【獣医師監修】犬の乳腺腫瘍とは?症状や転移、治療法やサプリメントを解説!のサムネイル画像

乳腺腫瘍とは命に関わる病であり、避妊手術をしていないメスの犬に多く見られます。乳腺腫瘍は悪性と良性があり、放っておくと転移や破裂の危険性が高まります。レントゲン検査での画像やしこりの動く様子を見て病を判断できます。治療法やサプリメントも紹介します。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬の乳腺腫瘍とは?

かわいい飼い犬とスキンシップを取ることが日課の方も多いと思います。犬はお腹をなでてもらうことが好きな子が多いですが、そんなお腹をなでているときに、何かしこりのような違和感を感じることもあるかもしれません。


お腹、特に乳首の周りにしこりのような違和感がある場合、乳腺腫瘍の可能性があります。乳腺腫瘍と聞くとなんだか不安な気持ちになる方も多いのではないでしょうか?


今回「MOFFME」では、

  • 犬の乳腺腫瘍の原因や症状
  • 乳腺腫瘍にかかりやすい犬種や年齢
  • 乳腺腫瘍はペット保険の補償対象なのか?

以上の点について解説します。


この記事をご覧いただければ、犬の乳腺腫瘍がどのような病気なのかお分かりになるかと思います。ぜひ最後までご覧ください。


またMOFFMEでは、ペット保険のランキングについても解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

犬の乳腺腫瘍とは、いわゆる乳がんのことです


犬の乳腺腫瘍と言われても、あまりピンとこない方も多いのではないでしょうか?乳腺腫瘍は乳腺にできてしまう腫瘍のことで、いわゆる乳がんのことになります。


がんと言うと悪性の腫瘍のことを言いますが、犬の乳腺腫瘍では良性の腫瘍が50%、悪性の腫瘍が50%になると言われています。


悪性の腫瘍でも、手術すれば完治するものが25%と言われており、残りの25%では手術だけで完治することは難しいと言われています。


動物病院で乳腺腫瘍だと診断されても、飼い主さんはパニックにならないように、しっかりと獣医師の話を聞くようにしましょう。


乳腺腫瘍について大阪動物医療センターのサイトで詳しく紹介されているので、ぜひ一度チェックしてみてください。

犬の乳腺腫瘍の症状

犬の乳腺腫瘍の初期症状としては、腹部にしこりのようなものが触知されます。小さい腫瘍に気づかなかった場合、腫瘍が大きくなってしまい、症状にも変化が出てきます。


自覚症状がほぼ無かったものが、痛みや出血などの症状がみられるようになります。もし乳腺腫瘍が悪性で、肺に転移してしまった場合には、が出たり、苦しそうに呼吸が速くなることもあります。

犬の乳腺腫瘍の原因

犬が乳腺腫瘍になる確率は、人間の3倍といわれています。


犬の乳腺腫瘍はホルモンの影響が大きく関わっています。女性ホルモンや遺伝的な体質が原因となり、乳腺組織が遺伝子変異などで腫瘍化することで発症します。

そのため、メス犬に発症するケースが多いです。


メス犬の乳腺腫瘍の予防方法としては、避妊手術が有効です。


避妊手術をすると、女性ホルモンを分泌する卵巣がなくなります。そのため、乳腺腫瘍になるリスクを大幅に減らせます。

特に、初めて、もしくは2回目の発情(ヒート)の前に避妊手術を行うのが効果的です。


それでは、オス犬は乳腺腫瘍になる心配はないかというと、そんなことはありません。

男性ホルモンと女性ホルモンの割合が異なるだけで、オス犬も女性ホルモンを持っているためです。

犬の乳腺腫瘍の治療費、治療法とサプリメント

犬が乳腺腫瘍になってしまった場合、基本的には手術による腫瘍の切除を行います。


犬の乳腺は5対あり、手術では腫瘍ができた側のすべての乳腺を取り除くことが多いようですが、犬の年齢や健康状態によっては発症部位のみ取り除くこともあるようです。


さらに、乳腺腫瘍が2~3か所、両方の乳腺にまたがって発症しているような場合には、領域乳腺切除術など、広範囲の乳腺を摘出する手術を行う場合もあります。


また腫瘍がかなり大きくなっている場合には、切除ではなく減容積を目的とした手術も行います。また手術の際には領域リンパ節の郭清も行い、転移の有無も確認します


しかし犬が高齢である場合や、基礎疾患の存在などによって麻酔リスクが高い場合には手術を行わないこともあります。


このような場合、サプリメントを使用することもあるそうです。


一般的なドッグフードは糖質が多いので、糖質を抑えたフードに切り替えたり、自分でフードを手作りしてあげたりすることで糖質を抑えるようにすると、がん細胞の増殖抑制に効果が期待できます。


腫瘍における食事管理の目的は、悪液質に陥らせないようにすることで、そのために低炭水化物・高蛋白の食事が望ましいとされています。


次に、ここでは入院、手術にかかる費用をご紹介します。


入院

乳腺腫瘍の症状が重く、腫瘍が大きい場合などは入院が必要になります。入院して切除手術を受ける費用としては、10万円から20万円程の治療費がかかるようです。


通院

乳腺腫瘍の手術後、基本的には通院する必要はないと言われています。検診などを定期的に受けるだけでいいようです。


しかし、乳腺腫瘍が悪性で、転移してしまう可能性がある場合などは、抗がん剤治療などを行うために通院する必要も出てきます。


通院が必要になってしまうと、通院するたびに治療費がかかり、治療費がどんどん高額になってしまうケースもあります。


手術

症状が軽い場合は入院せずに日帰り手術を行うこともできるようです。


治療を受ける動物病院や乳腺腫瘍の大きさによっても変わってきますが、5万円から15万円かかると言われています。

転移や破裂の危険性がある犬の乳腺腫瘍の予防法

乳腺腫瘍は悪性の場合、ヒトのがんと同じように転移してしまう可能性や、破裂してしまう危険性があります。


破裂って何?とびっくりしてしまう方もいるかもしれません。乳腺腫瘍はひどくなるとどんどん大きくなってしまいます。


大きくなるスピードも速く、病変部の皮膚がそれ以上伸びることができない状態になると、皮膚が切れて破裂してしまうのです。


このように恐ろしい乳腺腫瘍にならない為の予防法としては、メスでは女性ホルモンの量を減らすための若い時期での避妊手術が一番効果が期待できると言われています。


1避妊手術をすることで、乳腺腫瘍の発症確率をかなり下げることができるので、子供を産ませることを考えていない場合、避妊手術を検討することをおすすめします。


特に、初回もしくは2回目の発情前に避妊手術を行うことで、4頭に1頭の割合で発症する可能性があると言われている乳腺腫瘍の発症確率が、0.5%まで下がると言われています。


ただし、すでに乳腺腫瘍が発症してしまった犬の場合、避妊手術を受けても、乳腺腫瘍の再発を予防する効果は期待できないので、注意してください。


さらに、肥満も乳腺腫瘍が発症しやすくなる原因になるので、太り過ぎないよう食事をコントロールしてあげるようにしましょう。

乳腺腫瘍にかかりやすい犬種や年齢は?


飼っている愛犬が乳腺腫瘍にかかりやすいのかどうか、気になる方も多いと思います。犬種に関係なく、メス犬、特に避妊手術を受けていないメス犬が乳腺腫瘍にかかりやすくなっています。


また、オス犬の場合であっても安心はできないようです。乳腺腫瘍はオス犬でもまれにですが発症することがあるそうです。


さらに年齢によっても乳腺腫瘍のかかりやすさに違いがあるので注意してください。

乳腺腫瘍にかかりやすい犬種

乳腺腫瘍はどの犬種にも発生する可能性があり、統計的にかかりやすいとされる犬種もあります。


純血種に比較的多く見られ、以下のような犬種が挙げられます。

  • チワワ
  • プードル
  • マルチーズ
  • ヨークシャーテリア
  • ポメラニアン
  • ダックスフンド
  • シーズー
  • ジャーマンシェパード
  • ドーベルマン
  • ポインター

大切な家族の一員の健康を、常に気にかけてあげましょう。

乳腺腫瘍にかかりやすい年齢

乳腺腫瘍は高齢の犬で発症することが多くなります。高齢になると免疫機能が低下することが、発症する原因になるようです。


また、発症するピークの年齢は9歳くらいと言われています。

犬の乳腺腫瘍の注意するポイント


もし飼っている犬のお腹にしこりがあり、乳腺腫瘍の疑いがある場合、良性か悪性かがどうしても気になるのではないでしょうか?


乳腺腫瘍が良性か悪性かは検査を行わないと判断できません。しかし、大きさや形などで悪性の可能性が高いかどうかは調べることができます。


大きさが1cm以下ならば良性の可能性が高く、3cm以上あるような場合は悪性の可能性が高くなってしまいます。


また、形も重要で、丸っこい感じならば良性の可能性が高く、いびつな形をしている場合は悪性の可能性が高くなります。もししこりを見つけたら、触って大きさや形を確認してみることをおすすめします。

しこりが動くか動かないかを確認する

しこりの大きさや形以外にも、悪性か良性かを見分けるポイントが他にもあります。しこりが動くか動かないかです。


しこりが動かないということは、まわりの組織に固着しているということになります。このような場合は悪性の可能性が高くなると言われています。


しかし上記の見分けるポイントはあくまで可能性がある程度のものですので、自己評価で判断しないで一度動物病院を受診してください。また、手術によって摘出した乳腺を病理組織学的検査しないと悪性度の確定診断ができない場合があります。


何か異常が見られたら必ずすぐ動物病院を受診するようにしましょう。

犬の乳腺腫瘍は痛みを伴うのか

犬の乳腺腫瘍は初期の症状の場合、痛みなどの自覚症状はありません。しかし腫瘍が増大し、出血を伴う場合などでは痛みを感じます


乳腺腫瘍の中でも炎症性乳腺癌と呼ばれるものは普通の乳腺腫瘍と違い、激しい痛みを伴います。


初期症状は乳腺腫瘍と同じような感じになりますが、炎症性乳癌は腫瘍の成長スピードが速く、発症部位を触ると熱く感じるなどの違いがあるようです。

レントゲン検査の画像で犬の乳腺腫瘍の転移の有無を確認

乳腺腫瘍の転移の有無はレントゲンの画像で確認することができます。


手術を行う前にはレントゲン検査を行い、転移をしていないか、特に肺への転移が無いかを確認する場合が多くあります。


仮に肺への転移が認められた場合、摘出手術から対症療法へ、治療の方針が変わることが多いようです。


レントゲン検査で乳腺腫瘍の転移の有無が確認できるとご紹介しましたが、4mm以下の腫瘍は確認することができないので、レントゲン検査の結果、転移所見が見られなくても、油断はできないようです。

犬の乳腺腫瘍はペット保険で補償される?

犬の乳腺腫瘍はペット保険で補償されるのでしょうか。


結論から言ってしまいますと、犬の乳腺腫瘍は多くのペット保険で補償対象になっています。


乳腺腫瘍は初期の場合の治療費でも5万円程、重症の場合の治療費になると20万円以上かかることもあります。


さらに、手術後に通院する可能性もあるため、さらに高額の治療費がかかることも予想されます。


治療費が無くてかわいい飼い犬に治療を受けさせてあげることができない、ということにならないためにも、ペット保険への加入を検討してみることをおすすめします。


もし飼っている犬が、すでに乳腺腫瘍を患っている場合、ペット保険には入れない、と思う方もいるかもしれません。


そのような場合でも、特定傷病補償対象外特約を付けることで、ペット保険に加入することができます。


しかし、特定傷病補償対象外特約を付けると、保険加入前に患っている乳腺腫瘍の治療費は補償対象外となってしまいます。


ただ、犬の病気は乳腺腫瘍だけではありません。もしこれから他の病気になり、高い治療費を払わなければならないかもしれない、ということを考えると、ペット保険への加入を考えてみてもいいかもしれません。

まとめ:犬の乳腺腫瘍について

犬の乳腺腫瘍について、お分かりいただけたでしょうか。


最後に今回の記事の要点をまとめます。

  • 乳腺腫瘍とは乳腺にできてしまう腫瘍のことで、良性の腫瘍が50%、悪性の腫瘍が50%の割合で発生すると言われている
  • 腫瘍が大きくなると、痛みや出血などの症状が出る
  • 女性ホルモンや遺伝的な体質が原因となり発症する
  • 治療は基本的に手術による腫瘍の切除をする
  • 避妊手術をしていないメス犬は、犬種に関係なく乳腺腫瘍の発症率が高く、避妊手術が効果的な予防方法である
  • 乳腺腫瘍が悪性か良性かは検査をしないと正確には分からないが、しこりの大きさや形、動くかどうかを確認して見当をつけることはできる
  • 乳腺腫瘍の治療費は20万円を超えることもあるので、ペット保険への加入がおすすめ

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