うさぎにペット保険はいらない?必要か・入るべきか迷ったら確認することのサムネイル画像

ペットとしての人気拡大に伴い、うさぎをペット保険に加入させる人は増えています。その一方「うさぎにペット保険はいらない」という声も。この記事ではうさぎのペット保険加入を検討している方へ、うさぎにペット保険が必要か・入るべきか迷ったら確認することを紹介しています。

この記事の目次

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うさぎにペット保険はいらないと言われる理由は?

3世帯に1世帯は何らかのペットを飼っていると言われる時代、ペット保険へ需要・関心は年々高まっています。一昔前は犬猫ばかりでしたが、近年は小動物が加入出来るペット保険も増加傾向にありますね。


そして数ある小動物の中でも「うさぎ」の人気は群を抜いていますが、如何せん、ちょっとした環境の変化でも体調を崩す「繊細な動物」です。病気が慢性化・重篤化し、治療費が高額になるケースもある事から、ペット保険への加入を検討する飼い主さんも増えています。


その一方で「うさぎにペット保険はいらない」という声もあります。


ペット保険は元々犬猫用に作られたもの。うさぎはまだ加入者の絶対数が少なく、犬猫よりも病気になりやすい為、掛金は高額です。その割に補償内容が完全とは言い難く、シニアになってからだと加入出来なかったり、加入出来ても予防治療が保険適用外だったりする事が背景にあります。


当記事では、このように「うさぎにペット保険はいらない」と言われる理由を 

  • ①全ての診療が補償されるわけではない 
  • ②簡単な診療であればそこまで費用は高くない 
  • ③大きな病気をしなければ払い損になる 
  • ④うさぎに多い病気は日頃から予防できる

 4つに分けて検証・解説していきます。保険が必要か、入るべきかどうか、悩まれている方は参考にしてみてくださいね!

うさぎに保険がいらない理由の検証①全ての診療が補償されるわけではない

「うさぎに保険がいらない」と言われる一番の理由は「全ての診療が補償されるわけではない」というのが大きいです。


例えばうさぎのペット保険では、健康診断や以下のような予防治療は補償対象から外されているんです。

  • 避妊手術:子宮疾患の予防に行われる
  • 歯切り:不正咬合の予防に行われる
  • 爪切り:骨折やソアホックの予防に行われる

これらはどれも、うさぎに多い「重篤な傷病」を予防するには必要な診療ですが、残念ながら・・・。治療の過程で必要な、サプリメントや療養食についても、保険は効きません。そして補償されるのは保険加入後に負った傷病のみで、先天性・遺伝性の病気や障害等も補償対象外となります。


さらに補償条件をクリアしても、全額補償される訳ではない事にも注意してください。大体どの保険も治療費の50~70%です。また1年の補償回数に限度が設けられており、それを越えれば来年まで補償されない場合もあります。


「毎月支払ってきたのに補償全然使えないじゃん・・・」と後悔しない為にも、加入前に補償対象項目や補償割合・補償回数を良く調べておかねばなりません。

うさぎのペット保険では、どのような内容が補償されるの?

では逆にどのような傷病であれば補償されるのでしょうか。答えを先に言えば、ペット保険は「症状を伴う傷病の治療」の一部が補償されます。例えば骨折やうっ滞のような通院・入院・手術が必要になる傷病がそれにあたります。

うっ滞を始めとする胃腸の病気は完治まで頻繁に通院する必要があるので、診療費は高額になります。補償で自己負担額を抑えられるのは有難いですね。

骨や関節の怪我に関しても同様です。うさぎの骨は細く脆いので、少し高い所から落下してポッキリなんてことが珍しくありません。骨折は手術を終えた後も、継続的な検診や薬代で合計10万円以上かかるなんてザラですから、保険が効くのはかなり助かります。

ちなみに保険金請求費用のうち、9割程は通院および長期内服での治療にかかった費用になっています。 「手術代じゃないんだ?」と思われる人も多いかもしれませんが
  • うさぎは手術で助けられる病気が少ない
  • 小動物のうさぎに手術は負担が大きすぎ、回数を受けられない
という背景もあり、全体からみればそこまで割合は高くないのです。
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うさぎに保険がいらない理由の検証②簡単な診療であればそこまで費用は高くない

簡単な診療であればそこまで費用は高くない」というのも「うさぎに保険がいらない」といわれる一因です。慢性疾患や重い傷病に罹らなければ、生涯かかる保険料総額の方が、保険無しで負担する診療費より高くなる可能性は十分あるんですね。

うさぎの様子が少しおかしいと思って病院に行くとしましょう。ただの検査なら高くても2,000~3,000円程度。その結果、簡単な投薬のみで済むなら5,000円程度です。大きな病気にかからなければ、この程度の出費で治る傷病も多いのです。

適切な飼育環境と健康的な食生活さえ提供してあげれば、犬猫のように慢性疾患で診療費が高額になるケースはむしろ稀。こういう事情もあり、少なくない人にとって「うさぎがペット保険に加入するメリット」は感じにくいものかもしれません。

以下にいくつかの通院例と、その際にかかる治療費用についてざっとまとめましたので、ご参考までに!

軽度のうっ滞の通院例
-診察料:7,00円
-点滴注射:2,000円
-飲み薬:4,000円
-合計金額:6,700円

軽度の結膜炎の通院例
-診察料:8,00円
-注射2本:2,000円
-目薬代:3,000円
-合計金額:5,800円

軽度のソアホックの通院例
-診察料:900円
-抗生剤(飲み薬,塗り薬):3,000円 
-合計金額:3,900円
獣医は自由診療であり、各々が自由に価格を決めているので、実際の治療費はピンキリです。でも軽度の傷病なら1万円以内で完治するケースも多い、というのは知っておきましょう。

うさぎに保険がいらない理由の検証③大きな病気をしなければ払い損になる

うさぎのペット保険は、特に大きな病気に罹らなければ払い損になる可能性もある事から「いらなくない?」と言われる事もありますね。

というのも、ペット保険を利用するには、当然毎月保険料を支払う必要がありますよね。しかし保険金は掛け捨てタイプですので、貯蓄性がなく、大きな病気も怪我もなく生涯を全うしたら、ただただ払い損なのです。

>>保険料の総額は?
うさぎの平均寿命は7~8歳とされていますが、最近は飼育に関する知識の普及や栄養価の高いペレット、医療の進歩等で10年以上生きる子も珍しくなくなっています。

その為
  • 10歳まで生きる
  • 年間35,000円前後の保険を利用する
と仮定したら、0歳から10歳までで保険料総額はざっくり40万円はかかると思った方がいいでしょう。(ただこれはあくまで目安であり、実際にかかる総額は個体差・年齢・補償プランによって左右されるので、ピンキリになります。)

つまりうさぎが健康に長生きし、うさぎの保険を全く利用することがなく老衰で生涯を全うした場合、40万円以上払い損という事に・・・!コツコツ貯金して40万を自分で貯められる様な人なら、保険に入るメリットよりデメリットが上回るかもしれません。

ペット保険における補償プランは、50%・70%・100%が一般的。補償割合が高ければ高いほど、いざ傷病を患った時の自己負担額は安くなりますが、当然月々支払う保険料も高くなります。無理なく支払えるものを選びましょうね。

大きな病気をする可能性や診療費はどれくらい?

アニコム損保のデータによると、

  • 3頭に1頭は病気や怪我で動物病院で診療を受けている
  • 50頭に1頭のうさぎが病気やケガで手術を受けている
というデータが取れています。

「3頭に1頭」と聞くと、我が家のうさぎも動物病院にかかることは人ごとではありませんし、病気やケガで手術を受ける可能性がある「50頭に1頭」は、思っていたよりも「手術のリスクは他人事ではない」と感じませんか?さらに、
  • うさぎ1頭の手術費用の平均は99,231円
  • うさぎ1頭の年間診療費は最大で543,714円
というデータも取れています。つまり、うさぎの生涯で支払う保険料以上に年間の診療費用が上回る可能性があるのです。

このように、うさぎが病院や手術にかかる可能性や、年間診療費用が50万円を超えるケースがあることを考えると、保険にご加入しておくことで得られる「安心感」は大きなものではないでしょうか。(参考:アニコム損保

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高額な治療費用がかかる病気や怪我は何がある?

動物の為の公的医療保険はありませんから、「ペットの治療費用」は100%飼い主の自己負担です。例え、うさぎの様な小動物でも重い傷病を患えば、手術費用・術後の継続的な通院・検査代・薬の処方等で、治療費用は高額になります。


以下はいずれも、10万円以上と高額な治療費用がかかる可能性のある病気や怪我の例ですので、ご参考までに!


骨折

うさぎの骨は、天敵から素早く逃げられるよう、細く軽く設計されています。その為非常に脆く、着地のちょっとした衝撃で骨折してしまう事も。完治するまで長期の通院が必要になりますし、手術が必要となったら極めて高額な治療費がかかります。骨折は予期せぬ怪我の筆頭でもあるので、保険があると心強いと思います。


急性胃拡張

うさぎが罹り易いうっ滞の一種で、何かの原因で「胃の出口が塞がってしまう」病気です。胃の内容物が腸に流れず、パンパンに膨らむ為、最悪胃が破裂して死に至ります。病状によっては切開による手術が必要なケースもあり、入院・事後の通院も相まって治療費は高額になります。


尿路結石

尿中のカルシウムが結晶化し、尿路(膀胱や尿道)に詰まってしまう病気です。結石が大きくなり尿道閉塞を引き起こすと、最悪膀胱破裂で死に至ります。結石があまりに大きい場合には、外科手術が必要になり、術後も再発を防ぐ為に対症療法が行われるので、治療費は高額になります。


不正咬合

不正咬合は、歯の伸び過ぎ、歪み、破損などが原因で、歯の噛み合わせが悪くなる病気の事です。食欲不振、うっ滞等二次的な病気に発展し、死ぬ事もあります。


治療方法は、伸び過ぎたり、いびつになった歯を「削る」「切る」のが一般的ですが、如何せん慢性化し易い病気です。根治せず生涯通院が必要になる場合もあり、1回1回の治療費は安くても、長期的にみれば何十万という出費が発生する可能性があるのです・・・。


にも拘らずその治療(歯切り)は、あくまで予防治療とされており、全保険会社で保険適用外なのが辛い所ですね。

うさぎの50頭に1頭は、上記のような病気や怪我で、高額な費用のかかる手術を受けています。

うさぎに保険がいらない理由の検証④うさぎに多い病気は日頃から予防できる

うさぎの治療費の負担を出来るだけ少なくするには、病気になる前提で保険に加入しておくか、自分で積み立て貯金しておき、いざ病気になったら全額自分で負担するのか、どちらかです。


しかしうさぎが「生涯のほとんどを健康に過ごした」のなら、自己負担の方が圧倒的に得(払った保険金は戻ってこないので・・・)。なおかつ、うさぎが罹り易い傷病の大半は原因がはっきりしており、予防は可能な事も「うさぎに保険がいらない」と言われる理由になっているんですね。


以下は保険会社への請求回数が多いうさぎの傷病の例です。

  • うっ滞:胃腸の動きが停滞し、食欲低下・下痢等の症状がみられる病気
  • 不正咬合:歯の噛み合わせが悪くなり、食べたくても食べられなくなる病気
  • 子宮疾患:高齢のメスうさぎがなり易い子宮腺癌・子宮筋腫などの子宮の病気
  • ソアホック:足裏への過剰な負担で、足裏の皮膚が炎症を起こしてしまう病気
  • 熱中症:体温調節機能を超える暑さに晒され、様々な健康障害を引き起こす病気

しかしこれら傷病は、飼育環境や日頃の生活習慣に気を遣っていれば、予防できるのです。

これらの傷病はどのように予防することができる?

請求回数が多い病気として、うっ滞・不正咬合・子宮疾患・ソアホック・熱中症等が挙げられると解説しました。いずれも重篤化すれば命にも関わる病気ですが、以下のように食生活や飼育環境に気を遣いながら世話をする事で、予防する事ができます。

  • うっ滞の予防:抜け毛を飲み込まない様小まめにブラッシングしたり、普段から胃腸の動きを活発にする牧草をたくさん食べる事で予防可能です。
  • 不正咬合の予防:歯の摩耗を助ける牧草を日頃からたくさん食べさせたり、ケージやトイレを噛まないよう、かじり木を設置する事で予防可能です。
  • 子宮疾患の予防:避妊手術を受ける事で予防可能です。手術にかかる負担を鑑みて、生後6か月から1歳の間に受ける事が推奨されています。
  • ソアホックの予防:部屋んぽの範囲にマットを敷いたり、床材を足裏に優しい素材に換える事で予防可能です。
  • 熱中症の予防:エアコンでうさぎにとっての快適温度である18度から24度に保つ事で予防可能です。

ただし、こういった予防法を徹底するとしても「保険に入らなくても良い」とは、安易に言い切れないのが正直なところ。


うさぎは繊細な動物です。私達が気が付かない様なちょっとした環境変化がストレスとなり、体調を崩す事もあります。体調が悪化しても、それを隠す習性を持つ故に、知らぬ間に病気が進行してしまっていた、なんてケースが珍しくないからです。

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うさぎにペット保険が必要か・入るべきか迷ったら

ここまでで「うさぎにペット保険はいらないと言われる理由」について解説してきました。それと当時に、高額な治療費用がかかる病気や怪我の備えとして保険は助かる事、病気の予防に“絶対”はない事についても解説してきました。


なので


結局ペット保険は必要なの?必要じゃないの?


と混乱させてしまったかもしれませんね・・・。


10年生きると仮定して、保険料総額がいくらになるのか、毎月貯金して全額自己負担するのとどっちのが得なのか・・・そして加入するとして何に適用されて、何に適用されないのか、適用される為にはどのような条件が必要なのか・・・。


なんだか考えるのが億劫になっちゃいますよね。でもいくらあれこれ考えてみたところで、うさぎが何年生きるのか、いつどんな傷病に罹るかわからない以上、損か得かはひとまず脇に置いて「不安だから」と加入している人も多いですし、実際それが一番良いと思います。


当記事で一番お伝えしたいのは、実は「ペット保険には入らなくていい」ではなく

  • うさぎに万が一があった時の備えは十分にあるか確認しよう
  • 若く健康なうちにとりあえず加入しておくことも手段

という2点なんです。次で詳しく解説していきますね!

うさぎに万が一があった時の備えは十分にあるか確認しよう

保険への加入を検討する前に、うさぎに万が一があった時の備えは十分にあるか確認する事が重要です。気軽な気持ちでうさぎを飼い始めたものの、いざ病気になった時、想定外に高い出費に驚く飼い主さんは多いんですよ。

動物病院は自由診療であり、料金は各病院が自由に決めています。ペットの為の公的補償制度はありませんので、診療費は全額飼い主の負担。つまり大前提として、うさぎが重い傷病を負ってしまい通院・入院・手術の為に「毎月万単位の診療費が求められる状況はいつでも生まれ得る」と理解しておく必要があります。

よって、それなりに安定した収入があり
  • 突発的に高額な治療費用が必要になっても問題なく支払える人
  • 自分で積み立て貯金出来る人
こういう人なら保険に入るメリットはあまりないのですが、逆に、急にまとまったお金を準備するのが難しい人は、貯金が苦手な人は入っておいたほうが安心です。自分の性分や経済状況と相談して、加入するかどうかを決めると良いでしょう。

保険はいざという時の備えです。毎月の出費は痛いですが「払えなかったらどうしよう」と不安ならひとまず加入しておき、まとまった費用が用意出来た段階で、解約するのも良いと思います。
子うさぎの頃は一番病気になり易いので、保険に入るかどうかに関わらず、お迎え前に数十万の貯金を用意しておくのが理想ですよ!

若く健康なうちにとりあえず加入しておくことも手段

病気に罹りやすい個体かどうか、お迎えする段階ではわからない以上、ペット保険に入る事による金銭的損得は、うさぎが生涯を終えるまで不明です。でもうさぎはとても繊細な動物で「病気になりやすい」というのは事実。予防の徹底を行った上で、自分を過信せず、基本的には「いつかは病気になる」というスタンスでいた方が良いでしょう。


そしてうさぎの病気の進行は早いので、少しでも異変があれば、様子見などせず、出来るだけ早く病院で診てもらうべきです。この観点からいえば、保険に入っていると


自己負担額が大幅に減る

→「受診へのためらい」がなくなる

→早期発見・早期治療に繋がる


という、金銭的な損得を越えたセーフティネット効果があるんですよね。だからうさぎの健康第一に考えるのなら「とりあえず加入」しておくのは、一つの立派な予防手段でもあるんです。


保険会社の選び方

保険会社には年齢制限があります。2歳以降は入れない、シニア(5歳頃)以降は入れないなどその上限は保険会社により異なりますが、1歳未満の子うさぎを迎えたら、選択肢の多い内に加入しておく事をおすすめします。


そして選択肢にある保険会社の事をよく調べ

  • 通院補償がついているか
  • 保険料と補償内容が釣り合っているか
  • 終身加入が出来るか
  • 窓口精算が出来るか
  • 飼い主へのサポートが充実してるか

などを比較検討し、一番後悔のなさそうな会社を選ぶと良いでしょう。「ニーズに100%答える完璧な保険」などは滅多にありませんので、各々で妥当な線引きをする事も大事ですね!

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うさぎにペット保険はいらないと言われる理由についてのまとめ

ここまでうさぎにペット保険は本当にいらないのかについて解説してきました。


動物の医療は自由診療のため、「思わぬ治療費用を請求された」なんてこともあり得ます。


家族同然のうさぎが大きな治療が必要になった時に、治療費用が払えないからと治療を諦めるなんて選択肢をしないためにも、将来起こりうるリスクに備え、少しでも不安があればうさぎのペット保険に加入することをおすすめします。

MOFFMEでは他にもうさぎに関する記事を多数公開していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

記事監修者「西森 史奈」

西森 史奈
MOFFME編集部うさぎ担当。愛玩動物飼養管理士、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。

すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という想いに共感しMOFFMEに参画。特に近年飼育頭数が増えているうさぎに着目し、飼い主とうさぎが長く一緒に幸せに暮らしていけるようにうさぎに関する正しい情報を発信すべく日々勉強中。