犬のメラノーマはとても危険な病気で治る確率が低い病気です。しかし初期症状や対応策、予防策を知っておくことで万一の場合に備えることができます。メラノーマの原因や治療法、かかりやすい犬種・年齢、メラノーマとなってしまった場合の食事や余命についても解説しています。
この記事の目次
目次を閉じる犬のメラノーマとは?
犬のメラノーマは人間のメラノーマと一緒で、皮膚がんの一種ということは多くの方がご存知でしょう。そのため聞いただけで不安になってきますよね。
愛犬にはできるだけかかってほしくない病気です。
万一かかってしまうと治りにくい病気なので、最悪のケースを覚悟しなくてはいけない病気です。
そこで今回「MOFFME」では、犬のメラノーマについて、
- 犬のメラノーマの症状
- 犬のメラノーマの原因
- 犬のメラノーマの検査、治療法
- 犬のメラノーマの予防法
- 犬がメラノーマにかかった時の食事法
以上のことを中心に説明します。
この記事を読んでいただけたら、犬のメラノーマに関する情報がよく分かりますのでぜひ最後までご覧下さい。
またMOFFMEではペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧下さい。
メラノーマとは悪性黒色腫とも呼ばれる皮膚がんの1種
犬のメラノーマは「悪性黒色腫」という皮膚がんの一種です。口腔内と爪付近にできたメラノーマは悪性の割合が高いと言われています。
人間にメラノーマが出来ても恐ろしいですが、犬は人間よりも発症する率が高く、口や爪付近だと見逃されることも多いです。気付いた時にはガンのステージも進んでいることがほとんどです。
発症してしまうと完治は絶望的で、予後がとても不良な怖い病気です。
メラノーマについて大阪にある淀川中央動物病院のサイトに詳しい説明があるので、ぜひ一度チェックしてみてください。
犬のメラノーマに良性はある?悪性との見分け方とは
残念ながらメラノーマはすべて悪性腫瘍です。一方、良性腫瘍は「メラノサイトーマ」と呼ばれています。
メラノーマもメラノサイトーマもメラニン細胞に由来する腫瘍ですが、メラノサイトーマはホクロの一種として判断されます。
さらに黒っぽい色が発生してから肥大化している場合は、速やかに動物病院で検査してもらいましょう。
目やまぶた、口にもできる?メラノーマの症状
口や爪付近に発症すると悪性の場合が多いことは前述しました。一方、体全体に発生する可能性もあり、時には目やまぶたにも発症することがあります。
いずれにしても早期に発見して良性か悪性の検査を受け、悪性なら直ちに治療を開始しないといけません。
症状はわかりにくいと言われていますが、全くわからないわけではないので、初期と末期に分けて症状を解説します。
犬のメラノーマの初期症状
初期には以下のような症状があります。口の中に出来た場合は初期症状がいくつかあり、分かりやすいようです。
それ以外の場所にできた場合、初期にはほとんど症状が出ませんので、黒点を見つけ出すしか方法はありません。
- エサを食べづらそうにする
- よだれに血が混ざっている
- 歯茎から血が出る
- かじったおもちゃに血がつく
- あくびなどの時に黒点を目にする
- 爪付近にできた場合は歩き方がおかしくなる
口の異常は歯周病と似ているのでつい治療を先延ばしにしがちですが、上記の症状が見られた場合はメラノーマの恐れも考慮に入れて、すぐに動物病院で診察を受けるべきです。
犬のメラノーマの末期症状
- 様々な場所へガンは移転して場所に応じた症状が出る(口腔内の場合は肺が多い)
- 肺に移転した場合は呼吸困難を起こす
- 口内にできている場合は初期よりもひどい口臭
- 体重減少
犬のメラノーマは大変発見が難しく、末期症状が出て慌てて病院へ駆け込む時に余命は幾ばくもない状態となっていることも多い病気です。
末期まで来てしまうと手の施しようはないことが多く、治療は緩和ケア中心となるでしょう。
犬のメラノーマの原因
犬のメラノーマは同じ場所への慢性的な刺激が原因ではないかと言われています。以下のようなことを原因として、改善するよう警鐘を鳴らしている獣医師もいます。
- 硬すぎるエサやおやつ
- 硬すぎるおもちゃ
- アスファルトしか歩かない散歩
- 真夏のアスファルトの上を歩かせる散歩
人間でも歯の尖った部分で常に口内を刺激すると、ガンが発生しやすいと言われています。
また紫外線の影響でメラノーマが発生しやすいとも言われています。
犬の場合、原因はまだはっきりしていませんが人間と同じで、硬いエサやおやつで常に刺激を受けると発生しやすいのかもしれません。
硬いエサを食べないと口腔ケアがうまくいかず歯周病などのリスクはあります。しかし、時々はエサも変えて刺激を和らげてあげると良いでしょう。
犬のメラノーマの検査・治療法
次に、犬のメラノーマの検査方法と治療法をお話します。治療法は主に、手術、放射線治療、緩和ケアがあります。
犬のメラノーマの検査方法
検査方法は以下の手順で行います。
- 目視での確認
- 針生検・病理検査(血液検査も場合により有り)
- 肺への転移を見るためにレントゲン及びCT
まずはメラノーマを目視で確認します。ハッキリと分かりやすい黒点であれば発見しやすいですが、獣医師にも見分けが難しい無色のメラノーマも存在します。
好発部位を中心に視診をして発見すれば、次はその部分の組織を取る針生検後、組織の細胞診のために病理検査をします。
血液検査ではメラノーマは判明しませんが、全体状態を把握するために血液検査も行うのが一般的です。
病理検査の結果メラノーマと判明したら、すでに肺に転移しているかしていないかを診断するため、レントゲンかCTを撮ります。
レントゲン検査は無麻酔なので一般的に行われており、CT検査は全身麻酔が必要になるが細かく転移の確認ができるので積極的に治療される場合は選択されます。
しかし転移の状態を見ないと、患部を切除すれば完治の見込みがあるのかないのかの治療方針が立ちません。
飼い主さんとの話し合いにはなりますが、行ったほうが良い検査となります。
犬のメラノーマの治療方法
犬のメラノーマの治療方法は主に以下の方法になります。
- 根治手術
- 緩和手術
- 抗がん剤治療
- 放射線治療
根治手術は文字とおり、根治を目指して患部を完全に切除してしまう治療法です。
しかし根治とは言っても、メラノーマは浸潤性の高いガンで再発率がとても高いため、患部を大きく切り取りながらあくまでも根治を目指す手術となります。
そして、根治を目指して大きく切除してしまう手術は術後の犬の姿を大きく変えるため、飼い主さんにとって辛い決断となることが多いようです。
犬のメラノーマは口の中と爪付近にできるものが、悪性率が高いとお話ししました。根治を目指して患部を大きく切り取るということは、患部のある上顎か下顎を切り取り、爪に患部があれば足先を切断することを意味します。飼い主さんにとって心が痛い選択です。
緩和手術は、メラノーマが邪魔をして食べ物が食べにくい、動けないなどの不都合を少しでも改善する手術です。
完全には取り切らない手術になりますので予後は不良となりますが、少しでも良い時間を一緒に過ごしたいと望むとき選択肢に上がります。
そして、抗がん剤と放射線治療ですが、高齢で手術には耐えられないが、抗がん剤や放射線でガンを抑えれば、少しは予後良好になる可能性のある場合に選ぶことが多いでしょう。
ただし、メラノーマは抗がん剤が効きにくいガンで、完治はほぼ見込めない治療法です。
放射線治療も放射線を当てるたびに全身麻酔が必要で、高齢の犬には辛い治療となります。放射線治療はそもそも設備を備えている病院が少ないため、一般的な治療とは言えないでしょう。
メラノーマの予防方法
犬のメラノーマの原因は慢性的な刺激にあるのでは?とお話しましたが、はっきりした原因や予防法はまだ確立していません。
メラノーマは口や足にもできますが、体全体に発生する可能性はあります。体に慢性的な刺激を受けることは少ないと思いますが、それでも発生することがあります。
予防法は口や足への慢性的な刺激を避ける意外に明確な予防はありません。ただし、できるだけ早期に発見して治療を開始することが余命に大きく影響します。
そこで有効なのが、犬とスキンシップをしながら体をよく触って目視での発見に努めることです。犬の体に出来物を発見したら、どんなに小さくても急いで病院に連れて行くことです。
メラノーマに限らず、犬のガンは皮膚におでき状に出現することが多く、浸潤性が高く転移も早いことから、発見したらすぐに獣医師に見せることが必要です。
メラノーマにかかりやすい犬種・年齢は?
「自分の愛犬はメラノーマになっていないか、とても心配。」という飼い主さんも多いはずです。
そもそもメラノーマにかかりやすい犬種はあるのでしょうか?
かかりやすい年齢も知っておけば早期発見の助けになるかも知れません。
メラノーマになりやすい犬種と後発年齢を見てみましょう。
メラノーマにかかりやすい犬種
実は、口腔内メラノーマになりやすい犬種と、皮膚メラノーマになりやすい犬種があります。
口腔内メラノーマになりやすい犬種
- スコティッシュテリア
- ダックスフント
- プードル
- ラブラドールレトリバー
- ゴールデンレトリバー
この犬種を見ていると、単に飼育数が多いから統計で多く出るという可能性も考えられます。
現に、口腔内メラノーマを発症する犬はこの犬種に限られてはいませんので、口の異常を感じたら間違いでも構わず獣医師に見せることが大切です。
皮膚メラノーマになりやすい犬種
- ドーベルマン
- チワワ
- ボクサー
- テリア種
- スパニエル種
この犬種を見ると飼育数に偏りはないように思われますので、もしかしたらかかりやすい特有の遺伝子を持っているのかも知れません。
しかし皮膚メラノーマは様々な犬種に見られますので、出来物状の異変を見つけたら急いで病院に連れて行くことが大切です。
メラノーマにかかりやすい年齢
犬のメラノーマの好発年齢は平均で10~12歳と言われています。オスとメスでの発生確率の統計は出ていませんが、オスのほうが発生率は高いと言われています。
しかし何度も繰り返しますが、この年齢に限って発生しているわけではありませんので、毎日のボディチェックを怠らないようにしましょう。
メラノーマが発症した場合の食事や余命
犬のメラノーマには4つのステージがあります。ステージ1で発見されると余命も長めですが、ステージ1で見つかることはほとんどありません。
飼い主が異常に気づいて病院へ駆け込む頃にはステージ3に進行しているパターンが多く、ステージ3になると余命は3ヶ月と宣告されます。
ステージ2で見つかって外科手術をしても余命は9ヶ月と言われます。
しかし、少しでもガンの進行を遅らせようと食事療法を工夫されている方もたくさんいらっしゃいます。
メラノーマに対抗する食事ですが、ガンを活気づける糖質を減らして、代わりにエネルギー源となる脂肪分を増やし、ガン細胞に消費されて不足がちになるタンパク質とアルギニンを増やすという方法です。
市販のドッグフードでは賄えないので毎食作るという手間はかかりますが、ガンを消滅させることは難しいにしても、少しは余命を伸ばせる可能性のある方法ですので試してみるといいでしょう。
そしてさらに、サプリメントなどで乳酸菌を与えておきましょう。腸環境を良くして少しでも免疫力を上げるためです。様子を見ながら、できれば獣医にも相談しながら療養食を試してみると良いでしょう。
ステージごとに余命は異なる
余命のお話は先程も少しお話しましたが、一番軽いステージ1で発見されることは非常に稀で、多くがステージ3以降での発見になるのがメラノーマの特徴です。
ステージごとの余命は以下のように論文で示されています。
ステージ | 余命 |
---|---|
ステージ1 | 約2年 |
ステージ2 | 約9ヶ月 |
ステージ3 | 約3~5ヶ月 |
ステージ4 | 約3ヶ月 |
悲観するしかない数字ですが諦めないで下さい。
食事療法で余命宣告を超えた子もいます。できる限りのことをして悔いなく見送ってあげられるようにしましょう。
まとめ:犬のメラノーマについて
犬のメラノーマの原因や症状、治療法等について解説してきましたが、いかがでしたか。
今回は
- メラノーマとは悪性黒色腫とも呼ばれる皮膚がんの1種である
- メラノーマの初期にはほとんど症状が出ない
- 犬のメラノーマの原因は、同じ場所への慢性的な刺激といわれている
- 犬のメラノーマの治療方法は手術・放射線治療等がある
- 口腔内メラノーマになりやすい犬種・皮膚メラノーマになりやすい犬種がある
- メラノーマにかかりやすい年齢は、10~12歳のオス
- 食事療法を飼い主さんが続けることも良い方法