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犬にとってナッツは、避けたほうがよい食べ物です。特にマカダミアナッツは、中毒症状を引き起こす恐れがあるため、注意が必要です。この記事では、ナッツ類が持つ犬にとっての危険性を解説すると共に、犬がナッツ類を食べてしまった際の対処法についても紹介します。

記事監修者「星野 崇希」

この記事の監修者星野 崇希
一般社団法人愛玩動物健康管理協会 - CAHA

ナッツの種類によっては、少量であっても摂取すると危険な状態になる恐れがあります。飼い主さんがナッツ類を食べる時だけでなく、保管場所にも注意してください。

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犬にとってナッツは危険なのかを解説

 
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たまねぎ、チョコレート、アルコール、キシリトール、ブドウ・レーズンなど犬が食べてはいけない食材はたくさんあります。他にも乳製品や油ものなども良くないと言われています。

ヒトが食べてもなんの問題のない食材でも犬が食べることにより中毒症状を起こす食材は多く、最悪命に関わる症状を引き起こす場合もあります。では、ナッツ類は犬にとって危険な食材なのでしょうか。

この記事では
  • 犬にとってナッツは危険なのか
  • マカダミアナッツを与えてはいけない理由
  • 他のナッツはどうなのか
  • ナッツ類を食べたときの対処法
  • マカダミアナッツ以外のナッツ類は食べてもいいのか
について詳しく説明していきます。


犬が欲しがるからと言って与えてしまう前にナッツを犬に与えてもいいのか、ナッツの危険性について知るための参考にしてみてください。

犬にとって有害なナッツが存在する

ナッツにはマカダミアナッツ、ピーナッツ、カシューナッツ、アーモンド、くるみなどの多くの種類があります。ナッツ類はスーパーマーケットなどで手に入りやすく、ナッツによっては柔らかいので犬のおやつに丁度いいのでは?と思った方もいるのではないでしょうか。


ナッツの中には犬にとって有害なものも存在します。食べると中毒症状を引き起こすナッツもありますので、犬に与える前に与えていい食材かどうか調べて見る必要があります。

犬が食べると中毒症状を起こしてしまうナッツがある

 

ナッツの中には中毒症状を引き起こす有害なものもあります。しかし、すべてのナッツが中毒症状を起こすわけではありません


マカダミアナッツ、アーモンド、くるみ、ピスタチオは消化不良などの体調不良を引き起こすナッツ類ですが、ピーナッツには中毒性は低いので犬に与えても問題ないことが多いようです。しかし、ピーナッツを丸呑みし消化不良を引き起こすことや脂肪分が高いため肥満につながることがあります。


ナッツの中毒症状は嘔吐や下痢など軽度な症状から命を脅かす重篤症状を引き起こすケースもあります。どのナッツが中毒症状を起こすのか、なぜ中毒症状を引き起こすのかなど詳しく原因がわかっていません。さらに、犬には個体差があり、食べても全く症状が出ない犬もいれば、少し食べただけでも重篤な症状が出る場合もあります。


どのナッツが中毒症状を起こすのかはっきりわかっていないので、ピーナッツも含め、ナッツ類は犬に与えるのは避けたほうがいいでしょう。

マカダミアナッツは絶対にダメ

ナッツ類の中でもマカダミアナッツは絶対犬に与えないでください。マカダミアナッツは中毒症状を引き起こすため大変危険です。


マカダミアナッツ中毒では下痢や嘔吐、痙攣、発熱、脱力などの症状が見られます。さらに、ナッツを大量に摂取するとナッツが胃や腸に詰まり腸閉塞を引き起こす可能性も高くなります。


中毒症状まで進行しない場合でも、マカダミアナッツは消化が悪いため下痢や嘔吐などの症状が見られることもあります。個体差にもよりますが、食物アレルギーを引き起こす可能性もあります。


症状が見られるのは食べてから12時間以内に発生することが多く、早くて1時間後に症状が現れます。マカダミアナッツをどれぐらい食べたら中毒症状を引き起こすのかはわかっていませんが、体重1kg当たり0.7g食べたことによりマカダミアナッツ中毒を発症したケースもあります。


マカダミアナッツ食べてしまった場合すぐに動物病院へ連絡し、食べたものを体の外に出すために催吐処置や血液検査、レントゲン検査、点滴など症状に合わせて治療を行います。経過的に観察を行う必要があり、入院が必要になることもあります。


そのため、マカダミアナッツは絶対に食べさせてはいけません。ヒト用のマカダミアナッツは犬が取ることができない場所に保管しておき、食べた後も犬がいたずらをしないようにすぐに処分しましょう。

その他のナッツでも消化不良や下痢などに注意が必要

 

マカダミアナッツを食べてしまうと中毒になる可能性が高く危険な食べ物ですが、他のナッツは安全というわけではありません。マカダミアナッツ以外のナッツ類について説明していきます。


ピーナッツ

ピーナッツは中毒性はありませんが、脂肪分が多く、消化が悪いナッツです。ピーナッツの脂肪分の中にはリノール酸が多く含まれていて皮膚の健康維持のためにはとても良い成分です。しかし、下痢や嘔吐などの消化器症状や肥満になる可能性が高いです。

さらに、ヒト用のピーナッツは塩分などの調味料が加わっていることがあるため、与えないようにしましょう。


カシューナッツ

カシューナッツには中毒性はありませんが、消化不良が悪いナッツです。胃や腸に負担をかけるため下痢や嘔吐を引き起こします。ヒト用に加工されたものは調味料が使われていることが多いので与えないようにしましょう。


ヘーゼルナッツ

ヘーゼルナッツには中毒性はありませんが、ナッツ自体が大きく胃や腸に詰まらせてしまう可能性があります。さらに消化もあまり良くないので、下痢や嘔吐などを引き起こす可能性もあります。与える場合はあらかじめ細く砕き、食べやすいサイズにすることが重要です。


アーモンド

アーモンドは中毒性はありませんが、 粒自体が固く、消化不良を引き起こしやすいナッツです。消化不良により下痢や嘔吐を引き起こし、大量に食べてしまうと胃や腸に詰まり閉塞を引き起こしてしまう可能性もあります。特に超小型犬や小型犬は一粒でも詰まる可能性があるので注意が必要です。ヒト用に加工されたものももちろん与えないようにしましょう。


くるみ

くるみは中毒性がなく、少量であれば犬が食べても問題はありません。しかし、食物繊維とカロリーが高く、下痢や嘔吐などの消化器症状や肥満を引き起こす可能性があります。さらに、そのままの状態で与えると胃や腸などに詰まる危険性もあります。ヒト用に加工されたものは調味料が加わっているため、与えないようにしましょう。



他のナッツ類も消化が悪く、中毒症状でない場合でも下痢や嘔吐などの症状が見られます。さらに脂肪分が高く、数粒食べただけでも簡単にカロリーオーバーになってしまいます。ナッツ類を与えすぎてしまい、普段の食事を食べてくれなくなってしまうということも考えられますので注意が必要です。

参考:マカダミアナッツの致死量は不明

マカダミアナッツの致死量はわかっていません。中毒症状を起こす目安量も個体差により異なるため一概には言えません。同じ量を食べても症状が現れない犬や症状が強く現れる犬がいます。そのため、マカダミアナッツ中毒を起こさないように一切食べさせないことが重要です。


マカダミアナッツ中毒での死亡例は確認されていませんが、大量摂取により胃や腸に詰まるケースやビニールごと食べてしまうケースもあります。閉塞により手術が必要になることも考えられるので注意しましょう。


マカダミアナッツを購入したときには犬や小さいお子様の手の届かない場所に保管しておき、家族に食べさせないように情報を共有しておきましょう。食べた後は犬がいたずらできないようにすぐに片付けることをオススメします。

犬がナッツ類を食べてしまった場合の対処法

ナッツ類は中毒アレルギー消化不良を引き起こすため食べさせないほうが良い食材です。しかし、家族の方が誤って与えてしまった、床に落としてしまった時に食べられてしまった、犬がいたずらをしてしまったなど様々なケースで口にしてしまう場合もあります。


食べさせないように気をつけていたつもりが食べてしまうと気が動転してしまいますよね。では、万が一、ナッツ類を犬が口にしてしまったらどうすればいいのでしょうか。


ここでは、犬がナッツ類を食べてしまった場合の対処法をご紹介します。

犬がナッツを食べたら①:状況を整理する

犬がナッツ類を食べてしまった場合は、まず状況を整理しましょう。


まず、

  • 何を食べたのか
  • 食べたナッツの大きさ
  • 食べた時間
  • どれくらい食べたか
  • 犬の状態

をメモなどに記載して整理しておきましょう。


万が一気がついた時に犬の体調に変化が見られる場合でも、何をどうして今の状態になったのかなど伝えることができないと動物病院で的確な治療を行うことができません。動物病院に電話する前に情報を整理します。


食べた時間帯がわからない場合でもおおよその時間でもいいので、メモしておきます。同時にナッツが入っていた袋は破れていないか、乾燥剤などが入っていたかなども確認します。ナッツ以外に食べてしまったものがあると、動物病院でも治療方針が変更になる可能性があります。


犬がどうやって食べたのかを知ることにより再発を防止することもできますので、冷静に状態を確認しましょう。

犬がナッツを食べたら②:様子を見る

 

犬がナッツ類を食べてしまった場合、情報を整理した後は犬の様子を確認しましょう。


ナッツ中毒の代表的な症状は、

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 発熱
  • けいれん
  • 運動障害
  • 脱力     など

などの症状が見られます。


下痢や嘔吐があった場合は便吐瀉物についても確認する必要があります。


嘔吐の場合

  • 回数
  • 何を吐いたか
  • どれくらい吐いたか   など

下痢の場合

  • 回数
  • 便の水分量
  • 内容物   など

を確認しましょう。できれば携帯電話のカメラ機能で写真に収めておくことで、動物病院を受診した時に獣医師さんに見てもらうことができます。すぐに処分してしまう前に、以上のことを確認しておくことで、犬の状態も確認しやすくなります。


犬によって症状にも個体差がありますので、これ以外にの症状が見られる場合もあります。犬の普段の様子を観察することで体調が悪いのか、いつも通りなのか判断することができます。特に便と尿の様子はできるだけ毎日観察しましょう。

犬がナッツを食べたら③:獣医さんの診察を受ける

犬がナッツを食べてしまった場合、状況や犬の体調を確認し、症状が見られていなくても心配であれば動物病院を受診しましょう。


動物病院に連れて行く際には

  • 診察券
  • (持っていれば)保険証
  • (持っていれば)お薬手帳
  • 状況を整理したメモ
  • ティッシュやビニール袋
  • ペットシーツ
  • 首輪やリード
  • キャリーケース・キャリーバッグ
  • (初めて行く動物病院)ワクチン証明書
  • (初めて行く動物病院)服用している薬

を用意しておきましょう。


動物病院に行くためのグッズはまとめておいておくと便利です。下痢や嘔吐などの症状が見られる可能性があるのでティッシュやビニール袋、ペットシーツなどは多めに持っていくと万が一の時に活用できます。


治療を開始するにあたり、服用している薬の情報も重要になります。かかりつけの動物病院ではない場合持病の有無服用している薬どんな治療をしているかも詳しく話すことで治療がスムーズになります。持病がある場合はお薬手帳も持参しておくと便利です。持ってない場合はかかりつけの動物病院に連絡し、なんのお薬かを確認しましょう。


犬の体調に変化がある場合は前もって動物病院に電話で連絡しておきましょう。あらかじめ電話をしておくことで緊急時もスムーズに診察してもらうことができます。

参考:マカダミアナッツ以外のナッツ類に対する解釈はさまざま

マカダミアナッツは中毒がありますので、食べさせてはいけないとなっています。しかし、他のナッツ類に関しては解釈はさまざまです。少量であれば食べても問題はないと言われているケースもあれば、食べさせないほうがいいというケースもあります。


症状が見られるかどうかは個体差があります。ナッツ類だけでなく、食べさせてもいいと言われている食材でもアレルギー症状や他の症状が絶対出ない、100%安心、とはどんな食材でも言い切ることはできません。


最終的に与えるかどうかの判断をするのは飼い主さんになります。与えていいのか自分で判断できないという場合以外は、与えない選択をするか、かかりつけの獣医師さんに相談してみるといいかもしれませんね。

犬にとってのナッツの危険性についてのまとめ

ここではナッツの危険性についてご説明していきました。


この記事のポイントをまとめると

  • マカダミアナッツは絶対に与えてはダメ
  • 他のナッツ類も注意が必要
  • 万が一、食べてしまった時は情報を整理し、様子を見る。心配な場合は動物病院を受診する
  • ナッツ類の解釈はさまざまなので、最終的には飼い主さんの判断

ということになります。


マカダミアナッツは中毒症状を引き起こす可能性があり、大量に摂取すると腸閉塞などの他の病気を引き起こすこともあります。絶対に犬が口にしないようにしっかり管理しておく必要があります。


マカダミアナッツ以外のナッツ類も消化が悪く、中毒症状ではなくても下痢や嘔吐などの症状が見られることがありカロリーが高い食べ物です。心配な方やもともと胃腸が弱い犬、 肥満傾向の犬もは与えない方がいいでしょう。


犬はきちんと総合栄養食を食べていれば栄養価が偏ることはありません。おやつとしてなにか与えたい場合はナッツ類以外の他の食材で代用するのが無難かもしれませんね。