犬のパルボウィルス感染症は一旦感染してしまうと積極的に治療を行わないと死亡率が非常に高い疾患であるため、生後6~8週齢からのワクチン接種が大切です。こちらでは犬のパルボウイルス感染症の症状や原因、治療、予防法、検査方法、かかりやすい犬種・年齢、ペット保険の補償を紹介しています。
この記事の目次
目次を閉じる犬のパルボウイルスとは?
犬のパルボウイルス感染症は、感染力が非常に強い犬パルボウイルスが原因で起こる、年齢や犬の状態によっては重い症状を引き起こす恐ろしい病気です。
致死率も高いと言われているこのパルボウイルスからどのようにして愛犬を守っていけば良いのでしょうか?
そこで今回「MOFFME」では、パルボウイルスから大切な愛犬を守るために
- パルボウイルス感染症の怖さ
- パルボウイルス感染症を発症した時の症状や原因、治療・予防法について
- 犬種や年齢によってかかりやすさに違いはあるのか
- 治療にかかった費用はペット保険で補償されるのか
以上のことを詳しく解説していきます。
パルボウイルスのことを少しでも多く知っておけば、今後の対応や心構えといったものが変わってくるはずです。
我が家の犬だけではなく、ご近所で飼われている犬にまで感染を広げないようにするためにも、是非最後までご覧ください。
またMOFFMEでは、ペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。
伝染性が強く、致死率が高い感染症です
パルボウイルスの潜伏期間は4日から長くても2週間で、発症すると消化器系に症状が現れ、早いと数時間~2日程度で死亡することもあるとても怖い病気です。
感染力も非常に強く、便などに付着して排出された後も約3ヶ月~1年近く生存できると言われているため油断してはいけません。
そんな感染力、致死率が共に高いパルボウイルスは、実際に感染してしまうと具体的にどんな症状を引き起こすようになるのでしょうか?
原因や治療法、予防法と一緒に詳しく紹介していきます。
犬のパルボウイルスの症状
パルボウイルス感染症の主な症状
- 食欲不振
- 元気消失
- 嘔吐
- 下痢
- 脱水
- 発熱
発熱に関しては、高熱になる犬もいれば低体温となる犬もいるようなので、必ず熱が出るというわけではありません。
嘔吐や下痢といった症状は特に激しく、食欲不振にもなるため十分な食事や水分がとれなくなります。
これが原因となり次第に脱水症状が見られるようになります。
もし感染したのが妊娠中の雌犬だった場合、胎児にも感染することで流産や死産を引き起こしてしまいます。
症状が悪化すると見られる症状
- 白血球の減少
- 血便
- 体重減少
- 衰弱
何度も下痢嘔吐を繰り返すことで血便が出るようになり、まともに食事がとれないことから体重も徐々に落ち脱水症状も進行します。
消費されることによる白血球数の減少や循環血液量の減少、敗血症や重度の炎症反応や凝固更亢進等により犬によってはショック状態から急死してしまう場合もあります。
無治療の場合の生存率は9.1%と言われており、積極的な治療が必要とされます。また、多く見られるわけではありませんが、腸管の激しい運動と炎症反応により稀に腸重積という腸の内側に腸が入り込んでしまう症状が現れる可能性があります。
パルボウイルスが原因で引き起こされる病気
- 心筋炎
- 敗血症
かなり重度の症状が見られる場合に引き起こされることのある病気です。
生後2週間~9週間程の子犬は心筋炎で、その他の犬でも敗血症が原因で死亡することがあります。
発症から死亡までの期間がかなり早く、長くても7日以内、早いと数時間~2日以内に亡くなるとされています。
心筋炎型は母犬のワクチン接種が広まったことなどで減少し、発症は稀です。
パルボウイルス感染症の原因は?人間に運ばれて感染する?
パルボウイルス感染症は口からウイルスが入り込んで感染する、経口感染が主な原因とされています。
犬の場合毎日の散歩時に、すでに感染している犬の糞などを舐めたり感染した犬に触れてしてしまうと、そこからウイルスが侵入して感染してしまいます。
ペットショップで購入した子犬も、購入時にすでにウイルスを保持していることがあるので注意が必要です。
ペットショップでワクチン接種を済ませていたとしても念のために動物病院に連れて行き、追加で摂取が必要かどうかみてもらうと良いでしょう。
さらに場合によっては飼い主様やその他の人が持ち運んでくる場合もあります。
人が原因になっている場合、以下のようなことが考えられます。
- パルボウイルスに感染した犬を触った手で飼い犬を触った
- ウイルスが食器や靴などに付着していることに気付かずそのまま放置、または使用した
これらに共通して言えるのは、どれも消毒をしていないことです。
ウイルスは目に見えないものなので仕方ありませんが、こういったことが原因でいつの間にか人間がウイルスを広範囲に運んでしまったり、ウイルスを犬に触れさせてしまったりしていることがあります。
また、パルボウイルスには
- 犬パルボウイルス
- 猫パルボウイルス(猫汎白血球減少症ウイルス)
- パルボウイルスB19
といった種類があります。
それぞれの名称にパルボウイルスとありますが、犬には犬、猫には猫のパルボウイルスが感染するため、犬パルボウイルスが猫に感染するようなことはありません。
パルボウイルスB19は人間に感染するウイルスで、これも人間のみに感染するため犬や猫に危険が及ぶことは無いです。
犬のパルボウイルスの治療・手術方法は?消毒できない?
犬がパルボウイルスに感染した場合は以下のような治療を行います。
- 下痢・吐き止めの投与
- 抗生物質
- 抗炎症剤
- 点滴
- 白血球減少抑制剤
現在の所、ウイルスに直接効果があるような特効薬は残念ながらありません。
そのため、症状に合わせた治療を行う対症療法が主な治療方法となります。
この他、腸重積と見られる症状がある場合は、症状の度合いに合わせて輸液をしながら修復したり、重度の場合は手術による治療が行われます。
治療のタイミングが早ければ早いほど助かる確率は高くなりますが、症状が確認されてから5日を過ぎる頃になると死亡する確率の方が高くなってしまいます。
複数飼いの場合は、感染を拡大させないようにするために別の部屋に隔離する必要があります。
この時、症状が回復した後も数ヶ月程度は便や尿と一緒にウイルスが排出されるので、治ったからといってすぐに隔離を解除しないようにしてください。
また、ウイルスに感染した犬が使っている物や触れたもの、もしくは部屋全体を徹底して消毒するようにしましょう。
ただし、熱湯消毒やアルコール、クレゾールなどの消毒薬では効果がなく、次亜塩素酸ナトリウムなどでしか効果を発揮しません。
家庭にある洗剤の中では、塩素系漂白剤に次亜塩素酸ナトリウムが含まれていますので薄めてから消毒してください。
もし、消毒のためとはいえ、漂白剤を使うことに抵抗があるのでしたら一度動物病院に相談してみると良いかもしれません。
犬のパルボウイルスの予防法はワクチン?検査方法は?
パルボウイルスの予防法
パルボウイルス感染症の一般的かつ、一番有効的な予防方法はワクチン接種です。
従来の2種と5種以上の混合ワクチンにはパルボウイルス感染症も含まれていますが、新しいワクチンもたくさん開発されていますので、不安な場合はパルボウイルスも含まれているか獣医師に確認すると良いでしょう
基本的には感染前にしっかりワクチン接種を受けておけば防ぐことができますが、接種前に感染していた場合は防げないことがあります。
また、子犬の場合は一度ではなく数回ワクチン接種を行います。
これは母犬の免疫力がワクチンの邪魔をしてしまい、ワクチンの効果を発揮することができなくなってしまうためです。
そのため、母犬からの抗体が無くなった後もワクチンの効果を持続させるために、一度ではなく複数回にわたってワクチン接種をする必要があります。
その他の予防法としては、こまめに消毒をしたりワクチン接種をしていない子犬をむやみに外に連れ出さないようにすることです。
特に犬がよくいるような場所には連れて行かないようにした方が良いでしょう。
パルボウイルスが疑われる場合の検査方法
パルボウイルス感染症が疑われる場合、簡易検査キットを使ってウイルスの検査をします。検査方法はとても簡単で、犬の糞便を試験薬と混和し、簡易検査キットに滴下するだけです。
動物病院でないとできませんが、これだけで調べることができますので子犬が激しい下痢をした際には糞便もお持ちになって動物病院を受信されてください。
パルボウイルスにかかりやすい犬種や年齢は?
パルボウイルスにかかりやすい犬種や年齢といったものはありません。
どの犬種や年齢であろうとワクチン接種を受けていなければ感染する恐れがあります。
その中でも特に子犬が感染すると症状が重症化しやすくなってしまい、早ければ数時間後、もしくは2日程度で死亡してしまいます。
また、高齢犬も子犬と同じように免疫力や体力といったものが低いため、ワクチン接種をきちんと受けてパルボウイルスに感染しないようにしていきましょう。
犬のパルボウイルスはペット保険で補償される?
犬バルボウイルス感染症はペット保険で補償されるのでしょうか。
犬パルボウイルスに感染した場合、血液検査や糞便検査などが行われます。
症状によっては入院や点滴、手術が必要になることもあるため治療費がとても高額になることは間違いありません。
軽い症状でも数万円、重くなると10万円近くものお金が治療費として必要になることもあります。
予防のために行う混合ワクチンに関しても、約5,000円~9,000円もの費用がかかってしまいます。
予防でも治療でもかなりの費用がかかってしまいますが、パルボウイルスはペット保険の補償対象外となっているところがほとんどです。
理由は、ワクチンを接種することで十分予防することができる病気だからです。
そのため、愛犬がパルボウイルスに感染してしまうと、飼い主が治療費を全額自己負担することになります。
ただし、場合によっては補償されるケースもあります。
- ワクチンの有効期間内に発症した場合
- 獣医師の判断でワクチン接種ができずに発症した場合
以上のことが認められた場合は補償されることがありますが、全ての保険会社で行っているわけではないので気になる場合は保険会社に問い合わせてみてください。
まとめ:犬のパルボウイルスについて
今回は、感染すると非常に怖いパルボウイルスについて紹介しました。
パルボウイルス感染症については、
- 激しい下痢や嘔吐が見られ、最悪の場合死亡するケースもある
- 感染力が強く、子犬は重症化しやすい
- 人がウイルスをいろいろな場所に運んでしまうことがある
- ワクチン接種をしていればきちんと防げる病気
- ペット保険はほとんどが補償対象外
以上のことを覚えておくようにしましょう。
パルボウイルス感染症はワクチン接種さえ受けておけば十分防げる病気です。
面倒だから、お金がかかるからと言ってワクチン接種を受けずにいると、ある日突然愛犬と永遠にお別れすることになってしまうかもしれません。
できるだけ長く元気な愛犬と共に過ごしていくためにも、きちんと予防をしてパルボウイルスに感染しないようにしていきましょう。
MOFFMEでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。