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犬に麦茶を飲ませても大丈夫かご存知ですか?犬を飼っている方は夏場の熱中症対策のため水分補給をさせるのが大変ではないでしょうか。犬は麦茶を飲めるのですが、適切な飲ませ方や注意点もあります。この記事では、犬が麦茶を飲んでも大丈夫かや適切な飲ませ方を紹介します。

記事監修者「星野 崇希」

この記事の監修者星野 崇希
一般社団法人愛玩動物健康管理協会 - CAHA

愛犬2頭と暮らす。ペット用品の監修者や記事制作者・記事監修者やペットカメラマンとして活躍する。ペット関連メディア運営などにも関わりながら、数多くの資格を取得。元消防署職員として働いた経験があり、現在はペット防災関連業務にも力を入れる。

この記事の目次

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犬は麦茶を飲める?メリットや麦茶以外の飲み物も解説!


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熱中症や脱水などを引き起こす可能性のある時期は夏場だけではありません。最近では春や秋などの涼しいイメージのある季節でも起こす可能性があります。

そのため、犬には水分補給をこまめにさせるのが理想ですが、お出かけ中に水を切らしてしまった、水道も見つからない、など困った状況に陥ることもあるかもしれません。


犬に水分補給をするとなると「水」ですが、麦茶や他の飲み物も飲めるのでしょうか。


この記事では

  • 犬が麦茶を飲むメリット
  • 麦茶の適切な与え方
  • 麦茶のメリット・デメリット
  • 麦茶を与えるときの注意点
  • 麦茶のパックを食べてしまったときの対処法
  • 犬に飲ませてもいい飲み物

についてご紹介していきます。


ここでは、犬に麦茶を飲ませていいのか詳しく解説していきます。ヒト用の麦茶を持っているけれど、犬に与えてもいいの?水分補給をさせたいけど飲ませても大丈夫?という疑問が解消されますよ。

犬が麦茶を飲むメリットは?熱中症対策として水分補給に最適!



水分補給をさせたいけれど麦茶しかないと焦ってしまったとき、麦茶を飲ませていいのか心配になりますよね。


麦茶にはカフェインが含まれていないので、犬に飲ませても問題ありません。水を飲むことが苦手な犬などに試しに飲ませてみると飲んでくれたというケースもあります。水を飲ませたいけれどなかなか飲んでくれなくて困っているという飼い主さんは一度麦茶で挑戦してみてもいいかしれません。


犬が麦茶を飲むメリットは

  • 体を冷やす
  • 胃の粘膜を保護する
  • 水分補給
  • 熱中症対策
  • 血行促進
  • リラックス効果 など

が挙げられます。


麦茶には火照った体を、体の中から冷やしてくれる効果があるので、夏場の時期に最適で、散歩の後などにもオススメです。さらに胃の粘膜の保護効果にも期待できるので、夏バテで胃の調子が悪いときにも効果が期待できます。


麦茶を飲むことで得られる効果によって熱中症対策にも繋がります。さらに、麦茶の香りはイライラを抑えるリラックス効果も期待できます。


麦茶にはたくさんのメリットがあり、水を飲ませるより夏場の時期は体調管理にも最適な飲み物です。


しかし、麦茶の中にもミネラルが豊富に含んでいるものは犬のミネラルバランスを崩す恐れがあるので避けたほうが無難です。ミネラルは過剰に摂取すると尿路結石症などを引き起こす危険性があるので、麦茶を飲ませるときにはミネラルを添加しているものかどうか調べておきましょう。

犬に麦茶を飲ませる際の適切な与え方とは?飲ませ方を紹介!

たくさんのメリットがある麦茶ですが、飲ませるときに最適な与え方はあるのでしょうか。


もちろん犬に麦茶を与えるのは問題ありませんが、誤った飲み方をすると体調を崩してしまう恐れがあります。


犬の麦茶を飲ませる際の適切な与え方として

  • 新鮮な水道水を使用する
  • 麦茶を常温にする
  • 初めて飲ませる時はスプーン1杯から
  • 慣れてきたら徐々に量を増やす


麦茶を作る時は、水道水で作りましょう。浄水器の水は最近が繁殖しやすいため注意が必要です。さらに、麦茶は水より腐りやすいため、犬が飲み終わったらすぐに片付けましょう。


犬に麦茶を飲ませる時は常温にしておくことが大事です。体を冷やしてあげたいからと言って冷たいまま飲ませるとお腹を壊してしまい、下痢や嘔吐、腹痛などの症状が見られることもありますので注意が必要です。


初めて麦茶を飲ませるときには麦茶のアレルギーを発症する可能性もありますので、初日はスプーン1杯与えて様子を見ましょう。体調に問題がなけれな徐々に与える量を増やしていきます。


過剰に与えすぎすと体が冷えすぎてしまうことや水を飲んでくれなくなってしまう恐れがあります。水をメインで暑さが厳しい時間帯だけ麦茶を入れてあげるなど工夫して調節してみてください。


ペットショップや通販サイトなどでペット用の麦茶が販売しています。栄養成分が心配、ミネラルを添加しているのかわからない場合などでも、ペット用の麦茶を購入するとより安心して犬に与えることができます。

飲み過ぎには注意が必要!体を冷やしすぎるデメリットもある

麦茶を飲ませすぎてしまうと水を飲まなくなる他にも体が冷えすぎてしまうというデメリットがあります。麦茶には体の熱やほてりを冷ます効果が期待できますが、飲ませる量には注意が必要です。


体が冷えすぎてしまうと、体温が低下するだけでなく、免疫力も低下してしまいます。麦茶を飲ませる時は適度な量を与えましょう。


特に夏場は室内でエアコンを付けて涼しくしていることが多く、犬も室内では体が冷えすぎてしまいがちになります。室温は犬の体温・体調を見ながらこまめに調節してあげましょう。

人間の飲む濃度よりも薄めて与えるようにする

犬に麦茶を与える時には人間の飲む濃度より薄めて与えるようにしましょう。人間が飲んでいる麦茶の濃度は犬にとっては濃すぎてしまいます。


犬に人間用の麦茶を与える場合は、2~3倍にして薄めて与えましょう。麦茶を薄めてあげることで水から麦茶に変えてもあまり違和感なく変えられることもでき、麦茶しか飲まなくなるということを防ぐこともできます。


ただし、人間用はミネラルを添加しているものもあります。ミネラルを添付しているものは避ければ問題ありませんが、心配な方は犬用の麦茶をあげるといいでしょう。

犬に麦茶を与える際に気を付けることは?注意点を解説!

犬に麦茶を飲ませることにたくさんのメリットがありますが、注意点はないのでしょうか。


実は麦茶を犬に飲ませる時に注意しなければいけない点がいくつかあります。麦茶はノンカフェインで犬も飲むことができる飲み物ですが、腎臓病の犬は控えること麦茶のパックを誤飲してしまうというトラブルもあります。


ここでは、犬に麦茶を与える際に気をつけるべき注意点についてご紹介します。犬に麦茶を与える前に一度気をつけるべき点を確認してからにしましょう。

ミネラルが豊富なことに注意!腎臓病の犬は控えるべき

麦茶にはミネラルが豊富に含まれています。その中でもリンは腎臓病の症状を進行させてしまう可能性があります。そのため、腎臓疾患を患っている犬には与えるのを控えましょう。


リンは体の中に過剰に取り込まれると腎臓で濾過され、体外に排泄されます。しかし、腎臓の機能が低下している犬では濾過機能も低下しているため体外に排泄されず、高リン血症を引き起こします。リンがたくさん体の中に存在していると腎臓を余計に働かせてしまうためどんどん腎臓の機能が低下し、腎臓病の症状も進行してしまいます。



ミネラルを過剰に摂取すると、腎臓病以外にも尿路結石症を引き起こしやすくなります。尿路結石症とは、腎臓、尿管、膀胱などの尿路に結石と言われる石ができてしまう病気です。尿路結石症やミニチュアシュナウザーやトイ・プードルなどの犬種になりやすいと言われ、遺伝や食生活が原因の一つだと言われている病気です。


尿路結石症になると、動物病院で取り扱っている特別療法食を食べて結石を小さくし、経過を観察しながら、定期的に尿検査を行う治療を行います。しかし、結石が大きすぎてしまう場合や溶かすことのできない種類の結石の場合は、開腹手術を行い結石を除去することもあります。


ミネラルを過剰に摂取するとこれらの病気を引き起こす原因の一つとなりますので、注意が必要です。

犬が麦茶のパックを食べた!誤飲の際は獣医に診せよう

犬に麦茶を与えるときの注意点として、麦茶のパックを食べてしまわないように気をつけましょう。


麦茶のパックは誤って飲み込んでしまうと、体の中で消化することができないため胃や腸に詰まってしまい閉塞を引き起こす可能性があります。


閉塞を引き起こすと、すぐに手術が必要になります。特に超小型犬や小型犬は体が小さくすぐに閉塞を引き起こしてしまう可能性があります。放置すると命に関わる病気なので、誤飲してしまった場合はすぐに動物病院に連絡し指示を仰ぎましょう。


動物病院に連絡する前に

  • 麦茶のパックはどれくらいの大きさか
  • いつ飲み込んだか
  • どれくらいの量だったか

などの情報を整理してまとめておきましょう。


動物病院を受診するときには

  • 診察券
  • (持っていれば)保険証
  • キャリーケース・キャリーバッグ
  • ティッシュ・トイレットペーパー・ビニール袋
  • (初めていく動物病院の場合)ワクチンの証明書
  • (初めていく動物病院の場合)服用している薬
  • 飲み込んでしまった麦茶のパックや袋(残っていれば)

などを持参しましょう。


特に麦茶のパックは実際にどんな大きさなのか、パックの材質などの情報も診断の手がかかりになります。未使用の麦茶のパックやない場合は、麦茶パックが入っていた袋なども持参していきましょう


麦茶を作る時に麦茶パックを使用している場合は麦茶のパックの管理には注意が必要です。


麦茶のパックは犬がいたずらをしないように、犬や小さいお子様の手の届かない場所にしっかり保管しておきましょうね。

下痢等のアレルギーに注意!少しずつ飲ませるようにする


犬に麦茶を与えるときの注意点として、食物アレルギーの危険性があります。麦茶は麦を使ったお茶なので、麦にアレルギーを持っている場合はアレルギー症状が見られる可能性があります。


麦茶のアレルギーの症状は

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 皮膚の赤み・痒み
  • 脱毛・フケの増加 

などが見られます。


小麦、トウモロコシ、豚、牛などの食材アレルギー反応を起こす犬は多いため、もともとアレルギー体質の犬は控えたほうがいいかもしれません。


麦茶を初めて犬に与える時は少量飲ませ、体調を確認し、異常が見られなければ量を増やしていきます。麦茶を与える時は犬の体調が問題ない日に始めましょう。


麦茶アレルギーは下痢や嘔吐などのわかりやすい症状ではなく、皮膚の赤みや痒みなどの症状として現れることもありますので、定期的に毛をかき分けて皮膚の状態を確認しましょう。


万が一、これらの症状が見られて場合は麦茶を与えるのを止めて、かかりつけの動物病院を受診しましょう。


特に皮膚症状は悪化すると皮膚炎を引き起こすと完治までに時間がかかりますので、早めに受診することをオススメします。


夏場は熱中症対策に麦茶を飲ませたい場合はあらかじめ動物病院に相談し、アレルギー検査を行ってみるのもいいかもしれませんね。犬のアレルギー検査は採血をし、検査センターに外注し、だいたい1~2週間程度で結果が届きます。

麦茶以外に飲ませても良いお茶ってある?大丈夫な飲み物を紹介!

お茶にはたくさんの種類があります。紅茶、緑茶、烏龍茶、ルイボスティー、ジャスミンティー、黒豆茶などあり、香りや効果もそれぞれです。

麦茶は体を冷やす効果やリラックス効果など様々な効果がある飲み物ですが、麦茶以外にも犬に飲ませても良いお茶はあるのでしょうか。


ここでは、麦茶以外に犬が飲んでもいい飲み物についてご紹介します。麦茶が問題なければ、このお茶も大丈夫でしょうと安易に考えずに、調べてみてから試してみましょうね。

こんなお茶は飲ませても大丈夫!飲ませて大丈夫な飲み物は?

麦茶以外にも犬が飲んでも大丈夫な飲み物はたくさんあります。


例えば

  • 黒豆茶
  • たんぽぽ茶
  • ミントティー
  • コーン茶
  • ルイボスティー
  • ごぼう茶

などは犬が飲んでも問題ないようです。


これらのお茶は、飲んでも問題ないと言われていますが、飲む量・濃度やアレルギーについて注意が必要です。


初めて口にするものであれば、スプーン1杯から初めて1日は様子を見ます


下痢や嘔吐、皮膚の赤みや痒みなどの症状が見られる場合は、飲ませるのを中止します。症状が改善され場合はかかりつけの動物病院に相談しましょう。

カフェイン入りのお茶はダメ!こんな飲み物には注意!

犬に与える時に注意したいのがカフェインです。カフェインが入っているお茶や飲み物は与えてはいけません。


例えば

  • 紅茶
  • コーヒー
  • ココア
  • 緑茶
  • ウーロン茶
  • ジャスミンティー
  • ほうじ茶
  • 玄米茶

などの飲み物です。


これらの飲み物はカフェイン中毒を引き起こす恐れがあります。カフェイン中毒の症状は興奮、頻脈、痙攣、うっ血などで、致死量を摂取してしまうと死に至ることもあります。


独自に判断して、放置すると、犬の状態が悪化する可能性もあります。カフェイン中毒の恐れがある場合はすぐに動物病院に連絡し、治療を受けましょう。


そのため、犬に飲ませる飲み物はあらかじめ問題ないことを確かめ、カフェインが含まれているものは絶対に飲ませないようにしましょう。

まとめ:犬に麦茶を飲ませても大丈夫?適切な飲ませ方とは


ここでは、犬に麦茶を飲ませても大丈夫なのか、適切な飲ませ方についてご紹介しました。


この記事のポイントをまとめると

  • 犬に麦茶を飲ませても問題ない
  • 麦茶には熱中症対策やリラックス効果が期待できる
  • ヒト用を飲ませる場合は、2~3倍に薄める
  • 腎臓病や心臓病の犬や尿路結石症の犬は注意が必要
  • 麦茶のパックの誤飲には注意
  • 麦茶以外にも犬に飲ませてもいいお茶もある
  • カフェインが含まれているものは絶対ダメ

といった内容です。


夏場だけでなく、散歩や運動の後など火照った体を冷やすためにも活用できる麦茶ですが、飲ませすぎてもいけません。


適切な方法と適切な量を守り、熱中症対策に役立ててみてはいかがでしょうか。