犬がそばを食べたとしても、少量であれば問題はありません。食べすぎてしまった場合は、下痢や消化不良の原因になりますので、注意が必要です。この記事では、犬がそばを食べても大丈夫であることを説明すると共に、食べさせる際の注意点やアレルギーに関する解説をしています。
この記事の目次
目次を閉じる犬がそばを食べても大丈夫なのか解説
記事モデル:まろ
愛犬と暮らす毎日の中で、犬も自分と同じものを食べる幸せを感じたいなと思っている方も多いでしょう。
日本の伝統の食文化として「年越しにそばを食べる」風習がありますよね。我が家の愛犬と一緒に食べたい!でも、そばって犬に食べさせても大丈夫なのか気になりませんか?
可愛い大事な愛犬だからこそ、正しい事を知りたいですよね。
そこで、今回の記事では次の事をお伝えします。
- 犬がそばを食べるのは大丈夫?
- 犬にとってのそばの有効な栄養素
- 犬にそばをあげるときの注意点
- 犬と食物アレルギーについての注意点
- 犬にそば茶は大丈夫?
最後まで読んでいただければ、犬にそばをあげる時の注意点やアレルギーについてよく分かります。ぜひ、お読みください。
犬はそばを食べても大丈夫
犬はそばを食べても大丈夫でしょうか?
結論から申し上げますと「そばを食べても大丈夫」です。
そばには犬にとってメリットとなる栄養素が沢山含まれていますし、犬の身体に悪影響を及ぼす成分は基本的には入っていないからです。
ただし、たくさんの量を食べさせるのは控えましょう。
食べ過ぎは消化不良をおこしたり下痢をしてしまったりという事がおきるからです。
人間が食べる時よりも軟らかく茹でて、食べやすい長さに切るなどの工夫は必要です。
では次に、犬に有効な栄養素についてと食べさせる時の注意点をお伝えします。
そばには犬にも有効な栄養が含まれている
そばには犬にとって、有効な栄養素が含まれています。
人間にとって有効な栄養素は、犬にとっても同じような効果が期待できます。
そばにはどのような栄養素が含まれているか一覧表にしましたのでご覧下さい。
参考:「全国蕎麦製粉共同組合」
効果 | |
---|---|
ルチン | 抗酸化作用があり、毛細血管を丈夫にする作用があります。
血圧を下げる効果もあります。 |
コリン | 身体の中の毒素を出す、重要な働きをしてくれます。 肝臓の機能を強くして、肝臓に脂肪がたまるのを防いでくれます。 また、自立神経を整える働きもあります。 |
ビタミンE | 強い抗酸化作用がありますので、身体をサビにくくしてくれます。
別名「若返りビタミン」とも呼ばれています。 |
ビタミンB | ビタミンB1、B2、B6が米や小麦粉よりも非常に多く含まれています。
エネルギー代謝をスムーズに行うための潤滑油のような存在です。 エネルギー源のパワーを発揮するために重要な物質です。 |
D-カイロイノシトール | 血糖値の上昇が抑えられる効果があります。 天然の物質ですが、蕎麦以外の植物からは殆ど摂れませんので貴重です。 |
食物繊維 | 腸内環境を整えてくれるので便秘などに効果があります。
低カロリーで、肥満防止にもなり、糖尿病や高血圧、動脈硬化などの生活習慣病の予防に効果があります。 |
食べすぎは消化不良や下痢などの原因に
そばは健康に良いとされていますが、一方で食べ過ぎは消化不良や下痢などの原因になるので注意が必要です。
そばは食物繊維が豊富な為、消化がしっかりとされにくいからです。
また、そばは低カロリーと言われています。文部科学省の食品成分データベースで、100g当たりのカロリーを比較してみます。
100gあたり | カロリー |
---|---|
ゆでたそば(干しそば) | 114kcal |
ゆでたうどん(干しうどん) | 126kal |
ごはん | 168kcal |
表を見ると、確かにそばのカロリーは、うどんやごはんと比べると低めですね。
しかし、そばは犬にとっては主食ではありません。カロリーが低めでも食べ過ぎてしまうのは肥満に繋がります。
ですから、犬が喜んで食べても沢山食べさせ過ぎないで下さい。
おやつ程度に数本~20gくらいの量を食べさせるようにしましょう。
犬にそばをあげる際の注意点を5つ紹介!
犬にそばをあげる際、注意する事があります。
人間にとっては美味しくて健康に良いとされている事が、犬に全て当てはまるかと言うと、そうではないからです。
そばは、人間にとっても犬にとっても栄養価が高く、健康に良い事は分かりました。
しかし、私たちが食べているそばは、人間の好みに合わせて作られています。
ですから、犬に人間と全く同じ食べさせ方をしてしまうのは、かえって犬の健康を損ねてしまう事に繋がり危険です。
大事な愛犬に、そばを安全に食べさせる事は大切ですよね。
そこで、犬にそばを食べさせる時の食べさせ方の工夫や味付け、量についてなど、注意する点を5つ紹介します。
注意点①:犬にとって食べやすい状態にする
注意点①は、そばを犬にとって「食べやすい状態にする事」です。
人間と犬とはそばの食べ方が根本的に違いますよね。そこで次の3つの点に注意して食べさせましょう。
- そばは短く切る。
- そばは人間が食べる固さより軟らかめに茹でる。
- そばは冷ましてからあげる。
注意点②:味付けをしない
注意点②は、そばに「味付けをしないこと」です。
人間にとっては美味しいそばの味付けですが、犬にとってはそばつゆは塩分が高すぎて、犬の身体には良くないからです。
とは言うものの、犬にとって塩分は必要なものです。
塩に含まれるナトリウムは水分バランスを整えたり、細胞外液の浸透圧を調整したり、酸とアルカリバランスを保つ大切な働きがあります。
では、犬が必要とするナトリウムは一体どの位でしょうか?
犬の体重1kgあたり50mg必要です。
文部科学省・食品成分データベースによると、例えば体重10kgの犬の場合、500mgのナトリウムがあれば十分なのです。
500mgのナトリウムを塩分に換算すると1.27g。これはちくわ約2本分です。
これに対して、めんつゆストレートは100gで食塩相当量が3.3gもあります。
これでは、塩分が大幅にオーバーしてしまう事が分かるでしょう。
塩分を取り過ぎると高血圧などを引き起こします。特に腎臓病や心臓病を持つ犬には注意が必要です。
ですから、犬にそばを食べさせる時は味付けをしないで「そのまま」食べさせて下さい。
注意点③:薬味を添えない
注意点③は、そばに「薬味を添えない事」です。
そばの薬味と言うと、代表的な物は「ネギ」「わさび」です。人間にとっては大変美味しい物ですが、犬には絶対に食べさせてはいけない物です。
理由を説明します。
「ネギ」には「有機チオ硫酸化合物」という成分が入っており、この成分によって赤血球のヘモグロビンが酸化して溶血性貧血を起こします。
犬はこの成分を消化する酵素を持っていないので中毒症状を起こすのです。
中毒症状としては、元気がなくなり、発熱や嘔吐、下痢などを起こし、痙攣や貧血、吐血などを起こして、最悪の場合は死に至る事もある位恐ろしい物です。
「わさび」は刺激物ですが、犬にとって刺激物は良くありません。
胃の粘膜を刺激して胃炎を起こしたり、胃の痙攣が起きる事もあります。
また、口の中に痛みが出たり、嘔吐や下痢を起こす危険があります。
犬は刺激物は苦手ですから、積極的には食べませんが、間違って食べさせないように十分注意をして下さい。
なお、トッピングしても良い具材としては、「きゅうり」「海苔」「オクラ」「山芋」「納豆」などは大丈夫です。
愛犬用のそばレシピを考える場合のトッピングレシピとして覚えておくと良いでしょう。
注意点④:健康に不安がある場合は無理に食べさせない
注意点④は、犬の健康に不安がある場合は、決して「無理に食べさせない事」です。
良かれと思って食べさせたそばによって、かえって犬の健康を損ねる事があるからです。
愛犬は家族の一員ですから、年越しそばや夏場の暑い日にはそばを一緒に食べたいと思いますよね。
現在、「愛犬連れ歓迎」の人気のそば屋さんも何店舗も開店しています。
愛犬専用の個室が完備されていて、何と、「愛犬専用のそばメニュー」まであります。
周りのお客様に気兼ねなく、「ワンダフル」なそば屋での外食が犬と一緒に出来るとは嬉しい限りですよね。
そんな素敵なお店には、何としても犬と一緒に行きたい所です。
しかし、高血圧や心臓病などの持病を抱え、健康に不安のある犬の場合は、無理に食べさせないでください。病気が悪化する可能性があります。
それでもどうしても一緒に犬に食べさせたい場合は、自己判断をしないで、必ずかかりつけの獣医師に相談することをお勧めします。
注意点⑤:初めて食べさせる場合はごく少量から
注意点⑤は、犬に初めてそばを食べさせる場合は「ごく少量から」にしましょう。
喉越し爽やかで風味がとても美味しいそばですが、人間にはそばアレルギーの人がいます。人間の場合、そばアレルギーが強い人ですと命に危険を及ぼす場合もあります。
犬の場合のそばアレルギーも気になりますよね。
犬はそばでアレルギーを起こすケースは割と少ないのですが、犬によってアレルギー症状が出る場合があります。
また、下痢など、体調を崩すケースもあります。
もし、そのような症状が出た時は、すぐにかかりつけの獣医師に連絡して診てもらってく下さい。
このように、アレルギー症状が心配ですので、初めてそばを食べさせる時は、そばを数本にして、様子を見てからにしましょう。
アレルギーに関しては次の見出しで詳しく解説します。
犬がそばを食べた際はアレルギーに注意
犬がそばを食べた際にはアレルギーに十分注意しましょう。
犬は人間と同様、食べ物によってアレルギーを起こす事があります。
湿疹や痒み程度のアレルギーならまだ良いのですが、中には痙攣を起こしたり意識障害を起こしたりと、命に関わる重篤な症状を引き起こす深刻な物までありますから、決して軽視してはいけません。
そこで、次に食物アレルギーについて、どんな症状があるか、注意点、そばと小麦アレルギーの関係などもお伝えしていきます。
アレルギーには常に注意が必要
アレルギーには常に注意が必要です。犬はアレルギーを良く起こします。
代表的なのはアトピー性皮膚炎やノミアレルギーです。
ペットフード会社「ペットライン」の調べによると、「食物アレルギー」を持った犬は実に多く、何と約4割のの犬が食物アレルギーを持っているかその可能性があると分かっています。
犬が食物アレルギー反応を起こす食品として、「小麦」「ラム肉」「鶏肉」「大豆」「とうもろこし」などがあります。
食物アレルギーの厄介な所は、1度食べた時に何の問題がなかったとしても、2回目、3回目に食べた後に発症することがある、という事です。
また、アレルギー症状は、食べた直後にすぐ反応するとは限りません。1か月も経った後に現れる事もありますから注意が必要です。
小麦アレルギーがある場合はそばの原材料を確認
小麦アレルギーがある場合はそばの原材料を良く確認して下さい。
犬がアレルギー症状を引き起こしやすい食材の1つとして、「小麦」があります。
そば自体のアレルギーを持っている犬は余り多くないのですが、小麦アレルギーを持っている犬は多いのです。
そばを食べて小麦アレルギー?と思うかもしれません。しかし、そばには小麦粉の入っている物が大変多いのです。
ですから、市販のそばの場合、そばが入っていた袋の裏にそばの成分表が出ていますので、小麦粉の量を必ずチェックしてから食べさせてください。食べさせる際、最初は本当に少ない量から食べさせて様子を見て下さい。
小麦アレルギーを起こすと嘔吐や下痢などの症状が出ます。
愛犬に辛い思いをさせないためにも、十分注意してあげて下さいね。
なお、十割そばの場合は小麦アレルギーの心配は要りません。十割そばは犬にとって安心ですね。ご家庭でそば打ちが出来る方は十割そばを愛犬の為に打つというのも素敵ですね。
アレルギー症状が出たら獣医師に相談しよう
アレルギー症状が出た場合は、直ちに獣医師に相談して下さい。
最初は大した事がないと思っていた症状が、時間が経つにつれ、悪化する可能性があるからです。
犬のアレルギー症状には以下の様な症状があります。
- 主に口や目周辺部を中心とする全身の痒みや炎症
- 痒みによって掻くことで引き起こされる皮膚の炎症
- 二次的な細菌感染で引き起こされる脱毛や色素沈着
- 嘔吐、下痢などの消化器系症状
- 二次的に引き起こされる外耳炎や膿皮症
上記症状のうち、犬の症状で最も多いのが湿疹や痒みです。
アレルギー症状が強くなると、食物アレルギーで起こる症状の中で最も重症な「アナフィラキシーショック」が起きる事があります。
上記で言うと、痙攣や呼吸困難、意識障害等に当たります。
アナフィラキシーショックが起きると生命に危険が及び、治療が遅れると死に至る事もあり、大変恐ろしい症状です。
ですから、犬にアレルギー症状が起きた場合、放置する事なく、一刻も早く獣医師に診てもらいましょう。手遅れになったら大変です。
犬にそば茶などをあげても大丈夫?
犬にそば茶などをあげても大丈夫でしょうか?
そばに関するもので、あげても問題ない物と、そば茶のように少し注意が必要な物があります。
そばにはさまざま健康に良い成分が含まれていて、アレルギーを持っている犬には注意が必要ですが、健康な犬の場合は、特に問題なくそばを食べさせても良いという事も分かりました。
では、そばを作る原料となる「そばの実」や「そば粉」は犬にあげても大丈夫か?
健康的な飲み物として親しまれている「そば茶」やそばを食べた後のお楽しみの「そば湯」は犬に飲ませても大丈夫か?注意点は?などを詳しくお伝えしていきます。
問題のないもの:そばの実、そば粉
「そばの実」「そば粉」は犬にあげても特に問題はありません。
私達が食べているそばの原料が「そばの実」です。そばの実から製粉して出来るのが「そば粉」です。
そば粉からそばを作りますので、そばの実、そば粉自体は問題ありません。
何だかホっとしますね。そば粉を使った物を作ってあげるのも良いでしょう。
例えば、そば粉を使った「ガレット」を愛犬の為に作ってあげるのはいかがでしょうか。
愛情を込めて手作りレシピで犬の健康面も考えた料理というのは特別感がありますよね。
鶏の胸肉、しめじ、芽キャベツ、ミニトマトや卵等を使った彩り良いそば粉のガレットは、まさしくご馳走です。愛犬の誕生日や特別の日に、是非作ってお祝いしてあげて欲しいです。きっと愛犬は喜ぶ事でしょう。
少し注意が必要なもの:そば茶、そば湯
少し注意が必要なものに「そば茶」と「そば湯」があります。
どちらとも栄養面は優れていますので、注意する点は「温度」「量」「塩分」「アレルギー」等です。
詳しくお伝えします。
そばの実を使ったお茶が「そば茶」です。
「そば茶」には抗酸化物質の「ルチン」(ポリフェノールの一種)が沢山含まれています。
ルチンは生活習慣病である次の病気の予防効果があります。
- 心臓病
- 糖尿病
- 肝疾患
- 動脈硬化
- 高血圧
血圧を下げ、血糖値も下げてくれるそば茶は優れ物ですね。
犬にも効果があるので犬の健康の為に飲ませたい所です。
「そば茶」にはカフェインが含まれていないので、基本的には問題がありません。
ただし注意点があります。
「そば茶」は熱すぎると犬が火傷をしてしまいますので、十分冷ましてからあげて下さい。
また、量が多いと下痢を起こす事もありますので少ない量にしましょう。
「そば湯」にも同じく「ルチン」が含まれていますので飲ませたい所です。
しかし、そば、特に乾麺にはかなり塩分が入っていますので、そばを茹でている時に茹で汁に塩分が流れ出ています。沢山飲むと、塩分の摂り過ぎに繋がります。
また、そばに小麦粉が使われている場合、そば湯にも成分が出ていますから、小麦アレルギーの犬は注意しましょう。
そして、「そば湯」にはカリウムが多く含まれていますので、大量に摂り過ぎると結石の原因にもなります。
以上の点から、そば茶、そば湯は飲ませる場合は量に気を付けて、少量飲ませるようにしましょう。
犬がそばを食べても大丈夫?のまとめ
犬がそばを食べても大丈夫かどうかを説明してきましたが、いかがでしたか?
今回の記事でお伝えした事は次の事です。
- 犬はそばを食べても基本的には大丈夫である
- 食べ過ぎは消化不良や下痢の原因になるので注意が必要
- そばは食べやすくし、味付けをせず、薬味を添えずに食べさせる事
- アレルギーを持っている犬には注意が必要、特に小麦アレルギーに注意
- そばの実・そば粉は問題なし、オリジナルレシピで特別なそば粉メニューを作るのも良い
- そば茶・そば湯は塩分、小麦粉などの成分に注意が必要。量は少なめに
そばには健康に良い成分が沢山含まれていますので、犬の健康にも大変良い物です。
しかし、そばは犬の主食ではなくてあくまでおやつやトッピングと考えて、量は少なくしましょう。
アレルギーに気を付ける事も大事です。アレルギー症状で重篤なアナフィラキシーショックを起こすと命の危険性も引き起こしかねません。アレルギー症状を起こした場合は直ちに獣医師に診てもらいましょう。
家族の大事な一員である愛犬と一緒にそばを食べる事は大変楽しい事ですから、正しい知識を持って一緒に食べるようにしましょう!