犬のアジソン病は副腎皮質ホルモンの不足により発症する病気で、別名副腎皮質機能低下症と呼ばれます。犬のアジソン病は基本的に治らない病気なので、一生涯薬による治療と定期的な検査が必要になります。ドッグフードなど食事をとりたがらないなどの症状や、治療費を解説します。
この記事の目次
目次を閉じる犬のアジソン病とは?
皆さんは犬のアジソン病をご存知でしょうか?
一般的には症例の少ない病気なので、認知度はそれほど高くはありませんが発症すると生涯に渡って治療が必要となる大変な病気です。
アジソン病とは、副腎皮質ホルモンの分泌量の減少により発症する病気です。
一見するとただの胃腸障害のように思える症状が一般的ですが、救急治療が必要になるくらいまで進行してしまう場合があるので、早期発見が大切です。
そこで今回「MOFFME」では、
- 副腎皮質ホルモンが不足すると?
- どんな犬種がかかりやすい?
- アジソン病にかかった場合の治療費は?ペット保険で補償される?
副腎皮質ホルモンの不足により発症する病気
アジソン病は、副腎皮質ホルモンの分泌量が減少して起こる病気で、「副腎皮質機能低下症」という別名もあります。
副腎皮質からは、グルココルチコイド(コルチゾール)とミネラルコルチコイドというホルモンが分泌されています。
コルチゾールは、抗ストレスホルモンで、ストレスから体を守り食欲を増加させます。
ミネラルコルチコイドは、電解質のバランスを整えます。
この2つのホルモンの分泌量が減少する事でさまざまな症状が引き起こされます。
では、アジソン病にかかるとどんな症状が現れるのでしょうか。解説していきます。
犬のアジソン病は食事をとりたがらないなどの症状
- フードなど食事をとりたがらなくなる
- 元気がなくなる、散歩を嫌がるようになる
- 嘔吐、下痢
- ふらつき
- 多飲多尿
- 震え
- 体重減少
- ショック
- 突然脱力
- 呼吸困難
- 意識障害
犬のアジソン病の原因
自然発生のアジソン病の原因は大きくわけて2つあります。
1つめはほとんどの症例があてはまるものですが、特発性の副腎萎縮により発症します。犬では詳細な原因は明らかになっていません。
萎縮する原因は分かってはいませんが、無理のかかる旅行やペットホテルに預けられる、散歩に連れていってもらえない、遊んでもらえないなどストレスを受けたときのタイミングで症状が出ることがあるようです。ストレスを感じやすい犬の場合はささいなことで発症してしまう可能性があるので要注意です。
2つ目は稀なのですが脳にある下垂体の部分の障害です。腫瘍や炎症などにより引き起こされるとされています。
また自然発生以外の医原性のものでは、大量、または長期間投与されていた副腎皮質ホルモン治療を突然中止した場合(医原性)に症状として現れる事があります。
どんな検査が行われる?アジソン病の診断方法とは
アジソン病を診断するための検査としては、
- 血液検査
- ACTH刺激試験
- 腹部エコー検査
などを行って診断をします。
まずは血液検査を行います。血液検査で見るのは電解質異常が無いかなどになります。
アジソン病を発症している場合、
- 高カリウム血症
- 低ナトリウム・クロール血症
など、電解質異常となっている場合が多くなるためです。
血液検査でアジソン病の発症が疑われた場合、次に行うのがACTH刺激試験となります。この試験は副腎皮質ホルモンの濃度を測定する試験となり、試験の結果、副腎皮質ホルモンが低いことが分かると、アジソン病と確定されます。
どの検査も麻酔等は必要なくそれほど痛い検査ではありませんが、ACTH刺激試験は投薬をしてから1時間後にまた採血が必要になります。
犬のアジソン病の治療法や治療費は?入院治療や投薬治療がある
アジソン病にかかった場合の治療法と治療費
副腎から分泌されるホルモンが減少して起こる病気なので、副腎皮質ホルモンを経口投与します。アジソン病は基本的に完治することのない病気です。
そのため、投薬治療は生涯に渡って続きます。
薬の投与量が多すぎるとアジソン病とは反対にホルモンの分泌量が多くなることで発症するクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)を起こす可能性があります。(医原性)
そのため適切な治療をするために定期的に通院し、血液検査や身体検査を行い薬の量を調節します。
治療費は、各病院により違いはありますが一度の診察で30.000円ほど掛かることがあります。
内訳は以下の通りです。
- 血液検査:5000円
- ホルモン検査費用:10000円
- 点滴:10000円
- レントゲン検査:2000〜3000円
- 尿検査:2000〜3000円
- 注射:2000~3000円
その他にも別途薬代が掛かります。
基本的に生涯、毎日飲み続けなければならない薬の価格は非常に高額です。価格は各病院によって違ってきますが一錠400~700円ほどになるようです。例えば一錠400円の薬を一日2錠与えると一日800円、1ヵ月24.800円掛かる計算になります。
入院が必要になる場合の入院費
急性の場合には危険な状態であることが多いので緊急入院をし血液検査、静脈内の点滴を行います。自力で水が飲めるようになったり、フードを食べれるようになると退院できます。
入院をした場合、入院費のほかに治療費、薬代が必要になってくるので入院費用は高額になります。
アジソン病は手術が必要か?
アジソン病の治療は薬の投与が中心となります。なので手術は必要ないようです。
犬のアジソン病の予防法
アジソン病には具体的な予防法はないと言われています。
しかし、原因の一つとしてストレスが掛かることと言われているのでストレスを掛けない生活環境を整えることが大切です。
また、獣医師から体調管理の仕方や、食事指導を受けて強い身体づくりを心掛けるのも良いかもしれません。
そして何より少しでも異常を感じたらすぐに病院へ連れていきましょう。
早期発見、早期治療が大切です。
すでにアジソン病にかかっている犬に対しては、元気になったからと言って投薬治療をやめると病気が再発し、ショックを起こしてしまうので自己判断での投薬中止はしないことです。
そして、ストレスを受けないように注意してあげてください。
アジソン病にかかりやすい犬種や年齢は?
アジソン病にかかりやすいのは洋犬が多く和犬はかかりにくいようです。
特に多いのがテリア系や大型犬と言われています。
また、年齢は4歳ごろの若年の犬から6歳頃のメスに多いようです。
アジソン病にかかりやすい犬種
アジソン病にかかりやすい犬種としては
- スタンダードプードル
- ロットワイラー
- ウェストハイランドホワイトテリア
- グレートデン
- ポーチュギーズウォータードッグ
- ソフトコーテドウィートンテリア
アジソン病が発症しやすい年齢
アジソン病には発症しやすい年齢があり、発症しやすい年齢として、
- 4~7歳
- 7~8歳のメス
が挙げられます。
アジソン病が発症した7割は4~7歳と言われているようです。
また、トイプードルの場合、1~2歳で発症することが多くなると言われています。
比較的若い犬がかかりやすい病気と言えます。治療が遅れると寿命を縮めてしまう可能性もあるため、早期発見・早期治療を心がけるようにしましょう。
犬のアジソン病はペット保険で補償される?
犬のアジソン病はペット保険で補償されるのでしょうか。
慢性的な病気となるアジソン病。一度の治療費もなかなか高額になっています。そこで心配なのが治療費ではないでしょうか。
結論から言えば、犬のアジソン病はほとんどのペット保険で補償対象となっています。
アジソン病は若い犬でも発症する可能性のある病気です。治療費も高額になることが多く、しかも完治が困難なため、通院する必要が出てきます。
高額な治療費を通院の度に払うのは、飼い主さんにとっても大きな負担となってしまいます。金銭的な不安がなく、愛犬を治療してあげるためにも、ペット保険に加入しておくことをおすすめします。
また、アジソン病にすでにかかってしまった場合、ペット保険に加入することを断られてしまう場合もあるので、注意しましょう。
まとめ:犬のアジソン病について
いかがでしたか?ここでは犬のアジソン病についてご紹介しました。
ここでご紹介したことは、
- アジソン病は副腎が萎縮してしまい、副腎皮質ホルモンの分泌が低下して症状を起こす病気
- アジソン病の症状は食欲不振や下痢・嘔吐などで、急性期はアジソンクリーゼと呼ぶ
- アジソン病の原因の一つにストレスがある
- アジソン病の診断は血液検査とACTH刺激試験
- アジソン病にかかりやすいのはテリア系や大型犬
- 発症の多い年齢は4~7歳
- アジソン病はペット保険で補償される
になります。
アジソン病は若い犬の方がかかる可能性の高い病気となります。一度かかってしまうと完治することが難しいため、末期になる前に気付いてあげることが肝心です。愛犬の寿命を縮めてしまわないよう、早期発見・早期治療をするようにしましょう。
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