うさぎの赤い色のおしっこは血尿?見分け方や病気の可能性について解説【獣医師監修】のサムネイル画像

内容をまとめると

  1. うさぎのおしっこが赤くなる理由は2つある
  2. 見た目のみで血尿かを正確に見分けることは難しく、検査が必要
  3. もし赤いおしっこが「血尿」である場合は病気の可能性が高い
  4. 万が一に備えてペット保険への加入がおすすめ

うさぎを飼育していると赤いおしっこをしていて驚いた経験はありませんか?実はうさぎが赤いおしっこをすることはよくあることです。しかし、よくあることだからと軽視することは危険です。万が一血尿の場合は病気を抱えている可能性が非常に高く、早急に受診をする必要があります。そこでこの記事では、うさぎのおしっこが赤くなる理由、血尿との見分け方や、血尿時に考えられる病気について解説していきます。

記事監修者「沖田 将人」

この記事の監修者沖田 将人
アレス動物医療センター

1998年北里大学獣医学科卒業。富山県にてアレス動物医療センターを開院し、犬猫だけでなくうさぎなどエキゾチックアニマル診療に力を入れる。獣医師向けにうさぎ獣医学書、DVD出版を手掛けながら、飼い主向けにうさぎ専門サイト「あなたがウサギに出来ること」、Youtube「うさぎちゃんねる」を運営。2022年より北里大学非常勤講師も兼任、獣医学部生にうさぎ診療について教鞭をとる。

この記事の目次

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うさぎのおしっこの色が赤いけど、これって血尿?

うさぎのおしっこが赤いと「血尿?」と心配になりますよね。


実はうさぎのおしっこが赤い色になることはよくあることのため、必ずしも血尿であるとは限りません。


そこでまず初めに、うさぎのおしっこが赤くなる理由を2つに分けて解説していきます。

  • おしっこの色が赤い理由①色素尿
  • おしっこの色が赤い理由②血尿

おしっこの色が赤い理由①色素尿

おしっこの色が赤い理由には、おしっこに食べ物の色素がでる色素尿というケースがあります。


うさぎの主食である牧草には、赤い色素を持つ「ポルフィリン」が多く含まれているため、赤い色のおしっこが出ることはよくあることです。


また、緑黄色野菜に含まれる「カロテン」を多く摂取する事でも赤いおしっこが出ることがあると言われています。


色素尿の場合は、病気の疑いはないため心配する必要はありません。

おしっこの色が赤い理由②血尿

うさぎのおしっこが赤くなる理由の2つ目は血尿です。


うさぎから血尿が出た場合は病気の可能性が高いです。病気の種類は膀胱炎のほか、尿道結石や膀胱結石、尿管結石や腎結石など、結石ができている可能性があります。


また、子宮疾患や膀胱腫瘍など、幅広い病気の疑いがあります。

ストレスが原因で血尿が出ることはある?

血尿がでたとき「もしかしてストレスかな?」と思う方もいるかもしれませんが、うさぎはストレスで血尿がでることはありません


しかし、うさぎは自分が暮らす環境に変化があるとストレスを感じやすい生き物です。引っ越しやペットホテルに預けるなど、いつもと違う環境で暮らしたあと、まれに血尿が出てしまうことがあります。


これはストレスが直接的な原因ではなく、ストレスを感じたことで免疫力が下がり、病気を誘発した可能性があります。


いずれにせよ、血尿がでたときは早めの尿検査が必要です。

監修者コメント:

色素尿であれば、何の心配もないのですが、うさぎで血尿が出る病気は怖い病気がほとんどです。どんなに元気があろうと、どんなに食欲があろうと、血尿が出たら緊急事態であると思ったほうが良いです。

人間の小さいお子さんが赤いおしっこをしたときに「元気そうだから様子を見よう」と思う親御さんはいないはずです。ぜひうさぎの血尿も同じくらいの危機感で診てもらえると嬉しいです。

もしかして血尿?うさぎの血尿の見分け方はあるの?


色素尿であれば心配はいらないものの、もし血尿であれば病気の可能性があるためすぐに病院へ行く必要があります。


しかし、日頃から赤いおしっこをすることがあるうさぎのため、おしっこが赤い色になるたびに病院に行くことには気が引けてしまいますよね。


そこで続いてはうさぎの血尿の見分け方について解説していきます。


大前提として、目視で、血尿かそうでないかを見分けることは難しく、正確に判断するためには検査が必要です。


しかし、血尿の可能性がある特徴の見分け方をあらかじめ知っておくことは、早めに病院へ連れて行こうと決断出来る判断材料にもなるでしょう。


血尿の見分け方について3つに分けて紹介していきます。

  • うさぎの血尿の特徴を知る
  • 排尿するときの様子や、赤い尿の頻度を確認する
  • 尿の量や、臭いを確認する

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血尿の見分け方①うさぎの血尿の特徴を知る

うさぎの血尿といっても状態は様々です。


例えば、おしっこの一部に鮮血が混じっていたり、鮮血と混ざってピンク色に見えることもあります。


尿の状態のみで血尿かを判断することは難しいですが、おしっこが部分的に赤い場合は、血尿の可能性が高いと考えられます。


また、うさぎのお尻にも明らかに鮮血がついている場合もありますので、うさぎのお尻も確認してあげると判断ができるかもしれません。

血尿の見分け方②排尿するときの様子や、赤い尿の頻度を確認する

うさぎの血尿が疑われた場合、尿以外にいつもと違う様子があるかどうか観察することも大切です。


おしっこをするときの様子をしっかりチェックしてみてください。

  • いつもに比べてトイレに行く回数が多い
  • トイレをする時間がいつもに比べて長い
  • なかなかおしっこが出なくて苦しそう
など、そんな様子のときに赤い尿をしていたら、血尿の可能性が高いと判断できます。


しかし上記の様子が見られる時は、赤いおしっこが出ていなくても病院へ連れて行くことをおすすめします。


例え血尿が出ていなくても、いつもとトイレの様子が違うときは身体の中で何か異変が起きている可能性が捨てきれないため、早めの受診をしましょう。

血尿の見分け方③尿の量や、臭いを確認

赤いおしっこをしていて不安な場合は、排泄するときの様子以外にも、おしっこの量や臭いなども判断材料のひとつにしてください。


いつもに比べておしっこの量が極端に少ない、またはおしっこが出ている様子がないなどは血尿にかかわらず異変が起きている合図です。


また赤い尿をしていて、いつもに比べて臭いが強いと感じた場合、膀胱炎や膀胱結石の可能性も考えられます。


毎日トイレ掃除をして排泄物の確認をしてよく観察してあげることで早くに異変に気付いてあげてくださいね。

監修者コメント:

色素尿は赤というより朱色に近く、時間の経過とともに色が褐色に変化することが多いです。ただそうはいっても、厳密にはやはり尿検査をしてみないと血尿との区別は困難であり、「元気も食欲もあるから、色素尿に違いない」と決めつけるのは危険です。

何度か赤い尿が続いているようであれば、一度は尿検査を受け、【色素尿で間違いない】という太鼓判を得たほうが良いと思います。

物言わず、我慢強いうさぎだからこそ、「病気かも?」というネガティブな発想が大切なのかもしれません。

もしうさぎが血尿をしていたら、どんな病気の可能性があるの?


ここまでうさぎのおしっこが赤い理由や、血尿の見分け方について解説してきました。

もしうさぎが血尿をしていた場合、どのような病気を抱えている可能性があるのでしょうか。

続いては、うさぎが血尿をしたときに考えられる病気を3つ紹介していきます。
  • 膀胱炎
  • 尿路結石
  • 子宮疾患

血尿をしているときの病気①膀胱炎

膀胱炎とは、膀胱の中に細菌が増えてしまったことで、炎症が起きている状態です。


雄よりも雌のうさぎで発症することが多く、悪化すると腎盂腎炎、腎不全と命に関わる状態に進行することもあります


  • ケージ内の清掃が行き届いてない場合
  • 長時間おしっこを我慢した場合
になりやすいと言われています。特定の場所(例えばケージの外)でしか尿をせず、その場所に行けないときに長時間排尿を我慢するなどの習慣があるとリスクが高まります


血尿がでるほかにもおしっこの頻度が少なくなったり、おしっこが出にくいなどの症状も見られます。また、普段に比べて食欲が落ちるなどの変化も見られるため、飼い主がすぐに気付きやすいかもしれません。

血尿をしているときの病気②尿路結石

おしっこが通る道に結石ができてしまう病気を、尿石症もしくは尿路結石症と言います。

おしっこに含まれるミネラル成分が結晶となったものを結石と言います。うさぎはおしっこに含まれるカルシウムの量が多いので、カルシウム成分が原因となって結石ができやすいです。

この結石が溜まっていくと、尿路がふさがれて詰まってしまい、排尿することができなくなると最悪の場合命にも関わるくらいまで重篤化する恐れがあります。

尿路結石を予防するためには、食事中のカルシウムの量に気を付ける必要があります。成長期はカルシウムが豊富に含まれているアルファルファが勧められていますが、成長期以降はカルシウムの摂取量を減らすためにチモシーがおすすめです。

もし成長期以降もアルファルファを与えている場合は、尿路結石膀胱炎のリスクを懸念する必要があります。

血尿をしているときの病気③子宮疾患

うさぎは4歳で60%が、6歳で80%が子宮癌になると言われており、メスのうさぎでは特に注意が必要な病気です。


子宮癌は命に関わる病気ですが、末期になるまでは元気・食欲が普通にあり、発見が難しい病気でもあります。


子宮癌を含めた子宮疾患では尿に血が混ざって出てくることがあり、唯一子宮疾患を早期に発見できるサインです。


黄色い尿の中に一部赤い血が混じっているケースが多いですが、全体的におしっこが赤くなったり、おしっこに血の塊が混じってることもあり、時に真っ赤な鮮血のようなおしっこが出てきてビックリすることもあるでしょう。


出血が継続することはまれで、治療をしなくても数日で出血が止まることがほとんどです。「自然に治った」と喜ぶのではなく、むしろ治療せずに止まった場合はより深刻に考える必要があります


避妊手術をしていない場合には、子宮疾患も疑いながら排泄物のチェックをしてあげてください。

監修者コメント:

子宮疾患に限らず、尿路結石も治療の手が遅れると命に関わる大病です。また膀胱炎は犬や猫では命に関わることはめったにありませんが、うさぎの場合そのせいで食欲が24時間以上落ちると、胃腸の動きが止まり消化管うっ滞という命に関わる病気が併発することが非常に多いです。

血尿は我慢強いうさぎが飼い主に示してくれる大切なサインですので、決して見逃さないようにしてあげましょう。

万が一に備えてペット保険への加入もおすすめ

もしこれらの病気にかかった場合、動物病院へ連れていき治療を受けるかと思いますが、うさぎには人間のような健康保険制度はないため治療費は全額自己負担となります。


また、動物の医療は自由診療のため、動物病院によって費用は様々です。そのため、「想像もしていなかった費用がかかってしまった」なんてこともあり得ます。


治療費用が払えないからといって治療を諦めることはしたくないですよね。そんな悲しい選択を避けるためにもペット保険へ加入を検討することもおすすめです。


うさぎが加入できるペット保険については下記の記事で詳しく紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。

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うさぎにペット保険は必要?おすすめの人気ペット保険を徹底解説【2023年最新版】

うさぎに血尿の検査を受けさせたい!手順はどうしたらいい?


ここまで記事を読んでいる方の中には「念のため検査を受けさせたい」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで最後に、血尿の検査を受けさせるまでの手順について解説していきます。

もしうさぎの血尿の疑いが強く検査を受ける場合には、おしっこを動物病院へ持っていく必要があります。

一般的な方法として、ペット用のトイレシートにおしっこをさせて、そのシートを持参するやり方がおすすめです。

ただし、時間が経ってしまうとおしっこが蒸発してしまうので、可能な限り2~3時間以内に採取したおしっこを持参しましょう。

どうしても時間内に持参するのが難しい場合は、おしっこが含まれたトイレシートをビニール袋に入れて冷蔵保存が望ましいです。24時間以内であれば冷蔵保存した尿でも検査可能です。 

トイレシートでの採尿は尿が乾いてしまう可能性が高いので、本来ならスポイトやシリンジのようなもので採取するのが一番良いとされています。

採取の方法は、砂を敷いていないトイレにそのままおしっこをさせてシリンジで吸い取る方法や、運よくうさぎがおしっこをするタイミングが分かったらキレイな紙コップで採取して、そこからシリンジで吸い取るという方法もあります。

病気が発症する前に、日頃からおしっこを採取する練習をしておくと、万が一のときに役立ちますのでぜひチャレンジしてみてください。

監修者コメント:

トイレシートは何日も使える厚いタイプのものでは尿検査に使えないことが多いので、できるだけ薄いタイプのものを選んだほうが良いでしょう。また病院によってはトイレシートによる尿検査に対応していないケースもあります。

主治医の先生にトイレシートでの尿検査に対応してもらえるか、事前に問い合わせておいたほうが良いでしょう。また尿検査当日にうさぎも連れて行ったほうが良いかも確認しておきましょう。

まとめ:赤いおしっこは珍しい事ではないが血尿の場合は病気の可能性が高い

ここまでうさぎの赤いおしっこ・血尿について解説してきました。


この記事のポイントは

  • うさぎの赤いおしっこは珍しい事ではない
  • うさぎのおしっこが赤い理由は、色素尿・血尿のどちらか
  • 色素尿であれば心配することはないが、血尿の場合は病気の可能性が高い
  • 血尿の場合、膀胱炎や結石、子宮疾患などにを抱えている可能性がある
  • 血尿は目視で識別することは難しいため、不安があれば検査を受けることがおすすめ
でした。

赤いおしっこをよくするからこそ見慣れてしまうかもしれませんが、万が一それが血尿の場合は一刻も早く原因をみつけて治療をしてあげる必要があります。

元気そうだから様子を見ようという判断が、重篤な症状に陥らせてしまう可能性もありますので、日頃からよく観察をして小さな変化に気づいてあげてくださいね。

MOFFMEではほかにもうさぎやペット保険に関する記事を多数公開していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

記事モデル:うさぎのポコたん