うさぎのソアホックを徹底解説!初期〜重症の状態・治し方・靴下や塗り薬は有効?【獣医師監修】のサムネイル画像

内容をまとめると

  1. ソアホックはうさぎの性質上どんなうさぎでも発症しやすい
  2. ソアホックになると治療が長引きやすく完治もしにくい
  3. 獣医師の指示のもと治療をすることが最短ルート
  4. 万が一に備えてペット保険への加入もおすすめ

小さな体で懸命に生活しているうさぎさん。長く健康に過ごしてほしいですよね。うさぎがかかりやすい病気の1つである「ソアホック」とはどんなうさぎであっても発症する可能性のある病気です。一度発症してしまうと完治することが難しく、さらに治療が長引くことが多いため、うさぎにも負担がかかってしまいます。しかし、飼い主が対策をしていれば、ソアホックを発症する可能性を下げることができます。この記事では、ソアホックの原因や対策方法、治し方について解説していきます。

記事監修者「沖田 将人」

沖田 将人
アレス動物医療センター

1998年北里大学獣医学科卒業。富山県にてアレス動物医療センターを開院し、犬猫だけでなくうさぎなどエキゾチックアニマル診療に力を入れる。獣医師向けにうさぎ獣医学書、DVD出版を手掛けながら、飼い主向けにうさぎ専門サイト「あなたがウサギに出来ること」、Youtube「うさぎちゃんねる」を運営。2022年より北里大学非常勤講師も兼任、獣医学部生にうさぎ診療について教鞭をとる。

この記事の目次

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うさぎのソアホックとはどんな病気?初期症状〜重症の状態と原因を解説

ソアホックとは、足の裏の皮膚が炎症を起こしてしまう皮膚炎のことです。


ソアホックは別名「足底皮膚炎」「飛節びらん」ともいいます。「足底」とは人間でいう足の裏、「飛節(ひせつ)」とは人間でいうかかと部分を意味しています。


後ろ足にできることが多いですが、前足に発症するケースもあるようです。


どんなうさぎでも発症する可能性がある病気であり、悪化すると痛みで上手に歩けなくなったり、食欲不振から胃腸うっ滞など、放置をすれば他の病気を併発してしまう可能性もあります。


うさぎは痛みや体調不良を隠そうとする習性のある動物のため、「痛そうな様子がないからしばらく様子見をしよう」という判断はおすすめしません。


ソアホックの症状が見られたらすぐに動物病院に行って獣医師の先生から正しい処置をしてもらうようにしてください。


ソアホックは完治が困難な病気のため、自宅で飼い主ができる対策と早期治療が大切です。

ソアホックの症状とは?初期症状から重症まで

ソアホックの症状には段階があります。
  1. 足の裏部分の皮毛が薄くなる
  2. 足裏の角質層が厚くなる
  3. 白いタコのようなものが出来上がる
  4. 赤く炎症を起こす
  5. 骨にまで炎症が広がる
うさぎの足にはクッションの役目をもつ肉球が未発達であり、被毛が直接床と擦れているため、まず足裏の負担がかかっている部分の被毛が薄くなり、脱毛のような初期症状が見られ始めます。

被毛が薄くなり皮膚があらわになった足裏の角質層はやがて厚くなり、白いタコのようなものが出来上がります。

このまま放置して重症化していくと、赤く炎症を起こして潰瘍ができ、多いケースではありませんが、悪化すると骨にまで炎症が到達することも。骨にまで炎症が到達すると、命に関わる危険性があります。
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うさぎはどうしてソアホックになりやすいの?原因を解説!

ソアホックはどんなうさぎでも発症しやすい病気と紹介しましたが、なぜうさぎはソアホックを発症しやすいのでしょうか。


その原因はうさぎ性質が起因しています。

  • うさぎはかかとに体重をかけて歩く動物
  • 床との緩衝材の役目を果たす肉球がない
  • 足の裏の皮膚は薄く、骨がすぐあるため圧を受けやすい
うさぎは犬や猫とは異なり、人間のようにかかとまで床につけて行動する動物のため、特にかかとに体重がかかりやすいです。

また、床との緩衝材となる肉球が未発達であることに加えて、足の裏の皮膚は薄く骨がすぐにあるため、余計にかかとに負担がかかりやすく、うさぎはソアホックを発症しやすいのです。

これはうさぎの性質上仕方のないことですね。

しかし、上記のようなうさぎの性質以外にもソアホックを発症しやすい原因があります。

  • うさぎが肥満で体重が負担になっている
  • 爪が伸びてかかとに余計な負担がかかっている
  • 足に負担がかかるような床材を使用している
  • うさぎが歩く場所の衛生環境が良くない
これらは飼い主が対策をしていれば防げる原因ですね。

うさぎに痛い思いをさせないためにも、飼い主ができる対策をしてあげるべきです。対策方法はいくつかありますので、次の項で解説していきます。

監修者コメント:

ソアホックは犬や猫などのほかの動物では見られず、うさぎに特徴的な病気です。

基本的には全く足の裏に異常がないといううさぎは少なく、ほとんどのうさぎの足の裏には少なからず脱毛や発赤などの異常はあります。

どこまでが治療が必要で、どこまでが不要か、そして何が原因で発症したかは、うさぎの診療経験豊富な獣医師でないとわからないことも多いのが日本の現状です。

通院できる範囲でうさぎの診療が得意な動物病院を、事前に調べておくのも飼い主さんの大切な務めです。

どうしたら予防できる?うさぎのソアホックの対策方法を4つ紹介!


うさぎのソアホックは性質上発症しやすいことを解説してきましたが、飼い主が対策をすることで予防をすることもできます。

うさぎのソアホックはなかなか完治がしづらく、治療が長引くケースが多いです。ソアホックの対策をすれば十分予防はできますので、しっかりと対策をしてあげてください。

この記事では、ソアホックの対策方法を下記の5つに分けて解説していきます。

  • うさぎの体重管理を気をつけること
  • 爪切りを定期的に行う
  • うさぎの足に負担がかからない床材にすること
  • 衛生環境を清潔に保つこと

ソアホックの対策方法①うさぎの体重管理を気をつける

うさぎが肥満になれば当然、うさぎのかかとにかかる負担は増えるため、ソアホックがより発症しやすくなってしまいます。


肥満は万病のもと」と言われていますが、肥満はソアホックのみならず他の病気を発症するリスクがあります。毛づくろいができなくなり皮膚炎を起こしたり、動脈硬化や脂肪肝を発症する可能性もあります。


肥満になる原因は、

  • おやつ・ペレットの食べ過ぎ
  • 運動不足
が考えられます。

おやつ・ペレットの食べ過ぎの場合は、徐々に食事量を減らしていくようにしてください。今までの習慣から突然食生活に変化があるとストレスに繋がります。

一度動物病院で診てもらって肥満の程度や食事改善についてアドバイスをもらうと安心でしょう。

また、運動不足の場合は1日最低30分〜1時間を目処にへやんぽをさせたり、一緒に遊んであげてください。

うさぎがのびのびとへやんぽができるスペースを確保して十分に遊ばせてあげたり、一緒に遊んであげると運動不足の解消に繋がります。

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ソアホックの対策方法②爪切りを定期的に行う

爪が伸びると不自然な姿勢となり、足の裏全体で体重を支えることができなくなります。この荷重の偏りがソアホックの原因になります。


爪が伸びるとソアホックのみならず、爪がカーペットや服に引っかかって骨折の原因になったり、引っ掻いて皮膚や目をケガするなどの危険性が高まりますので、爪切りは1〜2ヶ月を目処に定期的に行なってあげてください。


爪切りが慣れないうちは動物病院や専門のペットショップで500円~1,000円ほどで爪切りをしてくれます。また、自宅でのうさぎの爪切りの方法については下記の記事でも紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。

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ソアホックの対策方法③うさぎの足に負担がかからない床材にする

床材によってもうさぎのソアホックの原因となることがあります。


特に下記のような床材を使用している場合、足裏に負担をかけてしまいます。

  • 金網
  • ざらざらの床材
  • 硬すぎる床材
  • 乾きにくい床材
金網は足裏の一点に集中して負担がかかってしまうため、木製または樹脂製のすのこを活用すると良いでしょう。

また、へやんぽ中の床材もフローリングでは滑りやすく、摩擦からソアホックのリスクが高まるため、毛の短いマットやカーペットを敷いてあげるとリスクを下げることができます。

ソアホックの対策方法④衛生環境を清潔に保つ

排泄物で足が汚れてしまったり、足裏が濡れているような状況もソアホックの原因となります。


不衛生な環境から、ソアホックの進行を早めることもありますので、こまめに掃除をして衛生環境を保つようにしてください。


衛生環境を清潔に保つことで、ソアホックのみならず他の病気の対策にも繋がりますし、うさぎも気持ちよく生活することができますよね。


ゲージ内が飲み水やおしっこで濡れていたり汚れていたら、できるだけ掃除をしてあげるようにしてあげましょう。

監修者コメント:

体重管理や爪切り、環境整備など飼い主さんにとって当たり前に求められることですが、それが毎日休みなく10年以上続くというのは案外大変なことです。

うさぎに限らずですが、動物を飼うということは大きな責任と手間と時間を覚悟することになります。

この覚悟が足りないと、ソアホックのような取りかえしのつかない病気を生み出してしまいます。

予防できるはずの病気でうさぎを苦しめないよう、正しい飼育方法を知り、根気よく実践することが大切です。

うさぎのソアホックの治し方!自然治癒を待つことや靴下を履かせること、塗り薬は有効?


ここまでソアホックの対策方法について解説してきましたが、対策をしてもどうしてもソアホックを発症してしまうことはあります。


もしソアホックになってしまった場合の治し方には下記の方法があります。

  • 飼養環境を整えて悪化を防ぐ
  • 病院で適切な治療を受ける

まだ初期症状の場合、市販の塗り薬などで自宅で簡単に対処しようと考える方も多いと思いますが、独断で市販の塗り薬を処方することはあまりおすすめしません


患部を舐めて返ってソアホックを悪化させてしまう可能性もあります。


ソアホックは進行するとなかなか完治しにくく、治療が長引くため、適切な治し方を指示してもらうことが治し方の最短ルートと考えましよう。


足裏にタコのようなものを見つけた時点で動物病院で獣医師の先生に診てもらうことをおすすめします。自宅で自然治癒を待っている間に重症化していく可能性もありますので、正しく治療方針を聞いて治療を進めていきましょう。

うさぎに靴下を履かせることは有効?

ソアホックになってしまった時、治し方を調べていると、患部を傷付けないために「うさぎに靴下を履かせるといい」というような内容を見たことはありませんか?


これはうさぎの個体によってかなり相性が分かれる方法のため、一概におすすめはできません。


靴下を履くことで患部を守ることができるものの、靴下をかじって誤飲をしてしまうなどの事故が起きるケースもあります。また靴下が尿でぬれると、長時間患部を汚染することにもつながり、悪化する恐れがありますね。


無理に靴下を履かせようとせず、やはり動物病院で獣医師の先生と治し方を相談することをおすすめします。

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監修者コメント:

ソアホックは症状が進行し重度になってしまうと、うさぎの診療に慣れた獣医師でも完治は困難といわれています。また骨髄炎にまで進行すると、断脚手術が必要になるケースすらあります。

いかにソアホックにならないよう予防してあげるか、そして万一ソアホックになってしまった時にどれだけ早く動物病院に連れて行ってあげるかが重要となります。

足の裏に異常があると思ったら、自己判断で民間療法に走らず、主治医の先生にすぐに相談するようにしましょう。

万が一に備えてペット保険への加入もおすすめ

うさぎのソアホックはなかなか治りにくいため、治療が長引くことが多く、治療が長引けばその分治療費用が発生します。


ソアホックの治療に89,590円かかったというケースもあるようです。(出典:きらさブログ


しかし、動物の医療は自由診療のため動物病院によって治療費用が異なります。想像を超える治療費用がかかることもあり得ます。


治療費用が支払えないからといって、治療を断念することは避けたいですよね。


そんな万が一に備えることができるものがペット保険です。もしペット保険に加入していればこの治療費用の一部が補償されます。


うさぎが加入できるペット保険について詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。

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まとめ:ソアホックのリスクを下げるために対策をしよう!

ここまで、うさぎのソアホックについて解説してきました。


この記事のポイントは

  • ソアホックとは足裏の皮膚が炎症してしまう病気
  • 重症化すると痛みで歩けなくなることも
  • ソアホックの対策には床材の工夫や爪切りなどが大事
  • 万が一に備えてペット保険への加入もおすすめ
でした。

ソアホックは進行すると完治が難しいとも言われていますので、なるべく早い段階で病院に行き、適切な処置をしてもらいましょう。

MOFFMEでは他にもうさぎやうさぎのペット保険に関する記事を公開しております。ぜひご覧くださいね。