本記事では 犬の股関節脱臼について紹介しています。股関節脱臼の症状や原因、治療・手術方法、予防方法、保険で費用が適用されるか等を紹介しています。股関節脱臼の治し方は大腿骨頭切除や整復処置、放置して治す自然治癒等があり、それらの違いについ詳細に説明しています。
この記事の目次
目次を閉じる犬の股関節脱臼とは?
犬の股関節脱臼をご存知でしょうか。
病気の名前から大体どんなものであるかは想像できるかもしれません。
では、実際に愛犬が股関節脱臼になってしまったら。
愛犬が辛そうにしているのを見るのは耐えられないと思いますが、それと同時にどんな治療が必要になるのか、その費用はどのくらいかかるのかなどの不安もありますよね。
そこで今回「MOFFME」では、
- 股関節脱臼ってどんな病気?
- 股関節脱臼にかかりやすい犬種や年齢
- ペット保険で股関節脱臼は適応されるのか
犬の後ろ足の股関節の骨が関節から外れた状態のこと
まず、股関節脱臼とはどのような病気なのでしょうか。
犬の股関節は、骨盤にある寛骨臼と呼ばれるくぼみと、大腿骨にある大腿骨頭と呼ばれる出っ張りが組み合わされて構成されています。
深いお皿にボールがはまり込んでいる状態を想像していただければわかりやすいかと思います。
股関節脱臼は読んで字の如く、この太ももの付け根にある股関節が外れてしまう状態を言います。
脱臼しているかは目に見えるわけではありませんから、日頃の観察が早期発見に繋がります。
では、股関節脱臼に陥ってしまった場合どのようなことが起こり、また、どのように対処すればよいのでしょうか。
股関節脱臼の症状、原因、治療や予防について解説していきます。
犬の股関節脱臼の症状
「脱臼」と聞いてまず思い浮かぶことと言えば「痛い」ことだと思います。
犬の股関節脱臼も例外ではなく、太ももの付け根に強い痛みを伴います。
その症状としては、
- 後肢の跛行(後ろ足をひきずる)
- 後肢の挙上(後ろ足を上げて三本足で歩く)
- 後肢を触られることを嫌がる
- 散歩に行きたがらない
犬の股関節脱臼の原因
犬の股関節脱臼の原因としては外傷性によるものが多いです。
つまり、一時的に股関節に強い力が加わり、関節が外れてしまうのです。
交通事故によるものが最も多いとされていますが、階段から転落したり、抱っこしている腕の中から飛び降りたりするなど、室内でも十分に起こりえます。
また、生まれつき寛骨臼が浅く、股関節が外れやすくなってしまう股関節形成不全も大きな要因の一つとなります。
股関節形成不全は特に大型犬に多いとされているので、症状があるときは一度X線検査を受けることをお勧めします。
それ以外にも、骨の成長を阻害したリ、筋肉を弱くするような各疾病(甲状腺機能低下症やクッシング症候群など)によって後天的に股関節脱臼が起こりやすい状態になってしまうこともあります。
犬の股関節脱臼の治療・手術方法は大腿骨頭切除か整復処置、自然治癒
犬の股関節脱臼の治療は大きく2つに分けられます。
- 非観血的整復
- 観血的整復
まずは、非観血的整復です。
これは手術をせずに、手を使って脱臼を整復する方法です。
手術をしないとは言っても短時間の麻酔は必要になりますし、包帯で股関節を固定して1~2週間は絶対安静にする必要があります。
しかし、これでも再脱臼してしまう、股関節の整合性が保たれておらず非観血的整復が最適でない場合は、観血的整復、すなわち外科手術が必要となります。
外科手術にもいくつか種類がありますが、
- 股関節を温存するタイプ(トグルピン法など)
- 股関節を温存しないタイプ(大腿骨頭切除法、股関節全置換術など)
に分けられます。
トグルピン法は人工靭帯を股関節内に埋め込み、再脱臼を防止する手術法です。
関節の損傷が激しくない場合は股関節を残す選択をすることもあります。
一方、股関節の形状がもともと脱臼を起こしやすいものであったり、ひどい関節炎が起こっていたりしている場合、軽い衝撃で再脱臼を起こす可能性が高いので、股関節を温存しない手術を選択します。
大腿骨頭切除法は、大腿骨の先端にある大腿骨頭を取り除くことで摩擦による股関節の痛みを緩和する方法です。
股関節全置換術は股関節に人工関節を設置する方法ですが、街の動物病院では一般的ではありません。
手術をするかしないかは、患者の現在の股関節の状態や年齢、体格によって選択されます。
また、消炎鎮痛剤を投与しながら徐々に痛みが緩和されていくのを待つ、自然治癒という方法が採られることもあるようです。
股関節が自然とはまることは無いですが、症状が軽い場合は選択肢にあってもいいかもしれませんね。
犬の股関節脱臼の予防方法はサポーター?
犬の股関節脱臼を予防する方法はあるのでしょうか。
股関節に大きな力がかかることを防ぐために、室内ではフローリングの床にマットを敷いてあげるとよいでしょう。
これだけでも股関節、膝、腰にかかる負担はかなり軽減できます。
また、特に小型犬の場合、ソファやイスなどの段差にも気を付けてあげてください。
体重管理も大切です。
肥満の子はそれだけで関節に負荷をかけています。
そして、もともと股関節が脱臼しやすい愛犬の場合、サポーターが有効なこともあります。
歩行時やリハビリ時の疼痛緩和、患肢の補助などに役立ってくれます。
実際、整形外科に強い病院ではサポーターを取り入れているところも少なくありません。
種類も豊富ですので、その子に合ったフィット感はもちろん、デザインもかわいいものが増えていますので、散歩のときにも抵抗なく装着することが可能です。
補足:手術後のリハビリについて
股関節脱臼の治療について触れてきましたが、実は術後のリハビリもとても大切なことです。
一度「足が痛い」と思ってしまった犬は、そのあとなかなか痛い足を使おうとしてくれません。
すると筋肉や関節が固まってしまい、せっかく手術したのに歩き方がぎこちないままであったりします。
股関節脱臼の手術後は、手術による股関節の痛みが取れ次第、積極的に行っていく必要があるのです。
- 十分なアイシングで患部を冷やし、炎症や疼痛の緩和
- 痛みの状態を見つつ、患部やその周辺をマッサージし、筋肉が固まるのを防止する
- 痛みの状態を見つつ、関節をゆっくり屈伸させる
- 痛みがある程度緩和されたら、すこしずつ患肢を床につけていく
- 少しずつ体重をかけさせ、足が痛くないことを覚えさせる
- 徐々に歩かせる
股関節脱臼にかかりやすい犬種や年齢は?
犬種や年齢によって股関節脱臼にかかりやすくなることもあります。
どのような犬種や年齢が注意が必要かがわかっていれば、日常の観察もしやすくなるかもしれません。
愛犬に当てはまる項目がないか、チェックしていきましょう。
股関節脱臼にかかりやすい犬種
遺伝的に股関節脱臼を起こしやすい犬種があります。
股関節脱臼にかかりやすい年齢
年齢はどうでしょうか。
特に好奇心旺盛な子犬の時期は、高所からの飛び降りなどによる股関節脱臼に注意が必要です。
また、股関節形成不全の場合、徐々に股関節が緩んでくることで股関節の脱臼が起こることが多いため、5~6歳の中齢期での発症が多いと言われています。
犬の股関節脱臼の手術費用はペット保険で補償される?
犬の股関節脱臼はペット保険で補償されるのでしょうか。
外傷性などの突発的なものに関しては基本的に補償されることがほとんどですが、先天的に股関節形成不全がある場合などは免責事項として、ペット保険会社によっては補償されないこともあります。
事前に確認が必要でしょう。
治療費は病院によって様々ですが、一般的には以下のようになります。
非観血的整復
- 麻酔前の検査(血液検査、X線検査など):約2~3万円
- 脱臼の整復:約3~10万円
- 包帯や、その定期的な巻きなおし:1回当たり約5千円
- 定期的なX線検査:約1回当たり約5千~2万円
- 麻酔前の検査(血液検査、X線検査など):約2~3万円
- 手術費:約10~30万円
- 入院:1日当たり約1~2万円
- 術後の通院、リハビリ、検査:1回当たり約1~2万円
まとめ: 犬の股関節脱臼について
いかがでしたか。
今回の記事では、
- 犬の股関節脱臼とはどんな病気か
- 犬の股関節脱臼になりやすい犬種や年齢はあるが、基本的にはどの子もなる可能性はある
- 治療法は複数の選択肢があるが、いずれも高額になることがある