【獣医師監修】犬の前立腺肥大とは?原因や症状、治療法や予防法などを解説!のサムネイル画像

犬の前立腺肥大という普段馴染みのない病気について、それがどんなものかという説明からその原因や症状の解説、治療法や予防法について解説します。放っておくと重大な事態に陥る可能性もある前立腺肥大、愛犬の為にも詳しく学んでおくチャンスです。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

目次を閉じる

犬の前立腺肥大って何?

オスの犬を飼っている方は前立腺肥大について聞いたことがあることと思います。前立腺肥大とは、前立腺が大きくなることで、排尿や排便に悪影響を及ぼすことが多い病気で、歩行にまで影響が出ることがあります。


今回「MOFFME」では、犬の前立腺肥大の解説だけでなく、治療や保険についても解説します。


この記事を読んでいただくと、
  • 前立腺肥大の症状とその対策
  • 前立腺肥大を発症しやすい犬種と年齢
  • 前立腺肥大はペット保険で補償されるか
の3点について、ご理解いただけると思います。

大切なペットのために、前立腺肥大について正しい知識を知って、早めに対策を取れるようにしませんか。

またMOFFMEでは、ペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

オス特有の器官である前立腺が腫れる病気


前立腺肥大の説明をする前に、前立腺について説明をしたいと思います。

前立腺は膀胱の後方で、尿道を囲むように存在する副生殖器で、精液の重要成分を産生します。

前立腺肥大とは、この前立腺が加齢などの原因で肥大化することで、前立腺周囲の臓器や組織を圧迫してしまうことで、痛みを初めとして、様々な障害をもたらす病気のことです。ただ、詳しい原因は、医学的には未だに不明です。


この前立腺肥大は人間も発症する病気として知られています。

人間の場合、高齢男性に多く見られます。これは犬の場合も同様で、去勢をしていない9歳以上のオス犬では、95%以上のオス犬で見受けられるというのも特筆すべき特徴と言えます。


前立腺肥大に発症後、放置しておくと合併症を発症し、最悪の場合、死に至ります

しかし、早期に発見することで、対策は十分に取れます。ぜひ、予防・治療に努めましょう。

犬の前立腺肥大の症状

前立腺肥大を発症した症状としては、一般的には以下のようなものが言われています。

  • おしっこの量が減る(回数が増える・出にくくなる)
  • 血尿
  • 便秘
  • 平らな便が出る
  • 会陰ヘルニア
  • 鼠径ヘルニア
  • 嘔吐下痢

これらの症状は前立腺の大きさやヘルニアの進行状況によって、変化します。また、腫瘍による前立腺肥大というときもありますので、この場合はより早期での発見が重要となります。


また、腫瘍による前立腺肥大というときもあります。この場合は、腫瘍が癌化してしまう恐れもあるため、より早期での発見が重要となります。

犬の前立腺肥大の原因

ここで、詳しく犬の前立腺肥大の原因について確認をしたいと思います。

腫瘍性のものとそれ以外に分けて説明します。


腫瘍性の前立腺肥大の原因は、実はよく分かっていないというのが現状です。有効な対策が確立されておらず、犬に異常が見られたらすぐに病院に連れていくという対応にとどまります。


一方で、腫瘍性以外のものでは、ホルモンや高齢が有力な原因と言われています。これは、精巣から分泌される雄性ホルモンと雌性ホルモンのバランスが悪くなることで起こるといわれています。


ただし、この場合は腫瘍性のものとことなり良性の前立腺過形成であり、癌化するリスクは非常に低いと言われています。


しかしながら、あまりに大きくなってしまうと良性であるかどうかの判断がつきにくくなってしまいます。

犬の前立腺肥大の治療・手術方法

前立腺肥大に対する治療・手術法を確認していきましょう。


まず、腫瘍性のもののときを見てましょう。腫瘍の摘出手術の場合は、進行状況にもよりますが、手術費として相場は30万円程度までと言われています。


それに入院費が加わります。前立腺手術では、平均的な入院期間は10日間と言われており、1日当たり35,000円程度が相場と言われています。したがって、60万円程度が手術関連の費用としてかかります。


次に、腫瘍性以外の場合を見てましょう。

去勢手術の場合は、2~3万円程度が相場とされています。

また、入院期間も1泊が主流です。また、入院費用も3~7万円前後が一般的な相場です。

総額の目安としては、10万円までといったところです。


去勢手術を望まない場合には、抗アンドロジェン製剤としてウロエースなどが処方され、肥大した前立腺の縮小を狙うことが多いです。


費用は、1日1錠で300円とされており、通常7日間の処方されますので、総額の目安として2,100円かかります。


ただし、これは、10kgを想定していますので、体重によっては処方量に変化があり、それに応じた金額となりますので、ご注意ください。

処置費用
去勢手術2~3万円
投薬2000円
腫瘍手術5~30万円

付帯費用として、

  • 去勢手術時の入院費用で3~7万円(1泊)
  • 腫瘍手術入院費用35万円(平均10日)

犬の前立腺肥大の予防法

先ほど治療費用についてみてきました。治療による効果は一定の成果を上げているというのは事実です。しかし、どちらの対処にもデメリットがあります。


手術の場合は、高齢の犬は手術に耐えられない可能性がありますし、薬の処方では、処方をやめた途端、急激に肥大化するなどのリスクがあります。


したがって、やはり日常のケアが重要であることには変わりはありません。


その理由は、前立腺肥大は肥大化が早期のときであれば、サプリメント摂取や食事療法などの比較的簡単で負担の少ない方法で大きさが維持されることもあるからです。


よって定期的な診察や、ペットの様子に注意を払うことがとても重要です

前立腺肥大を発症しやすい犬種・年齢は?


やはり、一定罹患リスクの高い犬種・年齢というのはあります。


また、一度罹患すると先ほど見てきたように治療費がかかるため、ペット保険に加入することをおすすめします。


しかし、これからご紹介するような犬種や年齢となってくると、ペット保険の補償対象外ということもあります。

加入を検討するときには、要件をしっかり確認してください。

前立腺肥大を発症しやすい犬種

それでは、発症しやすい犬種をご紹介します。


基本的には、どのオス犬も前立腺肥大を引き起こしやすいと言われていますが、特に発症しやすいと言われているのは以下の4種です。

  • シェットランド・シープドッグ 
  • スコティッシュ・テリア
  • エアデール・テリア
  • ドーベルマン・ピンシャー  
ただし、注意したいのは上記以外の犬種でも十分罹患リスクがあるということです。

前立腺肥大を発症しやすい年齢

実は、前立腺肥大というのは、犬種以外にも年齢によって注意も払いたい病気です。

なぜなら、オス犬の前立腺肥大について発症しやすい年齢というのはありません。


しかし、6歳頃から増えてきて、未去勢の9歳以上のオス犬の95%が罹患していると言われています。 やはり、高齢になればなるほど罹患リスクが上がると言えます。


したがって、犬種を問わずいずれ罹患するということを念頭に日頃から対策を立てておく必要があります。

犬の前立腺肥大はペット保険で補償される?


犬の前立腺肥大はペット保険で補償されるのでしょうか。


結論的には、治療行為にあたるものが多いので、前立腺肥大に関わる治療はほとんどペット保険の補償対象となります。一部、予防的なサプリメント等の場合は補償対象外となることもあります。ここも加入されるペット保険の補償内容によります。


仮にペット保険で治療費の50%を補償しようと思うと、4歳までで月額2,000~3,000円程度とされています。少し高齢になってくると、2,000~3,000円程度となってきます。70%の補償にしようとすると500~1,000円ほど保険料が高くなるのが相場のようです。


前立腺肥大になったペットを飼われていた方の例では、治療費として約300万円かかり、そのほとんどが薬代であったという話もあります。


月々3,000円程度で300万円の治療費の5割を賄えるとしたら、補償の安心感は大きいと言えるのではないでしょうか。

参考:犬の前立腺肥大向けのサプリメント

参考程度ではありますが、前立腺肥大防止対策としてサプリメントの摂取があります。


サプリメントには様々なものがありますが、例えば、花富士から出ている「みつばち花粉」であれば、自然由来の成分で安心して与えることができます。


また、このみつばち花粉は実際の前立腺肥大防止の薬にも使われる成分で、栄養も豊富であるため、日頃からのケアとして利用することができます。

まとめ:犬の前立腺肥大について

さて、今回は犬の前立腺肥大について解説しましたが、いかがでしたか。

  • 前立腺肥大の症状は犬の排尿や排便に気を付ければある程度発見できる
  • 9歳ではほとんどのオス犬が罹患している
  • 前立腺肥大治療は高額なものも多いので、ペット補償があると安心

以上の3点がポイントとなりました。


前立腺肥大は早期の対策で多くの場合有効な処置が可能となる病気です。

しかし、犬には社会保険が適用されないため、治療費が高額となる傾向にあります。


大切なペットのために、ペット保険に加入して万が一の事態に備えるのも非常に有効な手段ではないでしょうか。


MOFFMEでは、他にも様々なペットや保険に関する記事を多数公開しておりますので、ぜひご覧ください。