犬のアレルギー検査はした方がいい?費用や項目など気になる点を紹介のサムネイル画像

人間には食べ物や動物、花粉など様々なアレルギーがありますが、犬も同様にアレルギーになることがあります。犬のアレルギーについて知っておくためにアレルギー検査をした方がいいのでしょうか。そこで今回は犬のアレルギー検査の費用や項目について解説していきます。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

目次を閉じる

犬のアレルギー検査は必要?犬にはどんなアレルギーがある?

わたしたち、人間にも様々なアレルギーがありますが、当然、犬にもアレルギーはあります。


人間のアレルギーの場合、くしゃみ、喘息、呼吸困難などが主な症状です。一方、犬のアレルギーの場合、初期症状としてかゆみが発生します。


犬は「かゆみを我慢する」という概念がないので、皮膚を激しく掻くことで出血などを伴い、さらに感染が起こって皮膚炎が悪化します。


放っておくとさらに悪循環に陥ります。アレルギーを疑われる症状や異常を感じた場合には、早めに動物病院でアレルギー検査を受診することをお勧めします。


今回「MOFFME」では、

  1. 犬のアレルギーの種類と症状
  2. 犬にアレルギー検査を受けさせるかどうか?
  3. 犬のアレルギーになりやすい犬種
  4. 検査の種類と費用
  5. 犬のアレルギーの治し方
について詳しく解説します。

犬にアレルギーってあるの?主な症状とは


犬にもアレルギーはあります。皮膚のかゆみから始まるものがほとんどです。


複数のアレルギー性疾患に同時にかかる可能性もあるため、見極めるのは困難です。


以下の様な症状が続く場合、アレルギーの可能性があります。

  1. 1.体をかゆがる・よくなめる
  2. 2.皮膚が赤くなる
  3. 3.耳がかゆい・汚れやすい
  4. 4.外耳炎が繰り返される、もしくは治りにくい
  5. 5.目が赤くなる
  6. 6.皮膚の赤みや発疹
  7. 7.毛が抜ける(かゆみを我慢できずに掻いてしまい、毛が生えるのが追いつかない)
  8. 8.フケやかさぶたが多い
  9. 9.皮膚が脂っぽくべたべたする
そして犬のアレルギーには下記の様な種類があります。
  • ノミアレルギー性皮膚炎
  • 食物アレルギー
  • マラセチア皮膚炎
  • 通常疥癬(つうじょうかいせん)
  • アトピー性皮膚炎

犬のノミアレルギー性皮膚炎の症状や原因

まず、ノミアレルギー性皮膚炎の症状や原因は何か?


ノミアレルギー持ちの犬がノミに吸血されると発症します。症状は主に強いかゆみです。背中から腰の辺りに赤い発疹や蕁麻疹、かさぶたができたりします。


体表に、ノミやノミの糞が見られる場合がありますが、犬の様子から想像する割には、少ない場合がほとんどです。


あまりの痒さに後ろ足で激しく掻きむしることで2次的な皮膚感染症を誘発する可能性が高いことも気を付けたいポイントです。


アレルギーの原因は、吸血の際に体に入ったノミの唾液と犬の免疫が反応して発症します。


ノミは夏~秋に増える傾向がありますが、暖かい室内では年間を通して生息していることもあり、注意が必要です。お散歩コースに草むらや土がある場合も気を付けましょう。

犬の食物アレルギーの症状や原因

次に、犬の食物アレルギーの症状や原因を掘り下げてみたいと思います。


犬に下痢、血便、嘔吐、咳などの症状があるが、原因がわからないことありませんか?


ほかにも、目の周り、耳の内側、肉球が赤くなっていたり、口周りや歯茎も赤くなっていたり、などの症状はありませんか?


もしかしたら食物アレルギーの可能性があります。食物アレルギーはノミアレルギー性皮膚炎の症状と同じくかゆみを伴う場合もあります。


食物中の成分(多くはたんぱく質が原因と言われています。)に対して過剰に免疫反応を起こすことが原因です。


ほとんどの犬が1歳未満から発症しますが、どの年齢でも発症するリスクはあります。7歳以上の高齢期に突然発症することもあり注意が必要です。

犬のマラセチア皮膚炎の症状や原因

では、犬のマラセチア皮膚炎の症状や原因を見ていきましょう。


マラセチアとは、正常な皮膚や耳にも常在している真菌(カビの一種)です。


普段は炎症を起こすことはありませんが、アトピー性皮膚炎や免疫力の落ちる病気、加齢などで皮膚の防御機能が低下してしまうと異常に増殖することがあります。


このときに菌体成分や代謝物が刺激となり炎症を起こす場合があるのです。


また、少数のマラセチアに対してアレルギー反応を起こし皮膚炎になる犬もいて、それらを含めてマラセチア皮膚炎と呼ばれています。


マラセチアは皮膚の脂を媒体として増殖するため、脂っぽい犬で増えやすいと言われています。皮脂の分泌が多いシー・ズーは特にリスクの高い犬種として知られています。

犬の通常疥癬の症状や原因

続いて、犬の通常疥癬(つうじょうかいせん)の症状や原因はどうでしょうか?


聞きなれない言葉で流行のアニメを想像してしまいそうですが、主にイヌセンコウヒゼンダニというダニが原因で、非常に強いかゆみを伴うほか、フケ、赤い発疹が全身に(特に耳の辺縁や顔、肘やかかとなど)みられる症状が特徴的です。


人を刺して、痒みや赤いブツブツを発症させることもあります。


厄介なのは感染している犬との接触で伝搬することもあり、感染力が非常に高いという点です。


さらに厄介なのは、マダニと違ってとても小さく、少数寄生な特徴を併せ持っています。そのため、皮膚の検査でヒゼンダニを発見するのは非常に困難です。


試験的に様々な検査・治療を行い、原因を特定していきましょう。

犬アトピー性皮膚炎の症状や原因

最後に、犬アトピー性皮膚炎の症状や原因についてもしっかりチェックしましょう。


生後6か月~3歳以下の若齢で発症することが多いです。こちらもかゆみが長く続くため、搔いたり舐めたりを繰り返すうちに、皮膚の赤みや脱毛、フケ、ひっかき傷などが認められる様になります。


さらに症状が進行すると皮膚が黒ずんでしまい、最終的には厚く硬くなってしまいます。生涯続く症状で、完治を望むことは難しいと言われています


しかし、症状を抑える方法は数多くあり、今後の研究(再生医療など)にも期待が寄せられています。


空気中の花粉、カビ、イエダニ、動物のフケなどの物質に対するアレルギー反応です。

主に季節性アレルギー(花粉)と通年性アレルギー(カビ、チリダニ、フケ)に分類されますが、遺伝も関与していると言われています。

犬にアレルギー検査を受けさせるべき?


犬にアレルギー検査を受けさせるべきかどうかは、非常に難しい選択です。

アレルゲン(アレルギーの原因)がわからないために、多数の検査を受けることになります。

また、検査をすることで費用も高額になりがちです。まずはかかりつけの獣医師さんに相談しましょう。

もし、経済的に余裕があれば、全ての検査を受けてもいいでしょうし、難しい場合は、獣医師さんがお勧めする検査だけでも受けるようにしましょう。

保険適用できる場合もあるので、総合的に判断することをお勧めします。

アレルギーになりやすい犬種がある!

アレルギーになりやすい犬種がある!


ということで、マラセチア皮膚炎とアトピー性皮膚炎に関しては、以下の犬種がなりやすいと言われています。


マラセチア皮膚炎になりやすい犬種

  1. シー・ズー
  2. ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
  3. アメリカン・コッカー・スパニエル          など

少量のマラセチアでもアレルギー反応を起こしやすい犬種

  1. ヨークシャー・テリア
  2. チワワ
  3. トイ・プードル          など

アトピー性皮膚炎になりやすい犬種

  1. 柴犬
  2. ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
  3. シー・ズー
  4. トイ・プードル
  5. パグ
  6. フレンチ・ブルドッグ
  7. ラブラドール・レトリーバー
  8. ゴールデン・レトリーバー
  9. ボストン・テリア
  10. フレンチ・ブルドッグ
  11. セッター
  12. ダルメシアン
  13. シャーペイ          など
マラセチアは皮膚の油分が比較的多い犬種がなりやすく、アトピー性皮膚炎については先天的な要因も理由の一つとされています。

犬のアレルギー検査にはどんな種類がある?費用はどのくらい?

犬のアレルギー検査にはどんな種類があり、費用はどのくらいなのでしょうか?


下記の表にまとめてみました。

検査の名前内容費用
アレルゲン特異的IgE検査
採血で、一度に多くの40〜100種類の検査をすることが可能。アレルギー性皮膚炎が疑われる場合に実施。¥10,000~30,000
リンパ球反応検査血液のリンパ球をアレルゲンと混ぜて培養しリンパ球の増えかたを検査。食物アレルギーが疑われる場合に実施。¥15,000~30,000
アレルギー強度検査最初に行う検査。採血で体内のアレルギー反応の有無を調べて、陽性であれば、ほかの検査を行う。¥8,000~10,000

ほかにもパッチテスト、皮内反応試験、除去食試験などがあります。

犬のアレルギー検査はどのくらいの時間で結果が分かる?

犬のアレルギー検査で、血液検査の場合、ほとんどの動物病院が外部の機関へ依頼しています。


そのため、ほとんどの検査は結果が届くまで、早くても1~2週間を要します。


食物アレルギーの場合のみ、ご家庭で除去食試験を行います。こちらは犬の食後を観察するため、最低でも1ヶ月はかかります。


試験中はおやつにも気を配らなくてはなりません。除去食と異なるものをちょっとでも食べてしまうと、治療効果の判定が難しくなるからです。根気よく行うことが大切です。


病院からの検査結果を待っている間は、獣医師さんの指示に従い、症状が進行しにくくなる緩和ケアを行うとよいでしょう。


ただし、的外れなケアをして、症状を進行させない様に努めてください。

目の赤み、かゆみや鼻水など症状が出たら検査を受ける

根本的なお話として、元気な状態では、「無理に」検査を受ける必要はありません。
(あらかじめ知っておきたい、という意見は尊重します。)

検査の方法は主に採血がほとんどです。採決は人間でもストレスを感じます。犬にとってはなおさらです。

ですから、症状が出たら、病院へ行きましょう。そもそも、アレルギーではなく一過性の病気や外傷の可能性もあります。

その場合は治療が早いほど完治も早いです。本来は完治するはずの病気や外傷が、手遅れになってしまっては、悔やんでも悔やみきれません。

治療の過程の中でアレルギーが疑われてから、獣医師さんと相談するといいでしょう。そこから検査を受けるかどうかを、判断すればいいのです。

もし、費用がネックとなる場合、ペット保険の役割が重要になります。もしものために、しっかり備えることも検討しましょう。

補足:人間が犬アレルギーだと感じたら?克服できる?

人間が持つ犬アレルギーとは、これまでの説明とは逆に犬が出す物質(毛、唾液、便、フケなど)によって、人間の免疫が過剰に反応して起きる症状のことをさします。


自分の飼っている犬が大好きだけど、体が受けつけない。こんな不条理なことはありません。何か方法はないのでしょうか?


残念ながら完治の方法は現在では確率されていません。が、緩和する方法ならいくつか存在します。


アレルゲンとの接触を可能な限り減らす、薬を服用することです。


アレルゲンとの接触を減らす方法は、部屋をこまめに掃除するなど、犬と寝室を分けるなどの工夫次第で減らすことができます。


薬を服用した場合、症状が緩和されているだけで、完治したわけではありません。ですので、服用を中止した場合、再び症状が現れます。

犬のアレルギーは治る?治療方法や治し方、薬は?


人が持つ犬アレルギーと同様に、犬が持つアレルギーも完治することは難しいと言われています。再生医療などの研究は進んでおり、今後の成果に注目が集まっています。

現在では、緩和ケアが主流で様々な方法があります。

主な緩和ケアとして、①アレルゲンの除去、②投薬治療、③スキンケアの3種類です。
ノミアレルギーの場合は、投薬治療とスキンケア。

食物アレルギーはアレルゲン除去の考え方から、アレルゲンが含まれない療法食を行います。

皮膚炎の場合は薬用シャンプーで皮膚上の細菌や真菌を除去します。

犬のアレルギーに対して病院で行われる治療

病院ではまず、カウンセリングが行われます。次に検査を行いその結果を受けて、治療に移ります。

ノミ、ダニがアレルゲンの場合は、投薬によりノミやダニを寄せ付けにくくします。また生活環境を清潔に保つなど、予防策の指導も行われます。

食物アレルギーの場合は、おやつを含む食べ物全般をアレルゲンが含まれていない療法食へ切り替えるための指導を行います。

それらの指導と並行して、アレルギーの症状に応じた患部の症状を和らげるためのケアも行われます。その一つにステロイドが用いられることもしばしです。

そのほか、減感作療法(げんかんさりょうほう)と呼ばれる治療法が注目されています。あえてアレルゲンとなる物質を注射などで投与し続けて、体質自体を変化させようという療法です。

一部では成果も出ており、注目を集めています。

自宅で行う犬のアレルギーへの対処法

自宅で行う犬のアレルギーへの対処法ですが、アレルゲンを徹底的に除去することです。


言葉で表記することは簡単ですが、実際は非常に困難だと思われます。しかし、工夫次第で、高い効果が期待できます。


食物アレルギーの場合は、獣医師さんの診断をもとにアレルゲンの含まれない療法食を実践しましょう。動物病院によってはドッグフードの取り扱いもありますから、積極的に獣医師さんに相談することをお勧めします。


ノミ、ダニ、ハウスダストに反応するアレルギーの場合は、定期的にシャンプーやブラッシングを行うのと同時に、生活環境を綺麗に保つ様に心がけることが重要です。


部屋の掃除はもちろんのこと、犬が使用する布団や服をこまめに洗うほか、空気清浄機を設置することも対処法の一つです。

犬のアレルギーは予防できる?飼い主ができる対策


犬のアレルギーは突然、発症することもあります。長年、まったく問題のなかった食べ物に反応したり、急に目や耳に症状が現れたりと様々です。


対策としてあげられるのは、例えばお散歩コースに草むらや土がない場所を選びます。

ただし、夏の炎天下ではアスファルトが非常に高温になっており、肉球を火傷するなど、別のリスクも存在します。


その場合は朝晩の涼しい時間を選ぶなど、工夫しましょう。


また、アレルギーが発症していなくても、シャンプーやブラッシングを定期的に行うことも立派な対策の一つです。


思い切って犬の毛を短くする”イメチェン?”もノミやダニが付着しにくくなります。

無理をする必要はありません。できることをコツコツやってみましょう。

市販のフードやおやつの成分を見直す

市販のフードやおやつの成分にも気を配りましょう。


食物アレルギーの場合、多くはドッグフードに含まれるたんぱく質と言われています。


原因となる食べ物は肉類(牛、チキン、ラム)、卵、乳製品、穀物類(大豆、トウモロコシ、小麦など)のほか、食品添加物などもアレルゲンの原因と言われています。


全ての年齢においてリスクはありますが、1歳未満の子犬は注意が必要です。また、7歳以上の高齢期に発症することがあるため、油断は禁物です。


万が一、発症してしまったら、除去食試験を根気よく行い、アレルゲンの特定に努めましょう。


仮にこの期間に除去食と異なるものをちょっとでも食べてしまうと、治療効果の判定が難しくなります。飼い主さんにも強い意識が必要です。

生活環境を清潔にしておく

生活環境を清潔に…とは、部屋を綺麗にします。が、それだけでなく、犬自身も綺麗にします。


定期的にシャンプーやブラッシングを行うのと同時に、その際に抜けた毛や、床に落ちたフケなども掃除機などで綺麗にします。


ただし、掃除機も排気からハウスダストなどのアレルゲン物質が空気中を舞うと言われています。その場合は空気清浄機を設置するか、サーキュレーターなどで部屋を換気する様に心がけましょう。


面倒かもしれませんが、今世間を賑わせているあのウイルスの対策にも繋がり、一石二鳥です。


また、犬が寝ている布団や、着ている服をこまめに洗うことも重要です。ともすると忘れがちになるので、しっかり意識しましょう。


飼い主さんと同じ洗濯機を使用することに抵抗を感じる方は、コインランドリーを使用することもあるようです。

定期的にシャンプーなどのスキンケアをする

シャンプーですが、特にマラセチア皮膚炎の犬の飼い主さんは、積極的に行うことをお勧めします。


ノミやダニは肉眼で見分けることができるほか、投薬治療で寄せ付けにくくすることができます。しかし、肉眼でとらえることができないマラセチア(真菌)は薬で抑制することが困難です。


そこで、マラセチアが活性化する原因と言われる皮脂やフケをシャンプーで洗い流し、マラセチアの活性を抑制しましょう。そのほか、皮膚炎のケアにも繋がります。


ただし、皮膚がただれてしまったら、逆効果になることもあります。迷わず獣医師さんの診断を受けてください。その場合は軟膏などで、症状の緩和に努めましょう。


ブラッシングをする際は、肌を傷付けない様に心がけてください。予防やケアのためのブラッシングでケガをしては、本末転倒です。

まとめ:犬のアレルギー検査の項目や費用は?

主な犬のアレルギー検査は、アレルゲン特異的IgE検査、リンパ球反応検査、アレルギー強度検査の3種類。


ほかにもパッチテスト、皮内反応試験、除去食試験などがあります。


多くは採血で行われており、結果は1~2週間ほどで判明します。


各検査とも費用は\10,000~30,000ぐらいで、主要な検査(アレルゲン特異的IgE検査、リンパ球反応検査、アレルギー強度検査)をすべて行うと、総額約¥40,000~70,000と言われています。


ただし、費用については保険適用できるケースもあるので、保険会社に相談してみるのも一つの手です。


採血は犬にとっても負担になるため、健康体の犬には、無理に行う必要はありません。

アレルギーの症状が疑われる場合に検討しましょう。


MOFFMEでは、他にも様々なペットやペット保険に関する記事を多数公開しておりますので、ぜひ参考にしてみてください!