内容をまとめると
- 主な原因は病気とストレスと考えられている
- 呼吸は生命を維持するために大事に活動なので、異常を感じた場合すぐに動物病院に連れて行くことが大切
- ペットの医療費は保険適用されないので、もしもの時に備えてペット保険に加入しておくと安心
犬はたくさん遊んだり興奮したりすると口を大きく開けて呼吸が早くなることがありますよね。しかし寝ている時にも呼吸が早い、息が荒い場合は何らかの原因が考えられます。そこで今回は、犬の呼吸が早い原因や考えられる病気、対処法について詳しく紹介します。
この記事の目次
目次を閉じる犬の呼吸が早い、息が荒い時はどうすればいい?
今回「MOFFME」では、
- 犬の呼吸が早い、息が荒い時はどうすればいい?
というテーマで”そもそも異常かどうか”や”対処の仕方”などを、紹介したいと思います。
人間、犬を問わず、生物にとって「呼吸」は生命を維持する為に欠かせない大切な行為です。
呼吸が早い時、息が荒い時は「様子を見ないで、可能な限り早く病院に行く」ことです。
呼吸の異常は生命維持の根幹を揺るがす深刻な事態です。のど、気管、胸腔内、肺、血液など、原因は様々ですが、緊急性が高く、治療開始の遅れが生死に直接関わることも考えられます。
自分で判断せず、迷わず獣医師の診察を受けましょう。その獣医師から「様子を見ましょう。」とアドバイスされた場合は、様子を見てもよいでしょう。
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犬の呼吸の様子がおかしい?呼吸が早い時の原因とは
モデル:しばたろ
犬の呼吸の様子がおかしい時、呼吸が早い時の原因は、いくつかに分類されます。大まかな分類としては、病的、ストレスなどがあります。
呼吸の異常が病的な場合
- 咽喉部(のど)の異常
- 気管の異常
- 胸腔内(肋骨に囲まれた心臓・肺が収納された空間)の異常
- 肺の異常
- 血液の異常 など
- 口呼吸(パンティング)しながらウロウロする
- 全身を震わせる
- あくびやよだれが多くなる
- 尻尾を腹へ丸める(おびえながら呼吸する) など
元気なときの犬の呼吸数は?犬は基本口呼吸なの?
犬の呼吸が早い原因①:運動後は息切れの可能性大
運動後に呼吸が早い原因は、単に息切れの可能性が大きく、生理的現象と言えます。
呼吸を行っている臓器と言えば肺です。肺は空気から酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するのですが、運動後はより多くの酸素が必要となります。
運動することで、体温が上昇し、血液中の酸素濃度が低下する為、より多くの酸素が必要になります。
また、上昇した体温を下げる方法として、前途で紹介した口呼吸で体温を調整するパンティングを行います。
これらの行為により、肺にたくさんの酸素を送る必要がある為、呼吸が早くなるのです。
とはいえ、パンティングが長く続く、苦しそう(フガフガ・ゼーゼー・ヒューヒューなどの異音が混ざる)な場合は、明らかに異常と言えます。
犬の呼吸が早い原因②:夏の暑いときは体温調節をしている
前途にも記載しましたが、夏の暑いとき、犬はパンティングという体温調節を行います。
犬の汗腺(エクリン腺)は、肉球と鼻先にしかなく、汗が出るのは足の裏だけです。
パンティングは口呼吸で唾液を蒸発させ、蒸発する際の気化熱を利用して体温を下げています。気温が高い他、遊びや運動後などにもよく見られる行為です。
ただし、気温25度以上かつ、湿度60%以上になると熱中症の危険性が高まります。
外気温が高いことで、パンティングによる熱の対外放出が追いつかない為、体温が上昇しまうからです。
暑いと感じたら、涼しい場所に移動するなど、犬をケアしてあげましょう。
犬の呼吸が早い原因③:ストレスを抱えている可能性
犬の呼吸が早い原因の一つに、犬がストレスを抱えている可能性もあります。
以下の様な行動には注意が必要です。
- パンティングをしながらウロウロする
- 落ち着きがない
- 全身を震わせる
- あくびが多くなる
- 尻尾を腹へ丸める
- 大量のよだれを垂らす など
- 大きい音に驚く
- 初めて訪れる場所、慣れない場所にいる
- 動物病院に行く
- 長時間おさんぽに出ていない など
犬の呼吸が早い原因④:落ち着きがないなら誤食や誤飲かも
呼吸が早い原因とは、少し異なりますが、誤食や誤飲が原因で落ち着きが無い場合もあります。
誤食・誤飲の疑いがある場合は、以下の症状を確認しましょう。
- 元気がない・ぐったりしている
- 嘔吐・下痢・便秘・血便
- 食欲不振
- よだれが多く出る
- 咳が止まらない(気管や肺の異常)
- 震える
犬の呼吸が早い原因⑤:老犬になると自然と呼吸が浅くなる
呼吸が浅いとは、肩で息をする様な状態です。はあはあと一見、苦しそうにも感じますが、運動後や夏の暑い日など、自然に行われることもしばしです。
人間でも高齢になると、筋力が低下したり、疲れやすくなったりします。
犬も同様に、心肺機能をはじめとしたさまざまな体の機能が低下した老犬にとっては、呼吸が浅くなることは、ある意味では仕方ない事だと言えます。
この場合は、よほど異常のない限りは、注意深く観察する様にしましょう。
呼吸以外にも、下記の様な症状があげられます。
- 体の震えが止まらない
- 歩く速度が遅くなる
- 段差を避ける様になる
- 呼んでも反応しない
- 食欲が落ちる
- 後ろ足の筋力が衰えて、おしりが落ちてきた
- よく吠える もしくは 怒りっぽくなった
- 毛が薄くなる
- 眼の中心が白っぽくなる など
犬の呼吸が早い原因⑥:寝ているのに苦しそうなら病気かも
寝ているのに苦しそうな呼吸とは?
鼻炎、鼻の中の異物、鼻腔内腫瘍などが原因でいびきをかく場合があります。急にいびきをかく様になった、いびきが異常に大きい場合は要注意です。
異常な鼻息や鼻水を伴ういびき、または出血がある場合は、動物病院で獣医師の診断を受けた方がよいでしょう。
就寝中に限らず、苦しそうな場合も直ぐに動物病院で獣医師の診断を受けましょう。
可能性として以下の病気の可能性があります。
- 僧帽弁閉鎖不全症(血液が逆流する)
- 心室中隔欠損症(生まれつき心臓の壁に穴が開いている)
- フィラリア症(蚊の媒介で感染する)
- 短頭種気道症候群(外鼻孔狭窄・軟口蓋過長症・気管虚脱 など)
補足:犬の鼻息がフガフガと荒い、肩で息をする場合は?
犬の呼吸が早い原因⑥でも紹介しましたが、短頭種に見受けられることが多い呼吸です。
主な犬種としては以下の通りです。
- フレンチ・ブルドッグ
- パグ
- ボストン・テリア
- シー・ズー
- チワワ
- ペキニーズ
- ボクサー
- スパニエル など
犬の呼吸が早い、息が荒い時に考えられる病気
モデル:しばたろ
前途にも紹介しましたが、僧帽弁閉鎖不全症、心室中隔欠損症、フィラリア症、短頭種気道症候群などが考えられます。
僧帽弁閉鎖不全症により血液が逆流してしまうのは、心臓の弁が正常に働かなくなってしまうからです。
主にシー・ズー、キャバリア、マルチーズなどの小型犬に多く、先天的に発症しやすいといわれています。加齢とともに発症することも多いです。
心室中隔欠損症は犬には比較的多い先天性の心疾患です。小型犬に限らず、中型犬や大型犬でも見受けられます。
欠損孔が小さい場合は、治療をしなくても済む場合があります。
フィラリア症は蚊を介して犬に寄生する寄生虫が原因で発症します。
成虫になると30cmにもなる糸状の寄生虫で血液の流れを悪くして、結果的に呼吸を困難にします。
気管支炎など呼吸器の疾患:はあはあと舌を出す呼吸、震える
気管支炎とは、口から肺はでの空気の通り道である気管が炎症を起こすことです。
原因はウイルスや細菌が一般的です。主に子犬の場合の犬伝染性気管気管支炎と、成犬の場合は慢性気管支炎に分類されます。
犬伝染性気管気管支炎はいわゆる「ケンネルコフ」と呼ばれている伝染する可能性のある疾患です。
慢性気管支炎はウイルスの他、気道刺激物質(ホコリや煙など)の吸入で発症することもあります。2か月以上も咳が止まらない場合は、この疑いがあります。
はあはあと舌を出す呼吸、肩で息をする、苦しそう、などの症状が見受けられる場合も迷わずに動物病院で獣医師の診断を受けましょう。
ごくまれに老犬が震えながらはあはあと激しく呼吸する場合があります。
症状が数時間で治まれば問題ありませんが、不安であれば、スマホなどで撮影し、獣医師に相談するとよいでしょう。
肺水腫などの心臓の疾患:息切れや呼吸困難
肺に水がたまり、機能が低下する病気です。心臓病に起因する場合とそうでない場合がありますが、ここでは心臓病に起因する例をご紹介します。
肺は酸素と二酸化炭素を入れ換えている訳ですから、その肺で水がたまると呼吸困難を起こします。
おぼれた様な状態に近くなりますから、「苦しそう」ではなく、「苦しい」のです。躊躇しないで動物病院に連れて行きましょう。
一般的には入院しての治療となります。肺の水を抜きながら心臓の治療を並行して行います。
注射や内服薬などの投薬治療が中心で、循環血液量をコントロールし、心臓の負担を和らげていきます。最終的には肺から水が完全に抜ければ退院です。
気温が上がり、心臓の負担が大きくなることで発症しやすくなる為、暑い日は日中のおさんぽを避けて、また、室内にいる時はエアコンを活用しましょう。
老犬の最期の呼吸の様子はいつもと違う
老犬の最期は呼吸が不規則になります。
はあはあと浅い呼吸をしたかと思うと、深くゆっくりとした呼吸になります。
不規則な呼吸が繰り返される中で、顎をぐっと伸ばしてあえいだり、痰がからんだような音がしたり、犬が苦しそうな表情を見せる様になります。
しかし、これは寿命を迎えて安らかに眠る為の準備です。脳への酸素の供給が止まると、意識が遠のいて静かに息を引き取ります。
息を引き取る直前は、意識がもうろうとした状態です。
ぜひ、声を掛け続けてください。軽く撫でてあげてください。可能であれば、そっと抱き抱えてあげてください。目が見えていなくても、音やにおい、暖かさで飼い主さんたちの存在を感じています。きっと犬には届いているはずです。
補足:手術後の呼吸の様子がおかしいときは?
犬の手術後は全身麻酔の副作用によるリスクがあります。
人間の治療の場合は麻酔をしないケースでも、犬の治療の場合は全身麻酔を行うこともあります。
例えば歯石を取ったり、放射線治療やCT、MRI検査を行ったりする際などです。
その副作用として、心不全、肝機能の低下、内蔵機能の低下、血圧の低下、そして呼吸困難などが当てはまります。
呼吸器などに持病がある犬、短頭種、小型犬、10歳以上の老犬などは、特に気を付ける必要があります。
また、術後の経過については、直後だけでなく長いスパンで観察する必要があります。
過去1年以内に手術歴のある犬は、特に注意深く観察し、少しでも異常を感じたら、獣医師に相談する様にしましょう。ちょっと大袈裟でも構いません。
犬がはあはあと苦しそうな呼吸をしているときの対処法や治し方
モデル:しばたろ
前途にお伝えしましたが、「呼吸」は生物が生命を維持する為の大切な活動です。
例え元気であっても様子がおかしいと感じたら、直ぐに動物病院で診断を受けましょう。
何事も無かった場合、オオカミ少年になってしまいますが、あくまでも結果論です。
呼吸器の異常は命に直接関わります。決して自分で判断しないで、獣医師の判断を仰いでください。
何度も言いますが、ちょっと大袈裟なぐらいが、丁度いい考え方です。手遅れになる前に、行動を起こしましょう。
犬が楽な姿勢をとれるようにしてあげる
動物病院へ向かう際など、犬の姿勢にも気を配る様に心掛けてください。
誤食・誤飲が疑われる場合、下手に動かすと取り出す事が困難になる場合があります。
外傷による呼吸困難なども同様に、下手に動かさない方がよいでしょう。
例えば、肋骨などが折れている場合は、かえって命の危険にさらされる可能性がありますので、注意しましょう。
熱中症の場合はなるべく涼しく、湿度を低く保った状態で運ぶ様にしましょう。
その際、犬の体を水で濡らす場合もありますが、氷水を使用しないでください。体表面の血管が収縮して、かえって体内に熱がこもります。
どの様な場合においても不安な時は、予め動物病院へ連絡しましょう。安全な運びかたなど、獣医師からアドバイスを貰ってください。
熱中症の場合は水分補給を
熱中症の場合は水分補給が大切です。
応急処置として、涼しい場所(エアコンが効いた屋内など)や風通しのよい日陰に移動させて、水を飲ませます。飲めない場合は、口の周りを水で濡らすとよいでしょう。
氷や、保冷剤を布でくるみ、首・脇・足の付け根など、主に動脈部分に当てて、回復を待ちましょう。
そもそも、熱中症は予防が大切で、普段から風通しをよくする、エアコンを聞かせるなど、犬の体調に常に気を配りましょう。
同時に炎天下でのおさんぽも厳禁です。暑い季節、アスファルトは60度以上とも言われています。
人間より、犬の方が地面に顔が近くなります。
その為、暑い日差しによる照り返しの熱をモロに受ける他、肉球も火傷してしまいます。特にマンホールは要注意です。
暑い日のおさんぽは、日中を避けて、朝晩の涼しい時間帯を選びましょう。
犬の寝ているときのいびきの様子も要注意
寝ている時の、犬のいびきにも気を付けましょう。
いびきは、睡眠中に狭くなった気道を無理矢理、空気が通ることで、鼻や喉が振動して発生する音です。
短頭種など、犬種や肥満などが原因の場合もありますが、鼻の異常など、病気の可能性が高いとこともあります。
外鼻孔狭窄・軟口蓋過長症・気管虚脱(短頭種気道症候群)など、鼻孔や気道が狭いことで、空気の通りが悪かったり、気道に異常が生じて症状が現れたります。
また、犬も睡眠時無呼吸症候群は発症します。例え元気であっても、呼吸困難につながることもある為、決して大袈裟だと思わず、直ぐに動物病院で獣医師に見てもらってください。
いびきに限りませんが、飼い主さんの行動が早ければ早いほど、助かる可能性も高くなります。
まとめ:犬の呼吸が早い、息が荒い原因や対処法
呼吸が早い、息が荒い原因と対処法について。(息が浅い)
パンティングの場合もあるが、明らかに異常(長時間など)な場合は直ぐに動物病院へ行きましょう。
主な原因として、病気(のど、気管、胸腔内、肺、血液などの異常)、ケガ、ストレスや熱中症の可能性があります。
呼吸は生物の生命を維持する為に重要な活動です。異常を感じたら、様子を見ないで獣医師に見せる様にしましょう。
病院では主に、いくつかの検査を行い、その結果を受けて必要な医療が施されます。
ストレスの場合は、犬が不安に思う要素を取り除いてあげます。
また、熱中症の場合は、涼しい場所や風通しのよい日陰で必要な処置を施します。
何度も言います。呼吸の異常は命を脅かします。手遅れになる前に、早めに行動することを心掛けてください。