うさぎは意外に自己主張が強く、不快・不満な事があると素直に怒る動物です。しかし怒りはストレスを感じている証拠。うさぎとの信頼関係を構築し、家族として上手く付き合っていくには、うさぎの怒り方や怒る理由を理解し、理由別に適切な対処を行う事が大切です。
もしかして怒ってる?うさぎの怒り方を解説!
「家族の一員」としてうさぎと上手く付き合っていくには、うさぎの「感情」に寄り添っていく必要があります。特に繊細なうさぎに無用なストレスを与えない為にも「喜怒哀楽」のうち、特に「怒り」の感情を知る事が重要になってきます。
こう聞くと「温厚な草食動物」というイメージから
「え?うさぎって怒るの?」
と感じる人もいるでしょう。でもうさぎって意外に自己主張が強い動物なんですよ。私達が良かれと思ってやっている事も、うさぎにとっては「余計なお世話」で怒らせる原因になってしまったり・・・。
確かにポーカーフェイスなので、表情からは怒りは読み取りにくいのですが、うさぎは
- 足ダンをする
- 「ブーブー」と鳴き声を出す
- 噛む
- うさパンチする
- 威嚇の姿勢の体勢になる
等、様々な仕草・行動で怒りを伝えてくれますよ。下記でこれらの怒り方の背景について詳しく解説していきますね!
うさぎの怒り方①足ダンをする
ペットのうさぎの多くは、巣穴を掘って生活する「アナウサギ」と呼ばれる野生種の子孫。そしてアナウサギには、前足で体を支え、後ろ足で思いきり地面を踏み鳴らし、巣穴にいる仲間に危険を知らせるスタンピング(通称『足ダン』)と呼ばれる習性があります。
声帯を持たず鳴き声を発せられないうさぎにとって、足ダンは「音による」重要な意思伝達手段なんです。
ペットのうさぎも野生時代の名残で、この足ダンを行います。ただし意味合いとしては「警告」というよりも、飼い主や現状への「不満」「怒り」である事が多いのです。
例えば
- 好きなおやつを貰えない時
- 縄張りを荒らされた時
- そっとしといて欲しいのにしつこく構われる時
- ケージから出してもらえない時
- テレビの音がうるさい時
こういった時に足ダンを行うケースが見受けられます。
足ダン自体は野生時代の名残で、問題行動という程ではないのですが、あまりにしつこく繰り返すと足裏への過剰な負担からソアホック(足底皮膚炎)と呼ばれる炎症を起こすリスクがあるので注意です。
うさぎの怒り方②「ブーブー」と鳴き声を出す
うさぎは声帯を持ちませんが、稀に感情表現の為に「鳴き声」を出す事があります。どんな鳴き声かは、感情によって変わってきますので、下記を参考に判別してみてください。
- 嬉しい時やリラックスしている時・・・「プープー」「クゥクゥ」と高く短い音
- 怒っている時や威嚇している時・・・「ブーブー」という低い音
「声帯がないのにどうやって鳴くの?」と疑問に思われるかもしれませんが、正確には「鳴いている」のではなく「鼻を鳴らしている」んですよね。
例えば大嫌いな爪切りやブラッシングの時等、暴れる代わりに「ブーブー」と怒りを意味する「鳴き声」を出す子が多いです。一方で、遊んでいて気持ちが高まっている時や発情している時等も似た様な鳴き方をしますので、他の状況も見てうさぎの感情を察してあげてください。
ブーブーという鳴き声と共に、スタンピング(足ダン)や「ゴリゴリ」鈍い音の歯ぎしり等も見られれば、それは「怒っている」可能性大ですよ!
うさぎの怒り方③噛む
「噛む」はうさぎが激しく怒っている時にする典型的行動の一つですね。例えば
- 慣れない人に触られそうになった時
- 本気で嫌な事をされた時
等に怒りから「噛む」という行動に出るのです。
特に思春期や発情期は、神経質かつ攻撃的になって、ケージに手を入れた途端噛んでくる場合も・・・。
思春期や発情期でなくとも、飼い主が信用されていない場合は、何かと気に食わない事があると噛んで怒りをぶつけてきます。こうなるとブラッシングや爪切り等、日頃の世話にも支障が出るので、改めて信頼関係を構築し、噛まない様に躾け直していく必要が出てきます。
もし噛まれたら
うさぎの前歯は「切歯」とも呼び、その名の通り非常に鋭利な形状をしています。顎の力も木の皮や根っ子を平気で噛み千切るほど強いですので、怒らせて素肌を本気噛みされようものなら普通に流血沙汰です・・・。
万が一血が出る程の傷を負わされてしまったら、すぐに水で洗い流して消毒してくださいね。傷口から人獣共通感染症(ズーノーシス)に罹る事もありますので、「たかがうさぎの噛み傷」と軽視しない様に!
うさぎの怒り方④うさパンチをする
うさパンチとは、両前足、もしくは片前足を、素早く前に突き出す動作の事です。まるでパンチしている様な仕草に見える事からこの様に呼ばれています。
例えば
- おやつをくれない時
- ケージに手を入れた時
- 行きたい場所に人が居座っている時
等に軽いジャブの様なパンチを食らわせてくるのです。同時に「ブーブー」と鼻を鳴らす事もあります。
一種の威嚇行動ではあるものの、正直あまり痛くもないので、短い前足で「パンチ」する様をみて「可愛い」と思ってしまう人も多いようです。ただうさぎとしてはいたって真面目な怒りの表明である事は忘れてはいけません。
うさパンチをされたら
例えばうさぎを触ろうとして顔の前に急に手を出した時、驚いたうさぎが反射的に「パンチ」する事があります。なので次からうさぎを触る時は、急にではなく、優しく声をかけながら触ってあげるなど、こちらに非がある場合は「可愛がる」のではなく、気持ちを真剣に受け止めて、接し方を改善してあげましょう。
一方で「おやつくれ!」「そこどいてよ!」みたいな「我が儘うさパンチ」があるのも事実・・・何でもかんでもいう事を聞いていたら、うさぎが自分優位だと勘違いし、要求がエスカレートする可能性も。あげくは噛んだりひっかいたり、明確な危害に発展する恐れもあるので、無視すべき時には無視しましょうね。
うさぎの怒り方⑤威嚇の体勢になる
ペットのうさぎでも、野生で天敵に追い詰められた時など極限状態時に見せる「威嚇の体勢」になる事もあります。その特徴としては
- 前足を前に出し、体を大きく見せる
- 目をカッと見開いている
- 前歯を剥き出しにしている
- 耳や尻尾を立てる
等が挙げられます。
飼育下では構われたくない時にしつこく触ろうとしたり、慣れない人が近づいた時等に「激しい怒りや警戒の表明」として、こういった威嚇の体勢を見せる場合がありますね。攻撃の前兆でもあり、下手に手を出せば、思い切り噛みつかれ怪我する恐れもあるので、くれぐれも注意してください。
今現在うさぎが嫌がる様なことはしていなくても、うさぎは怖かったことや不快に思った事をよく覚えています。過去に飼い主さんに怒鳴る、叩くなど酷い叱り方をされた為に「飼い主=警戒対象」と認識し、事あるごとに「威嚇の体勢」を向ける事も・・・。
こうなったうさぎとの信頼関係を取り戻すには、うさぎが警戒心を解いてくれるまで「やたら構わずに、そっと見守ってあげる」事が最善です。おやつの時に優しく声をかけたり、軽くなでたりしながら、少しずつ信用を取り戻していきましょう。
うさぎが怒る理由とは?どんなことで怒るの?
ここまでで「うさぎの怒り方」について詳しく紹介してきました。そしてもし、飼われているうさぎがしきりに「怒り」に基づく行動を繰り返しているのなら、それは同時に「うさぎがストレスを抱えている状態である」という事もわかってあげなければいけません。
「そうはいっても、そもそもどんなことで怒るの?」という話ですが、これは人間と同じで「不快感を感じた時」です。嫌な音・匂いがする、室温湿度が適切じゃない、トイレやケージが汚れている・・・こういった「不快」な環境に晒されていると、うさぎは
- 足ダンする
- ブーブー鳴く
- 歯ぎしりする
- 噛む
といった仕草・行動で、状況の改善を飼い主に訴えてくるのです。
- 快適な環境じゃない!
- 遊ぶ時間が足りない
- 嫌なことをされた
- ケージやトイレを掃除された!
こういった様々な「怒る理由」を理解してあげる事は、うさぎと良好な関係を続けていく事でとっても重要ですね。以下で理由別に、これら「怒り」の背景について解説していきます。
うさぎが怒る理由①快適な環境じゃない!
うさぎは環境に左右され易い繊細な動物。なので「快適な環境じゃない」と怒りっぽくなるので注意しましょう。うさぎが怒っている時、以下の様な環境においてしまっていないか、チェックしてみてくださいね。
嫌な音・騒音
うさぎの聴覚は人間の3倍もあり、人間が拾えないような音にも敏感に反応します。テレビの大音量、扉を思い切り閉める音、工事の音、犬の鳴き声等、騒音への不快感は人間の3倍と考え、出来る限り静かで落ち着ける環境を用意してあげましょう。
室温湿度が適切じゃない
うさぎは高温多湿を嫌う生き物なので、部屋の温度や湿度が快適に保たれていなければ、不快感から怒る理由になりますね。エアコンや空調で常に快適な室温湿度(湿度18~24℃、湿度40~60%)を保ってあげましょう。
トイレやケージが汚れている
うさぎの嗅覚は人間の10倍と言われています。におい刺激に敏感なので、ケージやトイレの掃除が不十分で、強烈なアンモニア臭を放っていたりすれば、不快感から怒ります。
うさぎが怒る理由②遊ぶ時間が足りない
うさぎは元々大自然で活発に走り回っていた動物なので、うさんぽの時間が足りないと、それも怒る理由になります。遊ばせる時間はどうしても飼い主さん個々人の生活スタイルに左右されてしまいますが、どんなに短くても最低1日30分はうさんぽさせてあげるようにしてください。
遊ぶ時間を決めておき、規則正しい生活リズムを作ってあげれば「遊び足りない!」と怒る事も減るでしょう。
さらにうさぎは、元々群れで生活していただけあり、意外に社会性の強い動物なので
- 爪切り
- ブラッシング
- なでなで
といった飼い主とのコミュニケーションを好みます。「ケージから出して放置」ではなく、部屋んぽの間存分に構ってあげれば、短い時間でも満足してくれると思いますよ!
それでもケージに戻るのを嫌がる場合、例えばご飯をあげるタイミングをケージに戻った後にする等工夫してみてください。
ただし、うさぎの要求に応じて、遊ぶ時間を増やし続けたら、結局放し飼いのような形になってしまいます。遊ぶ時間を決めたら、それ以外の時間は例え怒っていても無視する様にしましょう。
うさぎが怒る理由③嫌なことをされた
うさぎは「嫌な事をされた」時に「やめてよ!」と素直に怒ります。うさぎは温厚で平和主義な動物にも見えますが、怒るときは怒るのです。
その上でうさぎの「嫌なこと」は
- 抱っこや爪切りをされる事
- お腹や足の裏等特定の場所を触られる事
- 縄張りであるケージやトイレを掃除される事
- ケージ内や部屋のレイアウトを変えられる事
- 食事の内容を変えられる事
個体によって千差万別なので、飼われているうさぎが「何を嫌がるのか」を理解した上で、日々の接し方を工夫していきましょう。飼い主が良かれと思ってやっている行為も、うさぎにとっては有難迷惑であったりもするので注意してくださいね・・・。
かといって、爪切りやブラッシング等、健康上必要な手入れまで「嫌がるからやらない」という訳にもいきませんよ。
こういう場合、爪切りやブラッシングを良い子に終えたご褒美に、毎回おやつをあげるというのも手です。うさぎの学習能力は高いので「嫌な事を受け入れた後はご褒美が待ってる」と学習すれば、嫌な事も怒らずに我慢してくれる様になるでしょう。
うさぎが怒る理由④ケージやトイレを掃除された!
毎日のケージやトイレの掃除は衛生管理上必要です。しかし忘れないでいて欲しいのは、うさぎは自分の「におい」のついたトイレやケージを自分の「縄張り」と認識しているという事。
掃除している最中、飼い主さんの周りをクルクル回って落ち着かない様子だったり、噛んだり引っ掻いてきたりしませんか?うさぎは縄張り意識の強い動物ですから、例え善意であっても、ケージやトイレを掃除される=縄張りを荒らされたと思い、怒ってこのような行動をとる場合があるのです。
そして掃除は衛生上必要ですが、あまりに綺麗にし過ぎるのも問題という事は知っておきましょう。うさぎは「におい」で自分の縄張りを認識していますので、洗剤等で自分の「におい」が無くなってしまうと混乱してしまいます。
ケージは2週間に1度は大掃除するのが理想ですが、その際も洗剤は使わず、水洗いに留めておき、においはある程度残しておくようにしましょう。トイレ掃除についても、毎日必要ですが、掃除の時砂を全部換えるのではなく、糞を少し残したり、尿で汚れた砂を一部残しておく方がいいでしょう。
うさぎが怒ってる時の対処方法を解説
足ダン(スタンピング)している、ブーブー鼻を鳴らしている、威嚇の体勢をとっている等、うさぎが怒っている時は、その気持ちに寄り添い「怒りの原因を取り除く」か、触らぬ神に何とやらで「怒りが収まるまでそっとしておく」のが最善です。
ただ気が立っている原因が「病気や怪我による痛み」の可能性もあるので、「触られるのを急に嫌がる様になった」「餌を食べない」等、明らかに様子がおかしいのならば、病院に連れて行ったほうがいいでしょう。
つまり「うさぎが怒っている時の対処法」は
- 原因がわかる場合は改善する
- 機嫌がなおることを待つ
- あまりにも様子がおかしい時は動物病院にいく
という3つに集約されます。以下で詳しく解説していますので「うさぎのアンガーマネジメント」がわからなくて困っている方は参考にしてみてくださいね!
うさぎが怒ってる時の対処法①原因がわかる場合は改善する
うさぎは必ず理由があって怒っていますので、原因がわかる場合は改善するのが一番です。
- 快適な環境じゃない事で怒っているなら→うさぎが安心して落ち着ける、快適な環境を整えてあげましょう。
- うさんぽが足りなくて怒っているなら→うさんぽ時間を延ばすか、十分なコミュニケーションでうさんぽの質を上げてあげましょう。
- 爪切りやブラッシングで怒っているなら→出来る限り手早く終わらせ、終わった後にご褒美のおやつをあげましょう。
といった様に、原因別に適切な対処をすれば、うさぎもやたら怒る事はなくなると思います。
後は、うさぎにやたら怒られてしまうのは「日頃のコミュニケーション不足」や「間違った接し方」で飼い主さんが信頼されていない可能性もあります。
- ちゃんと遊ぶ時間をとってあげているか?
- 部屋んぽさせている間、構わず放置していないか?
- 過剰なスキンシップをとっていないか?
など日頃のうさぎとの接し方を見直して、こちらも問題があれば改善する様にしましょう。
うさぎが怒ってる時の対処法②機嫌がなおることを待つ
考えられる怒りの原因を改善してみたけど、それでもまだ怒っているなら、余計な事はせず「機嫌がなおることを待つ」というのも一つの選択肢です。特に思春期や発情期は、どうやったって気性が荒くなりますし、こういう時にあらゆる手でご機嫌取りをしようとしても、徒労に終わる場合も多いので、時間が解決してくれるのを待ちましょう。
飼育環境や飼い主さんの接し方に大きな問題がない場合は、機嫌が悪くても無視するのが一番であり、それが結果的にうさぎの為にもなります。
おやつをあげて気分転換させるのも良いですが、機嫌が悪くなる度にあげていたら、肥満の原因になります。根本的な解決にもならないので、おやつは決まった時間・決まった量を越えてあげないほうがいいでしょう。
一方で、機嫌が悪い時は、餌箱をひっくり返したり、トイレをかじったりと、問題行動も多くなりますので、
- 餌箱はケージに固定できるものにする
- かじり木を入れてトイレから気を逸らす
など、問題行動に応じた対処をとるようにしてくださいね。
うさぎが怒ってる時の対処法③あまりにも様子がおかしい時は動物病院にいく
うさぎが怒っている原因が「怪我や病気からくる痛み」の場合もあります。
健康に問題があって怒っている場合は
- 餌を食べない
- 糞をしない
- そわそわと落ち着かない
- ケージの隅で蹲っている
- 呼吸が荒い
- 顔が引きつっている
- ゴリゴリと歯ぎしりを繰り返している
などの様子も同時に見られる場合が多いですので、総合的に判断して様子がおかしいようなら動物病院に連れて行くようにしましょう。
自然界で常に狩られる側であるうさぎは、怪我や病気で辛くても、あからさまには弱っているところを見せません。弱みを見せれば、瞬く間にターゲットにされるからですね。どれだけ飼い主に懐いているペットのうさぎであっても、その本能は変わっていない事を理解してあげましょう。
怒る余裕があるならば、病状はまだそこまで深刻な状態にないといえますが、うさぎが目に見えて具合が悪そうにしている時は「限界に近い」という事。上で挙げた様な異常がみられたら、様子見などせず、速やかに病院を受診してくださいね。
うさぎが「怒る」ことについてのまとめ
ここまでうさぎが「怒る」ことに着目して解説してきました。
この記事のポイントは
- うさぎは足ダンや「ブーブー」と鳴き声を出したりして怒っていることを表している
- うさぎが怒る理由は環境の不満やトイレを掃除されたことなど様々
- うさぎが怒っている時は機嫌がなおるまでそっとしておくことも大事
- あまりにも怒っている時間が長かったり様子がおかしかったら病院で診てもらおう