【獣医師監修】犬の外耳炎はどんな病気?症状や原因、治療費・治療法なども紹介のサムネイル画像

犬の最もかかりやすい病気の1つとして外耳炎という病気が挙げられます。もしも外耳炎になってしまったときのために、どのような症状が現れるのか、治療で手術をすることがあるのか、治療費はどのくらいかを知っておく必要があります。この記事では犬の外耳炎について解説します。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬の外耳炎とは?

「垂れ耳の犬は外耳炎になりやすい」と聞くと垂れ耳の子を家族に持つ飼い主さんは不安になりますよね。

しかしそれは本当の話です。垂れ耳に限らず、犬はどの犬種でも耳の構造の問題から外耳炎になりやすいと言われています。

そこで今回「MOFFME」では、犬の外耳炎について、
  • 犬の外耳炎の原因
  • 犬の外耳炎を予防するには
  • 犬の外耳炎の治療法
  • 犬の外耳炎の治療費例
以上のことを中心に説明します。

この記事を読んでいただけたら、犬の外耳炎についてよく分かりますのでぜひ最後までご覧ください。

またMOFFMEではペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧下さい。

外耳道に炎症が起こってしまった病気


犬の耳は人間の耳の構造とほぼ同じで、外耳、中耳、内耳と分かれています。外耳道は耳の穴から鼓膜まで、中耳は鼓膜の奥、そのもっと奥が内耳となります。

外耳炎は耳介から鼓膜までの間で起こる炎症のことです。外耳道は垂直耳道と水平耳道に分かれており、L字型をしているため構造上の理由から外耳炎になりやすいです。

人間でも外耳炎になることは比較的よくありますが、外耳炎になるとじんじんと痛かゆく熱を持って違和感を感じますよね。

犬も同じで、首を振ったり耳の辺りを掻く、床に耳を擦り付ける仕草が増えたと感じたら犬の外耳炎を疑いましょう。

放置しちゃダメ!外耳炎の症状が出たらすぐ病院へ

犬が外耳炎にかかると、とにかくしきりにかゆがります。時には頭をブルブルと振って違和感を軽減しようとします。特に珍しい仕草ではないので初期は見逃しがちです。

外耳炎の症状は以下の通りです。
  • 首のあたりをやたら掻く
  • 首をよく振る
  • 床に耳を擦り付ける
  • 耳から腐敗臭のような臭いがする
  • 耳垢を目にすることが多い
  • 耳が赤く熱を持ったような感じがする
犬は耳の中に水が入ると勢いよく首を振って排出しようとしますが、それと一緒で、違和感を感じて、中のものを排出しようとして首をよく振るようになります。

耳からの異臭は炎症が進み膿が出ている証拠で、外耳炎が疑われます。

外耳内で炎症を起こしているため、耳の外まで赤みが見えたり、耳全体が熱を帯びるようになります。

放置すると炎症は次第に奥に進んでいき、中耳炎、内耳炎と進行していきます。

外耳炎では点耳薬や飲み薬などの投薬と数回の通院で終了した治療が、耳の奥の炎症では手術も必要となる大変な病気になりますので、甘く見ずに直ぐに病院へ連れていきましょう。治療が遅れると治療期間がかなり長くなってしまうので注意が必要です。

外耳炎の原因

人間も含め、動物の耳にはマイグレーションという自浄機能が備わっていて、頻繁に掃除をしなくても汚れは自然に排出されるようになっています。

そのマイグレーションが正常な間は耳は健康ですが、様々な要因でこのマイグレーション機能が低下した時に外耳炎は起こりやすくなります。

マイグレーションが低下する要因は以下の通りです。
  • アレルギー性皮膚炎(耳の表面は皮膚と同じ)
  • 寄生虫
  • 細菌感染
  • 真菌感染
  • 異物侵入(水など)
そして忘れてはならないのは外耳炎になりやすい犬種がいるということです。

冒頭に述べましたが、ビーグルやゴールデンレトリバー等の垂れ耳の犬種は外耳道の通気が悪くなりますので、耳の中がジメジメして細菌や真菌が繁殖して外耳炎になりやすくなります。

またコッカースパニエルやプードルなど、耳の中の毛が多い犬種も注意です。同じく通気が悪く刺激も多くなりますので、耳のチェックは怠らないようにしたほうが良いでしょう。

飲み薬や点耳薬、アロマを使う?外耳炎の治療法

犬の外耳炎の治療は以下の4点の方法があります。
  • 抗生物質や抗真菌剤などの経口薬
  • ステロイドなどの軟膏や点耳薬、内服薬
  • 耳の洗浄
  • 手術
ただ外耳炎の原因によっても治療法は変わってきます。

炎症がひどい場合は痛がるため耳の洗浄は行なえません。その場合は炎症を抑える内服薬や注射を処方され、炎症が引いてきたタイミングを見計らって耳の洗浄を行うこともあります。

異物で外耳炎を起こしている場合は、全身麻酔下でオトスコープを使った処置や手術をしなければならないこともあります。

異物が原因なら手術も仕方ありませんが、外耳炎を放置して重症化させ最終的に手術になってしまった…ということがないように早い段階で病院で診てもらうことが大切です。

外耳炎が軽度の場合は点耳薬や内服薬で2週間ほどで治りますが、重度の場合は手術等が必要になってきてしまいます。

「病院は高いし外耳炎くらいなら家で治したい」と市販薬やアロマを探される飼い主さんも多いのですが、残念ながら現時点では良い市販薬はないようです。外耳炎の原因や症状によっては、アロマでは緩和にはなっても根治には十分に効果を発揮しないこともあります。

外耳炎の原因は様々ありますし、単純に市販薬で治るものではないかも知れませんので、自己判断をするのではなく、獣医師に任せるのが一番安全で確実でしょう。

外耳炎の予防方法

外耳炎になりやすい犬は一度完治させても再発を繰り返すもので、完治したことに安心していつも通りの生活をしていると、また外耳炎になって再び病院に駆け込むことになります。

外耳炎は再発しやすい病気ですので、以下の対策を確実に行って再発を予防しましょう。

市販の耳洗浄液でいつも清潔にする

犬の耳を常に清潔にしておくことは大切で、今は市販でもペット用の耳洗浄液がたくさん売られています。

自分で犬の耳に入れられる自信があるなら、耳洗浄液で定期的に清潔にしてあげることが一番安価で手軽な予防方法です。

ただ、耳洗浄液はアルコール配合のものが汚れもよく落ち乾きも早くてよいのですが、アレルギーがある子には良くない成分となり、脂分を取りすぎてしまうこともあるのであまりおすすめできません。

ノンアルコールのものを選ぶなど低刺激の洗浄液を選ぶようにしてください。

また耳掃除の仕方によっては逆に外耳炎を誘発してしまうこともあるので、外耳炎になりやすい犬種の場合は一度動物病院を受診して、正しい耳掃除の仕方や洗浄液を教えてもらうことが一番安心です。

プロアクティブ療法

プロアクティブ療法は人間のアレルギー療法をヒントに編み出された方法で、外耳炎が治った後も、消炎剤を週に2回ほど点耳して外耳炎を予防する方法です。

もし興味がありましたらかかりつけの動物病院でお問い合わせ下さい。

動物病院に定期検診に行く

犬の耳に自分で点耳なんて出来ない、暴れて耳さえよく見られないという場合は、動物病院に定期的に通って耳をチェックしてもらうしかありません。

犬の耳が臭ってくる頃にはもう外耳炎は発症しています。発症を抑えるためにはプロの目でこまめに確認してもらうしかありません。

外耳炎になりやすい犬種・年齢は?


外耳炎になりやすい犬種は存在しています。あるペット保険会社で「外耳炎で保険請求があった犬種TOP10」が発表されていますので、その情報をお伝えします。

外耳炎になりやすい犬種

あるペット保険で、外耳炎で保険請求があった犬種TOP10は以下の通りです。
耳が垂れていたり、フレンチブルドッグのような皮膚が弱い犬種も外耳炎にかかりやすいようです。

トイプードルは耳の中に毛が生えるので湿気がこもり外耳炎になりやすいです。

しかし、耳が垂れている、耳の中に毛が多いなどの身体的特徴がなくても、アレルギー体質だったり耳に異物が入ると、どの犬種も外耳炎になる可能性は高まります。

自分の犬が該当しなかったと言って安心はできません。首を振ったり掻いたりするしぐさ、耳の臭いや赤みなどを毎日のようにチェックしておきましょう。

外耳炎になりやすい年齢

犬の外耳炎の好発年齢はありません。異物が入ることはどの年齢の犬でも有り得ることですし、アレルギーやアトピーは若年齢から発生します。

外耳炎を高齢になるまで放置してしまった場合は内耳炎に波及し、聴覚障害が発生してしまうこともあります。

外耳炎は放置すると内耳の方へ進行していきます。

内耳が侵されると三半規管に異常が出て、顔(頭)が傾いてしまう(斜頸)、まっすぐ歩けない、眼球が揺れる、耳が遠くなるといった症状が現れることがあります。

耳が不自由になっても犬は他の感覚器官(視覚や嗅覚)で補いますので特に問題はないように思いますが、散歩の時に車に気づくのが遅れたり、急に近づいてきた飼い主に驚いて攻撃的になることがあります。

聴覚の不自由さから警戒心が高まって性格が激変してしまう子もいます。

何度も繰り返しますが、外耳炎は早期発見・早期治療をすることで重症化を防ぐことができる病気です。予防的処置をしておけば外耳炎をある程度予防したり、再発を防ぐことが出来ます。

飼い主さんの深い愛情で、老齢に不自由な思いをさせないようにしっかり対処していきましょう。

外耳炎の治療費は?ペット保険で補償される?


外耳炎の治療は軽症の場合、1回はそれほど負担にはならない額ですが、何度も病院のお世話になる再発しやすい体質の犬もいます。

重症の場合は手術が必要になることもあり、そうなるとかなり大きな出費となります。

外耳炎の治療費はどのくらいかかるのでしょうか。また、ペット保険で補償されるのでしょうか。外耳炎の治療費に関する事情を見てみましょう。

外耳炎の治療費

犬の外耳炎の治療は症状により大きく変わりますので、正確な費用はその場で獣医師に確認するしかありませんが、ここではよくある軽症の例と、少し重症の例のシミュレートをしてみます。


軽症の外耳炎の治療費例

3歳のトイプードルの例です。


視診や触診の結果、軽症の外耳炎と診断が下り、耳をそれほど痛がらないので耳洗浄と薬の処方を受けて1週間ほどで症状は治まり、通院2回で済んだ例です。


症状を早めに察知してすぐに病院に行けば、この治療例と同じようなケースで終了するでしょう。

料金
診察1,400円
耳洗浄1,700円
処方(点耳薬)1,700円
合計4,800円


少し重症の外耳炎の治療費例

2歳のスタンダードプードルの例です。


耳の奥で少し重症化していて、通院は全部で7回、計4回に渡って耳の中を洗浄しました。


炎症の状態がひどいので、基礎疾患や耳の状態を調べるため血液検査やレントゲンを行っています。


以下がトータルでの治療費です。

回数料金
耳垢検査11,080円
耳処置23,456円
抗菌薬37,612円
診察料65,832円
レントゲン検査15,400円
血液性化学15,400円
血球検査12,160円
静脈点滴412,960円
細菌培養検査16,480円
耳道洗浄410,800円
抗生物質注射45,185円
合計通院7回50,965円

もし手術が必要になった時は、別途100,000円ほどの費用が加算されます。

ペット保険で補償されるかどうか確認する必要がある

ここまで見てきたように外耳炎はかかりやすい犬種があり、一度かかると繰り返しやすいものですが、軽症で済めばそれほど痛い出費にはなりません。


しかしそれを生涯に渡って何度も…となると不安がよぎります。外耳炎は耳の中に腫瘍などができても発生しますのでその場合は手術の選択肢も出てきて、いつ高額治療になるか分からない病気です。


もし外耳炎が心配でペット保険を考えていらっしゃるのでしたら、目星をつけたペット保険の補償内容をしっかりと確認してから契約するようにして下さい。


ペット保険は保険会社やプランによって保障内容や保険料が大きく異なりますので、是非一度資料請求をしてみることをおすすめします。

まとめ:犬の外耳炎について

犬の外耳炎について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 犬は外耳炎になりやすい
  • 特に垂れ耳や耳の中に毛が生える犬種がかかりやすい
  • 耳の異臭や掻くしぐさなどを見つけたら早めに病院へ
  • 外耳炎は放置すると中耳、内耳に及び治療が難しくなる
  • 軽症であれば治療費は高くないが、状況によっては手術になることもある

でした。


犬には他にも高額治療になる病気がありますし、外耳炎の重症化に備えるためにも、外耳炎が補償されるペット保険を見つけて早めに加入しておきましょう。


MOFFMEでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。