【獣医師監修】犬の緑内障とは?目やにが症状?治療は目薬?緑内障を徹底解説!のサムネイル画像

本記事では犬の緑内障について紹介をしています。緑内障の目やに、牛眼などの症状や原因、目薬を使った治療・手術、保険の適用等を紹介しています。緑内障は強い痛みを伴うため日頃から愛犬を観察し異常がないか確認しましょう。本記事を見て緑内障のリスクに備えましょう。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

目次を閉じる

犬の緑内障とは?

皆さんは犬の目の疾患のひとつである「緑内障」という病気をご存知でしょうか?


緑内障は眼圧が高すぎて網膜が正常に機能できなくなる病気です。緑内障が進行すると、最悪視力を失ってしまう危険もあります


愛犬のキラキラした可愛らしい瞳をいつまでも健康で保ってあげたいですよね。


今回「MOFFME」では

  • 犬の緑内障の症状や原因、治療法、手術費など
  • 緑内障にかかってしまいやすい犬種、年齢について
  • 犬の緑内障のペット保険の補償について

をご説明します。


この記事を読んでいただければ、犬の緑内障について原因や病気の判断の仕方、治療方法などが詳しく分かります。


予防や早期発見ができれば、愛犬がいつまでも健康な瞳で過ごすことができますね。


ぜひ、最後までご覧ください。


またMOFFMEではペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧下さい。

視神経や網膜に変化を起こして視力を失う恐れがある病気です


緑内障について、さらに詳しく説明します。


犬の緑内障は眼球の圧力が上昇し、視神経が障害を受け視覚障害や失明に繋がる病気です。


眼球は固いガラス玉のようなものではなく、柔らかいボールのような構造で、その内部は眼房水(がんぼうすい)という液体で満たされています。


眼房水が多いと眼球がパンパンに張って固くなり、少ないと柔らかくなります。


ちょうど布でできたボールに、中に水を最大まで入れると固くなり、抜くと柔らかくなるイメージです。


眼房水は通常は一定の量を保つように供給と排出がされていますが、病気によってそのバランスが崩れ、排出量が減ると眼房水が通常より多く溜まってしまいます。


その結果、眼球の中が眼房水でパンパンになり、眼圧が多くかかってしまい視神経が圧迫され、視力に異常が出るのです。


次に犬の緑内障について、どのような症状が出るのかを説明します。あなたの愛犬に次のような症状は出ていませんか?確認してみましょう。

犬の緑内障の症状として目やにが出る?牛眼(眼球突出)になる?

犬の緑内障の見た目で確認できる症状としては以下のものがあります。

  • 目が飛び出たように大きく見える(牛眼)
  • 黄色い粘度のある目やにが出る
  • 目を痛そうにしばたかせる
  • 目が痛いので顔を触られることを嫌がる
  • 目が充血している
緑内障は見た目で分かる症状が多くあります。しかし、見た目で異常が分かるほど進行しているときは、手遅れの場合がほとんどです。

見た目に異常が現れる以外にも、行動に異常が現れる場合があります。

緑内障にかかると視野が狭くなり視界が悪くなるので、物に頻繁にぶつかるようになったり、ふらふらと頼りない動きをしたり、動きが鈍ったりするのです。

いずれにせよ、病気は早期発見がその後の運命を左右するので、愛犬の様子でいつもと違うところがあれば、どんなに些細なことでも獣医師の診察を受けることが大切です

それでは、犬の緑内障の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?原因の中には意外に思うものもあります。犬の緑内障の原因をご紹介します。

犬の緑内障の原因

犬の緑内障の原因としては大きく分けて以下の2種、遺伝性と加齢による発症が多いとされています。

  • 先天性(遺伝によるもの)
  • 続発性(ブドウ膜炎、水晶体脱臼、眼球周辺の腫瘍といった病気によるもの)
  • 原発性(犬種の遺伝によるもの)

先天性

遺伝的な要因で、生まれつき眼房水を排出する器官に異常がある場合があります。

この場合、眼房水の排出する器官が通常より狭いため、眼房水の排出が上手くされず、正常の量以上に眼房水が溜まってしまいます。

そうすると眼圧が上がってしまうので、緑内障を発症してしまいます。

続発性

緑内障はあらゆる眼疾患で最終到達する病態なので、他の眼疾患にかかっていると緑内障も発病してしまう場合があります。

眼圧が上がってしまう病気とは、例えばブドウ膜炎、水晶体脱臼、眼球周辺の腫瘍などです。

特にブドウ膜炎から緑内障に発展してしまう場合は多く、ブドウ膜炎は角膜が深く傷ついた状態から進行する場合もあります。

そのため、角膜に潰瘍(角膜が白く濁る、毛細血管がでている)がある場合も注意が必要です。

もしも上記の緑内障に当てはまる症状が見られなくても、些細な傷などから緑内障を発病する危険があるので目に何かしらの異常が見られた場合は迷わず獣医師の診察を受けましょう。

原発性

特に他の緑内障を発症する危険のある病気にかかっているわけでもないのに、突然緑内障を発症する場合があります。

緑内障にかかりやすい犬種に、この原発性緑内障は多くみられます。緑内障を発症しやすい犬種は、後の項目で詳しく紹介します

犬の緑内障の治療は目薬?手術方法は?

犬の緑内障の治療には大きく分けて以下の2種類

  • 投薬(目薬・経口薬)
  • 外科治療(手術)

がありますが、いずれの方法でも完治は不可能の病気であり、永久的な治療が必要です。


投薬

犬の緑内障は眼球に圧力がかかって起きる病気なので、眼圧を下げる目薬を用いて治療します。また、初期の緑内障には瞳孔を収縮させる目薬で病気の進行を遅らせます。


症状の場合によっては経口薬や点滴も使用されます。


基本的に症状の進行を遅らせる、痛みをとることが目的の治療なので、ほとんどの場合は外科治療が必要です。


外科治療

比較的初期の緑内障である程度の回復や状態維持が望めるのならば、眼圧を上げている過剰な眼房水の排出をスムーズにするために、眼房水を排出する出口を広げる外科手術がとられる場合があります。


しかし、緑内障が進行してしまい、視力が無くなった、回復が望めない場合でも手術は必要です


なぜならば、回復が望めない場合でも眼球の痛みはあります。


そのまま放置してしまうと、眼球破裂、最悪痛みから死亡する場合もあるので、進行してしまった緑内障の手術は、痛みを取り除く(眼球摘出)など、愛犬が少しでも穏やかに生活できる環境を整えてあげることが目的となります。

犬の緑内障の予防方法

犬の緑内障は早期発見が難しい病気です。


残念ながら、動物病院で受診したときにはすでに視力を失っていたというケースが少なくありません。


緑内障に有効な予防法は眼科専門医で定期健診を受けることです。


さらに、視力を失う前に発見できたとしても、一度欠けてしまった視力を元に戻すことはできません


投薬や手術で残された視力を守って、緑内障の進行を遅らせるしかないのです。


緑内障は別の眼病から続発する場合が多いので、上記で述べた緑内障の症状以外にも異常が見られたら例え些細な症状でも獣医の診察を受けましょう


また、犬の緑内障に対して特に有効な予防薬などがあるわけではありません。


日頃から健康のチェックをして、早期発見・早期治療に努めましょう。

緑内障にかかりやすい犬種や年齢は?


緑内障は比較的高齢の犬が、目の機能が低下することによってかかりやすいと言われています。


また、緑内障を発症しやすい犬種もあり、年齢問わず緑内障にかかりやすいので、例え若い犬でも注意が必要です。


もし、愛犬が以下に当てはまるようでしたら、日頃から目の様子には特に気を付けてあげるようにしましょう。

緑内障にかかりやすい犬種

緑内障にかかりやすい犬種は以下の通りです。

以上の犬種は元々眼房水の出口が狭く、眼房水を排出しにくい犬種なので緑内障にかかりやすいとされています。

また、顔周りの毛が長い長毛の犬も、その毛が目に入り炎症を起こしやすく、炎症から緑内障が続発してしまう場合もあるので注意が必要です。

緑内障にかかりやすい年齢

犬の緑内障は主に4~9歳、シニア期にかかりやすいと言われています。


人間も歳をとってくると視力が低下しがちですよね。犬も同様で加齢によって目の機能は衰えてきます。


そうすると、今まで正常だった眼房水の排出機能も低下し、緑内障にかかりやすくなってしまうのです。


また、抵抗力や免疫力が落ちてくるので、些細な目の炎症から緑内障が続発する危険もあります。


特に、上記で述べた犬種は生まれつき緑内障にかかりやすいので、シニア期には特に気を付けてあげなければいけません。

犬の緑内障はペット保険で補償される?


犬の緑内障はほとんどのペット保険で補償が適用されます


しかし、注意するべきポイントは、補償が受けられるのはペット保険に加入後に緑内障を発症した場合のみということです。


緑内障にかかってからペット保険に加入しようとしても、逆に緑内障はほとんどのペット保険会社で「加入不可な既往症」に当てはまってしまい、加入ができなくなってしまうのです。


犬の緑内障で保険を適用させずかかった費用の例としては、

入院・手術(4泊5日)169,600円
通院(6日)71,000円
240,600円

というケースがあります。


また1回の通院・診察と処置だけでも

診察2,000円
検査16,000円
処置2,500円
処方13,000円
33,500円

これほどかかったケースもあります。


このように犬の緑内障の治療には高額な治療費が必要です。保険に入れないとなると困ってしまいますね。


保険会社によっては審査を受け、その結果次第で加入できる可能性もありますが、やはり緑内障にかかってから加入する保険会社を探すことはなかなか困難です。


加入できる保険会社を探す間にも、愛犬を治療のため通院させなければいけませんし、緑内障は激痛を伴う病気でさらに進行が早いので、早急な治療が必要となります。


加入できる保険会社が少ないからといって、苦しむ愛犬の治療を遅らせるわけにはいきませんよね。


保険が適用されていなければ、ペットの病気の治療で数十万円かかってしまうことはよくあることです。


いざというとき、愛犬に満足な治療をしっかり受けさせてあげることができるよう、健康なうちにペット保険に加入しましょう。

関連記事のサムネイル画像

犬や猫のペット保険には緑内障にかかっていても加入できる?

まとめ:犬の緑内障について

ここまで犬の緑内障について説明しましたが、いかがでしたか。


この記事のポイントは、

  • 犬の緑内障は視力を失う危険性のある病気である
  • 早期発見が難しく、効果的な予防法もない
  • 治療、手術には高額な費用が必要である
  • 犬の緑内障はほとんどのペット保険で補償の対象となる

以上です。


犬の緑内障はかかってしまうと視力を失う危険があるだけではなく、眼球がパンパンに張ってしまい激痛を伴います。


愛犬が痛がっていて、一刻も早く適切な治療が必要なのに、高額な費用がかかることで満足な治療を受けさせてあげられなければ、愛犬にとっても飼い主さんにとっても辛いことですよね。


いざというとき、「あのとき保険に入っておけば・・・」と、愛犬も飼い主さんも不幸にならないためにも、ペット保険への加入をおすすめします。


MOFFMEでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されています。ぜひご覧ください。