【獣医師監修】文鳥に爪切りは不要?失敗しない切り方や必要な道具について徹底解説のサムネイル画像

内容をまとめると

  1. ペットの文鳥の爪を伸びたままにするの危険
  2. 文鳥の爪切りは、保定→爪の固定→爪切りの順番
  3. 爪切りが原因で死んでしまう文鳥も
  4. 文鳥の爪切りが不安なら動物病院やペットショップでお願いするのがおすすめ
  5. 文鳥は医療費が保険適用されないのでもしもの時に備えてペット保険に加入しておくと安心

文鳥の飼育をはじめると避けて通れないのが爪切り。「野生の子はしないし、不要なのでは?」と思いたいですが、爪が伸びると危険も増えます。この記事では、爪切りの必要性や上手く切る方法、道具、困ったときの解決策について徹底解説します!ぜひ参考にして憂鬱な爪切りを乗り越えましょう!

記事監修者「小嶋 篤史」

小嶋 篤史
鳥と小動物の病院リトル・バード院長

1998年北里大学獣医畜産学部卒業。川崎にて動物病院、横浜にて鳥の病院勤務を経て、2002年世田谷区豪徳寺に「鳥と小動物の病院リトル・バード」を開業する。 2022年東京農工大学で獣医学博士号を取得。 同年大田区田園調布に「鳥の病院 リトル・バード」を開院。<br>ヤマザキ動物看護大学(客員准教授)、東京農工大(参与研究員)、鳥類臨床研究会(副会長/編集長)、 日本獣医エキゾチック動物学会(理事)などに所属。代表著書「できる! ! 小鳥の臨床-Complete Mission-」、「コンパニオンバードの病気百科」、「コンパニオンバード疾病ガイドブック―小鳥の診療に強くなる! 臨床の実践と病理解説」など

この記事の目次

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文鳥に爪切りは必要?

文鳥を飼っていて気が重いことといえば、爪切り

嫌がる文鳥を保定して細く小さな爪を切るのは難しいしとても大変ですよね。


怖がる姿を見るとつい「無理にする必要はないのでは」と思いがちですが、実は伸びたままだと文鳥にとって危険に繋がります。次に挙げる理由から災厄の場合、文鳥が死んでしまうこともあります。


爪切りが必要な理由はこちら!

  • 服やカーテンに引っ掛かり怪我をする
  • ゲージなどに挟まり骨折することも
  • 爪が邪魔で止まり木が掴めない
  • 足全体で体重を支えられず負担が掛かる

放っておくとどんどん伸びてしまい、思わぬ怪我に繋がってしまいます。


文鳥の爪を切るのには勇気がいりますが、全てはかわいい文鳥のため。

万全の準備をして安全に爪切りを乗り越えましょう!

野生の文鳥は爪切りをしないから必要ないのでは?【参考】

野生の文鳥はペットの文鳥とは異なり、自然界で生活する中で木登りや餌を掴む際に自然に爪を摩耗をされるのでわざわざ爪切りをする必要がありません。


ペットの文鳥は、摩耗する機会がないため

  • 文鳥が自然に摩耗できる環境を整える
  • 定期的に爪切り
を行うことが大切です。

文鳥の爪切りの頻度や目安


とはいえ、できることならあまり頻繁に爪切りをしたくはないですよね。

どのくらいの目安や頻度で爪切りをしたらよいのでしょうか。


文鳥の爪切りの目安はおよそ半年に一度くらいですが、文鳥の爪が以下のようになっていたら爪切りのタイミングです。


▼爪切りのタイミング

  • 透けている血管の先から3~5㎜ほど伸びている
  • 爪が地面について指が浮いてしまう
  • 止まり木を掴むと前後の爪が触れてしまう

中には爪が伸びるのが早く、1~2か月毎に爪切りが必要な子や、自然と削れて爪切りの必要がほとんどない子もいます。個体差が大きいため爪の様子を日頃からチェックしてあげましょう。 

文鳥の爪切りの方法


気の重い爪切りですが、文鳥にとっても爪切りはとても恐ろしいものです。 パニックを起こし、中には怖さから暴れ回ったり痙攣や失神してしまう子もいます。


なるべくストレスや負担の少ない方法で爪を切るにはどうしたらよいでしょうか。以下の順番で爪切りをしてあげることがおすすめです。

  1. 保定する
  2. 切る爪を固定する
  3. 爪を切る

保定は人差し指と中指で首をそっとはさみ、手のひら全体で体を優しく包みましょう。力が入らないように掴み方に注意です。


【引用写真:オダガワ動物病院

親指と薬指で爪を固定します。

固定することで切った衝撃が伝わりにくく、暴れる場合も怪我を防ぐことができます。


爪を切る際は血管を切らないよう細心の注意を払いましょう。

血管の1㎜くらい先が目安です。明るい場所やライトで照らすと血管が見やすくなります。


【引用写真:オダガワ動物病院

文鳥の細く小さな爪を切るのはドキドキしますが、緊張は文鳥にも伝わります。

落ち着いて爪切りができるよう方法をしっかりイメージしてから取り組みましょう。

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文鳥の爪切りに必要な道具は?


文鳥にストレスを与えないためにも、準備万端で爪切りに臨みたいですよね。


爪切りに必要な道具

  • 爪切り・ニッパー
  • 止血剤
  • タオルなどの布類

です。


ただでさえ怖い爪切り、文鳥が嫌がったり暴れたりしてしまわないよう道具にも工夫が必要です。


爪切りが上手くできず文鳥を怖がらせてしまうと、嫌われるだけでなく、気絶してしまうこともあります。


文鳥の爪切りに必要な道具は簡単に揃えられるものばかりなので慌てないように事前に準備しておきましょう。


スムーズに爪切りができる・嫌われないコツも合わせてご紹介するのでぜひ参考にしてみてくださいね!

文鳥の爪切りに必要な道具①爪切り・ニッパー

細く小さな文鳥を爪を切るのに適したサイズの物を用意しましょう。


小鳥用の小型のニッパーだと歯が小さいので見やすいのでおすすめです。

人間用の爪切りでも大丈夫ですが、使用前後に消毒をしましょう。


いづれにしても、切れ味が悪いと切るのに手間取ってしまい文鳥にとっても飼い主さんにとっても負担が大きくなってしまいます。


スムーズに爪切りを終われるよう切れ味のいいものを用意しましょう。


文鳥の性格や飼い主さんの手の大きさによって使いやすいものがあるはずです。

試行錯誤を重ねてぴったり合うハサミを見つけましょう。

文鳥の爪切りに必要な道具②止血剤

爪切りで一番避けたいのが出血ですが、どんなに気を付けていても文鳥が暴れた拍子に血管を傷つけ出血してしまうこともあります。


出血してしまった時にパニックにならないよう、止血剤を用意しておきましょう。


おすすめは小麦粉や片栗粉です。血を拭きとり小麦粉を付けて再度ティッシュなどで押さえて止血することができます。


犬猫用でパウダー状の止血剤も売っているのでそちらでも代替可能です。


出血すると慌ててしまいますが、飼い主の慌てた様子は文鳥に伝わり余計に暴れたり怖がったりさせてしまいます。


冷静に対処できるように爪切りの際にはすぐそばに止血剤を用意できると安心です。

文鳥の爪切りに必要な道具③タオルなどの布類

文鳥にとって爪切りはとても恐ろしいもの。

そんな文鳥の恐怖心を和らげてくれるのがタオルです。


文鳥の中には視界を遮ると大人しくなる子も多いです。

嫌がることなく保定させてくれれば爪をスムーズに切ることができ、余計な恐怖心を与えずに済みます。


また、爪切りによって「飼い主の手」と「嫌なこと」が結びついてしまうと、嫌われて手乗りをしてくれなくなり、さらに保定を嫌がるようになってしまいます。


手のひらが覆える程度のタオルで保定してあげると飼い主の手の印象が悪くなるのを防ぐことができます。


あまりの恐怖でてんかん発作や失神を起こさないよう恐怖心を和らげる工夫をしてあげましょう。

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文鳥の爪切りが上手くいかない時のおすすめ対処方法


文鳥の爪切りはなかなか至難の業。

どうしても上手くできない!ということもあると思います。


そんな時にぜひ試してみていただきたい対処法がこちら!

  • 文鳥の爪切りを動物病院やペットショップでしてもらう
  • 文鳥の爪切りの頻度えお止まり木を使って減らす
  • 文鳥に事前に爪切りの練習をしてあげる

無理やりがんばって爪切りをしてしまうと、文鳥と飼い主さん、どちらにとっても負担が大きいですよね。


がんばりすぎず、専門家に頼ったり爪切りの頻度そのものを減らす工夫をして爪切りの負担を減らしていきましょう!

文鳥の爪切りを動物病院やペットショップでしてもらう

爪切りで困ったときは、専門家にお願いするのも一つの手です。


病院だと初診料や再診料が加算されますが、爪切りの料金は平均で500~1500円ほどと意外に手ごろな値段で切ってもらうことができます。


病院やペットショップで一度プロの爪切りを見てみると、上手な保定の仕方など実際に見て学ぶことができます。


お手本を見せてもらうつもりで一度行ってみるのもいいですね。


一般の動物病院は犬や猫がたくさんいます。文鳥にとって刺激が多くストレスになり逃げる危険性もあります。混んでいない時間を狙ったりゲージにカバーを掛けたりして対策しましょう。 

文鳥に事前に爪切りの練習をしてあげる

爪を切るのが怖い場合は、いきなり爪切りに挑戦するのではなく、ひとまず練習をしてみることがおすすめです。


爪は切らずにタオルを使って保定してみたり、爪を指で固定してみたりしてみましょう。本番じゃないと思うとリラックスして練習することができるので文鳥も安心できます。


保定の練習のついでに体の様子を観察して健康チェックをしてみるのもいいですね。


嫌な記憶を植え付けてしまうと、爪切りを見ただけで気絶してしまう文鳥もいるようです。まずは保定の練習から始めて、緊張せずに爪切りに臨めることを目指しましょう!

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文鳥の爪切りに関する監修者コメント

本記事の監修を担当した鳥と小動物の病院リトル・バード院長の小嶋篤史氏に文鳥の爪切りに関して2点コメントを頂きました。ぜひ参考にしてください。

文鳥の爪切りに関する監修者コメント①

本来、爪切りは一生必要ありません。爪は止まり木に擦れて常に適切な長さに保たれるようできているからです。ところが、止まり木や、文鳥の足や爪に問題があると、爪が擦れないので伸び続けてしまいます。伸びて伸びて爪はくるくるねじれ、しまいには指まで曲がってしまいます。手遅れになる前に原因を見つけて対処しましょう! 


止まり木の問題 

爪伸びすぎ文鳥で最も多いのは、

  • ツボ巣など平らな止まる所がケージ内に入っている
  • 一日中部屋に放していて、止まり木に止まっていないケースです。

やわらかいところばかりに止まっているので爪が擦れず、どんどん伸びてしまいます。 止まり木が適切でない場合も爪が伸びすぎの原因になります。


止まり木は、木でできており固く、丸く、太くても細いものでも避けましょう。すべての爪が引っかかる適切な太さでなければなりません。 


また自然木もあまりおすすめできません。止まりやすいところに止まって一部の爪が擦れなくなることが頻繁にあります。やすり付きのものは効果が薄いです。


文鳥の足や爪の問題 

老文鳥や足が悪い文鳥は握力が弱くなってくるので、爪が止まり木に当たる力が弱まり、摩耗しないので爪が伸びやすくなります。生まれつきや怪我で指が曲がってしまった場合は、その指の爪だけが長くなってしまいます。


肝臓や栄養状態が悪い文鳥も爪の質が悪くなって爪が伸びやすくなることがあると考えられています。 止まり木に問題がないのに爪が伸びすぎる場合は、一度鳥の病院に相談に行くのが良いと思います。 

文鳥の爪切りに関する監修者コメント②

昨今の鳥業界だと割と「爪切りをしましょう!」という風潮になっていますが、爪切りはあんまりしないで欲しいなと個人的に思っています。 


まず、事故の発生がとても多いです。鳥の爪は生え方が人の爪と異なります。人の爪は指先の第一関節の上面に小さくついているだけですが、鳥の爪は第一関節すべてを覆っています。つまり、爪の中には神経、血管どころか、お肉も骨も入っているのです。「まさか」と思われるかもしれませんが骨まで切られた鳥がしばしば来院します。 


また、爪切り出血で命を落としてしまうことも稀な話ではありません。事故まで至らなくても爪切りは鳥に必ずストレスがかかります。鳥は爪先で触感を得ているので先端まで神経や血管が通っています。先が尖っているだけの正常な長さの爪を切った場合、痛みがなかったとしても必ず鳥に違和感を与えます。なので体調が悪いときは絶対に爪切りをしない方が良いです。病院でも、体調に不安があるときは頼まれても爪切りをお断りするようにしています(中々断りづらいのですが)。 


鳥の爪先がとがっているのは正常なことです。尖っていることには意味があります。鳥は足裏に全体重が乗っているわけでなく、尖った爪先でひっかかって止まっています。爪にも体重が分散されるので、爪を丸めると足裏に負担がかかります。しまいには足裏に穴が開いてバンブルフットと呼ばれる病気を招いてしまいます。また、鼻詰まりも多くなります。尖った爪先で鼻の中のゴミを掃除しているからです。尖った爪は羽を換羽でできた鞘を割いたり、羽を梳くのにも役立っています。 


以上のことから、爪切りはあまり推奨していません。爪切りよりも爪が長くならないよう予防に努めることが大事だと思っています。 予防していても伸びてしまい、事故を招きかねない爪に限り、十分安全に配慮して爪切りをしてあげましょう。


伸びすぎた爪には神経や血管が通っていないので、切っても痛みや違和感は生じません。自分で切るのが難しそうならば無理せずプロに相談をしましょう。


移動が難しい場合は環境を整えましょう。爪が伸びすぎて起きる事故は、引っかかるものを無くすことで防ぐことができます。爪は伸び放題でも事故さえ防げるならば問題はあまりありません。 

文鳥の爪切りに関するまとめ

ここまで、文鳥の爪切りについて、必要性や切り方、必要な道具など詳しく解説してきました。


この記事のポイントはこちら!

  • 文鳥の爪切りは怪我を防ぐため必要
  • 爪切りは、保定→爪の固定→爪切り、の順に行う
  • 困ったときは病院やペットショップなどプロに切ってもらう
  • 爪切りの練習をするとよい

文鳥の爪切りは飼い主にとって気の重たい作業ですが、文鳥の安全のためにもしっかり準備してストレスなく臨めるようにしたいですね!


MOFFMEでは他にも文鳥のペット保険に関する記事を多数公開していますので、ぜひご確認くださいね!


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