うさぎの腹痛は緊急性が高いものの「お腹痛いポーズ」は「リラックス時のポーズ」にも似ており混同には注意が必要です。当記事ではうさぎの「お腹痛いポーズ」と「リラックス時のポーズ」の見分け方と、腹痛であった場合の対処法、病気別の予防法等について解説していきます。
この記事の目次
目次を閉じるうさぎのお腹痛いポーズってなに?リラックス時との見分け方
「うさぎの腹痛」の原因は胃腸うっ滞・急性胃拡張など、生死に関わる病気のケースも多いです。その兆候があれば病院で診てもらい、万一病気であれば速やかに治療を受けなければいけません。
うさぎは本能でギリギリまで体調の悪化を表に出さないので、飼い主さんが些細な兆候を見逃さず、早期発見・早期治療に取り組む事が大切なのですね。
そして、腹痛の時にうさぎが示す兆候の一つに「手足を伸ばす、お腹をペタンと地面につける」お腹痛いポーズがあるのですが、このポーズはリラックスしている時のポーズと似ているので、混同しない様に!
そこで
- リラックスしているときのうさぎの様子
- お腹が痛い時のうさぎのサイン
をわかりやすくまとめましたので「見分けがつかない・・・」と悩まれている方は参考にしてみてくださいね!
リラックスしているときのうさぎの様子
リラックスしている時のうさぎも「手足を伸ばし」ますが、腹痛の時の様子とは明らかに異なります。手足を伸ばしつつ、以下の様子が見られるのなら「リラックスしているんだなぁ」と察して、そっとしておいてあげましょうね。
鼻
うさぎは常に鼻をピクピク動かしていますよね。リラックス状態の時は、この鼻ピクの頻度は非常に穏やか、もしくはほとんど動いていないのが特徴です。心拍の穏やかな動きが、呼吸の頻度=鼻ピクの頻度にも反映されているのですね。
お腹
リラックスしている時は、お腹をゆっくり上下させています。理由は同上。
耳
リラックスしている時は耳をペタンと寝かせている事が多いです。ただ周りで物音がしたり、飼い主さんに声をかけられると、音の方向に耳を「ピン」と立てるなど、愛くるしい仕草を見せてくれますね。
目
リラックスしている時は、目を細めて気持ちよさそうにしている事が多いです。
全体の様子
手足を伸ばしたまま、ジッとしており、いかにも落ち着いた様子です。警戒心が強いうさぎがこのような状態になっているのは、よほど安心しきっている時に限られます。撫でると気持ちよさそうに、身を任せてくれる事も。
お腹が痛い時のうさぎのサイン
一見、手足を伸ばして、リラックスしている様にみえても、以下の様なサインが見られれば「お腹を痛めているのかも・・・」と疑って、速やかに病院で診てもらいましょう。
鼻
お腹が痛い時には、非常に早い頻度で、鼻を引く付かせています。腹痛から呼吸が荒くなっている影響ですね。こういう時に好物を鼻先に差し出しても、においに敏感なはずのうさぎが全く興味を示しません。
お腹
同じく腹痛から呼吸が荒くなり、通常時より早い速度で上下させています。お腹がパンパンに張っていることも。
耳
声をかけても、耳に動きが見られません。痛みに反応する余裕がないのです。腹痛が酷くなり低体温症に陥ると「耳が異様に冷たくなる」といった変化もみられる様に。
目
リラックスした時と同じく目を細めていますが、表情が引きつっています。
全体の様子
腹痛の時には、手足を伸ばしたり縮めたりを繰り返し、落ち着きなくソワソワした様子がみられます。うさぎなりに痛みが出来るだけ少ない体勢を探しているのです。また痛みが酷いので、触られるのも嫌がるようになります。
そわそわ動いている時はまだマシな方で、重篤化してしまうと、ケージの隅でジッとうずくまって動かなくなります。
こういった異常に早くに気が付く為には、日頃からのコミュニケーションやスキンシップが大変重要になってきます。
うさぎが「お腹が痛い」と感じているときの対処法
- すぐに動物病院を受診しよう
- 自己判断でマッサージをすることは避けよう
という2点をまず念頭に置いておきましょう。以下でどういう事なのか、もう少し詳しく解説していきますね。
すぐに動物病院を受診しよう
うさぎの「お腹が痛い」というサインを察したら、すぐに動物病院を受診する様にしましょう。うさぎの腹痛は人間の腹下しとは訳が違い「赤信号」のケースが非常に多く、様子見は厳禁です。「ちょっと様子がおかしいかな?」程度の違和感から数日で急変し、1週間と経たず亡くなってしまう子も多いのです。
自然界で弱いうさぎは「限界まで弱みを見せない動物」です。例え少しの異変であっても、既に相当に病状が進行している事もあります。とりわけ何も食べない、糞もしないといった状態が12時間以上続いてるのなら緊急を要します。脂肪肝のような合併症にも繋がり、状況は悪化する一方です。
そして異変に気が付いたのが、例え夜遅い時間帯であっても「明日になってから病院に行こう」はやめてくださいね・・・!
うさぎにとっての1日は人間にとっての1週間と言われていますので「明日になってから」が命取りになります。様子見などせず、すぐにでも夜間・救急診察およびうさぎの受け入れ可能な動物病院を探してあげましょう。
自己判断でマッサージをすることは避けよう
マッサージというのは、うさぎが健康な時ならば、スキンシップによる関係性構築や血行促進による健康効果も期待出来ますので「うさぎがストレスを感じない範囲で」習慣化するのは良い事です。しかし今まで解説した様な「お腹が痛いサイン」が見られる時は、原因がはっきり特定されるまで、自己判断でマッサージする事は避けてください。
例えば「軽度のうっ滞」など原因によっては、マッサージでお腹の蠕動運動を促進する事で、症状が緩和する事はあります。しかし急性胃拡張の様な重篤な病気の場合、マッサージの刺激は逆効果になります。
軽く触診してみて
- お腹がパンパンに膨らんでいる
- 異物感を感じる
等の異変が見られた時にはマッサージはしない様お願いします。
いずれにせよマッサージというのは「応急処置」に過ぎず「治療」ではありませんので、うさぎが腹痛を感じているのなら、一刻も早く病院に連れて行き、適切な治療を受ける事が重要です。
もしも腹痛から低体温症になっているのなら、マッサージではなく、ヒーター等を使い体を温めてあげましょう。
うさぎがお腹痛いポーズをするときに考えられる病気は?
繰り返しになりますが、うさぎが腹痛を強いられる病気は、緊急を要するものがほとんどです。冒頭でお伝えしたような「お腹痛いポーズ」を確認したのなら、様子見する事なく、病院に連れて行ってあげてください。
しかし大前提として「腹痛に関連する病気」にどんなものがあるのか知っていれば、日頃から予防策を講じる事が出来ますし、いざ病気になった時慌てる事なく、その症状から早期発見・早期治療を行う事が出来ますよね。
繊細で急変し易いうさぎの命を守る上で、何より重要視すべきは「予防」なんです!
さて、ではうさぎがお腹痛いポーズをする時、どんな病気の可能性があるのかというと
- 胃腸うっ滞
- 急性胃拡張
- 尿路結石
等が挙げられます。以下で病気別の原因・予防法を解説していくので、参考にしてみてくださいね!
お腹痛いポーズ時に考えられる病気①胃腸うっ滞
胃腸うっ滞とは、何らかの原因で胃腸の動きが滞ってしまう病気の事です。うさぎが最も罹り易い病気でもあり、悪化すると胃に溜まったガスが腹部を圧迫し、うさぎは強い痛みを感じる様になります。
「お腹が痛いポーズ」以外でも
- 元気がない
- 食欲不振
- 糞が出ない・小さい
- お腹が張っている
などの症状が見られれば、胃腸うっ滞の可能性を疑いましょう。
予防法
胃腸うっ滞は、季節の変わり目で胃腸の働きが低下する時期になり易い病気です。
季節の変わり目はうさぎにとって換毛期にもあたります。うさぎは猫の様に飲み込んだ物を吐き出す事が出来ませんので、毛繕いと同時に飲み込んだ大量の抜け毛が、毛球として腸に詰まる事でうっ滞を引き起こすのです。
予防するには、抜け毛を大量に飲み込んでしまわない様、まめなブラッシングで抜け毛を除去してあげる事が重要になります。
お腹痛いポーズ時に考えられる病気②急性胃拡張
急性胃拡張は、何かしらの原因で「胃の出口が塞がる」事で、胃がパンパンに膨らんでしまう病気です。胃の中身が腸に流れなくなり、行き場のなくなった内容物で胃が膨張してしまうのですね。腹部の血管が圧迫され、うさぎは強い腹痛を感じる様になります。
そして食べるのをやめても、胃に留まった内容物から発生するガスで胃の膨張は続きます。最悪胃が水風船のように破裂して、死に至る事もある恐ろしい病気なのです。非常に緊急性が高い病気なので、速やかにチューブで胃の内容物とガスを抜き出す処置が行われ、場合によっては切開も必要になります。
急性胃拡張はうっ滞の一種ですが、上述した胃腸うっ滞が「徐々に」食欲を無くしていくのに対して、急性胃拡張は昨日まで食べていたのに「突然」食べなくなる事が多いのが特徴です。
予防法
急性胃拡張の原因は
- 急激な温度変化
- 繊維質不足
- 毛球による腸閉塞
等々、様々な可能性が考えられますが、正確なところはまだわかっていません。しかし繊維質豊富な牧草を普段からよく食べさせて、胃腸の動きを促進、消化機能を健康に保っておく事が、最低限やっておくべき予防策といえるでしょう。
お腹痛いポーズ時に考えられる病気③尿路結石
尿路結石は、尿中のミネラル分が固まって、尿路(膀胱や尿道)に石のような塊(結石)が出来てしまう病気です。結石が巨大化し尿道閉塞を引き起こす事で、うさぎは腹痛を感じます。病状が悪化すると膀胱破裂に至る等、普通に命にも関わる病気なんです。
お腹が痛いポーズ以外でも
- 背中を丸めている
- 血尿が出る
- 頻尿
- 歯ぎしりをしている
等の症状が同時に見られれば、尿路結石の可能性を疑ってみましょう。
万が一尿路結石ならば、速やかに治療し、尿道の閉塞を解消する必要があります。レントゲンにより結石の大きさを調べ、結石が小さい場合は点滴や対症療法で、結石があまりに大きい場合は超音波で結石を壊したり外科手術が必要になる場合もあります。
また尿路感染がみられれば抗生物質による治療も併行して行われます。
予防法
尿路結石は、カルシウム濃度の高いペレットを食べ過ぎていたり、水分不足で体内のカルシウム濃度が高くなり過ぎた場合等に発症する病気です。その為
- 給水ボトルから水が出にくくなったりしていないか毎日チェック
- 尿が白濁していないかチェック(白濁していたらカルシウム過剰という事)
- 水が出やすい給水ボトルに換える
- カルシウム含量1%を超えるようなペレットは避ける
- パセリ、大根の歯などカルシウムの多い野菜は与え過ぎない
こういった点に注意して世話をしてあげれば、尿路結石に疾患するリスクは大幅に減る事でしょう。水分摂取は体内のカルシウム濃度の調節に不可欠ですが、室温が下がり過ぎていると、体温を保つ為に水を飲まなくなる傾向があるので注意してください。
うさぎの「お腹痛いポーズ」についてのまとめ
ここまでうさぎのお腹痛いポーズについて着目して解説してきました。
この記事のポイントは
- うさぎの「お腹痛いポーズ」はリラックスしている時と非常に似てるので見分け方が重要
- うさぎがお腹痛いポーズをしながらリラックスしているときは全体的に落ち着いている様子
- うさぎがお腹痛いポーズをして本当にお腹が痛い時はソワソワしたり触られることを嫌がる様子
- うさぎが腹痛の時は自己流のマッサージは避けて、すぐに動物病院に向かおう
- うさぎがお腹痛いポーズをするときに考えられる病気は3つある