日本に住む野生のうさぎを詳しく紹介!野うさぎを見つけたときの注意点も解説のサムネイル画像

ペットとして飼育されることが多くなってきたうさぎですが、現在でも野生に生息しています。絶滅危惧種や天然記念物に指定されている野うさぎもいて、どのような種類の野うさぎがいるのか気になりますよね。この記事では野うさぎの種類や、ペットとして飼育されているうさぎとの違い、野うさぎを見つけたときの注意点について解説していきます。

記事監修者「西森 史奈」

監修者西森 史奈
MOFFME編集部うさぎ担当。愛玩動物飼養管理士、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。

すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という想いに共感しMOFFMEに参画。特に近年飼育頭数が増えているうさぎに着目し、飼い主とうさぎが長く一緒に幸せに暮らしていけるようにうさぎに関する正しい情報を発信すべく日々勉強中。

この記事の目次

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日本に住む野うさぎにはどんな種類がいてどこにいるの?

日本に住む野うさぎは、大別すると4種類います。


本州や四国、九州に住むニホンノウサギ(亜種としてトウホクノウサギ)、北海道のみに住むエゾユキウサギとエゾナキウサギ、奄美大島と徳之島の2島のみに住むアマミノクロウサギです。


まず、この亜種も含めた5種類の野うさぎについて解説していきます。

  • ニホンノウサギ
  • エゾユキウサギ
  • エゾナキウサギ
  • トウホクノウサギ
  • アマミノクロウサギ

ニホンノウサギ

ノウサギの仲間で、北海道を除く本州や四国、九州などに広く生息しています。日本固有のうさぎで、多くの人になじみのある種類です。


体長は50センチ前後体重は1.3~2.5キロほどであり、耳は細長く、全身は茶色や褐色の毛で覆われ、腹部の毛は白いことが特徴です。冬には白い毛に生え替わる種類も。


ニホンノウサギは、「トウホクノウサギ」、「キュウシュウノウサギ」、「サドノウサギ」、「オキノウサギ」の4種類の亜種に分類される説がありますが、区別することが難しいと言われています。


生息地は、平地から山地までの草原や森林などで、群れは形成せず単独で生活しています。


穴うさぎのように特定の巣は持ちませんが、行動範囲はねぐらを中心に400メートルほどですあり、夜行性で昼間は藪や木の根元などで休んでいます。


アオダイショウ、イヌワシ、クマタカなどが天敵です。


北の地域のニホンノウサギは冬から夏にかけて、南の地域のニホンノウサギは1年中、繁殖を行い、メスは複数のオスと交尾をして特定のつがいを作りません。


草食性で、草や葉、芽、樹皮などを食べています。

エゾユキウサギ

ユキウサギの仲間で、日本では北海道のみに生息しています。以前はノウサギの仲間と思われていました。


体長は50~60センチ体重は1.6キロから大きいものは4キロほどになります。


ニホンノノウサギと比べると耳は小さめであり、耳からの体温の放熱を抑えるためだと思われています。


夏と冬で毛の色が異なり、夏は褐色が多く、冬は白くなります


体に比べて足が大きく、日本の哺乳類の中では最速の時速80キロメートルで走ることができます。


生息地は平野部から亜高山帯までと広く、昼は身を隠していることが多く、夜に活動しますが、冬になると昼でも活動するようになります。


繁殖期は2月下旬から7月で妊娠期間は約50日です。草食性で、草や野菜、冬の時期には樹皮や雪の下の草を食べます。

エゾナキウサギ

ナキウサギの仲間で、北海道の道央や道東などに生息しています。1928年に初めて発見され、珍獣として騒がれました。なかなか見る機会の少ない絶滅危惧種です。


ウサギとはいえハムスターのように小さく、体長は10~20センチ体重は60~150グラムで足も短いです。


夏毛は赤褐色で、冬毛は灰褐色から暗褐色になります。


生息地は800メートル以上の高山帯のガレ場で、高山性の動物です。雨や極端な寒さを嫌い、日中も活動しますが日没後のほうが活発に行動します。


集団性の穴居生活を行い、外敵に対して協力して防衛を行うなどの社会性を持つ動物です。


繁殖期は春から夏の間の1回で1~5頭の子供を産み、冬眠はしません


オスとメスとでは鳴き声が異なりますが、名前のとおり甲高い鳴き声でよく鳴くことが特徴的です。

トウホクノウサギ

日本国内に幅広く生息しているニホンノウサギの亜種の一種で、東北地方と日本海側に分布しています。

基本的な形態や生態はニホンノウサギと似ていますが、後ろ足がやや長いとされています。

夏毛は茶色で、換毛して冬には白くなるのが特徴ですが、冬毛になっても耳の先は黒っぽいままです。

丘陵から山地にかけての草地や森林などに生息し、ふだんは単独で生活しています。昼間は木の根元や岩の陰で休んでいて、夕方と夜明けに活発に行動する夜行性です。

特定の繁殖形態はなく、雄も複数の雌と交配します。

草食性で、草類木の葉などを食べますが、冬季には小枝や樹皮なども食べます。 

アマミノクロウサギ

本種だけでアマミノクロウサギ属を構成しており、日本の奄美大島と徳之島の2島のみに生息する固有種です。

全体の個体数は1万から4万頭未満と推測されており、絶滅危惧種に指定されています。1921年に国の天然記念物に、1963年には特別天然記念物に指定されました。

体長は41~51センチで体重は1.3~2.7キロ程度。

全身は光沢のある長い体毛と、柔らかく短い体毛で密に覆われており、背面は黒や暗褐色で腹面は灰褐色です。

目も耳も小さく、四肢も短いのが特徴です。

ウサギ科内でも原始的形態を残した種と考えられており、学術的に貴重な種です。

山地や海岸の斜面にある常緑広葉樹林や二次林に生息しており、樹洞や岩穴、大木の根元などに休息や子育て用の穴を掘り、基本的には単独で行動します。

昼は巣穴で休み、夜に活発に行動する夜行性です。

ハブが天敵であり、草食性で草や樹皮、果実などを食べます。 

野うさぎと飼育されているうさぎは何が違うの?

ここまで、日本に住む野生のうさぎについて紹介してきました。


実は、ペットとして飼われているうさぎと野生のうさぎでは異なる点が多くあります。


まず、ペットとして飼われているうさぎは家畜化された穴うさぎで、野うさぎとはまったく違う種類です。


ウサギ目のウサギ科までは同じですが、そこでアナウサギ属とノウサギ属に分かれており、英語では「Rabbit」と「Hare」と呼び分けています


日本に生息するうさぎは野うさぎのみですが、ヨーロッパなどでは穴うさぎが多く、それらが家畜化されペットとして飼育されるようになりました。


やがて、穴うさぎは交配により品種改良され多種多様の品種が生まれました。ネザーランド・ドワーフやロップイヤーが有名ですね。


他にも、ペットとして飼育されるうさぎの祖先である穴うさぎと野うさぎでは異なる点が多くあり、

  • 生活や習性の違い
  • 体格や耳、被毛の違い
  • 赤ちゃんうさぎの違い
これらの3つに分けて解説していきます。

生活や習性の違い

穴うさぎはトンネルを掘って巣穴を作ります


複雑な構成で、ふだんは天敵に襲われないために巣穴でメスを中心にした母系制で生活しており、2~8頭の成体と子が一緒に暮らしています。


生活範囲は狭く数ヘクタールです。


一方野うさぎは巣穴を持たず野山に暮らしており、天敵から身を隠すためには逃走して茂みの中などに身を隠します。


単独で生活し、交配期のみ相手を探します。生活範囲は広く数十ヘクタールです。

体格や耳、被毛の違い

穴うさぎは、巣穴を作るための穴を掘るためにしっかりとした前足を持っていますが、野うさぎは、素早く逃げるためにしっかりした後ろ足を持っています。

どちらのうさぎも早く逃げるために、足の力が強いのですが、逃げる距離が違います。

穴うさぎは巣穴まで、野うさぎは天敵から逃げ切り茂みなどに隠れるまで走るために、体の作りが大きく異なっているのです。

見た目も少し違います。穴うさぎは四肢が短く、全体的に丸みを帯びたかわいらしい姿ですが、野うさぎは四肢が長く筋肉が発達しており、天敵から逃げ切るために運動能力が発達しています。

穴うさぎに比べると、一般的には野うさぎのほうが耳は長く、周囲の状況の変化を敏感に感じ取ることができます。

穴うさぎの中には、ロップイヤーのように長く垂れた耳を持つ品種もありますが、ネザーランド・ドワーフのように、野うさぎに比べると短い耳を持つ品種が多いです。

穴うさぎも換毛はしますが、季節によって色は変わりません。野うさぎは天敵から身を守るために、雪の降る地域では冬季になると白い毛に生え替わる種類がいます。

赤ちゃんうさぎの違い

穴うさぎの赤ちゃんは、産まれたときは毛がなく、目や耳も閉じています

一方、野うさぎの赤ちゃんは、産まれたときから毛が生えており、目や耳も開いています

これは巣穴で出産と子育てをして集団生活をする穴うさぎと、開けた野外で出産と子育てをして基本的には群れを作らない野うさぎの大きな違いです。

どちらも繁殖形態は同じ胎生です。穴うさぎは一年中いつでも繁殖する周年繁殖をしますが、野うさぎは低緯度地方に住む種類以外の多くは、年に数回だけ繁殖する季節繁殖をします。

子育ての環境に違いにより、同じうさぎでも穴うさぎと野うさぎの赤ちゃんうさぎの生態は大きく異なります。

ただ母乳を飲ませるなどの子育ての時間は、穴うさぎも野うさぎもほとんど同じで一日のうち数十分程度です。

野うさぎを見つけた時の注意点

山や森を散歩しているときなどに野うさぎに出会うことがあるかもしれません。

もし野うさぎが怪我をしていたり赤ちゃんうさぎだけでいたら、保護をしたり飼いたくなったりするかもしれませんが、そのような行為は野うさぎにとっても、あなたにとってもよくありません。

そこでここでは、野うさぎを見つけた時の注意点について
  • 野うさぎを見つけても勝手に飼育してはいけない
  • 野うさぎに触ることは避けるべき
この2つに分けて解説していきます。

野うさぎを見つけても勝手に飼育してはいけない

野うさぎや野うさぎの赤ちゃんを見つけても、勝手に保護や飼育をしてはいけません


「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」という法律上、健康な野生動物を捕まえて飼うことは禁止されています


また捕獲して飼育する場合は行政への届出許可が必要で、違反すると罰則の対象です。


野うさぎに限らず、野生動物がけがをしている場合は、都道府県や政令指定都市の鳥獣保護担当課に連絡をして指示を受けるのがいいでしょう。


また、赤ちゃんうさぎだけでいるところを見つけると保護したくなりますが、実はそばには親うさぎがいるため人間が助けてあげる必要はありません。


ほとんどの時間、親うさぎは、子うさぎを放置してどこかへ出かけているため、育児放棄のように見えますが、それがうさぎの子育てなのです。


一緒にいると天敵に襲われる可能性が高いという理由もあります。


親うさぎは必ず帰ってきますので、そのままそっとしておいてあげてください。 

野うさぎに触ることは避けるべき

けがをしたり弱ったりしている野うさぎを見つけると、なでてあげたくなるかもしれませんが、野生のうさぎに触ることは避けたほうがいいです。

野うさぎや野ねずみなどとマダニの間で感染する「野兎病」に感染するリスクがあるのです。

野兎病は野兎病菌による急性熱性疾患で、代表的な動物由来感染症の一つです。

自然界において野兎病菌は、マダニ類などの吸血性節足動物を介して、主に野うさぎや齧歯類などの野生動物の間で維持されており、これらの感染動物から直接あるいは間接的にヒトが感染することがあります

野兎病は北米、北アジアからヨーロッパなどの、ほぼ北緯30度以北の北半球に広く発生しています。米国やスウェーデンなどの海外の汚染地域では毎年散発的に起こっており、ときに流行を示すこともあります。

野兎病菌は非常に感染力が強く、発熱、悪寒、吐き気、嘔吐、感染部位の化膿がみられます。

もし、野うさぎを触ってしまって体調が悪くなった場合、すみやかに医師の診察を受けてください。 

まとめ:日本に住む野生のうさぎについて解説!

この記事では、日本に住む野生のうさぎについて解説してきました。


この記事のポイントは

  • 日本に住む野うさぎは大別すると4種類
  • ペットで飼育されているうさぎの祖先は「穴うさぎ」で「野うさぎ」とは全く異なる種類
  • 野生のうさぎを勝手に飼育すると法律に違反し、罰則の対象になる
  • 野生のうさぎに触ると野兎病に感染するリスクがあるため触らない方が吉!
でした。

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