ペット信託における受託者とは?家族を受託者にすることはできる?のサムネイル画像

ペット信託では、家族を受託者にする事が可能です。飼い主の死後、相続財産や遺産・生命保険金問題が起きないよう、事前に受託者を決めておく事が大切です。飼い主が死んだら、ペットの犬・猫が遺棄が起きがちなので、ぜひペット信託も考慮してみましょう。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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ペット信託における、受託者・委託者・信託監督人の役割とは?

もし自分が死んだら残された犬や猫などのペットはどうなるか考えたことはありますか?


ペット信託とは飼い主が信頼できる方に信託財産を託し管理してもらい、実際にその信託財産でペットのその後の生活を守ってもらうものです。それを見届けてもらうのを監督してもらうことも可能です。


委託者:飼い主

受託者:委託者からの信託財産を管理する者

受益者:実際にお世話する者

信託監督人:実行しているかを監督する者


ペット信託でペットのその後の未来を守りましょう


今回のMOFFMEでは以下を紹介していきます。

  • ペットに遺産を相続するにはペット信託が必要
  • 家族にペットを任せられる
  • 家族以外にペットを任せるには?
  • ペット信託のメリット・デメリットはなに?
  • ペット信託の気になる費用は?
ぜひ最後までご覧ください!

ペットに直接相続することは不可!間接相続にペット信託が必要!


皆さんはもし自分がペットより先に死んでしまうとわかった場合、ペットに遺産を残してあげたいと思いますか?


もしそう思ったとしても現在の日本の制度ではペットは「動産」といって残念ながら「モノ」として扱われてしまいます。よって「モノ」であるペットには直接財産を遺産として残してあげることができません。 


 直接ペットに遺産を残してあげることはできませんが間接的であれば遺産を残してあげることは可能です。 


 ペット信託によって飼い主の死後にペットをお世話してくれる人を探すことで遺産として信託財産を残してあげることができます。信託財産とは委託者から受託者へと託すお金です。


  ペット信託は飼い主さんの身に「もしもの時」があった場合に備えるためのものです。 ペット信託で飼い主の代わりに、あらかじめ信頼できる人やNPO法人を受託者にしましょう。


もしもの時に困らないようにペット信託を用いて信託財産としてペットに遺産を残してあげましょう。 


 ちなみに話は変わりますがアメリカでは多くの州で飼い主の死後にペットに財産を相続させている判例はあります。中には莫大な遺産がペットに残される判例もあります。アメリカならではのことになりますね。


ですが結局はペットがお金を使えるわけではないので代理人が必要となります。  


自分が亡くなった後、家族を受託者としてペットの世話を任せれる


家族信託は自分が亡くなった後でも家族を受託者としてペットのお世話をしてもらうことができます。


家族信託とは、自分が自分の財産を管理できなくなる前に、あらかじめ財産管理を受託者である家族に任せておくことになります。


そういった面で家族信託にはたくさんのメリットがありますのでご紹介します。


  • 柔軟な財産管理ができる
家族信託は負担付遺贈や負担付死因贈与契約と違って委託者である飼い主が老後で認知症などになる前の元気なうちから財産管理を受託者に任せて対応してもらうことができます

  • 遺言書と同等の効果がある
家族信託は遺言と同等の効果があります。生命保険金など相続財産を分割する際には遺産分割協議書が必要となります。遺産分割協議書を作成する時でも信託財産は財産分割には含まれません

また家族信託は遺言書の代わりにも使えますが正式には遺言ほど厳格にする必要はありません。ですが残された側への様々なトラブルに発展する可能性はあるので証書として残しておくと良いでしょう。

  • その後の財産承継ができる
もし実際にペットのお世話をする人(受益者)がもしものことがおきた場合でも受託者はべつの受益者を指定してペットの世話をしてもらうことができます。
こういった対応ができるのも家族信託の強みになります。

家族信託以外で、ペットを引き取りしてくれる方法はある?


日本は昨今の急速な高齢化社会によっていわゆる「高齢のおひとりさま」が増えています。老後の癒しでペットを飼う方も多いです。

そういった「高齢のおひとりさま」の孤独死が話題にあがっています。もし家の中で飼い主が死んだらペットも残念なことに水も食料もなく飢餓により死んでしまいます。

飼い主の孤独死の他にも認知症の発症や長期の入院により遺棄されてしまうこともあります。そういった遺棄につながる前にしっかりと対策するのをおすすめします。
ここでは他に頼れる家族などの受託者がいない場合の対策をご紹介します。

ペットを引き取りしてくれる方法2選

  • 負担付遺贈・負担付死因贈与契約を結ぶ
  • NPO法人や保険会社などと直接ペット信託契約を結ぶ

①:負担付遺贈・負担付死因贈与契約を結ぶ

負担付遺贈は一方的に遺贈者から受遺者に遺言として告げられます。デメリットとして、受遺者は遺産相続を拒否することもできることです。


一方的に飼い主は相続と併せてペットも飼育して欲しいという希望でも受遺者はどうしても飼えない理由があるかもしれません。相続を決める前に話をすることがお互いのためです


負担付死因贈与契約は遺贈者、受遺者が双方合意のもとで執り行われる契約になります。また原則てきに一方的に取り消し、破棄がないと考えて良いでしょう。


よって遺言書による遺贈な比べると実効性が高いため負担付遺贈より負担付死因贈与契約をおすすめします。

負担付遺贈•負担付死因贈与契約はどちらも死後に効力を発揮するものになります。

②:NPO法人や保険会社などと、直接ペット信託契約を結ぶ

ペット信託は信頼できる家族や友人知人のみとだけしかできないわけではありません。NPO法人や保険会社を受託者とすることで信託契約を結ぶことができます。

メリットとしては比較的容易ですが法人や保険会社と契約を結ぶ場合は家族や友人と結ぶことに比べると費用が格段にあがります。月100〜200万という金額になることもあり得ます。

動物愛護法により法人や保険会社にまかせた場合は終生飼養を義務としています。ペットを預かってもらうことはできますが、お金だけ受け取って劣悪な環境で飼育されているケースも中にはあります。

もしもNPO法人のような団体や保険会社を受託者としてペットを託すのであれば、必ず十分にリサーチをすることをおすすめします。

ペット信託のメリット・デメリットは?


これまでにペット信託のことについてご紹介してきました。 飼い主さんは自分が死んだらペットはどうなるのだろうと不安であることでしょう。

ペット信託を受託者と契約する一番の目的としてペットの未来を守りたい気持ちからでしょう。自分自身でペットの最後を見届けてあげることができればいいのですがそれすらも難しい場合があります。

そんな見届けてあげることが難しい可能性がある方には安心できるメリットがあります。しかしメリットだけではなく中にはデメリットも存在します。メリット・デメリットをおさえておきましょう。

ここではペット信託のメリットとデメリットについてそれぞれご紹介していきます。  
  • ペット信託のメリットは?
  • ペット信託のデメリットは?

ペット信託のメリット

ペット信託のメリットについて大きく分けて3つあります。 


ペット信託のメリット

  • ペットに対して財産を残してあげることができる
 本来であればペットは「モノ」扱いとなっているため遺産とし残してあげられません。 ですがこのペット信託としてであれば遺産として関節的に残すことができます

これによってペットの飼い主さんの死後でも食べ物に困ることや病気になっても治療することができ、飼い主さんは安心できます。 

  •  負担付贈与や負担付遺贈と違ってペットのためだけに使われる 
 負担付贈与や負担付遺贈は飼い主の死後にペットを飼育してもらう条件に相続人に遺産を贈与します。しかしこの場合本当にペットのために使われているかわかりません。

ペットのために遺産として残してあげたとしても相続人にその気がなければペットのためにはなりません。 ですがペット信託であればペットのためだけに残してあげることができます

ペット信託は受託者として信頼できる人やNPO法人と生前に十分お互いが納得して信託契約を結びます。信託契約を結ぶ時に飼い主さんの希望を盛り込みましょう。

  • 遺贈は放棄できるがペット信託ではそうはいかない
遺言の場合の遺贈は、相続人は遺贈に対して拒否することができます。よってもしもペットを飼いたくない場合は拒否されてしまうのです。

ですがペット信託はそうゆうわけにはいきません。

ペット信託はそもそも委託者と受託者の双方の信頼から成り立っていますが、万が一の時のために信託監督人を設けることでペットのためになっているかを受託者に対して監督・指導することができます

ペット信託のデメリット

ペット信託のデメリットとして大きく分けて2つあります。


ペット信託のデメリット

  • 受託者が見つかりにくい
ペット信託はペットの未来を守る目的をもっています。飼い主さんに受託者になってもらえそうな信頼できる方がいればいいのですが、身近にいない場合があります。

例えば老犬になると介護が必要になったり、病気ももちろん頻繁にかかってしまうかもしれません。

受託者になる方にはお世話をしてもらう必要があるため、信頼できる受託者を見つけることは簡単なことではありません

  • ペット信託を取り扱っている専門家が少ない
ペット信託の専門家がかなり少ないです。ペット信託を含む民事信託を扱う専門家も少ないのが現状です。 ペットに寄り添ってもらえる弁護士や司法書士を探すことが重要となってきます。

ペット信託の費用はどれくらい?料金相場を紹介!


ペット信託の費用は主にペットフード代、病気になった場合の治療費・予防接種費などを残りの余命で算出します。また専門家に契約に関わる書類を作成してもらうにも費用が発生してしまいます。


ペット信託の費用ですが受託者に信頼できる家族に指名することができれば費用は比較的安くすることはできます。


家族を受託者に置く場合で契約書作成費用を含めて犬の場合だとだいたい初年度で約50万ほどかかります。数年生きると仮定すると一括で100万円以上はかかるケースが多いです。


法人などを受託者に置く場合はその施設によりけりですが高いところだと月100万円以上かかってしまう場合もあります。もし法人などを選ぶ場合は3社ほどピックアップして選ぶようにしましょう。

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まとめ:大切なペットを家族に託すため、家族を受託者に

いかがだったでしょうか?これまでの内容をまとめますと、

  • ペット信託。信託財産とは
  • ペット信託の仕組みは?
  • 家族にペットを任せる3つのメリット
  • 家族以外にペットを任せられる方法をご紹介
  • ペット信託のメリット3選・デメリット2選ご紹介
  • ペット信託はある程度まとまった費用が必要になる

ペット信託は愛するペットの未来を守るためと、それを望む飼い主さんが安心して託すことができる民法を活用した方法となります。


飼い主さんが遺産としてペットに残すことはできませんが、ペットが安心して暮らせる方法を残してあげることはできます。

一度ご検討してみてはいかがでしょうか?


またMOFFMEでは、他にも様々なペットや保険に関する記事を多数公開しておりますので、そちらもぜひご覧ください!