愛犬の血便や血尿、鼻血が止まらない、皮膚に内出血があるときは、血小板減少症かも?軽症では症状はみられませんが、重症だと入院・再発も多い難病です。ただ適切な処置によって回復する可能性はあります。今回は犬の血小板減少症について症状や原因、治療法を解説します。
この記事の目次
目次を閉じる犬の血小板減少症とは?
犬の血小板減少症と聞いてピンとくる方は多くないと思います。なんとなく漢字が多くて難しそうだなといった印象を受けるかもしれません。
愛犬の血便、血尿、鼻血が止まらないと誰だって心配になりますよね。実際に動物病院でこの病名を聞いても、事の重大さに気付く人は非常に少ないです。わけのわからない病気を相手にしたら、とても不安になりますよね。
そこで今回「MOFFME」では、
- 犬の血小板減少症の症状、原因
- 犬の血小板減少症の治療法
- どんな犬がかかりやすいのか
- 犬の血小板減少症はペット保険で補償されるのか
出血が止まりづらくなる病気
血小板減少症とはどんな病気なのでしょうか。犬の血液中には血小板という細胞が存在しています。血小板は止血において重要な働きをしています。
すなわち、血小板には血を止める役割があり、血小板が少なくなると血が止まりにくくなります。
では、この血小板が少なくなると何が起こるのでしょうか。血管を修復するための材料が少なくなってしまうので、血が止まりにくくなってしまうのです。
普段、私たちが生活している中で、例えばどこかに体をぶつけたとします。そんな些細なことでも、体の中では毛細血管からの出血が起こっている可能性があります。その出血が止まりにくくなってしまったとしたら……考えただけでも恐ろしいですよね。
では、どうすれば血小板減少症に早く気付いてあげられるのでしょうか。犬の血小板減少症の症状、原因、治療について説明します。
犬の血小板減少症の症状は?吐血や血便、鼻血が多い?
血が止まりにくくなるため、出血傾向がみられます。
その症状としては、
- 点状出血:口腔粘膜や皮膚に小さな赤い点々が見られる
- 紫斑:皮膚の薄い所に内出血の跡のような斑状の模様が見られる
- 吐血・血便・下血:消化管粘膜における出血
- 血尿:泌尿器系における出血
- 鼻出血:鼻粘膜における出血
- 発熱
- 貧血
犬の血小板減少症の原因は?再発する可能性も?
健康であれば体内で一定の数を保っている血小板ですが、なぜ減少してしまうのでしょうか。
血小板は骨髄で生産され、脾臓で破壊されますが、この産生と破壊のバランスが破綻してしまうと、血小板の数が減少します。また、骨髄で作られた血小板が片っ端から体内で破壊されてしまうこともあります。
つまり、
- 血小板の産生低下:感染症、白血病や悪性リンパ腫、再生不良性貧血など
- 消費や破壊の亢進:DIC、免疫介在性血小板減少症など
- 分布の異常:脾腫など
- その他:遺伝性、薬剤性など
血小板の産生低下
消費や破壊の亢進
犬の血小板減少症の治療方法は?回復するの?
犬の血小板減少症に対する治療法を紹介します。
何が原因となっているかで治療は変わりますが、おおよそ以下のようなものがあります。
- 基礎疾患の治療:腫瘍や感染症が原因の場合、その原因疾患を取り除くことが必要です。
- 輸血:根本的な治療としてではなく、あくまで補助として行います。
- 免疫抑制量の副腎皮質ホルモンを投与:免疫介在性のものであれば、自己の過剰な免疫を抑える必要があります。
- 抗生物質の投与:免疫抑制剤の投与によって、外からの異物の侵入に対する防御が低下してしまうので、感染を予防するためにも抗生物質は必須となります。
- 免疫グロブリン療法:ヒトのγグロブリン製剤(ガンマガードなど)が自己免疫疾患に効果があることが報告されています。
どうやってわかる?血小板減少症の診断方法を紹介
犬の血小板減少症を診断する方法としては、
- 血液検査
- 尿検査
- X線検査
- 超音波検査
などがあります。
血小板減少症は主に血液検査で診断されます。血液中の血小板の数が正常値の下限である20万/μL以下の場合、血小板減少症と診断されます。とはいうものの実際にはこれだけで診断するわけではなく、凝固系の検査をしたり、血液検査以外の検査をして原因をつきとめたりして、総合的に判断します。
尿検査やX線検査、超音波検査なども行い、なぜ血小板が減少してしまっているのか、原因となっている他の病気を探します。原因によって治療法が変わってきます。
定期的な健康診断も早期発見に有効です。
血小板減少症の予防方法はあるのか
可愛い愛犬が血小板減少症で苦しむ姿は見たくありませんよね、血小板減少症には予防方法はあるのでしょうか?
血小板減少症には明確な予防方法がありません。そのため、早期発見・早期治療がとても重要になってきます。
血小板の数が減ってしまうと、出血がなかなか止まらなくなってしまいます。目に見える場所で出血していれば、止まらないことにすぐ気づくかもしれませんが、体内など見えない場所で出血してしまうと大変なことになってしまいます。
犬の出血がなかなか止まらなかったり、血尿や点状出血のような内出血が見られた場合、なるべく早く動物病院を受診することをおすすめします。
犬の血小板減少症になりやすい犬種、年齢は?
犬の血小板減少症が恐ろしい病気だということは理解していただけたかと思います。
しかし、この血小板減少症になりやすい犬種、年齢もあります。ご自身の愛犬が当てはまっていないか、チェックしていきましょう。
犬の血小板減少症になりやすい犬種
遺伝的に免疫介在性血小板減少症になりやすい犬種を紹介します。
- ダックスフント
- トイ・プードル
- ヨークシャー・テリア
- ボストンテリア
- ペキニーズ
- シーズー
犬の血小板減少症になりやすい年齢
子犬の時期は感染症に対する注意が必要です。基本的にはワクチン接種や予防薬での予防が可能ですが、特にまだ免疫系統が整っていない生後間もない子犬は要注意です。
成犬は特発性の自己免疫疾患による血小板減少症に注意が必要です。特発性とあるように、残念ながら自己免疫疾患はどの年齢でも発生する可能性があります。
老齢期は腫瘍に対する注意が必要です。
原発性免疫介在性血小板減少症はどの年齢にもみられる可能性はありますが、中年齢に多く発症する傾向にあります。
いずれの場合でも、定期的に動物病院での検診をお勧めします。
犬の血小板減少症はペット保険で補償される?
犬の血小板減少症はペット保険で補償されるのでしょうか。
結論から言えば、基本的にはペット保険での補償対象となります。
病院によって医療費は様々ですが大体以下のようになります。
- 診断のための検査(血液検査、画像検査、骨髄検査など):3~5万円
- 輸血(血液適合試験などを含む):5~10万円
- 免疫抑制剤などの投与:2~3万円
- 入院:1日当たり2~3万円
- 退院後の定期的な検査と投薬:1回当たり1~2万円
まとめ:犬の血小板減少症について
いかがでしたか?ここでは犬の血小板減少症についてご紹介しました。
ここでご紹介したことは、
- 犬の血小板減少症は、血液中の血小板が減り、血が止まりにくくなってしまう病気
- 血小板減少症の症状としては、点状出血・血尿・血便・鼻血など
- 血小板減少症の原因には他の病気が関係しているため、原因を探ることが重要
- 治療方法としては、基礎疾患の治療・輸血・免疫抑制剤の投与など、原因により様々
- 診断方法は血液検査で血小板の数を確認する
- 血小板減少症の明確な予防法はない
- 血小板減少症は小型犬や短頭種がかかりやすい
- 血小板減少症の治療費は2~10万円ほどと高額になることが多い
になります。
犬の血小板減少症は手遅れになると命に関わる怖い病気になります。予防法が無いため、少しでもおかしいと気づいた時点で動物病院を受診することをおすすめします。
MOFFMEでは他にも保険に関する記事を多数掲載しています。興味のある方はぜひ参考にしてください。