【獣医師監修】犬の股関節形成不全とは?原因や症状、治療法や予防法について解説!のサムネイル画像

愛犬の座り方や歩き方がおかしい、運動をしたがらない、なんてことはありませんか?それ、股関節形成不全かもしれません。放っておいて悪化すると、手術が必要になるかもしれないやっかいな病気、股関節形成不全。今回はその原因や症状、治療法やリハビリについて徹底解説します!

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬の股関節形成不全とは?

愛犬の歩き方や座り方に違和感を感じたら、それは股関節形成不全かもしれません。厄介な病気ではありますが、命にかかわることはありませんので安心してください。


しかし、早く治療に入らないと痛みがあるのでとても可哀想です。


そこで今回「MOFFME」では、犬の股関節形成不全について、

  • 犬の股関節形成不全とはどんな病気か?
  • 股関節形成不全になりやすい犬種や年齢
  • 股関節形成不全の治療費
  • 股関節形成不全に対するペット保険の対応

以上のことを中心に説明します。


この記事を読んでいただけたら、犬の股関節形成不全が良く分かりますのでぜひ最後までご覧ください。


またMOFFMEではペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧下さい。

成長期に股関節に異常が起きる病気


犬の股関節形成不全とは、大腿骨と骨盤の結合が緩いために関節に炎症が起こり、痛みのため歩行困難が生じる病気です。

正常であれば股関節と骨盤はしっかりと噛み合いなめらかに動く構造をしていますが、骨の形成異常で摩擦が生じ炎症を起こしてしまいます。

関節に炎症が生じると痛みが発生するため、犬はあまり動かなくなり、動く時も不自然な動きをするようになります。

痛みのために犬のQOL(生活の質)が著しく低下しますので早めの処置が必要になります。

犬の股関節形成不全の症状!歩き方、座り方が変?

犬の股関節形成不全の症状は以下の通りです。
  • 足取りがおかしい(不自由な感じ)
  • お座りで足を投げ出したような座り方をする
  • 歩いている時に腰が左右に大きく揺れる(モンローウォーク)
  • 後ろ足を同時に前に出す(うさぎ飛び走行)
  • ジャンプや階段など足に衝撃のある行為を嫌がる
  • 走らなくなる
  • うつむいて歩く
1歳未満で突然発症することが多いとされています。

生後6ヶ月未満ですでに発症している事が多く、6ヶ月を過ぎた頃から痛みの症状が現出して飼い主さんが気付くことが多いようです。

一番活発で動き回る時期ですが、子犬らしいハツラツさが見られないことでも気付きやすいでしょう。

成長期をすぎると痛みは和らぎ症状も落ち着いてくることが多いですが、骨の形成異常が治ったわけではなく軟骨でかろうじて衝撃が和らいでいるだけですので、若齢でしっかりと治療を受けて改善してあげる必要があります。

そうしないと軟骨の減りが健常な犬より早くなり、高齢になってから再び股関節形成不全で苦しむことになります。

犬の股関節形成不全の原因!過剰な運動はダメ?

犬の股関節形成不全の原因は、疾患遺伝子を持った個体を使った交配で遺伝子が受け継がれることが原因で発症すると考えられています。または肥満や過剰な運動も悪化因子になることがあります。

特に、犬の股関節形成不全を起こす確率が高い犬種と、肥満や過剰な運動の生活習慣が重なると発症率は高まると言われています。

股関節形成不全のリスクが高い犬種は、肥満にさせないように一生を通じて食事に気を使う必要があります。

そして運動ですが、過剰に動くのは良くありませんが、動かないのも肥満を招くので良くありません。

犬の股関節形成不全のリスクを抱える子は、まず思う存分運動させてみて痛みが出るようなら次は少し控えめにして運動量の調節を行います。運動しても痛みが出ないところを見つけてその運動量を守っていくようにしましょう。

これをトライ&エラー・プロセスと言って、病気を抱えるペットの運動量を把握するために行われている方法です。

犬の股関節形成不全の治療・手術方法

犬の股関節形成不全の治療は大きく分けて以下の2つになります。

  • 内科療法(投薬、運動療法、食事療法、リハビリ)
  • 外科療法(手術)

どちらの治療も目指す着地点は、痛みを軽減し関節の機能を正常化または改善することです。ひとつずつ説明していきます。

犬の股関節形成不全の内科療法とは?

犬の股関節形成不全ではまず内科的療法での治療を検討され、投薬運動食事療法、そしてリハビリを症状に応じて行っていきます。


投薬は抗炎症剤や鎮静剤を主に処方されます。最近は良い薬も見つかり、薬のみで犬の痛みを抑え生活の質を向上させている例もあります。


運動と食事療法は肥満を防ぐ目的と、筋力をアップして関節を支える力を維持するために行われます。


リハビリ(理学療法)はマッサージやストレッチ、水中歩行などが行われます。


67%の飼い主が「内科療法で満足いく改善が得られた」と答えているアメリカのデータも存在します。

犬の股関節形成不全の外科療法とは?

犬の股関節形成不全では、まず内科療法を行ってみて良好な結果が得られなかった場合に、第二選択として外科療法(手術)を選ぶという流れになります。


現在まで様々な手術法が試されてきましたが、現時点で有効だとされ広く行われているのが、大腿骨の頭を痛みが出ないように整える大腿骨頭切除術です。


しかし、20キロ以下の犬は経過は概ね良好なのですが、それ以上の体重の子は経過があまり良くないのが現実です。


そこで現在、新しい手術法が日本にも上陸してきました。欧米で盛んに行われている手術ですが股関節全置換術といい、股関節を人工関節に置き換える方法です。


今のところは経過は良いのですが、術後年数を経た時の状態がまだ把握されていない不安と、最新の術式で手術費用が高額になる点がネックではあります。

犬の股関節形成不全の予防法

犬の股関節形成不全は遺伝性であることが多いですが、30%は環境によるもので、運動や食事の与え方で発生確率はかなり変わると言われています。

一昔前の大型犬の飼い方ですが、大型犬は急に体が大きくなり食欲も旺盛なため、若い間は栄養価の高いエサを好きなだけ与え、エサとは別にカルシウムも与えたほうが良いと言われていたので多くの飼い主さんはそうしていました。

しかしこの生活習慣は、犬の股関節形成不全のリスクを高めることが近年明らかになってきました。

体が急に大きくなるからと言ってエサをたくさん与える必要はなく、カルシウムもドッグフードに含まれている量で充分で、現在はドッグフードを適量与えておくほうがリスクが少ない飼い方だと言われるようになっています。

そのように、股関節形成不全のリスクを抱えた犬種は、絶対に太らせることなく痛みが出ない程度の運動もさせて、上手に飼育していくことが予防症状軽減に繋がります。

そして股関節形成不全のリスクがある犬種は骨が育つ1~2歳の頃に、股関節形成不全が出ていないかを確認するためレントゲン検査を受けておくことをおすすめします。

適切な治療を受けて痛みが発生しないようにすれば、生活の質を落とすこともなく元気に暮らすことができます。

犬の股関節形成不全になりやすい犬種、年齢は?


犬の股関節形成不全はなりやすい犬種があると言われています。そして気を付けて観察をしなければいけない年齢も存在しています。

どんな犬種がいて、どの年齢が要注意なのでしょうか。順に見ていきましょう。

犬の股関節形成不全になりやすい犬種は?

犬の股関節形成不全を発症しやすい犬種は、交配が盛んに行われている人気の大型犬に多いと言われています。
  • ゴールデンレトリバー
  • ラブラドールレトリバー
  • ジャーマンシェパード
  • ニューファンドランド
  • バーニーズマウンテンドッグ
大型犬は急な成長の際に骨の形成異常が出やすいと言われていますが、レトリバー系の人気犬種は遺伝的な要因も重なって、よく注意をして見ておいたほうがいい犬種となります。

犬の股関節形成不全になりやすい年齢は?

先天性や遺伝での股関節形成不全の場合は、生後6ヶ月頃から症状が出始めると言われています。

それより以前だと検査をしてもまだわからず、多くの飼い主さんは生後6ヶ月~1年くらいで異変に気付き動物病院に駆け込む方が多くなります。

大型犬を飼っている方は症状が出ていなくても、生後1年頃に一度病院へ連れて行ってレントゲンで股関節の状態を確認してもらいましょう。

その年齢を過ぎても油断は禁物です。

体重を増やしすぎないように、適度な運動は必要ですが過度な運動は避けるように予防的な飼育法を行っていくことが大切です。

犬の股関節形成不全はペット保険で補償される?手術費用は高い?

犬の股関節形成不全はペット保険で補償されるのでしょうか。


またここまで犬の股関節形成不全について見てきましたが、ところで股関節形成不全はどのくらいの治療費なのでしょうか。


現在広く行われている大腿骨切開術の手術費用の一例です。犬種はセントバーナードで、手術は1回、入院6日のデータです。

手術費用
診察700円
検査35,000円
全身麻酔35,000円
手術300,000円
入院35,000円
術後の薬6,000円
合計411,700円

大型犬は全身麻酔の量も多くなり何かと費用がかさみます。病院の料金体系により金額は前後しますが、おおよそ40万円前後を覚悟しておいたほうが良さそうです。


内科療法でも長期の通院の必要があり、手術ほどではないにしても相当の経済的負担になります。これをペット保険で補償してくれたら助かるのですが、股関節形成不全は補償対象なのでしょうか?


詳細は希望されるペット保険の補償内容をしっかり確認していただきたいのですが、契約時点で股関節形成不全を発症していなければ加入できるペット保険はあります


レトリバー系でリスクが高いと分かっていても、契約時点で健康であれば加入が認められて、補償開始後に股関節形成不全を発症すれば保険金は支払われます。


リスクが高い犬種を飼ってらっしゃる場合は、ペット保険で高い治療費に備えておくことは賢い選択です。治療費が払えずに愛犬に痛みを強いることだけはないようにしてあげましょう。


ただし、ペット保険は加入してから1ヶ月ほどの待機期間を設けているところがほとんどです。今、股関節形成不全の疑いがあるなら早めの加入をされたほうがいいかも知れません。

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まとめ:犬の股関節形成不全について

犬の股関節形成不全について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 犬の股関節形成不全は関節の接合が悪く痛みが出る病気
  • 遺伝要因70%、環境要因30%で発症する
  • 予防は太らせないこと、運動させすぎないこと
  • 股関節形成不全になると手術費は高額
  • ペット保険は補償開始後の発症なら補償対象となるところがある

でした。


歩き方に違和感がある、子犬なのに活発さがない、座り方が変など、分かりやすい症状が出ますので、そういった異変をいち早く察知してすぐに治療を開始すれば内科療法でしのげるかも知れません。


命にかかわるような病気ではないので、慌てず悲観せず対処することが大切です。パニックにならないためにもペット保険の安心感は備えておいたほうがいいでしょう。


MOFFMEでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。