【獣医師執筆】犬や猫の歯周病はペット保険の補償対象?|原因や治療費も紹介のサムネイル画像

内容をまとめると

  • 犬や猫の口臭の原因の多くは歯周病である
  • ペット保険では予防のための歯石除去は補償対象外になる
  • 歯周病の治療には全身麻酔で高額な治療費になりやすい
  • 病気になってしまう前にペット保険の加入を検討しよう!

大人の犬の多くがかかると言われている歯周病。歯周病は悪化してしまうと重い病気に繋がってしまう病気で、ペット保険に入っていないと治療費も高額になります。そこでこの記事では、歯周病が補償の対象になっているペット保険の紹介や、歯周病の治療費や予防法などを解説します。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬や猫の歯周病はペット保険の補償対象になる?

歯周病は犬猫で非常に多い病気です。ある統計では「3歳齢以上の犬猫の80%は歯周病である」というデータもあるほどです。


実際に私も日常診療において、重症度の差はあれど中高齢の犬猫の歯周病罹患率はかなり多いと感じています。


ワクチン接種前での身体チェックでは口の中もみていますが、歯垢・歯石が全くない子の方が珍しいです。


そんな身近な病気の歯周病はペット保険の補償対象になるのでしょうか?

結論から申し上げますと、多くの保険会社で補償対象になります。


それでは歯周病に対しての保険~治療まで色々と説明していきます。今回のポイントを以下にまとめました。

  • 歯周病が補償されるペット保険会社
  • そもそも歯周病ってなに?
  • 犬猫の歯周病に対しての治療・予防
  • ペット保険は歯周病に対しての備えになるか
この記事を読んでまずはお口からペットの健康を守っていきましょう。

ペットの医療費は保険適用外です。急な手術や入院によって高額な治療費が請求されることも珍しくありません。万が一の時に備えてペット保険に加入することは飼い主の心理的不安の軽減やペットへの治療の選択肢の幅が広がることに繋がります。 

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犬や猫の歯周病が補償対象になっているペット保険会社はどこ?


先ほど歯周病が補償対象かどうかはペット保険によって異なることをお伝えしましたが、多くのペット保険で補償対象とされています


しかし一部例外もあるため、加入する前に確認することが重要です。

また、補償内容も各社で変わってきますので、内容をしっかりと確認する必要があります。


MOFFMEが厳選した保険会社を「補償割合の高さ」から比較して、ぜひご確認ください。

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歯石除去はペット保険の補償対象にならないことがある?

歯周病の治療の際には同時に歯石除去が行われる場合が多いです


ここで重要なことは、ペット保険では病気になってからの治療は補償対象となりますが、予防としての治療は補償対象にはならないということです。


例えば、もし歯周病にかかり、その治療として歯石除去を行った場合は、歯石除去は治療と認められ補償対象になる可能性が高いです。


しかし、歯周病を予防するために歯石除去を行った場合、それは病気の予防にあたるため補償対象にはなりません。


ペット保険はあくまで、手術費用などの病気の治療費を補償してくれるものだと覚えておきましょう。

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歯科治療はペット保険の対象?犬や猫の歯石取りや抜歯などは?

歯周病にかかっている犬や猫はペット保険に加入できる?

これについては保険会社によるとしかいえません。

けれども、冒頭でお伝えした通り歯周病は若齢の子を除き、ほとんどの犬猫が患っている病気です。


「歯周病にかかっているからペット保険自体に加入できない」という保険会社は少ないと思います。

ただ、入る段階で歯周病と診断されているのであれば歯周病に対しての診療費は保険適応にはならない場合がほとんどでしょう。

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犬や猫がすでに病気でも入れるペット保険はある?加入条件は?

犬や猫もかかる!歯周病はどんな病気か


歯周病とは「歯の周囲組織が破壊される病態で、歯周病菌による細菌感染症」と定義されています。


人間は虫歯が多いですが、犬猫は虫歯にはなりにくく・歯周病になりやすいです。


これは唾液のpHの違いからくるもので、人は中性~やや酸性気味・犬猫はアルカリ性の唾液をもちます。


虫歯の原因であるミュータンス菌は酸性の環境を・歯周病菌はアルカリ性の環境を好むことから、犬猫は歯周病にかかりやすいのです。


この項目では

  • 歯周病の原因
  • 歯周病の症状
  • 歯周病の治療費
  • 歯周病か確かめる方法
  • 予防方法

について詳しく解説します。

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【獣医師監修】犬の歯周病の放置に要注意!重度の症状だと抜歯?予防法は歯磨き?

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【獣医師監修】猫の歯周病とは?原因から症状、治療法、予防法を解説

犬や猫の歯周病の原因は?

では歯周病になっていく過程を説明していきます。


まず、食物・細菌・水分などによって歯垢が形成されてやがて歯石になります。


ちなみに歯垢が歯石に変わる時間は、人だと1カ月かかりますが、犬は3日しかかかりません。これも唾液がアルカリ性の為、石灰化が起こりやすい環境になっているからです。


この歯石の形成により口腔内の細菌バランスが変化し、他の細菌より歯周病菌の方が増えてしまうと、歯周病菌により歯の周りの組織が破壊され歯周病という状態になるのです。

犬や猫の歯周病の症状は?歯が抜けるだけでなく穴があくことも?

歯周病の症状は軽度~重度まで様々です。


放っておくと歯肉炎や歯槽膿漏などの病気を引き起こすこともあります。また、命に関わるような重篤な状態になることもあるので、たかが歯の病気とあなどらないことが大切です。


【口臭】

これが飼い主さんも気づきやすく、最も身近な歯周病の症状でしょう。

進行した犬の口の臭いはザリガニに似た香りになります。


重度の歯周病では同じ空間にいるのが辛くなるほどキツイ臭いになることもあり、飼い主さんのQOL(生活の質)が落ちることもあります。


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【歯の脱落】

歯を支える組織がもろくなり、歯が抜けます。特に前歯が多いです。


【下顎の骨折】

小型犬に多いです。


下顎の骨は上顎より細い構造をしている為、歯周病により骨組織まで破壊されると簡単に骨折することがあるのです。


【根尖周囲膿瘍】

難しい言葉ですが、簡単に言うと歯の根っこが感染を起こし、顔が腫れる・顔に穴が開きます。


よく「目の下が急に腫れた」「顔に穴が開いた」と駆け込んでくる患者さんがいますが、多くはこの症状によるものです。


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【心内膜炎・敗血症】

歯周病にかかると、歯肉を通じて歯周病菌や細菌が産生する毒素・炎症物質が全身に運ばれてしまうことがあります。


その結果、心内膜炎敗血症が引き起こされ命を落としてしまう可能性があるのです。


動物の歯科専門医の中には、抗がん剤を行う動物は、事前に歯石除去を行い歯をキレイにしておいた方がいいという意見をもつ人もいます。


これは、抗がん剤の副作用で免疫力が低下することで、歯周病菌による敗血症にかかりやすくなると考えられているからです。

犬や猫の歯周病の治療費・手術費用はどのくらいなのか?

歯周病の治療費・手術費用は状態によりピンキリですが、私の病院の例を紹介します。

基本的には、歯周病の治し方としては全身麻酔下での歯石除去・抜歯がメインだと思ってください。


抜歯費用、手術費用は以下の通りです。

費用
術前血液検査5000円
全身麻酔10000円
歯石除去(スケーリング)7000円
抜歯5000~20000円


【歯石除去(スケーリング)】

超音波スケーラーを使って、歯石を除去していきます。スケーリングした後は歯の表面を滑らかにし、歯石が付きにくいようにポリッシングを行います。


【抜歯】

歯周ポケットが深い・グラグラしている・歯根感染が起こっている歯は抜歯を行います。

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愛犬の医療費・治療費に生涯かかる費用の目安はどのくらい?

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猫の医療費は高額?生涯かかる治療費・手術費用などの相場を紹介!

犬や猫が歯周病かどうかを確かめるにはどうしたら良い?

犬猫の歯周病が疑われるのは以下の症状です

  • 口が臭い
  • 口をクチャクチャさせる
  • 歯肉が赤く腫れている・簡単に出血する
  • 歯がグラついている
  • 歯石・歯垢がついている
  • 固いものを食べなくなった
  • 口を掻く・痛がる
  • 食欲がおちる
特には重度の歯周病になると「口を気にする・食欲がおちる」という症状が出ることが多いです。(犬ではこのような症状はあまりみられません)

猫の口の中は、犬よりも確認し辛いと思いますが、健康を維持してあげる為にも歯周病の早期発見は大切です。

自宅でできる犬や猫の歯周病予防・対策|歯磨きでケアしよう

歯周病の対策・予防法は何といっても歯みがきです。


歯みがき頻度は1日1回が望ましいですが、難しい場合は3日に1回は行うといいでしょう。


歯ブラシを使って磨くのが一番いいのですが、大人しく使わせてくれる子の方が少ないかと思います。


その場合は無理せず、指に濡らしたガーゼを巻き付けて歯ブラシ代わりに磨いてあげるのでも大丈夫です。


それでは歯みがきの方法です。

  1. まずは口を触らせることに慣らせる
  2. 慣れてきたら歯ブラシを、無理なら指ガーゼなどで歯みがき
  3. 終わったら褒める


【口を触らせることに慣れさせる】


まずは小さい頃から、飼い主さんが撫でる延長線上で口回りを触ってあげましょう。口を触らせてくれなければ歯みがきはおろか口の中すら見せてくれません。


このステップを疎かにして無理やり歯を磨こうとすると、診察でも口を見せてくれない子になってしまい、口腔内が鎮静・麻酔をかけないと確認できない状態になることもあるので気を付けましょう。


【道具を使って歯みがき】

歯ブラシを使う場合は、必ず動物用を選びましょう。


人用のものはサイズ・硬さが合わず歯肉を傷つけてしまうことがあります。


歯の1本1本を丁寧に磨いていきましょう。力加減は優しく、ソフトに。


特に奥歯は磨きにくいですが、最も歯石がつきやすい場所です。頬を後ろにめくって奥歯を露出させて磨きましょう。


【最後は褒めまくる】

歯みがきをするといいことがあると覚えさせることで、毎日のブラッシングがやりやすくなります。


上手に我慢出来たら思いっきり褒めてあげましょう。

歯石は歯磨きでは落とせません。

歯磨きの際に歯石を発見したら動物病院に連れていきましょう。

なお、このときの歯石除去は「歯周病の予防」にあたるため、ペット保険の補償対象にはならないことに注意が必要です。

他にもペットがかかる歯・口腔の病気はある?

歯周病以外にも犬や猫がかかりやすい歯・口腔の病気として、次のようなものがあります。

  • 歯根膿瘍
  • エナメル質の形成不全
  • エプリス

歯根膿瘍とは、歯の根元(歯根)部分に膿が溜まってしまう病気のことです。これは歯周病が進行して起こります。


特に犬の歯は根元に向かって深く伸びているため、膿が溜まるだけではなく歯の付近の骨に穴が開いてしまうこともあるのです。このような病気にならないためにも歯周病の予防は必須です。


エナメル質の形成不全は、歯の表面のエナメル質の形成が阻害されてしまい十分に発達できなかった状態のことを指します。歯が茶色くなっていたり、ザラザラした表面になっていたらこの疾患を疑いましょう。


遺伝でなることも多いため、明確な予防方法はありません。なりやすい時期からしっかりとホームケアをしておくことも大切です。


エプリスは口腔内に見られる腫瘍のひとつです。歯肉の良性腫瘍ですが、顎の骨まで広がってしまうこともあるため、早期の発見が必要です。


唾液に血が混じっていたり、食べにくそうにしていたりしたら一度病院に行くことをおすすめします。

補足:ペットの歯磨きに関する疑問

ペットが歯磨きを嫌がるがどうすればいい?

歯磨きを嫌がる場合には、原因として、

  • 歯磨きにストレスを感じている
  • 傷や歯の疾患がある

ことが考えられます。


歯磨きがストレスとなっている場合は、歯ブラシのにおいを嗅がせたり舐めさせたりして、徐々に歯ブラシに慣れさせていきましょう。


歯磨きをするたびに褒めてあげることや、ご褒美をあげることで、歯磨きが楽しいものだという認識を持たせることも大切です。


口の中に傷があったり虫歯などが痛んでいることが考えられる場合は、動物病院で診てもらうことをおすすめします。


痛がっているところを無理に磨いていては、いよいよ歯磨きをさせてくれない子になりかねません。 歯磨きに嫌な印象を持たせないように、徐々に慣らしていきましょう。


いつ歯磨きの練習を始めたらいい?

ペットの乳歯が永久歯に生え変わったら歯磨きの練習を始めましょう

歯の生え替わり時期は生後4ヶ月から7ヶ月ほどと言われています。いつ生え替わってもいいように歯ブラシや歯磨き粉を準備しておきましょう。

まだ乳歯の時から歯磨きの練習をしている飼い主さんもいるようです。

MOFFMEのペット保険の一括比較サービスを利用するのもおすすめ

近年加入者が増えていっているペット保険ですが、それでも現在の加入率はペットを飼っている方のおよそ10%程度にしかなりません。


ペットの治療費は全額自己負担となりますので、突然の病気による手術等で数十万円といった高額な費用がいきなり請求されてしまうことも珍しくありません。


しかし大切なペットには最適な治療を余裕を持って受けさせてあげたいですよね


もしもの時、治療費の負担を少しでも軽減し飼い主やペットが治療に専念できるように、前もってペット保険に加入しておくことをおすすめします。


MOFFMEでは「どんな保険に加入すれば良いか分からない」・「入りたい保険がいくつかあるけど、どれが一番良いのか悩む」といった方のために、ペット保険の一括比較を行っております。


ペット保険への加入を検討されている方はぜひ利用してみてください!

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まとめ:犬や猫の歯周病は一部のペット保険の対象になる

歯周病についてご理解いただけたでしょうか?この記事のポイントは

  • 歯周病に対しては多くのペット保険会社が補償対象
  • ほとんどの犬猫は将来的に歯周病になる
  • 重度になると顎の骨が折れたり、顔に穴が開くことも
  • 予防は歯みがきが一番。だけど無理やりはしない

となります。


歯周病予防をしっかり行い、飼い主・犬猫ともに健康な日々を送れるようにしましょう!


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