ペットとして飼育されることが多くなってきたうさぎですが、現在でも野生に生息しています。絶滅危惧種や天然記念物に指定されている野うさぎもいて、どのような種類の野うさぎがいるのか気になりますよね。この記事では野うさぎの種類や、ペットとして飼育されているうさぎとの違い、野うさぎを見つけたときの注意点について解説していきます。
この記事の目次
目次を閉じる日本に住む野うさぎにはどんな種類がいてどこにいるの?
日本に住む野うさぎは、大別すると4種類います。
本州や四国、九州に住むニホンノウサギ(亜種としてトウホクノウサギ)、北海道のみに住むエゾユキウサギとエゾナキウサギ、奄美大島と徳之島の2島のみに住むアマミノクロウサギです。
まず、この亜種も含めた5種類の野うさぎについて解説していきます。
- ニホンノウサギ
- エゾユキウサギ
- エゾナキウサギ
- トウホクノウサギ
- アマミノクロウサギ
ニホンノウサギ
ノウサギの仲間で、北海道を除く本州や四国、九州などに広く生息しています。日本固有のうさぎで、多くの人になじみのある種類です。
体長は50センチ前後、体重は1.3~2.5キロほどであり、耳は細長く、全身は茶色や褐色の毛で覆われ、腹部の毛は白いことが特徴です。冬には白い毛に生え替わる種類も。
ニホンノウサギは、「トウホクノウサギ」、「キュウシュウノウサギ」、「サドノウサギ」、「オキノウサギ」の4種類の亜種に分類される説がありますが、区別することが難しいと言われています。
生息地は、平地から山地までの草原や森林などで、群れは形成せず単独で生活しています。
穴うさぎのように特定の巣は持ちませんが、行動範囲はねぐらを中心に400メートルほどですあり、夜行性で昼間は藪や木の根元などで休んでいます。
アオダイショウ、イヌワシ、クマタカなどが天敵です。
北の地域のニホンノウサギは冬から夏にかけて、南の地域のニホンノウサギは1年中、繁殖を行い、メスは複数のオスと交尾をして特定のつがいを作りません。
草食性で、草や葉、芽、樹皮などを食べています。
エゾユキウサギ
ユキウサギの仲間で、日本では北海道のみに生息しています。以前はノウサギの仲間と思われていました。
体長は50~60センチで体重は1.6キロから大きいものは4キロほどになります。
ニホンノノウサギと比べると耳は小さめであり、耳からの体温の放熱を抑えるためだと思われています。
夏と冬で毛の色が異なり、夏は褐色が多く、冬は白くなります。
体に比べて足が大きく、日本の哺乳類の中では最速の時速80キロメートルで走ることができます。
生息地は平野部から亜高山帯までと広く、昼は身を隠していることが多く、夜に活動しますが、冬になると昼でも活動するようになります。
繁殖期は2月下旬から7月で妊娠期間は約50日です。草食性で、草や野菜、冬の時期には樹皮や雪の下の草を食べます。
エゾナキウサギ
ナキウサギの仲間で、北海道の道央や道東などに生息しています。1928年に初めて発見され、珍獣として騒がれました。なかなか見る機会の少ない絶滅危惧種です。
ウサギとはいえハムスターのように小さく、体長は10~20センチで体重は60~150グラムで足も短いです。
夏毛は赤褐色で、冬毛は灰褐色から暗褐色になります。
生息地は800メートル以上の高山帯のガレ場で、高山性の動物です。雨や極端な寒さを嫌い、日中も活動しますが日没後のほうが活発に行動します。
集団性の穴居生活を行い、外敵に対して協力して防衛を行うなどの社会性を持つ動物です。
繁殖期は春から夏の間の1回で1~5頭の子供を産み、冬眠はしません。
オスとメスとでは鳴き声が異なりますが、名前のとおり甲高い鳴き声でよく鳴くことが特徴的です。
トウホクノウサギ
アマミノクロウサギ
野うさぎと飼育されているうさぎは何が違うの?
ここまで、日本に住む野生のうさぎについて紹介してきました。
実は、ペットとして飼われているうさぎと野生のうさぎでは異なる点が多くあります。
まず、ペットとして飼われているうさぎは家畜化された穴うさぎで、野うさぎとはまったく違う種類です。
ウサギ目のウサギ科までは同じですが、そこでアナウサギ属とノウサギ属に分かれており、英語では「Rabbit」と「Hare」と呼び分けています。
日本に生息するうさぎは野うさぎのみですが、ヨーロッパなどでは穴うさぎが多く、それらが家畜化されペットとして飼育されるようになりました。
やがて、穴うさぎは交配により品種改良され多種多様の品種が生まれました。ネザーランド・ドワーフやロップイヤーが有名ですね。
他にも、ペットとして飼育されるうさぎの祖先である穴うさぎと野うさぎでは異なる点が多くあり、
- 生活や習性の違い
- 体格や耳、被毛の違い
- 赤ちゃんうさぎの違い
生活や習性の違い
穴うさぎはトンネルを掘って巣穴を作ります。
複雑な構成で、ふだんは天敵に襲われないために巣穴でメスを中心にした母系制で生活しており、2~8頭の成体と子が一緒に暮らしています。
生活範囲は狭く数ヘクタールです。
一方野うさぎは巣穴を持たず野山に暮らしており、天敵から身を隠すためには逃走して茂みの中などに身を隠します。
単独で生活し、交配期のみ相手を探します。生活範囲は広く数十ヘクタールです。
体格や耳、被毛の違い
赤ちゃんうさぎの違い
野うさぎを見つけた時の注意点
- 野うさぎを見つけても勝手に飼育してはいけない
- 野うさぎに触ることは避けるべき
野うさぎを見つけても勝手に飼育してはいけない
野うさぎや野うさぎの赤ちゃんを見つけても、勝手に保護や飼育をしてはいけません。
「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」という法律上、健康な野生動物を捕まえて飼うことは禁止されています。
また捕獲して飼育する場合は行政への届出許可が必要で、違反すると罰則の対象です。
野うさぎに限らず、野生動物がけがをしている場合は、都道府県や政令指定都市の鳥獣保護担当課に連絡をして指示を受けるのがいいでしょう。
また、赤ちゃんうさぎだけでいるところを見つけると保護したくなりますが、実はそばには親うさぎがいるため人間が助けてあげる必要はありません。
ほとんどの時間、親うさぎは、子うさぎを放置してどこかへ出かけているため、育児放棄のように見えますが、それがうさぎの子育てなのです。
一緒にいると天敵に襲われる可能性が高いという理由もあります。
親うさぎは必ず帰ってきますので、そのままそっとしておいてあげてください。
野うさぎに触ることは避けるべき
まとめ:日本に住む野生のうさぎについて解説!
この記事では、日本に住む野生のうさぎについて解説してきました。
この記事のポイントは
- 日本に住む野うさぎは大別すると4種類
- ペットで飼育されているうさぎの祖先は「穴うさぎ」で「野うさぎ」とは全く異なる種類
- 野生のうさぎを勝手に飼育すると法律に違反し、罰則の対象になる
- 野生のうさぎに触ると野兎病に感染するリスクがあるため触らない方が吉!