内容をまとめると
- 犬や猫の健康診断にかかる費用はペット保険の補償対象にならない
- ペット保険加入時には健康診断は不要な場合が多い
- ペット保険加入を考えている方は、ペット保険のお見積もりをおすすめします!
「健康診断にかかる費用はペット保険の補償対象になるの?」「飼っている犬や猫をペット保険に加入させたいが、事前に健康診断を受ける必要はある?」こういった質問は意外に多いです。この記事では、これらの疑問に加え、犬や猫の健康診断の重要性についても獣医師が解説します。
この記事の目次
目次を閉じる犬や猫の健康診断費用はペット保険の補償対象?加入前に受ける必要は?
こんにちは、MOFFME編集部で獣医師の田中です。動物病院に6年間勤務しています。
先日、編集部に「愛犬に健診を受けさせたいけどペット保険の対象になるのでしょうか?」「保険に加入するために血液検査等のデータは必要なのか?」という質問が届きました。
回答としては「健康診断に保険は適応されない」・「加入する際に健康診断は不要」です!
この記事ではペット保険と健康診断の関係性について以下にスポットをあてて説明させていただきます。
- 保険適応外の健診
- 犬猫に健康診断は必要か?
- 健康診断の内容と費用
- 何歳から受ければいい?
- どのくらいの頻度で受ければいい?
- ペット保険に加入する前の健康診断について
- 保険の加入タイミング
犬や猫の健康診断費用はペット保険の補償対象にならない
なぜ健康診断はペット保険適応外なのでしょうか?
健康診断とは基本的に「健康な子が病気になってはいないか」という目的をもって検査をするものです。対してペット保険は「病気にかかる治療費に対しての補償を約束するもの」なので健康診断自体にはペット保険適応外になるのです。
しかしながら、健康診断で病気が見つかった場合はその病気に対しての追加検査や治療費は、ペット保険対象となる場合がほとんどなので安心してください。
では、次の項目からは具体的に健康診断とは何をするのか?費用は?そもそもやる必要ある?といったみなさまの疑問にお答えしていきます。
特に犬の健康維持費は高額になるケースが多い
まず飼育費用という観点から比較したときに犬の年間平均は30万円、猫の年間平均は16万円と猫と比べて犬は2倍程度の飼育費用がかかります。
この主な原因となっているのは、しつけ料やトリミング代、遊ぶ施設の料金や洋服にあります。いずれも猫の飼育費用の内訳ではほとんどかかっていません。
さらに怪我や病気の治療費に関しても犬は猫の約2倍の費用がかかるという調査結果もあります。
このように犬の飼育にかかる費用は基本的に猫よりも高額になるケースが多いので、飼う際にはしっかりと覚悟をもって飼育することが重要です。
犬や猫の健康診断は必要?しないとどうなるの?
犬や猫に対して健康診断は必要なのでしょうか?
結論から言うと、ずばり健康診断は必要です。
動物は自身の体調不良を話すことも、自分で病院に行くこともできません。また、動物の性格によっては体調不良を隠すことがあります。
特に猫はギリギリまで普段通りに振舞おうとするので病院に連れて行ったときにはすでに重篤な状態になっていたということも少なくありません。 動物の異変はとても気づきにくいものです。
だからこそ具合が悪くなる前に健康診断で異常や改善した方がいい点を早めに見つけて対処することが非常に重要なのです。
癌や糖尿病などの大きな病気というものは急に現れるものではなく必ず前兆があります。早期発見・早期治療を行うことで助かる病気はとても多いです。
動物病院からの健康診断のお知らせがきたらぜひ受けることをオススメします!
犬や猫の健康診断の内容や費用を紹介!
実際に動物病院で行われている健康診断の内容・費用を説明させていただきます。
病院によって様々ですが、代表的なものは以下の検査です。
- 身体検査
- 血液検査
- レントゲン検査
- 超音波検査
- 尿検査糞便検査
【血液検査】
【レントゲン検査】
レントゲン装置を使って主に胸部・腹部に異常がないかをみます。
胸部のレントゲンでは肺はキレイかどうか・心臓は大きくないか等を確認します。
腹部のレントゲンでは肝臓・腎臓などの臓器の大きさや結石・腫瘍がないか等を確認します。
【エコー検査】
超音波を使って臓器の構造等に異常がないかを確認します。レントゲン検査より細かい部分をみることができます。 主に心臓エコー検査と腹部エコー検査があります。
心臓エコー検査は心臓の動きや血液の流れを確認します。 腹部エコー検査はお腹の臓器(肝臓・腎臓・膀胱など)を一通りみていきます。
【尿検査】
コース名 | お手軽コース | 基本コース | しっかりコース |
---|---|---|---|
料金 | ¥8000 | ¥18000 | ¥27000 |
検査内容 | 一般身体検査 血液検査 | 一般身体検査
血液検査 尿検査 便検査 レントゲン検査 超音波検査(腹部) | 一般身体検査
血液検査 尿検査 便検査 レントゲン検査 超音波検査(心臓・腹部) 心電図検査 甲状腺ホルモン検査 |
犬や猫の健康診断は何歳から受ければ良い?
では、実際に健康診断はいつから受ければいいでしょう?
もちろん、病気の早期発見にもつながるため、早く受けるに越したことはありません。
遅くとも、小型犬・猫は5-6歳・大型犬は4歳くらいで最初の健康診断を受けるのがおすすめです。
理由としては、このぐらいの年齢から人間でいう「中年期」になるからです。病気になりはじめることが多いのもこの年齢くらいからです。
また、中年期において検査をすることで病気の早期発見以外にも、その子の基準的な数値や健康時の画像を記録として残しておくことでいざ病気になったときに比較することができるというメリットもあります。
犬や猫の健康診断はどのくらいの頻度で行うべき?
次に健康診断の頻度についてです。
ベストは中年期なら年に1回、9歳以上のいわゆるシニア期であれば年に2回受けることです。
犬猫は9歳以降は「1年に4歳」年をとるといわれています。人間と違って数か月~半年の月日が体に大きな変化をもたらします。
「1年前に受けたから今年は健康診断は必要ない」ではなく、しっかりとその子の年齢にあった頻度で健康診断を受けて自分の子の状態を把握するようにしましょう。
定期健診の重要性を解説!
高齢のペットは人間同様定期的な健康診断が非常に重要になります。しかし、若くて元気だからといって定期的に診断しなくていいということではありません。
最低でも年に一度の健康診断の受けることが推奨されています。
小型・中型犬の1年は人間年齢の4年に相当します。大型犬に限っては7年に相当します。
このことから年に2回程度の健康診断をしても決して多いわけではないので、金銭的・時間的余裕のある方はできるだけ頻繁に健康診断を行うようにしましょう。
健康診断に関してはこちらで詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
補足:犬や猫を迎え入れる際に健康診断は必要?
初めて子犬を家に迎え入れる際には、大きな環境の変化によってストレスがかかってしまい、体調を崩しやすくなります。
このことからなるべく早いうちに健康診断を受けることをおすすめします。そのほかにも糞便検査やワクチン接種なども早期に行うといいでしょう。
ペットショップで購入した場合はある程度健康が担保されていますが、人から譲り受けたなどの場合は特に早期に健康診断を受けることが重要です。
その他の注意点としては先住のペットがいる場合です。このような場合はすぐに合流させることはあまりよくありません。
どのような病気や病原体を持っているかわからないので、できるだけ合流させる前に健康診断や糞便検査などを行う必要があります。
最も注意する点は野良の犬や猫を家に迎え入れる場合です。野良は基本的に衛生面が良好でない環境で生活しているため、寄生虫がいたり感染症にかかっていたりする可能性が比較的高くなります。
野良の犬や猫を迎え入れる際には必ず健康診断を受けましょう。
補足:ペット保険の補償対象外には健康診断以外に何がある?
先ほども説明したように、ペット保険は病気や怪我にかかる治療費しか補償しないため、健康診断のように対象外になる項目もあります。
対象外になる項目を把握しておくと、もしものときに慌てずにすみます。
それほど項目は多くないので安心してください。
対象外となる項目は
- 保険に加入する前にかかった病気やケガ
- 歯の治療
- ワクチン接種
- 不妊治療
- 避妊手術
- 妊娠・出産
です。
既往症がある場合は入る前に告知義務がありますので特に注意しましょう。
歯科治療に関しては、補償対象にしている会社もありますが、少数派です。気になる方は「歯科治療を補償対象にしているペット保険」についての記事を参考にしてください。
また病気を予防するためのワクチン接種も保険は使えません。
保険の補償を受けられない理由で病院にかかるときは自費負担になります。
何に補償を受けられないのかを把握して、計画的にワクチン接種や治療を受けることがペットの命を守るために、また元気に過ごせる環境を作るために大事です。
気になる点、疑問点等ありましたら、お気軽にご相談ください。
ペット保険に加入する際に健康診断が必要な場合もある?
ペット保険では、加入前に健康診断を行って健康診断書を提出する場合と、飼い主の口頭のみで健康チェックを行う場合があります。
しかし多くの保険会社では、加入の際の健康診断は不要である場合が多いです。
健康診断といっても無料ではないため、加入前の健康診断が必要かどうか飼い主さんは気になるところでしょう。
こちらでは保険加入の際、必要な場合と不要である場合について紹介します。
ペット保険加入時に健康診断が必要・不要な場合とは
ペット保険に加入したいときは代理店で申込むか、インターネット等を介して契約することになります。
いずれの場合も、申込書・同意書・ペットの健康告知書に記載して申し込みを行います。この段階では、健康診断書の添付は不要であるケースがほとんどです。
ただし、どのペット保険会社にも共通する告知内容である
- ペットの種類、品種、体重、年齢
- 持病、過去の傷病歴
- 現在の健康状態
ペット保険の審査は落ちる?審査なしやゆるいところはあるの?
結論からいうと審査なしで加入できるペット保険はありません。どのペット保険に加入する場合も審査の基準をクリアしなければ加入することはできません。
これは加入の前提条件として「健康であること」が挙げられるためです。加入のほかにも契約を更新する場合に審査が必要な場合もあります。
一概に審査がゆるいペット保険というのはありませんが、加入時に健康診断の必要の有無が異なるので、今すぐにでもペット保険に加入したいと考えている方は告知書のみで加入できるペット保険がおすすめです。
各社によって補償される病気や怪我が異なるので、しっかりと情報を収集して検討することが重要です。
しかし、加入時の健康診断書が不要というだけで既往歴や持病を隠すことが出来るというわけではありません。
もしそのことを偽って虚偽の告知を行った場合は告知義務違反に当たり補償を受けることが出来なくなります。
このようなことから告知書は誠実かつ慎重に記入しましょう。
ペット保険はいつまでに加入する?タイミングを紹介!
ペットを飼い始めてどれくらいの時期にペット保険に加入すればいいのでしょうか。
ある日、突然病気にかかってしまうのは人と同じです。ペットの命は飼い主がしっかり守って長生きさせたいですよね。
タイミングとしてはペットを自宅にお迎えしたらすぐに入ることがおすすめです。
理由は2つあります。
1つはペットが病気を持っていると疾患によっては審査が厳しくなるためです。
元気なペットなら簡単に入れますが、病気を持っていると入れなかったり条件付きになります。病気を抱えてしまう前の、健康で若いうちに加入しておくと、規定されている病気の治療費は全て補償されます。
2つ目はペットが子どもの時だからこそ、かかりやすい病気があるからです。
例えば下痢や嘔吐が理由で、誕生から1歳までの間に動物病院に行く方はたくさんいます。子犬や子猫は免疫力や消化機能がまだ発達していないことや、飼育環境が変化したことが原因だと考えられます。
軽度であればあまり治療費の心配はありませんが、重度になると検査などが必要で1回に数万円ほどになることもあります。
ペットをお迎えしたら元気に飼い主と一生を送れるように準備しましょう。
告知書の書き方は各社で異なるので注意しよう!
告知書には様々な記載項目が設けられており、各社によって内容も異なります。しかし主に確認される事項には共通点があります。
具体的な例を挙げると
- 生年月日
- 体重
- 種類
- 品種
- 既往歴
- 過去半年~3か月以内に治療を受けた内容
- 他に加入しているペット保険の有無とその契約満了日
まとめ:犬や猫の健康診断費用はペット保険の補償対象にならない
いかがでしたでしょうか?
この記事のポイントは、
- 犬猫の健康診断費用はペット保険補償対象外
- ペット保険加入前の健康診断は基本不要
- 遅くても中年期から健康診断を受けるようにする
- 健康診断を受ける頻度は1年に1-2回がベスト