本記事では犬の虫歯について紹介をしています。虫歯の腫れによる痛みを伴う症状や虫歯菌がうつる経緯、薬を使った治療、病院で手術するのか、保険の適用等を紹介しています。ご自身の愛犬に虫歯で痛い思いをさせないためにも、本記事を読んで虫歯の予防・対処に努めましょう。
この記事の目次
目次を閉じる犬の虫歯とは?
虫歯は私達にとって嫌なトラブルですが、皆さんの愛犬にとっても耐え難い痛みであることでしょう。愛犬の虫歯等のトラブルを発見したら、速やかに治療すればひと安心ですよね。
しかし、犬の虫歯の効果的な治療方法や予防方法について、皆さんご存知でしょうか。これらの方法がわかれば、愛犬を虫歯から守り、治療が必要なときも冷静に対処できます。
そこで今回「MOFFME」では、「犬の虫歯と治療法、保険適用の有無」について
- 犬の虫歯とは?
- 虫歯にかかりやすいケース
- 虫歯はペット保険の補償範囲か?
虫歯菌により歯が脆くなり痛みを引き起こす病気です
ヒトである我々でも、虫歯になるのは嫌なものですよね。飼い主の中には「ヒト同様、やはり虫歯が進行すれば激痛になるのでは?」と思う人もいるでしょう。
その通りです。犬の場合も歯の神経や血管まで虫歯菌に侵食されると、痛みを感じるようになります。
歯医者に患部をドリルで削られることも苦痛ですが、虫歯を放置しても耐え難い痛みに悩まされます。愛犬もこの痛みに悩まされているのかと、心配になることでしょう。ヒトも犬も早期のケアが必要なことは同じです。
こちらでは、
- 犬の虫歯の症状は?
- 虫歯の原因はヒトと同じか?
- 虫歯の治療法
- 虫歯の予防は何?
犬の虫歯の症状は?犬も虫歯になったら痛い?
次の症状がみられるようになったら、虫歯の可能性があり要注意です。
- 食事に多くの時間を要する、または食事を拒否する
- 歯が黄色または黒、茶に変色した
- 歯に穴が開いている
- 口臭がきつくなった
死のリスクも!?放置するとどうなるのか
犬の虫歯を放置すると、まずは「歯髄炎」と呼ばれる状態となります。これがいわゆる虫歯の痛みとされる状態です。
この歯髄炎の悪化で神経の死んだ状態となってしまう「歯髄壊死」が起きます。その後、「歯根膜炎」が生じ炎症は歯の内部へ進行、歯根にまで達します。
さらに歯根まで炎症が達すると「根尖周囲病巣」となります。この症状まで悪化すれば上顎や下顎の骨を破壊される事態となります。
結果として、下顎骨の骨折が起きるリスクも高まります。
また、根尖周囲病巣から細菌が血流に乗って全身に波及することで、虚血性心疾患や肝炎、骨髄炎等を発症するおそれもあります。
これらの病気になると重度の運動障害を引き起こし、最悪は死に至る危険性があります。
犬の虫歯の原因は?人からうつる?
犬の虫歯リスク因子としては、
- 歯周病
- 歯に悪い食事(歯に詰まりやすいもの、甘いもの等)
- 歯磨きをしない
また、飼い主さんの中には、愛情表現で愛犬とキスをする人もいますよね。この行為で虫歯菌が愛犬にうつる可能性があるため愛犬をいかに愛していても、行わない方が無難です。
キスの他、愛犬への口移しで食べ物を与えることは、人間の持っている虫歯菌も移すことになります。
犬に移った虫歯菌は、条件が整えば犬の口腔内で増殖してしまいます。犬との過度なスキンシップは絶対に止めるようにしましょう。
犬の虫歯の治療は薬?手術方法はあるの?
ヒトの虫歯と同じ原因で犬も虫歯になる以上、治療法はヒトの場合と全く同じです。
次のような治療法となります。
- 初期の虫歯→虫歯の部位だけを削り、削った隙間につめ物をいれ治療
- 重度の虫歯→抜歯による治療
ただし、治療の方法は同じでも、かかる費用はヒトの治療費を大きく上回ることになります。
犬の治療費の相場は、虫歯の本数や症状の進行具合にもよりますが、30,000円~100,000円となります。
費用の内訳は基本的に次の通りです。
(例)小型犬(ミニチュア・ダックスフンド)
- 診察:500円
- 事前検査:15,000円
- 全身麻酔:17,000円
- 歯科処置:60,000円
- 点滴:3,000円
- 処方:2,000円
- 合計:97,500円
犬の治療の際は抵抗してしまうので、全身麻酔が必要となります。1回の手術だけでこれだけの費用がかかってしまいます。
ヒトの場合は公的医療保険が適用されるので、1,500円~20,000円程度です。やはり、犬の治療の場合はそれなりの出費となってしまいます。このような高額に上る出費を抑えるため、何らかの措置が必要となります。
犬の虫歯の予防方法
「犬の虫歯の治療が高額になる以上、予防は大事!」、そう痛感した飼い主さんも多いことでしょう。
そもそも費用が高額になるからというよりは、愛犬の健康維持のために歯磨きは大切です。
犬は虫歯の他、歯周病にもなる可能性があるので、1日に1回以上歯磨きをしてあげましょう。愛犬は嫌がるかもしれませんが、健康管理のためにも必ず行うようにしましょう。
歯磨きに慣れさせる方法は、次のような段階を踏んで行いましょう。
- 愛犬の顔・口のまわりを触ってみる(当然噛まれないようにご自分も注意)
- 手前の歯を触ってみる
- 顔に歯ブラシが来ても警戒しなくなるまで慣れさせる
- 歯を歯ブラシで軽く触ってみる(いきなり口にくわえさせても抵抗されるので注意)
- 歯ブラシで歯を磨く(前歯から徐々に奥歯まで磨けるよう、焦らず磨く範囲を拡げる)
虫歯にかかりやすい犬種や年齢は?
飼い主さんの心配なことは、愛犬が虫歯にかかりやすい犬種なのかということでしょう。
該当する犬種の場合には、予防対策も一層重要になってきます。やはり、虫歯にかかりやすい犬種は存在するようです。
こちらでは、
- 虫歯になりやすい犬種は小型犬?
- 虫歯にかかりやすい年齢
虫歯にかかりやすい犬種
虫歯にかかりやすい犬種は、食欲旺盛な大型犬をイメージしがちですが、そうではありません。実は小型犬に多いと言われています。
1位から5位までランキングにしてみました。
虫歯にかかりやすい年齢
虫歯にかかりやすいのはシニアの小型犬と言われています。年齢が高くなればなるほど、そのリスクは増えていくと指摘されています。
歯垢・歯石は、ヒトと同様に除去・治療を行わなければ、年を重ねるごとに蓄積されていきます。
また、高齢になればヒトと同じで免疫力も低下し、症状の悪化の要因ともなります。シニアとなった愛犬が食べ物を拒否する場合には、“年のせい”にせず口腔内をチェックしましょう。
虫歯を発見したら早期の治療が必要となります。
参考:犬の歯の種類や数を紹介
こちらでは犬の歯の本数や種類、歯が生え変わるタイミング等を説明します。
歯の本数・種類
生まれたばかりの犬には通常28本の乳歯があり、成犬までに42本の永久歯へ生え変わることとなります。
犬の歯は、獲物を掴む小さな切歯(前歯)、鋭い犬歯、食べ物を噛分ける前臼歯、食物を噛み砕く後臼歯(4本)があります。
歯の生え変わり
犬の歯は生後3〜7ヶ月前後で生え変わり、永久歯はヒトの場合と同じく再び生えることがありません。
飼い主さんがデンタルケアの徹底に心がけ、口腔内のトラブル予防に努めましょう。
犬の虫歯はペット保険で補償される?
ここまで読んで「治療のためとはいえ10万円の出費は痛い。」と、不安に思うかもしれません。そんな費用負担の不安を解消し、愛犬へ十分な治療を受けさせるためには、保険加入が有効です。
こちらでは、ペット保険の補償範囲と保険金の請求方法を解説します。
ペット保険の補償金額・保険料
実際の治療費の50%~70%に補償の下りる場合がほとんどです。中には治療費の90%まで補償されるペット保険もあります。
月払保険料は小型犬(トイ・プードル)の場合、年齢等にもよりますが1,000円~4,000円程度です。
ただし、各ペット保険では、犬の口腔内の治療を補償範囲とするかは対応が分かれています。資料請求したならば、補償対象になるか資料で慎重に確認してから加入を決めましょう。
ペット保険が適用される口腔内のトラブル
犬の口腔内の治療を補償する商品でも、商品資料(約款等)で補償範囲をしっかりチェックします。各商品によって、口腔内の治療補償がそれぞれ限定されています。
補償対象となるのは主に次の症状です。
- 歯科処置:歯・口腔内に炎症等の症状(虫歯・歯周病等)があるケース
- 傷病が原因による治療で抜歯するケース
- 歯周病治療を目的とした歯石除去
実際の病気(歯周病・虫歯)が原因となった時、概ね費用は補償されることになります。治療目的なら歯石除去も対象になります。
一方、“後発的にかかった病気”といえないケースでは、補償対象外となります。
- 予防目的の歯石除去
- 乳歯遺残治療:乳歯から永久歯に生え変わる際、乳歯が残ってしまう症状の治療
- 不正咬合(ふせいこうごう)矯正:歯並びが悪いため矯正目的の手術
- 歯切り:噛みつき被害を軽くする目的で、上下各2本の牙の先端を切る施術
- 動物病院へ動物健康保険証を持参
- 愛犬を受診させる
- 窓口で補償対象外の費用を支払う
- 病院で愛犬を受診させる
- 窓口で費用全額を支払う
- 保険会社へ連絡し、保険金請求
- 保険金請求書が自宅へ届く
- 必要事項を記載し請求書・領収証等を保険会社へ提出
- 提出書類を受理後、支払条件に合致していれば、指定口座へ保険金支払い
まとめ:犬の虫歯について
犬の虫歯と治療法、保険適用の有無について解説した来ましたが、いかがでしたか。
今回の記事のポイントは、
- 犬の場合も歯の神経や血管まで虫歯菌に侵食されたとき痛みを感じる
- 愛犬とのキスや口移し等過度なスキンシップは絶対に止める
- 歯が黄色または黒、茶に変色した、歯に穴が開いている等の症状があれば虫歯になった可能性もある
- 虫歯が悪化すれば最悪の場合、死に至るケースもある
- 虫歯の予防は、ヒトと同じくデンタルケアが必要不可欠
- 虫歯にかかりやすい犬種は小型犬である
- 犬の虫歯はペット保険で補償されることが多いが、補償条件をしっかりチェックする