【獣医師監修】猫にカニは基本的にNG?適切な与え方や症状がでた場合の対処法を解説のサムネイル画像
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カニは猫にとって基本的には有害で、適切な処理をしないとビタミン不足などの症状を引き起こしてしまいます。そのためカニを加熱するなどの工夫が必要となります。今回の記事ではカニを食べた際に引き起こされうる症状と適切なあげ方、症状が起こった際の対処法を解説します。

記事監修者「高田 菜月」

この記事の監修者高田 菜月
一般社団法人愛玩動物健康管理協会 - CAHA

カニは少量であれば猫が食べても問題がない食材ではありますが、甲羅やスジは必ず取り除いてください。また、カニにアレルギー反応を起こす場合は食べた直後~48時間以内なので、その間に症状が現れないか愛猫をよく観察しましょう。

この記事の目次

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猫にカニは基本的にはダメ!


記事モデル:つくね


皆さんは猫にカニを与えてはいけないと言うのはご存知でしょうか?


猫にとってカニは基本的には有害で、適切な処理をしないとビタミン不足などの症状を引き起こしてしまします。そのため与える時には加熱するなどの処理をする必要があります。


またカニを食べてしまった場合にはどうなってしまうのか?どのような危険性があるのか気になりますよね。


そこで今回の記事では

  • 猫がカニを食べると危険な理由
  • 猫にカニを与える時の注意点
  • アレルギー症状が出てしまった場合の対処法
以上の点を中心に解説していきます。

猫が欲しがるからと言って、むやみに与えてはいけません。正しい処理をしてから与えるためにも、こちらの記事をぜひ最後までお読みください。

猫がカニを食べると危険な理由

カニも魚のように猫が好むかもしれませんが、知識がないまま与えては危険です。


それはカニに含まれる成分が猫にとっては有害な物質であるためです。基本的にはカニを生の状態では与えてはいけません。


人間と猫の体の作りに違いがあるため、人間が食べても平気なものであっても猫にとっては有害なものが多数存在します。


カニの成分によって「消化不良」「骨の変形」「歩行不良」を引き起こす可能性があります。


また足や甲羅などを食べてしまいますと消化不良を起こしたり、口内を傷つけてしまう場合もありますので与えないようにしましょう。

カニの成分が猫に必要なビタミンを分解してしまう

前項でも述べたようにカニの成分によって「消化不良」「骨の変形」「歩行不良」を引き起こす可能性があります。こちらの詳しい説明をしていきます。

消化不良

タウリンが含まれており、猫にも必要な栄養素です。しかし過剰に摂取してしまうと消化不良を引き起こしてしまいます。

骨の変形

他にもチアミナーゼと言う成分が含まれています。このチアミナーゼはビタミンB1を分解する働きがあります。つまり長期に渡ってカニを与え続けてしまうとビタミンB1が欠乏してしまい骨の変形を引き起こす可能性があります。

ビタミンB1は猫は犬よりも必要とし、猫にとっては大変大切な栄養素の1つです。

歩行不良

チアミナーゼによりビタミンB1が欠乏してしまい、脳や筋肉が働くなくなり歩き方がふらふらとしてしまったり瞳孔が開いたままになってしまう症状も見られます。

歩行不良は目に見える症状でもありますので、普段と違う歩き方をしているなど気づいた際には注意深く観察してあげてください。

猫の中にはカニにアレルギーを持つものも

また猫の中には元からカニアレルギーを持っていることもあります。猫にも人間と同じように甲殻類アレルギーをもつ猫もいます。


カニアレルギーの猫がカニを食べてしまうと以下の症状が現れます。

  • 目が充血する
  • 皮膚のかゆみ
  • 元気がなくなる
  • 下痢や嘔吐
このような症状が出たらすぐに動物病院で診断してもらいましょう。

カニの他にもエビなども気をつけたほうがいいでしょう。

また甲殻類アレルギーの他にも人間と同様に卵や牛肉などの食べ物のアレルギーをもつ猫もいます。気になる方は一度、飼い猫のアレルギー検査をしてみることをおすすめします。

カニを食べると起こる症状


では猫がカニを食べた場合に目に見える症状をご紹介します。

  • 食欲不振
  • まっすぐ歩けない
  • 痙攣
  • 嘔吐
  • 瞳孔が開く
このような症状が現れます。これらの症状が現れた際には速やかに動物病院へ連れて行ってあげてください。

重症化してしまうと昏睡状態に陥ってしまう場合もあります。

これらは主にカニのチアミナーゼと言う成分によるものです。チアミナーゼによりビタミンB1が分解されることは先ほど述べました。

なぜビタミンB1が必要なのか、その理由も合わせて説明いたします。
  • 糖質の代謝を促す 
  • 神経系の正常な働きを助ける  
  • 筋肉や心臓の機能を正常に保つ
  • 疲労回復効果
ビタミンB1にはこのような働きがあります。

また猫は肉食のため、タンパク質をエネルギーに変えるのは得意ですが炭水化物をエネルギーに変えるのは得意ではありません。

そこで炭水化物をエネルギーに変えるために必要となるのがビタミンB1なのです。

猫への適切なカニの与え方

猫にとって危険な食べ物のカニですが、実は少量であれば与えても問題はありません。さらに正しい処理をしてあげることであらゆる症状を引き起こすことなく与えられます。


猫が長生きできるようにするためにも正しい処理の仕方を覚えておきましょう。


猫にカニを与える時の注意点

  1. 必ず加熱して与える
  2. 味付けは一切しない
  3. 少量だけを与える
これらの注意点について詳しく解説していきます。

必ず加熱して与える

カニを加熱することで、成分であるチアミナーゼをなくすことができるためビタミンB1不足に陥ることを防ぐことが可能です。


またチアミナーゼなどを除けば、低脂肪で高タンパクで猫にとっても嬉しいタンパク源ともなります。


さらにチアミナーゼは他にも「ハマグリ・イカ・マグロ・カツオ」などにも多く含まれますので注意が必要です。


この食材の中でもハマグリはダントツでチアミナーゼの含有量が多いです。あまり与える機会は少ないと思いますが念のため覚えておきましょう。

味付けは一切しない

猫にカニを与える際には味付けは一切しないようにしましょう。


猫は人間の半分以下の塩分しか必要としません。


塩などの調味料は猫の内臓に負担をかけて下痢や嘔吐を引き起こしてしまうこともあります。また極力味付けを控えたとしても肥満にも繋がる恐れがあります。


塩分に含まれるナトリウムは血液循環量を増やし血圧をあげてしまうため、細い血管が密集している腎臓に大きな負担をかけてしまいます。これにより腎不全を引き起こしてしまう可能性もあります。

少量だけを与える

カニにはチアミナーゼの他にもカルシウムやリン、マグネシウムが含まれています。


これらの成分は猫に与え過ぎてしまうと尿結石を引き起こしてしまう危険性もあります。


カルシウム・リン・マグネシウムの理想的なバランスは1.2:1:0.08と言われています。しかしカニのカルシウム・リン・マグネシウムのバランスは0.52:1:0.24と大きく乱れていることがわかります。


そのため与える量は少量に抑えることがいいでしょう。特に腎臓病の猫にとっては腎臓に負担がかかってしまうためあまり与えないほうが良いです。

参考:カニカマはあげても大丈夫?



ではカニを原材料としないカニカマは猫にとってはどうなのでしょうか?


残念ながらカニカマも有害です。


カニカマは人間用に味付けされているため、塩分が多く、糖分も多く含まれます。さらに添加物も多く含まれているため内臓に負担がかかってしまいます。


猫によっては添加物にアレルギー反応を起こしてしまう可能性もあります。基本的には添加物が入っていない食べ物を与えるべきです。


また糖分は肥満の原因にもなります。さらに猫は甘みをほとんど感じることができないため甘い食べ物は与えないようにしましょう。


カニカマは少量であれば命に関わることはありませんが、まずは与えないことがベストです。


もしも猫にカニカマを与えたいのならば猫用のカニカマを与えることをおすすめします。最近では様々な猫用のおやつも販売されていますので、そちらを与えましょう。


こちらの猫用のおやつランキングでは猫用のおやつを探し出すことができます。

もし症状がでてしまった場合は?

もしもカニを与えて症状が出てしまった場合や大量に食べてしまった場合にはすぐに動物病院に連れていきましょう。さらに「どのくらいの量を食べたのか」を把握しておいてください。


食べた量が少量である場合には嘔吐などの症状がないか観察しましょう。また食べた量がわからない場合にも動物病院へ連れていってあげるべきです。


一番注意したいのが自己の判断で吐かせることです。猫の体は有害なものは体外に排出されるような仕組みになっています。そのため無理に吐かせようとしますと、かえって詰まらせる恐れもあります。

まとめ:カニをあげる際には必ず加熱する!

いかがでしたでしょうか。


今回の記事では

  • 猫にカニを与える時には熱処理をきちんと行う
  • 猫にとって有害なカニの成分
  • 症状が出た時の対処方法
以上の点を中心にまとめていきました。

基本的にカニは猫にとっては有害です。しかしきちんとした処理をすれば与えることもできます。

猫が欲しがるままに与えてしまうのは禁物ですが少量を与えてあげましょう。

猫が長生きするためにもなるべく人間の食べるものはあまり与えず猫用のものを与えてあげてください。猫用にも添加物の少ないもの、猫に必要な栄養素が配合されているものを選ぶことをおすすめします。

他にもMOFFMEでは皆様のお役に立てる記事をご用意しておりますので、ぜひご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうざいました。