
ももは犬でも食べられる果物です。暑い夏の水分補給や、便秘の予防・解消などに効果があります。ただし種などに含まれる毒性や、誤飲、アレルギー症状などには十分な注意が必要です。この記事では、犬にももをあげても大丈夫か、注意点、種を誤飲してしまった場合の対処法などを解説します。
この記事の目次
目次を閉じる犬はももを食べても大丈夫なのか解説
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人がももを食べていると甘い香りに誘われて、欲しがる犬もいるでしょう。欲しがっているからあげてみたいと思うのは当然のことです。
しかしももは犬に与えてもよい果物なのかな?と疑問に思いますよね。ぶどうは犬には与えてはいけない果物ですが、ももはどうなのでしょう?
今回は以下の点を解説していきます。
- 犬にももを食べさせても大丈夫なのか
- ももは犬の体にとっていい食べ物?
- ももを犬が食べる時の注意点
- もし種を誤飲してしまった時どうする?
美味しそうに喜んで食べる愛犬の様子は、とてもかわいらしく飼い主にとって癒やされる時間です。
しかし、ももを与える時には気をつけなければならないこともあります。
注意不足で、後で愛犬が苦しむことになったら大変です。
愛犬にももをあげてみようかな、と思う人はぜひこの記事を読んでからあげて下さい。
ももは犬が食べても大丈夫な果物
ももは、果肉部分を食べる分には犬にとって無害です。
体の調子を整える栄養素がたくさん含まれているので、適量であれば愛犬が健康で過ごすために与えてもよい果物でしょう。
ただ体にいい作用があるももでも、気が付かないうちにたくさん食べてしまってた!となると話は別です。
食べ過ぎは色々なリスクを招きます。
ここでは、ももの特徴と、食べすぎによる危険についてご紹介していきます。
ももは水分や食物繊維が豊富な果物
ももをかじるとたくさんの水分が出てきますね。
ももは88%が水分でできており、非常に保水量が高く柔らかい果物です。
7月~8月が最も店頭に並ぶ時期ですので、夏の水分補給をサポートしてくれる心強い果物といえるでしょう。
水を好んで飲まない犬にとっては、熱中症対策にもなります。
また、水分の他にも食物繊維が多いのが特徴で、体内の腸内環境を整え、硬い便を排出しやすくしてくれる作用があります。
愛犬の便秘改善に一役買ってくれるかもしれませんね。
食べ過ぎると下痢になることも
上記で説明したとおり、水分や食物繊維が多いことから、ももには腸へ働きかける成分が豊富に含まれています。
しかし、食べすぎてしまうと逆効果です。
尿の回数が増えすぎたり、胃腸へ負担がかかると軟便や下痢を招いてしまう可能性があります。
お腹が弱い体質の子には慎重に与えるほうが良いでしょう。
特に冷えたももを与えると、お腹を冷やしてしまい、さらに下痢などを起こしやすくなります。
しばらく常温でおいたあと冷たすぎないももを与えるようにして下さい。
また、子犬のうちはまだ内臓機能が弱いため下痢症状やアレルギー症状を起こしやすくなるため無理に与える必要はないでしょう。
参考:桃には毒があるって本当?
完熟の果肉を適量食べる分には害はありません。
ただももの未熟な果肉や、種には、アミグダリンという天然の有害物質(シアン化合物)が多く含まれると言われています。
シアン化合物を犬や猫のような動物が食べると体内で分解するとき青酸ガスが発生し、中毒症状(痙攣、呼吸困難、嘔吐、腹痛)などを起こします。
非常に危険な毒であるため、庭でももを育てている場合や、ももを食べた後の種を放置したりしないよう注意が必要です。
また、ももには代謝を整え血圧を保つカリウムという成分も豊富です。
あとにも説明しますが、カリウムの摂取量が多いと血中のカリウム濃度が上がり、腎臓や心臓機能が低下する高カリウム血症になる可能性があります。
不整脈などを起こすこともあり、最悪死に至ることもあるのでカリウムのとりすぎには注意が必要です。
このようなリスクを踏まえて、きちんと飼い主が与える量を管理しなければなりません。
犬に良い影響を与えるももの栄養
果物は人間にとって、体の調子を整えるのに有効な食べ物ですが、犬がももを食べることによって、どんなメリットがあるのでしょうか。
犬の体に良い影響を期待できるももの成分をご紹介します。
- 食物繊維:便秘の予防や改善などの効果
- ビタミン類:疲労回復や抗酸化作用など
- カリウム:余計な塩分を排出する
食物繊維:便秘の予防や改善などの効果
文部科学省の食品データベースでは、ももの食物繊維は100g中1.3gです。
食物繊維が豊富と知られるバナナ100g中の食物繊維量は1.1gのため、同量を食べるならもものほうが食物繊維が多いことが分かります。
犬の消化器官は人間と異なり、消化しやすい食物繊維と消化しにくい食物繊維がありますが、ももの食物繊維は、犬が消化しやすい水溶性食物繊維「ペクチン」が主体です。
そのため犬の体に負担を掛けることもなく、発酵され善玉菌が増える作用もあることから、腸を機能を整えるのに期待できると言われています。
便が出にくいワンちゃんにはおやつに、ももをあげてみても良いかもしれませんね。
ビタミン類:疲労回復や抗酸化作用など
食品データベス上で、ももの可食部100gのビタミン含有量はビタミンC8gとビタミンE0.7gです。
ビタミンCは、病気などに対する免疫機能を高める効果があります。
歯茎や皮膚・関節を健康に保つコラーゲンの生成を行ったり、抗ストレス作用もあります。
犬は体内でビタミンCを合成しますが必要な量を生成するのは難しいと言われています。
また合成力は年々低下するため、食べ物からも取り入れておきたい栄養です。
ビタミンEは細胞の酸化を防止する作用が高く、ガンの予防や老化防止にも役立ちます。
激しく運動した時の疲労回復にも有効的な成分と言われています。
カリウム:余計な塩分を排出する
カリウムは体内を正常に機能させるために不可欠なミネラルで、多くの野菜や果物に含まれる成分です。
塩分を多く摂りすぎた時には塩分の排出を助ける機能があり、神経や筋肉を円滑に動かす働きもあります。特に夏は汗で排出されるので、水分とともに補給したい成分です。
バナナやメロンもカリウム量が多い果物ですが、桃も100g中180mg含まれておりカリウムが比較的多い果物です。
ただし、カリウムの過剰摂取は高カリウム血症を患う可能性があります。
症状としてはしびれや筋力低下や嘔吐を起こし、重篤な状態となると血圧を正常に保てなくなり、心臓が正常に機能しなくなります。
健康な犬が適量を摂る分には問題ありませんが、腎不全を起こしたことがある犬や、心臓等内臓機能が低下している犬には与えないほうが良いでしょう。
犬にももを与える際の注意点
犬に体のよい成分が多く含まれるももであっても、与え方を間違えると危険です。
桃を与えるときには以下の点に注意する必要があります。
- 皮や種の扱い
- 与える量と大きさ
- バラ科アレルギー
- 缶詰やゼリーなどの加工品
注意点①:皮や種の扱い(誤飲に注意)
ももを与えるときに最も気をつけたいのが種です。
種には前述したとおりアミグダリンが含まれており、種を噛み砕くことで青酸ガスが発生し中毒症状を起こします。
また、種を誤飲してしまうと、喉に詰まる可能性だけでなく、固く尖った形状から胃腸を傷つける恐れや、腸につまり腸閉塞になる場合もあるので非常に危険です。
腸管に詰まると開腹手術が必要になってしまいます。
種は、飲み込んでも噛み砕いても危険ですので、必ず取り除いて下さい。
また皮も少量とはいえ果肉よりアミグダリンが含まれ、農薬が付着している場合もあり、消化にも悪いので与えてはいけません。
与えるつもりがなくても、ゴミ箱をあさって食べてしまったりすると危険なので、処分するときも十分に注意して下さい。
もしももの種を食べているのに気づいたとき、急いで取り上げようとするとその拍子に飲み込ことがあるので、他に好きなものを見せるなどして、気をそらしてから取り上げるようにして下さい。
注意点②:与える量と大きさ
犬の食事の栄養はドッグフードで摂ることが基本です。
ももを食事として与えるのは栄養が偏りますので、おやつとして与えて下さい。
食べさせる時には、葉・種・皮は取り除き、果肉のみを喉に詰まらないよう小さくカットしましょう。
犬の年齢・体質にもより異なりますが、与える量は2キロくらいの犬で10g、10キロ位で20gくらいにしましょう。
10gは、もも約10分の1個程度、人間の1口分くらいです。
30キロを超える中・大型犬であれば1個分の果肉を食べても問題はありませんが、ももは糖質の高い食べ物で、肥満や糖尿病のリスクも高まることから1/2個くらいにとどめておくようにしましょう。
注意点③:バラ科アレルギー(食物アレルギー)
最近は、人間だけでなくアレルギーを持つ犬も多くなっています。
アレルギーは、ノミやダニ、ハウスダストや特定の食物に対し過剰な免疫反応が起き、おもに皮膚や胃腸に異変を起こします。
ももはバラ科の植物で、バラ科の植物はアレルギー反応がでる可能性があります。
さくらんぼやりんご、梨、びわ等も同じバラ科の果実のため、それらを食べたときにアレルギーが起きた場合は、桃もアレルギーが出ると考えてよいでしょう。
体をこすりつける仕草が多い、舐めたり掻いたりすることが多い場合は、アレルギー症状が出ている可能性がありますので、皮膚をよく観察して下さい。
初めての食べ物を与える時は、少しずつ食べさせ様子を見ながら与えます。
万が一のときには受診できるよう、病院の開いている時間に食べさせましょう。
注意点④:缶詰やゼリーなどの加工品
ももは生の果肉を与えます。
市販の缶詰やゼリーなどの加工品はたくさんの糖分が含まれており、生のももを与えるより肥満のリスクが高まるので与えないようにして下さい。
また添加物などがふくまれることもあります。
果汁100%のジュースでも香料や保存料が含まれることがありますのでおすすめできません。
ももだけで作るジュースや、水とゼラチンとももの果汁だけで作ったゼリーは犬に与えても大丈夫です。
ジュースやゼリーを与えたい時は手作りしたものをあげると良いですね。
ただし自分で作る場合は保存料が入らないため、作り置きしないようにしましょう。
犬がももの種を誤飲してしまった場合の対処法
犬が誤ってももの種を食べてしまった場合は、すぐにかかりつけの動物病院に相談しましょう。
ももの種は大きく消化できないため自然に便で出てくることはありません。
状況に応じて対処の方法が異なるため、電話をして焦らず状況を説明し、獣医さんから指示をもらって応急処置できる場合は対処します。
その後病院に連れていきましょう。
病院に連れて行ったら超音波やレントゲンなどで、食道・胃・腸のどこに異常があるかを特定します。
異常箇所により内視鏡または開腹手術で取り除くことになります。
内視鏡の場合は傷が小さいため、当日や翌日には退院できることが多いですが、胃や腸を切って処置した場合は絶食・点滴での処置が続き、回復までの時間も長くかかります。
自己判断で放置して腸閉塞や腸捻転が起きた場合命にも関わります。
症状が悪化してリスクが高まることがないよう、できるだけ早く受診するようにして下さい。
犬は桃を食べても大丈夫なのか解説
犬がももを食べることについて解説しましたがいかがでしたでしょうか。
今回の記事では
- 犬はももを食べても大丈夫
- ももには、整腸作用や疲労回復など体の調子を整える栄養が含まれている
- ももの種の誤飲や与える量、アレルギーに注意する
- ももの種を誤飲した場合はすぐに病院に指示をもらう