犬の肺炎とは肺が炎症を起こす病気で、放っておくと命に関わります。肺炎と肺水腫は確実に区別することが難しく、肺炎も肺水腫症状が共に似ています。しかし症状により治療法・治療費が異なります。適正な期間にワクチン接種することで予防に一定の効果があります。
犬の肺炎とは?
愛犬が肺炎になると人間と同じく深刻な事態となるので、飼い主さんは発症しないか心配でしょう。
もし肺炎になってしまったら、速やかに適切な治療を受けて、早く元気になってもらいたいですよね。
しかし、犬の肺炎の原因や治療法・予防法を、飼い主さんはご存知でしょうか。犬の肺炎の内容を知っていれば、この病気になっても飼い主さんは冷静な対処ができます。
そこで今回「MOFFME」では、「犬の肺炎の特徴とその注意点、肺水腫との違い」について
- 犬の肺炎の原因と症状
- 肺炎に気を付けるべき犬種・年齢
- 肺炎はペット保険の補償範囲か?
犬の肺炎とは、肺の炎症により呼吸困難が起こる病気です
犬の肺炎とは、肺に炎症が起きる病気です。炎症が起きると肺の機能は衰えて、呼吸困難となり最悪、死に至るケースもあります。
愛犬がもしかすると肺炎ではないか、非常に不安な飼い主さんもいることでしょう。まずは肺炎の正しい知識が必要です。
こちらでは
- 犬の肺炎にはこんな症状がある
- 肺炎になる原因とは?
- 肺炎の治療法、そして治療費はこの位になる
- 肺炎の予防法はある?
犬の肺炎の症状は?肺水腫との違いは?
愛犬が肺炎になっていないか心配な飼い主さんは、次の症状がないか確認してみてください。
- 咳が頻繁に出る
- ぐったりして食欲もない
- 呼吸がはやくて苦しそう
- 発熱している
- 食事量の減少
犬の肺炎の原因
犬の肺炎はなんらかの原因があり、そこから肺に炎症がおこっている病気です。
犬の肺炎になる原因は実は一つではなく複数存在し、その原因が重なって症状が悪化する場合もあります。
細菌(病原菌)
免疫力が弱まり、肺炎に病原菌が侵入する場合があります。
ウイルス
犬アデノウイルス2型、パラインフルエンザウイルス、犬ジステンバーウイルス等に感染し、病原菌も取り込んだことで発症します。
真菌
カビの1種であるブラストセミス、ヒストプラズマ等を吸い込み肺炎を発症します。
寄生虫
犬回虫やフィラリアによって肺炎を発症します。
アレルギー
いわゆる過敏症であり原因が不明な場合も多く、ステロイド薬で治療可能です。
吸引・誤嚥
先天的な口腔内の異常で食べ物の消化に問題が発生、胃酸で肺の細胞が傷つき病原菌が侵入して発症します。
犬の肺炎の治療法・治療費は?突発性肺炎にはステロイドを使用
肺炎は最悪死に至る病気なので、飼い主さんにとってどのような治療が行われるかも心配ですよね。
犬の肺炎の治療法に外科手術は適用されません。抗生物質や気管支拡張剤の投与、酸素の吸入等で、徐々に健康の回復を図っていきます。
治療に関しては原則として、飼い主さんの全額自己負担となります。治療費が重くなる場合もあるので、事前に何らかの対策を講じておくことが必要です。
入院治療の場合
手術が伴わないので、1回の治療で数十万円を超えるような費用にはなりません。ただし、入院すればそれなりにお金がかかります。
費用の内訳(目安)は次の通りです(犬種:チワワ、3日入院の場合)。
- 診察:800円
- 入院:15,000円
- 検査:25,000円
- 点滴:9,000円
- 注射:6,000円
- 処方:3,000円
- 合計:58,800円
- 診察:800円
- 検査:25,000円
- 注射:6,000円
- 処方:3,000円
- 合計:34,800円
入院しないだけ割安と言えますが、通院を何度も行えば重い負担になることがあります。
犬の肺炎はどうやって検査する?診断方法を紹介
- 聴診
犬の肺炎では呼吸の音を聴診にて確認し、肺炎をおこしているかどうか確認します。
- 血液検査
血液の数値から炎症の有無を確認し、白血球の数値が高くないかというのを確認して炎症の程度をみます。また全身状態や他に病気がないかも確認します。
- レントゲン検査
肺炎であれば、肺は炎症をおこしているため、画像は白く写ります。炎症の程度を確認できますので、肺炎の場合にはレントゲンで肺の状態を確認することが多いです。
犬の肺炎の予防法は?適正な期間のワクチン接種が有効です
深刻な肺炎となる前に、しっかりと愛犬には予防措置を講じておきたいですよね。肺炎の予防法はいろいろあります。
ウイルスが原因の肺炎には、愛犬へワクチンを接種することで予防可能です。寄生虫が原因の肺炎ならば、定期的に駆虫薬を投与して予防しましょう。
そして何より、愛犬が常に健康体であることが最も有効な肺炎予防となります。
栄養のある食事、適度の運動、ストレスなく生活できる環境づくりが大切です。こちらは、人間の肺炎予防と同じです。
肺炎にかかりやすい犬種や年齢は?
「肺炎にかかりやすい特定の犬種や年齢はあるのか?」と、心配な飼い主さんもいることでしょう。犬種や年齢に限らず、愛犬の体調には日ごろから十分気を配ってあげたいものです。
こちらでは
- 肺炎にかかりやすい犬種とは
- 子犬や老犬は肺炎に要注意
肺炎にかかりやすい犬種
これまで犬の肺炎について確認してきましたが、犬の肺炎にかかりやすい犬種というのはあるのでしょうか。
犬の肺炎の多くは細菌性の肺炎が多いです。その真菌性肺炎にはジャーマンシェパードやドーベルマンがかかることが多いです。
その次に多いウイルス性の肺炎は子犬が多いため、ワクチン接種前にかかってしまうことが多いです。
犬の肺炎では咳がでて調子が悪そうにしていることが多いのですが、様子を見ておこうということになりがちです。気になったら病院を受診するようにしましょう。定期的な健康診断もおすすめです。
肺炎にかかりやすい年齢
肺炎に気を付けるべき年齢は、免疫力が不十分な子犬や、免疫力の衰えた老犬が該当します。老犬の場合は、肺炎の原因となり得る病原菌やウィルス等に気を付けるべきです。ただどの年齢でも肺炎にかかってしまうため、常に注意が必要です。
一方、子犬は犬回虫という寄生虫に注意するべきでしょう。犬回虫はそもそも腸に寄生する寄生虫ですが、母犬から感染したり感染犬の糞便を介して感染します。体内に侵入する際はまだ卵の状態ですが、孵化して成長しながらで肺を通過します。
この寄生虫が肺を通る際に、子犬の場合は抵抗力が低く回虫が成長してしまうため肺炎を起こす可能性があります。子犬に関しても駆虫薬を投与して予防する必要がありますね。またワクチン接種前であれば、ウイルス性の肺炎にも注意して下さい。
犬の肺炎はペット保険で補償される?
犬の肺炎はペット保険で補償されるのでしょうか。
犬の肺炎は手術治療は行わないので、高額な費用とはなりません。しかし、入院費用や検査費用、通院治療を何度も行えば費用の負担は増します。
そこで、事前にペット保険へ加入し、肺炎をはじめとした病気やケガへ備えておきましょう。
ペット保険はどんな補償?
人間なら医療保険へ加入すれば、入院すれば入院給付金、手術すれば手術給付金が下りますよね。
ペット保険の場合は、保険が適用される治療費の50%~70%という形で補償が下ります(ただし商品によって補償割合は変わります)。前述した事例の入院治療の場合、全額自己負担なら58,800円です。
しかし、この保険を適用すれば17,640円~29,400円に自己負担分が軽減されるわけです。月払保険料は事例の小型犬の場合、犬種や年齢等も影響しますが1,500円~3,500円程度です。
ほとんどのペット保険は契約1年間となります。自動更新で契約が継続するので、特に毎年継続のための手続きは不要です。
肺炎治療は補償の範囲内だが
肺炎の治療は、ほとんどのペット保険で補償対象となります。ただし、ペット保険へ加入するならば、愛犬が健康な内に申込手続きを完了しておきましょう。
愛犬が肺炎を患っている状態で、申し込んでも保険会社から加入を拒否されることがありますが、この場合でも条件付きで加入が認められる可能性はあります。
その条件とは次の通りです。
- 特定疾病不担保:特定の疾病(例えば肺炎等)・ケガの補償を除外すること
- 部位不担保:特定の臓器(肺等)の補償を除外すること
保険会社から上記の条件が提示され、合意すれば加入が認められることになります。ただ、肝心の肺炎の治療や、肺に関するその他のトラブルは補償外となってしまいます。
動物健康保険証の取得
ペット保険の申込手続きが完了し加入できれば、「動物健康保険証」を取得できます。動物健康保険証を動物病院の窓口へ提示すると、人間の健康保険と同じように料金の自己負担分を支払うだけで済みます。
ただし、この健康保険証に未対応の動物病院も存在します。その際は保険会社へ直接、保険金の請求をすることになります。
保険証対応病院の手続きの流れ
保険証対応病院なら取りてて面倒な手続きは必要ありません。
手順は次の通りです。
- 治療・検査する動物病院へ動物健康保険証を提示
- 検査や治療を実施
- 窓口にて料金の自己負担分を払う
- 動物病院で検査や治療を実施
- 窓口にて料金全額を払う
- 保険会社へ電話等で保険金の請求を連絡※
- 保険会社が請求書を飼い主宅に送付※
- 飼い主が保険金請求書に記載
- 当該請求書や領収証等を提出
- 保険会社に提出書類が到着
- 保険会社は書類を審査
- 支払条件に合致する内容なら保険金支払い
まとめ:犬の肺炎について
これまで犬の肺炎について紹介しました。
この記事のポイントは
- 犬の肺炎は食欲減少や喀血等の症状を引き起こす
- 犬の肺炎は細菌やウイルス等様々な原因がある
- 犬の肺炎は抗生物質や気管支拡張剤等で治療される
- 犬の肺炎は聴診、レントゲンや血液検査で診断される
- 犬の肺炎はワクチンや適切な飼育環境で予防できる
- 犬の肺炎はシェパードやドーベルマン等の犬種がかかりやすく、ワクチン前の子犬だとウイルス性の肺炎にかかりやすい
- 犬の肺炎はペット保険で補償できる
以上です。
肺炎はかかってしまうと深刻な状況になり、呼吸困難に陥ってしますこともあります。犬は自分で症状を訴えることができませんので、日頃から飼い主さんが犬の体調管理に気を配り、異変を感じたら急いで病院に行きましょう。
MOFFMEでは他にもペット保険に関する記事を多数掲載していますので、ぜひ他の記事もお読みください。