【獣医師監修】犬の歯周病の放置に要注意!重度の症状だと抜歯?予防法は歯磨き?のサムネイル画像

本記事では放置したままだと危険な犬の歯周病の紹介をしています。歯周病の症状、原因、治療・手術方法、予防方法、なりやすい犬種や年齢、保険の適用等を紹介しています。歯周病は重度の症状のときは薬で治療できず、抜歯が必要です。そうなる前に本記事を見て予防してください。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬の歯周病とは?

 

記事モデル:まろ&むぎ(@mugimaro0813)


3歳以上の成犬の約80%以上が「歯周病」だと言われているのをご存知でしょうか?80%以上となると、ほとんどの犬が歯周病にかかっていると思っていいくらいの数字ですよね。


歯周病という名前は聞いたことあるけど、実際どんな症状が出るのか、何が原因なのかよく知らない人もいるかと思います。


また怖い病気ではないから、放っておいても平気だろうと思っている人も中にはいるかもしれません。


歯周病は犬の口臭が強くなるだけではなく、酷い場合には犬の顔に穴が開いてしまったり、手術が必要になったり、命にかかわることもあります。


大切な愛犬の為に、歯周病の正しい予防と、治療法を理解しておかなくてはなりません。


そこで今回「MOFFME」では、

  • 歯周病がどんな病気なのか?
  • 犬が歯周病になるとどんな症状が出るのか
  • 歯周病になる原因や予防、なってしまった場合の治療法
  • 犬の歯周病はペット保険で補償されるのか?

以上のことについて説明していきます。


この記事を読んでいただければ、犬の歯周病についてきちんとした知識を持ち、予防法や治療法を知ることで、大切な愛犬を歯周病から守ることが出来るでしょう。


ぜひ最後までご覧ください。


またMOFFMEではペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧下さい。

歯周病菌によって歯茎が炎症を起こす病気


口内細菌が歯石内の空洞で繁殖し、歯肉またはその周辺組織に炎症を起こすことを歯周病と言います。


細菌が歯周ポケットへ増殖し、歯周靱帯という部分にまで達してしまうと、歯を支える組織が損傷し、歯が抜けてしまうこともあります。


人間もそうですが、犬の歯周病は単なる口の病気ではありません。


放置して酷くなってしまうと、犬の上顎の頬のあたりの皮膚に穴が開いてしまったり、顎の骨が溶けてしまい、骨が折れてしまうこともあります。


症状が悪化してしまう前に適切な治療を受けさせること、歯周病にならないようしっかり予防することが大事です。

犬の歯周病の症状

犬が歯周病になると以下の症状がみられます。

  • 歯茎が赤くなる
  • 口臭が強くなる
  • 歯茎からの出血
  • 歯がグラグラする
  • 口を痛がる
  • 硬いものが噛めない
  • 顎や目の下辺りの腫れ
  • 膿が出る(鼻から出てくることも)

細菌が歯と歯茎の隙間に入り込むことで歯が炎症を起こし、赤くなったり、腫れ出血が見られ、口臭が強くなります。


歯周病が進み炎症が激しくなると、歯茎が溶けてしまいます。


歯茎が溶けると、歯茎に埋まっている部分の歯の根本が見えるほどになり、歯がグラグラしたり、痛みが出てご飯を食べるのが遅くなったりもします。


歯茎だけではなく顎の骨まで溶けてしまうこともあるのです。


更に歯周病が進行すると、上顎の骨が溶けてトンネルが形成されて皮膚が破れ、そこから血や膿が大量に出てきます。


また、口腔内で増殖した細菌が血液中に入り込み、心臓や腎臓に到達することで心不全や腎不全を引き起こし、命にかかわることもあります。


重度の歯周病になると口や歯だけでなく、体全体にも影響を起こします。小さな変化に気付けるように普段から犬の歯や歯茎を観察しておきましょう。

犬の歯周病の原因



どうして犬は歯周病になってしまうのでしょうか?


犬の歯周病リスクを増大させる要因は下記の2つです。

  • 歯垢の蓄積
  • 犬の加齢

歯垢の蓄積

歯周病の原因は歯垢です。


歯垢とは、食べかすや細菌が固まりとなったもので、この歯垢中の細菌が歯と歯茎の間(歯周ポケット)に入ることで歯茎が炎症を起こします。


犬の加齢

人間と同様に、犬も加齢と共に歯周ポケットが広くなります。するとそこに歯垢が溜まりやすくなり、歯周病へと進行していきます。

このように、若齢犬に比べると中高齢犬の方が歯周病にかかる確率が高くなってしまうのです。

犬の歯周病の治療法は薬?手術方法は抜歯?

犬の歯周病の治療法は、主に

  • 歯垢(歯石)の除去
  • 薬を使って炎症をなくす
  • 抜歯
の3つです。

歯垢(歯石)の除去

歯周病の原因となる歯垢や歯石を除去します。


歯垢、歯石を除去することをスケーリングと言いますが、スケーリングをする際には全身麻酔が必要です。


麻酔無しでの歯石除去も可能ですが、歯周ポケットの歯石までは取り切れないため、完璧な治療とは言えません。また、スケーリングの後に表面を研磨しないと、細かい傷や凹みに歯垢が溜まりやすくなります。


歯周ポケットのの歯石除去には痛みを伴うため全身麻酔をし、歯周ポケットの奥のほうまでしっかり歯垢、歯石を除去する必要があります。


薬を使って炎症をなくす

何らかの事情で全身麻酔をかけることが出来ない場合や、軽度の歯肉炎の場合には、薬を使って炎症を抑える方法があります。


炎症を抑える為の抗炎症剤や抗菌薬を投与します。


これらの薬で治療できるのは軽度の歯周病だけなので、重度の場合には薬の投与だけでは治療出来ない場合もあります。


抜歯

歯茎の炎症が酷く歯がグラグラしていたり、歯が割れてしまっていたり、歯を残しての治療が難しい場合には抜歯が必要です。


犬は人間のように食べ物をすり潰して食べるわけではないので、ドッグフードを食べる犬であれば歯が無くても食事は可能です。無理に残す必要がないと判断した場合には抜歯します。


歯が無くてもご飯を食べる事が出来ますが、抜歯した直後は手術した部分が痛むので、抜歯後2週間ぐらいの間は柔らかいご飯を与えましょう。

犬の歯周病の予防方法は歯磨き?



歯周病は治療で治せますが、出来る事なら歯周病になる前にきちんと予防をしておきたいですよね。


歯周病を予防する方法は、

  • 歯磨きをする
  • フードを見直す
  • サプリメント
  • おもちゃやガム
などがあります。

歯磨きをする

歯周病予防で最も大切なのは歯磨きです。


歯や歯茎についてしまった汚れや食べかすをしっかり落とすことで歯垢が溜まることも、歯石になることも防げます。


歯垢が蓄積し歯石になってしまうと簡単には除去出来ませんが、食べかすや柔らかい歯垢であれば、家庭での歯磨きで落とすことが出来ます。


歯ブラシを嫌がってしまう犬の場合は、歯磨きシートやガーゼ等でふき取ってあげるといいでしょう。


歯磨きを楽に行えるよう、小さい頃から歯ブラシや口の中を触られることに慣らしておくと愛犬だけでなく、飼い主さんの負担も少なく歯周病の予防ができます。


フードを見直す

ドッグフードは主にカリカリしたドライフードと缶詰等のウェットフードの2種類です。


ウェットフードが好きな犬は多く、噛むのが苦手な高齢犬等にはとてもいいのですが、ウェットフードはドライフードに比べて歯に付きやすいです。


ウェットフードにはとろみをつける為の増粘安定剤が入っている為、どうしても歯に付きやすくなってしまうのです。


また、食物繊維には唾液の分泌を増やす効果があり、歯周病予防には効果的です。


食物繊維は「粗繊維」と記載されているので、この粗繊維(食物繊維)が多く配合されているフードを選ぶのも歯周病予防には効果的です。


サプリメント

犬のサプリメントにも多くの種類がありますが、オーラルケアを目的としたものも販売されています。


歯周病の原因となる細菌の増殖を抑制するために使われているのが乳酸菌です。乳酸菌は口腔内細菌が増殖しにくい環境を作り出します。


その他にも、歯垢が付くことを抑える為の酵素や、口の中の衛生環境を整えるラクトフェリン等が配合されているサプリメントもあります。


サプリメントは健康やオーラルケアの補助が目的なので、歯磨き等の予防法と合わせて使用しましょう。


おもちゃやガム

犬用の歯磨き効果のあるおもちゃやガムには多くの種類があります。


犬が物を噛む事で唾液が多く出ます。噛んで唾液を出すことで口の中の汚れが落ち、歯垢が付きにくくなります。


歯磨き効果のあるおもちゃやガムは犬のストレス発散にもなるので、歯磨きと合わせて使うとより歯周病予防に効果的でしょう。


ただし、噛みちぎったり砕いたりしたものを飲み込んで喉に詰まらせたりしないよう、飼い主さんの目の届くところで与えましょう。

歯周病にかかりやすい犬種や年齢は?


犬種によってかかりやすい病気がありますが、歯周病も同様にかかりやすい犬種や年齢があります。


ここでは、どのような犬種や年齢で歯周病にかかりやすいかを詳細に具体例や原因を挙げながら紹介します。


歯周病にかかりやすい犬種や年齢を把握し、歯周病に備えましょう。

歯周病にかかりやすい犬種

どんな犬種でも歯周病になる危険性はありますが、特に小型犬は歯周病になりやすい傾向にあります。


小型犬は顎の大きさに対して歯が大きい傾向にあります。


大型犬に比べると小さい顎に大きな歯が密集しているので、食べかすが溜まりやすくなります。


水を飲む量も大型犬に比べると少なく、唾液の量も少ないため食べかすを洗い流しにくく、歯垢が溜まりやすくなってしまうのです。


イタリアン・グレーハウンド等の鼻が長い種類の犬は、前歯の隙間が他の犬種に比べると細くなっている為、歯垢が付きやすいようです。


その他、パグやシーズー等の短頭種は鼻が短いので歯の隙間が狭くなっていて、歯垢が溜まりやすくなっています。


また口の中が肉厚な為歯磨き等のケアもしづらく、磨き残しが出やすいので注意が必要です。

歯周病にかかりやすい年齢

年齢を重ねると歯垢や歯石が蓄積してくるので、歯周病になる可能性が高くなります。


子犬の時から歯磨きに慣らしておけば、歯垢の蓄積を防ぐことが出来るので、犬を家族に迎えたら歯磨きもしっかりしてあげましょう。


大人の犬もゆっくり慣らしていくことは出来ます。根気よく歯ブラシが出来るようにトレーニングをしましょう。

犬の歯周病はペット保険で補償される?

犬が歯周病になってしまった時、ペット保険で補償を受けられるのでしょうか?


全ての保険会社が歯周病を保険対象にしているわけではないので、歯周病やその他の口腔内の治療も補償しているペット保険会社を選ぶといいでしょう。


ペット保険で補償されるものは

  • 歯周病
  • 全身麻酔での歯科治療
  • 歯周病の治療としての歯石除去
  • 口腔腫瘍

これらの治療は補償対象としている保険会社が多いようです。


ペット保険で補償されないことが多いものは

  • 歯周病予防
  • 予防での歯石取り
  • 歯列矯正

治療目的の歯石除去は補償対象になりますが、予防を目的とした歯石除去は補償対象外となるようです。

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まとめ:犬の歯周病について

今回は犬の歯周病の危険性や予防法についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?


この記事で紹介したポイントは

  • 歯周病になると最悪骨が溶けることもある
  • 犬が歯周病になる原因は歯石内で口内細菌が繁殖するから
  • 歯周病の治療法は薬や抜歯
  • 予防には日頃の歯磨きやサプリメントが効果的
  • 犬の歯周病は一部のペット保険で補償される

です。


犬の歯周病は口や歯だけでは無く体にまで影響を起こす甘く見てはいけない病気です。


しかし、毎日のケアや早期発見で治療を最小限にとどめることが出来ます。


また、歯磨きだけでは防げなかった歯周病も、安心して治療することが出来るよう、歯周病治療が補償されるペット保険に加入しましょう。


MOFFMEでは、この記事の他にも読んでおきたい保険に関する役立つ記事を掲載していますので、ぜひご覧ください。