が異なる場合が多く、事前によく確認することを勧めします。


損害保険会社の一例を挙げてみると

  • 保険の対象は薬を処方された場合・薬の処方を伴うカウンセリングの場合

  • 保険の対象外はカウンセリングのみで薬が処方されなかった場合

このように治療や診察内容によって異なっています


心の病気だと思ったら実は体の病気が原因だった、ということもあるので、もしものときの診療費に備えるならば、ペット保険の加入をおすすめします。

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犬のうつ病についてのまとめ

ここまでに犬のうつ病について、解説してきましたがいかがだったでしょうか。


発症までに至るには、たった1つのきっかけで起こりうることはあまり考えられず複数の原因が重なったとき病気という形で現れてきます。


大切なのは、日々の生活のなかでストレスや不安となることを飼い主が取り除いてあげることが最も必要となってきます。


この記事のポイントは

  • 犬も精神疾患を発症する可能性は多いにある
  • 環境や飼い主とのかかわりの変化などが原因になることが多い
  • 症状の改善には、ストレスや不安の原因を取り除くことが大切
  • 改善しない場合は動物病院にて受診をする

でした。


どんな行動をして、どんな表情でいるかをよく見るというだけでも、いつもと違うというメッセージを受け取りやすくなります。


そして1日の終わりなどに少しだけ時間を作って、毎日の習慣としてスキンシップをとることでも病気を未然に防ぐことにつながっていきます。


共に長く楽しい時間を過ごしていくためにも、日々の健康管理を行っていきましょう。


MOFFMEでは、この他にもペットやペット保険に関する記事を多数掲載していますので、ぜひご覧下さい。