犬の水頭症とは、脳脊髄液が脳室内に過剰にたまり、脳が圧迫を受けて様々な症状が出る病気です。完治する可能性は低く、長期的な治療が必要になる場合もあります。治療には投薬や手術の他に、トマトジュースによる症状改善の例もあります。症状や原因についても解説します。
この記事の目次
目次を閉じる犬の水頭症とは?
皆さんは「水頭症」という病気をご存知でしょうか?水頭症は、一度発症すると完治する可能性は低く、治療が長引く場合の方が多い恐ろしい病気です。
そこで今回「MOFFME」では、犬の水頭症について
- 犬の水頭症の原因や症状、治療方法、予防方法
- 水頭症にかかりやすい犬種や年齢
- 犬の水頭症はペット保険で補償されるか
以上のことを中心にご説明していきます。
この記事を読んでいただければ、水頭症の原因や予防方法についての理解が深まり、早期発見・予防に繋げることができます。
ぜひ、最後までご覧ください。
またMOFFMEでは、ペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。
水頭症とは髄液が頭蓋内に過剰にたまり、脳が圧迫を受ける病気
水頭症とは、脳脊髄液が頭蓋内に過剰に溜まり、脳が圧迫されて様々な症状が現れる病気です。
脳とくも膜の間には「脳脊髄液」という液体が存在しており、それによって外部からの衝撃が脳に伝わりにくくなっています。
この脳脊髄液が何らかの原因で過剰に溜まってしまうことで、脳が圧迫されて様々な障害を引き起こします。
脳脊髄液が通常の量よりも増えることで、脳が圧迫されてしまう水頭症ですが、その理由は大きく3つに分けられます。
- 髄液が作られすぎてしまう「産生過剰」
- 髄液が上手く循環しない「循環不全」
- 毛細血管などに吸収されるはずの髄液が吸収されない「吸収障害」
水頭症は一度発症してしまうと、完治することは難しいとされていますが、治療や手術等を行うことで、その症状を緩和させることは可能です。
水頭症の詳しい症状や治療法について、埼玉動物医療センターのサイトに詳しい記載があるので、ぜひ参考にしてみてください。
犬の水頭症の症状は?
水頭症の主な症状として、下記のような症状があります。
外見に現れる症状
- 頭部がドーム上に膨らんでいる
- 片側のみ、または両目が外側を向いている(外腹側斜視)
- 頭を触ると穴が開いているのが分かる(泉門開存)
- 常にぼーっとしている(沈うつ)
- なでたり、抱っこをしようとするとパニックになる
- けいれん発作がある
- くるくると回る
- 物によくぶつかるなど、上手く歩けない
- 睡眠時間が増える
- 元気がなくなる
- 食欲不振
- 感覚が鈍くなる
- 視覚障害
- 意識障害
水頭症の診断方法は?レントゲン検査やエコー検査などで発見可能
水頭症の診断方法は様々あり、以下のようなものがあります。
正確な診断のために、複数の検査法を組み合わせることもあります。
- MRI検査
- CT検査
- 血液検査
- エコー(超音波)検査
- レントゲン検査
- 脳波検査
- 脳脊髄液(CSF)検査
脳内の脳室は脳脊髄液で満たされていますが、水頭症になると液の量が多くなるので、脳室に圧力がかかります。
エコー検査では、液量が過剰になり圧力が増したことによる脳室の拡張を発見できます。
レントゲンやCT、MRIといった画像による診断も効果的です。
特に、MRI検査が最も水頭症を正確に診断できる方法とされています。
脳脊髄液(CSF)検査は、脳脊髄液を採取して異常がないか調べるもので、他の脳疾患の検査にも使われる方法です。
犬の水頭症の原因
犬の水頭症の原因には、先天性のものと後天性のものがあります。
先天性の原因
水頭症を発症する割合は先天性によるものが多く、好発犬種はあるものの具体的にどのような遺伝学的な要因が関わっているかは明らかにはなっていません。
主に、チワワなどの小型で短吻系の犬種が発症しやすいといわれています。およそ生後3ヶ月~6ヶ月で、様々な症状があらわれてくる場合が多いです。
後天性の原因
事故などの何らかの理由で外傷を負ったり、脳腫瘍や脳内出血、髄膜炎などを患ったりしたことが原因で、脳脊髄液の循環経路が塞がれる、あるいは脳内に一定循環しているはずの脳脊髄液が異常に分泌されることによって、水頭症を発症する場合があります。
犬の水頭症の治療・手術方法は?薬による内科治療と外科治療
犬の水頭症には、主に内科療法・外科療法を用いて治療を行います。
内科療法
脳圧を下げたり脳脊髄液の産生を抑えるために、利尿剤やステロイド剤の投与を行います。
症状が軽い場合や初期段階の場合では一時的に症状が改善されますが、内科療法だけでは再発する場合が多いといわれています。
重度の場合は、内科療法での改善はあまり期待できない、もしくは一時的である場合が多く、外科療法を必要とする可能性が高くなります。
外科療法
脳室と腹部にチューブを通して、余計な脳脊髄液を腹部に逃がすことで脳圧を下げる手術を行う場合があります。
その手術によって恒久的な臨床症状の改善がみられる場合もあれば、すでに受けている不可逆的な障害がある場合は回復しない可能性もあります。
この手術によって通したチューブは、感染などの問題が起こらなければ外すことはしません。
いずれにせよ、外科療法は水頭症の第一選択ではありますが、犬への負担が大きくかかるということと、手術をしたからといって必ず症状が改善するかどうかは分からないという点で、かかりつけの獣医師さんとしっかり相談したうえで、治療方法を選択してあげることが必要です。
治療費・治療期間の一例
- 診察・検査:50,000円程度
- 投薬治療:3,000~5,000円程度/月
- 外科手術:200,000~350,000円程度(入院は7日間程度)
犬の水頭症は、治療が長期化する可能性が高く、術後のケアも長期間行ってあげる必要があります。
水頭症の手術は難易度が高く、通院の回数も増えるため、水頭症の治療費は高額になるケースがほとんどです。
いざというとき、高額な費用を理由に治療を断念しないためにも、水頭症の治療費を補償してくれるペット保険に加入されると安心かもしれません。
犬の水頭症の予防法
先天的な原因による水頭症については、今のところ明確な予防方法はありません。犬の水頭症についての原因や症状をしっかりと理解して、早期発見に繋げることが最も効果的です。
水頭症は、小型犬に発症しやすいといわれていますが、すべての犬種に発症する可能性があります。
水頭症が発症しやすいとされている犬種の飼い主の方は、特に注意が必要です。後天的な原因による水頭症については、その原因となりそうなものを生活環境から排除することや定期検診を受けることで、早期発見・延命が可能になります。
どちらの原因においても、飼い主の方が日ごろから愛犬とのコミュニケーションや健康観察を行い、異常があればすぐに動物病院を受診することが重要です。
水頭症にかかりやすい犬種や年齢は?
先天的な遺伝によるものや、ケガなどの外傷や脳腫瘍などの後天的な原因によって発症する水頭症ですが、水頭症にかかりやすい犬種や年齢はあるのでしょうか?
水頭症にかかりやすい犬種、かかりやすい年齢について、それぞれ詳しくご説明します。
水頭症にかかりやすい犬種
水頭症にかかりやすいといわれているのは、主に下記のような犬種です。
- チワワ
- シーズー
- ポメラニアン
- ラサアプソ
- パグ
- ペキニーズ
- マルチーズ
- ブルドッグ
- ボストンテリア
- ヨークシャーテリア
- マンチェスターテリア
- ケアーンテリア
小型犬(特にアップルドーム型の頭をもつ犬種)がかかりやすいといわれている水頭症ですが、ケガや脳腫瘍などの後天的な原因で発症する場合もあるので、どの犬種でも発症する可能性はあります。
飼い主の方は犬種に限らず注意が必要ですが、水頭症にかかりやすいといわれてる犬種の飼い主の方は特に注意が必要です。
水頭症にかかりやすい年齢
遺伝による先天的な原因で発症する水頭症は、主に生後3~6ヶ月の間に症状が出ることが多いです。
それに対して、ケガや脳腫瘍などの後天的な原因で発症する水頭症は、いつどこでケガをしたり病気を発症したりするかは分からないため、発症しやすい時期や年齢は限定されません。
「もう子犬じゃないから、水頭症にはかからない」という油断は禁物です。成犬になっても、思わぬケガや病気によって水頭症を発症する可能性は十分にありますので、日ごろから健康状態のチェックは怠らないようにしましょう。
犬の水頭症はペット保険で補償される?
犬の水頭症は、残念ながら多くのペット保険で補償対象外になるケースが多いです。
前述の通り、基本的に水頭症は遺伝的な発症になるので、遺伝性疾患は多くのペット保険で補償対象外となるからです。
水頭症だと早期に診断されてしまった場合は、治療費はかなり高額になることも多いので、愛犬のための貯金をしておきましょう。
まとめ:犬の水頭症について
犬の水頭症について、お分かりいただけたでしょうか。
要点をまとめます。
- 水頭症は、脳脊髄液が頭蓋内に過剰に溜まることで、脳が圧迫されて様々な症状が現れる病気である
- 水頭症は一度発症すると完治する可能性は低く、治療が長引くことも多い
- 症状が重度の場合は、まっすぐ歩けなくなったり、転んだときに自力で立ち上がれなくなることもあるほか、命に関わるケースまであり得る
- 水頭症の診断にはMRI検査が最も有用である
- 水頭症は遺伝的な原因がほとんどであるとされているが、外傷や脳腫瘍などの後天的な原因によるものもある
- 治療方法は、利尿剤やステロイド剤の投与などの内科療法や、脳室と腹腔をカテーテルで繋ぐ外科療法がある
- はっきりした予防方法はないので、早期発見が重要となる
- 水頭症は残念ながらペット保険の補償対象外となるケースが多い
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