犬のチェリーアイをご存知でしょうか。第三眼瞼腺脱出とも呼ばれるこの病気、軽いものなら目薬での治療や自然治癒が見込めますが、放置して悪化すると手術を要する厄介な病気です。そんな犬のチェリーアイについて、今回は症状や原因、治療法、手術費用等を紹介します。
この記事の目次
目次を閉じる犬のチェリーアイとは?見た目が怖い?
- チェリーアイってどんな病気?治療方法は何があるの?
- なりやすい犬種ってあるの?年齢は関係あるの?
- ペット保険の対象なの?
涙を生産している腺組織が飛び出してしまう病気
犬の目には、涙液の一部を生産するはたらきがある腺組織の第三眼瞼腺というものがあります。
チェリーアイとは、その涙を生産している第三眼瞼の腺の結合組織が無い又は弱い場合に、第三眼瞼腺が通常の部位より外に出てしまい(脱出)、赤く膨れ上がってしまっている病気のことをさします。
ちなみに、この病気の正式名称は「第三眼瞼腺脱出」ですが、膨れ上がった状態からさくらんぼのようにみえることから、チェリーアイと呼ばれるようになりました。
では、どのような症状が出て、そのサインは分かるものなのか、原因とは何なのか、具体的な治療方法など、詳しくチェリーアイについて取り上げていきます。
りほの動物病院の公式サイトに、犬のチェリーアイについて詳しく記載されておりますのでぜひ一度ご覧ください。
犬のチェリーアイの症状
チェリーアイの具体的な症状は、目頭から赤い(ピンクの)かたまりが飛び出してきます。外見で判断できる上に、ネットなどで画像がありますので、すぐに気づくと思います。
粘膜が露出しており、疼痛や炎症など結膜炎を引き起こすので、もちろんのことですが犬は気になります。なので、目をこする動作をしたりします。これは眼球を傷つけたりする可能性が高く、感染症のリスクが上がってしまうので注意してください。
また、涙がよく出る、目が充血するといった症状が出ますので、そのサインも見逃さないようにしましょう。片目だけでなく両目に症状が出る場合もあるので覚えておいてください。
軽度の炎症の場合、自然治癒で治る場合もありますが、必ず動物病院に連れて行き、獣医師のに診てもらうようにしましょう。
犬のチェリーアイの原因は?遺伝要素が強い?
それでは、チェリーアイになってしまう原因は何なのでしょう。
ある日突然起きてしまう可能性もありますが、実は遺伝的なものによる可能性があります。
この遺伝的なものですが、犬種によって生まれつき涙を生産している腺組織と、骨の膜をつなげている力が弱い犬種がいて、その遺伝性が深く関与しているとされています。詳しい犬種は下記の項目にて取り上げていますので、ご覧ください。
犬のチェリーアイの治療法・手術法!目薬を使う?自然治癒は?
もしチェリーアイになってしまった場合、色々な治療方法があります。
応急処置として、綿棒などを使う戻し方もありますが、目の周囲や角膜を傷つけてしまう場合がありますので、ご自身で行わず動物病院でやってもらいましょう。
治療方法の方針としては、炎症を抑えて腫れを引かせ、様々な方法で飛び出してしまったものを元の位置に戻すというものになります。
具体的な方法として、軽度の場合は、炎症を抑える目薬を使用する場合が多いです。そして、目をこすらないようにエリザベスカラーなどを犬につけます。しかし、あまり効果ない、もしくは再発も多いため、その場合手術が必要になります。
手術による治療法は2種類あって、一般的には飛び出してしまったものを正常の位置に戻し、縫い合わせる方法をとります。
もう1種類は、涙を生産している腺組織である第三眼瞼を取り除いてしまう手術方法です。この方法は有効なのですが、弊害として涙が生産されづらくなってしまい、ドライアイなど違う悪影響を及ぼす可能性があります。
一般的には、この方法をとることは昔はあったのですが、今では少なくなっています。どの治療方法にも言えることですが、この病気は再発する可能性があります。
片方の目が発症して改善したとしても再発する可能性はありますし、時間差でもう片方の目に出現することも多いですが、なるべく早期の治療が大切ですので、決して放置せず、動物病院に連れて行ってください。
チェリーアイの症状があるのに治療せず放置するとどうなる?
チェリーアイを放置すると、その症状が悪化するだけでなく、角膜炎や結膜炎など、別の眼疾患を引き起こすおそれがあります。
このような合併症を患ってしまうと、ペット自身はもちろん、それを見ている飼い主にとってもつらいものがあります。
もちろん治療費もかさみますので、経済的な負担も増してきます。
そうならないために、日頃から愛犬の眼の様子を注意深くチェックしましょう。
涙の量や、目頭に赤いものがないかということがチェック項目です。
チェリーアイに限らず、病気の治療には早期発見が大切です。少しでも異常を感じたら、すぐに病院に連れていきましょう。
チェリーアイにならないための予防方法はあるのか
当たり前ですが、チェリーアイにはならないに越したことはありません。
そこで気になるのが、チェリーアイの予防方法ですね。
それでは、チェリーアイはどうすれば予防できるのでしょうか。
残念ながら、チェリーアイは遺伝的要素によるところが大きいため、予防することは困難です。
涙を生産する腺組織と骨の膜をつなぐ結合組織に、生まれつきの異常を抱えている犬がいます。
これが、チェリーアイの原因の大半を占めるという事実があります。
犬のチェリーアイになりやすい犬種・年齢は?
チェリーアイの原因を取り上げたときに解説しましたが、このチェリーアイは先天性によるものであるケースが多いです。なので、どうしてもなりやすい犬種というのも存在します。
また年齢も影響しますので、ぜひ自分の愛犬はどうなのかチェックしてみましょう。
犬のチェリーアイになりやすい犬種は?
原因でも取り上げたように、遺伝の影響で生まれた時から、涙を生産している腺組織と骨の膜をつなげている力が弱い傾向の犬種がいます。
先天的にチェリーアイになりやすい傾向のある犬種は
- ビーグル
- フレンチ・ブルドッグ
- ボストン・テリア
- ペキニーズ
- セント・バーナード
- シー・ズー
これらの犬種が、チェリーアイになりやすいと言われています。
犬のチェリーアイになりやすい年齢は?
先ほどは犬種について取り上げましたが、次は年齢についてです。外傷などが原因の場合は、特に年齢による影響はありません。しかし、先天性の場合にはなりやすい年齢があります。
遺伝の関与による先天性の場合、生後半年から2歳ほどの1歳前後の若い犬がなりやすいといわれています。
高齢犬でチェリーアイのような症状が出た場合、チェリーアイの可能性も無いわけではありませんが、ほかの病気である可能性もあります。
具体的に、第三眼瞼腺の脱出などではなく腫瘍になってしまっている扁平上皮癌やリンパ腫といわれるリンパ球の悪性腫瘍の可能性があります。
高齢犬は免疫力の低下の影響もあり、症状も早く進んでしまう可能性があるので、症状が出たら迷わず獣医の方に診てもらいましょう。
犬のチェリーアイはペット保険で補償される?
実際に愛犬がチェリーアイになってしまい病院のお世話になるときに、ペット保険の補償は対象内なのでしょうか。一般的にチェリーアイはペット保険の対象になっています。
しかし、ペット保険のプラン内容によっては、ペット保険の補償の開始後に発症および発見された傷病が対象になる場合や、今回のチェリーアイのように、先天性による病気の場合、いつ発症したかなどに限らず、補償から外れてしまう可能性もあります。
先天性による場合は、例外や条件などもそれぞれのペット保険のプランによって異なってきますので、加入している業者に問い合わせましょう。
もし仮に、チェリーアイになってしまった場合の手術費用は、あくまでおおよそですが、手術の場合は7万円から10万円ほど費用が発生します。
その他にも、初診代や入院が必要な場合は入院費などの費用が掛かります。下の表はあくまで例ですが、もしチェリーアイを発症してしまった場合には、これぐらいのお金がかかるとイメージしておいてください。
仮に、都内の動物病院にて診察を行った場合の費用の例を紹介します。
項目 | 費用 |
---|---|
初診料 | 1,500 |
眼科査料 | 4,000 |
入院費(1泊) | 5,000 |
手術費 | 90,000 |
合計 | 105,000 |
もちろん、これに薬が処方される場合は、さらなる費用負担が必要です。
保険に加入していないと、これらが全額自己負担になってしまうので、治療の費用を抑えるためにも、ペット保険に入っていない飼い主の方がいましたら、ペット保険へ加入することをおすすめします。
まとめ:犬のチェリーアイについて
犬のチェリーアイについてお分かりいただけたでしょうか。
今回の記事のポイントは以下のとおりです。
- チェリーアイとは、涙の一部を生産する第三眼瞼腺が脱出し、結膜が炎症を起こし赤く膨れ上がるように見える病気である
- 涙がよく出る、目が充血するといった症状が出るので、そのサインを見逃さないことが治療に役立つ
- 遺伝的要素が大きいので、予防は難しい
- 脱出している期間が長いほど症状が悪化することが多いので、異常を察知したらすぐに病院に連れて行く方がよい
- 先天性の要因によるチェリーアイは、生後半年から2歳ほどの若い犬が罹ることが多い
- チェリーアイはペット保険で補償対象となっていることが多いので、特に好発犬種は若齢のうちから加入しておくのがおすすめ
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