【獣医師監修】インコを飼うデメリットは?後悔する前に知っておきたい注意点を徹底解説のサムネイル画像

「インコの飼育をはじめる前に事前にデメリットを押さえておきたい」、「インコを購入後に後悔したくない」このようなお悩みをお持ちの方に向けて当記事を作成いたしました。インコの飼育を検討している方はぜひご参考にしてください。

記事監修者「小嶋 篤史」

小嶋 篤史
鳥と小動物の病院リトル・バード院長

1998年北里大学獣医畜産学部卒業。川崎にて動物病院、横浜にて鳥の病院勤務を経て、2002年世田谷区豪徳寺に「鳥と小動物の病院リトル・バード」を開業する。 2022年東京農工大学で獣医学博士号を取得。 同年大田区田園調布に「鳥の病院 リトル・バード」を開院。<br>ヤマザキ動物看護大学(客員准教授)、東京農工大(参与研究員)、鳥類臨床研究会(副会長/編集長)、 日本獣医エキゾチック動物学会(理事)などに所属。代表著書「できる! ! 小鳥の臨床-Complete Mission-」、「コンパニオンバードの病気百科」、「コンパニオンバード疾病ガイドブック―小鳥の診療に強くなる! 臨床の実践と病理解説」など

この記事の目次

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インコを飼うデメリットは?後悔しないための注意点を解説


生き物を可愛いという理由だけで飼ってしまうと、「飼わなきゃよかった」、「こんなはずじゃなかった」と後悔することになるかもしれません。せっかく家族になったインコが哀しいことになってしまわないように、インコを飼う上での注意点をしっかり理解しておくことが大切です。


インコの特徴をしっかり理解して、事前にデメリットを頭に入れておきましょう。

インコの特徴から解る飼育のデメリット6選


ペットショップでインコを見ていると、見た目の鮮やかさや可愛らしい鳴き声につられて衝動買いをしてしまうと、飼ってから多くのデメリットに気づき、「飼うんじゃなかった」、「飼育が大変だから手放したい」と残念ながら後悔する飼い主もいます。


以下にインコの特徴からわかる飼うデメリット6選ををご紹介します。

  1. インコの鳴き声が大きい
  2. インコのフンや餌などの掃除が大変
  3. インコに噛まれて怪我をする可能性がある
  4. インコの発情をコントロールすることが難しい
  5. インコが飼い主に簡単に懐かない
  6. インコは長生きする
上記のデメリット6選に1つでも気になる項目がある方は、インコの飼育を控えるべきです。
デメリットをしっかり理解することで、インコに向き合うことが大切です。

①インコの鳴き声が大きい

一度はインコがおしゃべりする動画を見たことがあるでしょう。インコの上手におしゃべりしている姿を見て、「インコを飼ってみたい!」と思ったことはありませんか?しかし飼育をはじめるとインコの鳴き声の大きさに飼育を後悔してしまう方もいます。


小型のセキセイインコでさえ騒々しいと、苦情が寄せられることがあります。中型のインコ、大型のインコと大きさに比例して声の大きさも増すので、頻繁に鳴かれるとその声の大きさにイライラしてしまうこともあります。

②インコのフンや餌などの掃除が大変

インコは基本的に夜間寝ている時間以外は、こまめに餌を食べ、フンをします。鳥は飛ぶためにいつでも体を軽くする必要があるため、一度に多くの餌は食べず、フンもこまめにする性質があります。


またインコは餌を食べる際に飛び散らかすことが多く、特に殻付きの餌は床に殻が飛び散るので、掃除が大変です。


放鳥時には飛びながらでもフンをするので、気づかずに踏んでしまったり、肩に止まった時にフンをされて、洋服が汚れてしまうこともあります。


インコを飼う際には、餌の食べかすなど汚れが溜まる前に定期的に掃除しましょう。フンの掃除に抵抗のある方は飼育をはじめる前にじっくり考えましょう。

③インコに噛まれて怪我をする可能性がある

インコにとってクチバシはコミュニケーションの1つです。また噛んでくる理由もいくつかありますのでご紹介します。


▼インコが噛む理由4選

  • 愛情表現
  • 本能的
  • 反抗期
  • 防衛本能
愛情表現

痛みを感じない甘噛みは、インコの愛情表現の可能性が高いです。しかし中には愛情表現で思いっきり噛むインコもいます。


本能的

発情期や換羽期のインコは攻撃的になりやすく、本能的に気が荒くなる時期があります。特に発情しているコザクラインコのメスは噛み癖が激しい傾向にあります。換羽期のインコ羽を触ると痛がるので注意しましょう。


反抗期

インコにも人間と同様に反抗期があり、成熟してくると訪れることがあります。反抗期は一時的なものなので暖かく見守ってあげましょう。 ただインコによっては反抗期が訪れないこともあります。


防衛本能

インコは十分に信頼関係が築けていないうちは、指を近づけると攻撃されたと勘違いして噛むことがあります。

④インコの発情をコントロールすることが難しい

鳥は一般的には決まった時期にだけ発情する生き物ですが、家庭で飼育しているインコは年中発情してしまうことがあります。 


発情するとオスメス共に気が荒くなったり、攻撃的になる子もいます。飼い主に対する愛情から、飼い主さんに対して発情する子もいます。また好きなおもちゃに発情するインコもいますが、その場合はそのおもちゃを撤去しましょう。


発情が引き金となる病気があります。メスは発情すると、オスがいなくても無精卵を生んだり、ペアならば交尾をして有精卵を生みます。

【監修者コメント】

インコの飼育では、発情を抑えることが最も重要です。
セキセイインコ、オカメインコ、コザクラインコ、ボタンインコなどの砂漠の鳥は餌が豊富な短い雨季に一気に子供を産みます。そのため、餌が充分に食べることができる飼育環境では、インコは一年中発情してしまいます。


休みのない発情は生殖器に大きな負担をかけます。メスなら卵の病気や卵巣や卵管の腫瘍、オスなら精巣の腫瘍を招きます。今までセキセイインコの寿命は7歳前後と言われていましたが、実はこれらの病気で早々に亡くなっているだけで、セキセイインコなら少なくとも15年以上生きることが現在分かっています。


発情を抑えるためには、”食べ放題”は禁止です。鳥は昔から餌をたっぷり入れる飼い方が推奨されてきましたが、沢山ヒナを取って色変わりを楽しむ、あるいは沢山鳴かせることを目的としたためです。残念ながら長生きさせるためではありませんでした。


餌の食べ放題はどんな動物でも寿命を縮めます。鳥も他の動物と同じように、健康な体重・体形が維持できる適量を、一日に2~3回にわけて与える必要があります。食事量の制限はメタボリックシンドロームなどの病気を予防してくれます。インコを飼うならば、日々体形と体重をチェックし、食事量をしっかりコントロールできるマメさが必要です。 

⑤インコが飼い主に簡単に懐かない

幼鳥かあら飼育をした方が懐きやすいでが、成鳥になってから飼育しても愛情のかけ方次第ではしっかり懐いてくれます。  


中には雛からお世話して飼っているのに、全然懐かないと困っている方もいると思います。懐かない理由の大半は飼い主さんの対応の方法に問題があります。


▼飼い主のインコに対する問題行動3選

  • インコを複数同じケージで飼っている
  • インコを不必要に追いかけまわしている
  • インコの餌を食べ放題にしている

インコは他のインコと仲良くなると、「人とは仲良くしなくてもいいや」と感じ飼い主に懐かなくなることがあります。


人との生活に慣れるためには、他の鳥とカゴをわけ、人と鳥のマンツーマンで特訓をしてあげましょう。だからと言ってインコを追いまわしたり無理やりつかんだりするのはNGですよ。 


餌の食べ放題を避けましょう。インコの餌の時間は朝晩二回にして、日中はおなかを空かせておきます。その後、餌を与える際にインコに飼い主が餌を撒いている姿をよく見せてください。その姿を見たインコが飼い主が「餌をくれるいい人だ」と認識します。最後には手の上に餌をおいて、インコをじっとしてみましょう。お腹が空いているため手乗りしてくれる可能性が高いです。このようにして、少しずつ飼い主さんが安全で良い人だとインコに思ってもらうことが懐いてもらうポイントです。 

⑥インコは長生きする

インコはたくさんの種類があり、種類によって寿命は違います。以下に種類別の平均寿命をご紹介します。


▼インコの大きさ毎の平均寿命

  • 小型インコ:10年~15年
  • 中型インコ:15年~20年
  • 大型インコ:30年~50年
小型インコ

セキセイインコ・コザクラインコ・サザナミインコ・ボタンインコ・アキクサインコなど


中型インコ

ウロコメキシコインコ・シロハラインコ・ビセイインコなど


大型インコ

モモイロインコ・オオハナインコ・ヨウム・キソデボウシインコなど


インコは愛情を持って大切に飼っていると、平均寿命より長生きする傾向にあります。インコを飼う前に、長生きするということもしっかり押さえておきましょう。

【監修者コメント】

鳥類は哺乳類に比べて長生きです。例えばジャンガリアンハムスターとセキセインコの大きさは同程度ですが、ハムスターの平均寿命が1〜2年に対してセキセインコは約20年(ギネスは29歳)です。


おしっこに付属して出てくる白い尿酸の抗酸化作用が長寿の秘訣と言われています。
ヨウムやボウシインコ、バタンなどの大型インコになると、大きな病気がなければ最低50年以上は生きます。


当院に来院する鳥でも30歳を超えることは珍しくなく、中には60歳近くの鳥もいます。しかし、これら鳥も動脈硬化や肝硬変など持病を抱えていることが多いです。理由に鳥たちの年齢が若い頃(30年前)は鳥の飼育に関する正しい知識が不足しており偏った栄養バランスの餌を与えられていたからです。


現在は良質な餌が出回るようになり、食事制限の考え方も浸透してきたのでメタボの鳥は少なくなったので、さらに鳥の平均寿命は向上すると思います。インコが100年以上生きることも夢ではないかもしれませんね。

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インコを飼うことによって生活面に影響するデメリット3選


インコを飼うことによって生活面に影響するものは、毎日の餌やりやお掃除以外にも、思わぬケガや病気で医療費がかかったり、長期出張や長期旅行などで家を空けることができなくなったりします。趣味として部屋に観葉植物を育てていたり、香水を収集・使用する方は、インコにとって潜在的なリスクを十分に理解することが重要です。


▼インコを飼うことによって生活面に影響するデメリット3選

  1. インコの医療・飼育費用がかかる
  2. 長期間の外出ができない
  3. 香水や観葉植物などインコにとっての刺激物を家に置けない
他にも、頻繁に引越しをする人や、インコ以外のペットも飼いたいと思っている人なども、インコがどんな時にストレスを感じるのかしっかり理解する必要があります。

①インコの医療・飼育費用がかかる

生き物を飼うということは、飼育費用に加え病気になれば医療費もかかります。飼った後にお金がかかるという理由で、飼わなきゃよかったと思ったり、手放したいと後悔しないように、ご自分のお財布事情もしっかり考えましょう。


医療費 

インコにもかかりやすい病気はたくさんあります。感染症や栄養不足、ストレスからくる体調不良、過度な発情による病気もあります。    


飼育費用

基本的なケージや餌に加え、インコは暑さ寒さが苦手なので、夏はエアコンを入れ、冬は保温できるように暖房が必要になります。それ以外にもおもちゃや止まり木、巣など必要に応じて費用が掛かります。

②長期期間の外出ができない

インコを飼ったら旅行などの長期間の外出が難しくなります。


インコは飼い主さんが一泊でも不在とわかると、寂しさから体調を崩したり、ストレスから毛引き行動をすることもあります。



インコにお留守番をしてもらう時のポイントは

  • 出発前に十分に餌と新鮮な水を入れる(それでも1泊が限界)
  • エアコン、ヒーターなどで適切な温度管理をする
  • 停電にすぐ気が付けるよう見守りカメラを設置する 
  • 鍵が預けられる人に1日2回見に来てもらう 

です。インコは些細なことでストレスに感じにやすいので外出の際は細心の注意を払うことが大切です。

③香水や観葉植物などインコにとっての刺激物を家に置けない

インコは臭いにとても敏感です。インコを飼う際にはアロマの臭いやエッセンシャルオイル自体も毒になります。また香水やマニキュア、除光液などの匂いが強いものも使用しないようにしましょう。


また室内に観葉植物を置いている方も多いかもしれませんが、インコにとって観葉植物は中毒の原因になることがあリます。


▼代表的な危険観葉植物

  • サトイモ科の植物:モンステラ・ポトス・カラー
  • ベゴニア
  • ポインセチア
  • シクラメン
  • チューリップ
  • ヒアシンス
これからインコを迎えようとしている方は、ぜひ観葉植物にも気を配ってインコを危険から守ってあげましょう。

鳥の呼吸器は哺乳類よりもずっと進化しています。空を飛ぶためのエネルギーを得るため、酸素を何倍も取り入れなければならないからです。


鳥たちは酸素濃度の薄いエベレストの上すらも飛んで行けるすごい肺を手に入れましたが、酸素以外の毒も沢山取り入れてしまうことになりました。これを利用して昔は炭鉱や戦争などで毒ガス検知器としてカナリアが利用されていました。


鳥を飼育するのであればいつでも新鮮で安全な空気が必要です。掃除を怠っていると糞便からアンモニアが発生しますが、これも肺から取り入れ体調を崩しがちになります。空気の流通が良い籠で飼われるのもここに理由があります。


部屋に加熱器具(特に初めて加熱するもの)があると突然死してしまうことがあります。特にテフロン加工のフライパンを強火で加熱するのは厳禁です。加熱で揮発した成分を吸入し肺出血を起こします。


また外装工事や道路工事などで体調を崩す鳥も多いです。その揮発成分に毒が無くても、刺激臭のあるものはすべて危険があると思ってください。他にも放鳥時の拾い喰いよる事故も多発していますので、安全に生活できるインコの専用部屋があると良いですね。  

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インコを飼うデメリットに関するまとめ

インコを飼うデメリットについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?


今回の記事のポイントは

  • インコの鳴き声が大きい
  • インコのフンや餌などの掃除が大変 
  • インコに噛まれて怪我をする可能性がある 
  • インコの発情をコントロールすることが難しい 
  • インコが飼い主に簡単に懐かない 
  • インコは長生きする
  • インコの医療・飼育費用がかかる 
  • 長期間の外出ができない
  • 香水や観葉植物などインコにとっての刺激物を家に置けない
今回はたくさんのインコのデメリットについてご紹介しましたが、長生きする生き物だからこそ、事前にデメリットを理解しておきましょう。


MOFFMEでは他にもインコのペット保険に関する記事を多数公開していますので、ぜひご確認くださいね!