愛犬が足を引きずっていたり歩き方に変化が見られたりしたら、脱臼をしているかもしれません。犬の脱臼は様々な要因で起こることがあります。今回は犬の脱臼の場所による症状の違いや原因、予防方法や治療についても詳しく解説していきます。
犬の脱臼の症状や見分け方は?よく聞くパテラって何?
犬も脱臼することを知っていますか。脱臼と聞くと人間に起こる症状というイメージが強いかもしれませんが、実は犬も人間と同じように脱臼を起こすことがあります。
また、こうした症状に詳しい人なら、パテラという言葉も聞いたことがあるでしょう。犬の脱臼はそのままにしておくことで、とても危険な状態になることもあります。
そのため、できるだけ早急に飼い主が症状に気が付いてあげることが大切です。
- 犬の脱臼の症状やなりやすい場所は?痛がらないこともある
- 犬の脱臼の原因や予防方法とは?
- 犬の脱臼の治し方や必要な処置とは?自分で治すことは可能?
について詳しく解説します。
犬の脱臼について詳しくなりたい人は最後までご覧ください!
犬の脱臼の症状やなりやすい場所は?痛がらないこともある
犬の脱臼はどの部位で起こりやすいのでしょうか。犬は4つの足で体を支えていることや、激しい動きをすることが多いため、脱臼しやすい場所があります。
また、また、脱臼の状態によっては痛がらない場合もあります。そのため、飼い主がこうした症状を理解して、早めに気が付いてあげるようにしましょう。
この項目では
- 顎関節の脱臼の症状:顎がしゃくれた状態?
- 肩関節の脱臼の症状:前足の様子に注意!カクンとなる?
- 肘関節の脱臼の症状:歩き方が変になっていたら注意
- 膝蓋骨脱臼(パテラ)の症状:膝の皿がズレる?
- 股関節の脱臼の症状:成犬よりも子犬の方が重症化する
- 歩き方が変になっていたら捻挫の可能性も!
- 脱臼しやすい犬種とは?
について解説します。
顎関節の脱臼の症状:顎がしゃくれた状態?
実は犬は顎関節の脱臼もよく起こる症状です。顎関節の脱臼とは、
顎がしゃくれた状態になるイメージです。
まさに顎が外れた状態になり、人間でも犬でも見た目に変化が起こることが多いです。顎がしゃくれたようになり、脱臼の状態によっては痛がることもあります。
とくに、餌を食べるなど、口を使っているときには脱臼した箇所の神経部分が擦れるため、痛みが起こるようです。
顎がしゃくれた状態になれば、飼い主がおかしいと気が付くかもしれませんが、顎関節の脱臼状況によっては気が付かなないこともあり、さらには酷い痛みが出ないこともあるため、気が付かないままになっているとも珍しくありません。
普段よりも餌を食べにくそうにする仕草をすることもありますので、注意深く観察する必要があります。
肩関節の脱臼の症状:前足の様子に注意!カクンとなる?
肩関節の脱臼は、犬によく起こる症状の一つです。肩関節の脱臼の場合、症状として歩き方が明らかに不自然になります。
歩くたびにカクンとなったり、前足を完全に上げるような行動を取るため、明らかに異常があることに気が付くでしょう。
また、歩いていなくても立っているときにガクガクと震えたような症状が起こることもあります。
そもそも、肩関節の脱臼が起こった場合は、犬は走ろうとはしません。
本能的に走ろうとする仕草はしますが、スキップのような形になったり引きずるような仕草になるため、飼い主でなくても異常に気が付きます。
肩関節の脱臼の症状が酷くなると、そもそも立ち上がることもしなくなりますので、できるだけ早めに専門のクリニックで検査を行うべきです。
肘関節の脱臼の症状:歩き方が変になっていたら注意
肘関節の脱臼にも注意が必要です。肘関節の脱臼は変な歩き方になるため、すぐに気が付きます。
そもそも、肘が脱臼を起こすと、まともな歩き方ができません。人間で言えば膝が脱臼している状態なので、歩くたびに強い痛みが起こります。
犬の肘は体重の多くがかかる部分です。そのため、この部位が脱臼を起こすと、歩くことを嫌がるほどになります。
ただ、この肘関節の脱臼は室内で飼われる小型犬に多く見られる症状です。
小型犬は家の中で激しく動き回らないこともあるため、飼い主は長時間、脱臼を起こしていることに気が付かないこともあります。
餌の時間など、観察できるタイミングがあれば健康状態に異常が見られないかを飼い主がしっかりとチェックする必要があります。
膝蓋骨脱臼(パテラ)の症状:膝の皿がズレる?
膝蓋骨脱臼も犬に起こりやすい脱臼の症状です。膝蓋骨脱臼がいわゆるパテラと呼ばれる症状で、膝の関節が横方向にずれてしまい、結果的に外れてしまいます。
実はこの膝蓋骨脱臼も小型犬に起こりやすい症状のため、おとなしい犬種の場合は長期間、膝蓋骨脱臼に気が付かないこともあります。
ただ、歩いているときに足を引きずるといった症状や、後ろ足に明らかに力が入っていない歩き方になっている場合は、この膝蓋骨脱臼の可能性があります。
また、症状によってはお尻歩きをすることもあります。
いずれにしても、膝蓋骨脱臼(パテラ)になった場合は、飼い主でなくてもいつもと健康状態が違うことがすぐにわかりますので、早めに専門のクリニックに連れていきましょう。
股関節の脱臼の症状:成犬よりも子犬の方が重症化する
犬の股の関節とは、太ももの骨の骨頭と寛骨臼と呼ばれる骨との間の関節です。
この股関節の脱臼は激しい運動で起こるだけではなく、成長過程のトラブルで起こることもあります。症状としては常に歩きづらそうな姿勢になります。
股部分は体を支えている部位というだけではなく、歩くときに強い力がかかる部分でもあるため、足を引きずったり歩くたびにカクつくような症状が起こります。
この股関節の脱臼に関しても、目視ではっきりと症状が確認できます。また、この部位の脱臼は成犬よりも子犬の方が重症化することがわかっています。
筋肉量が少ない小型犬が無理をして歩いてしまうことで重症化してしまうようです。回復においても子犬の方が遅くなる傾向にあります。
歩き方が変になっていたら捻挫の可能性も!
脱臼と間違われやすいのは捻挫です。犬も激しい運動を行った場合や、高いところから飛び降りた際には、人間と同じように捻挫を起こす可能性があります。
捻挫と脱臼との見極め方は簡単ではありません。捻挫も歩き方が明らかに変になるため、捻挫を脱臼と勘違いしてしまうことはあります。
脱臼だと判断をすれば、専門のクリニックで診察をしてもらうという判断になるかもしれませんが、捻挫の場合は安静にしておけば回復すると考えるでしょう。
そのため、脱臼にも関わらず捻挫と判断をしてしまうのは危険です。
そのため、捻挫かもしれないと思っても、脱臼の可能性も視野に入れて専門のクリニックで診察を行ってもらうことをおすすめします。
いずれの場合も正しく治療を行えば早期に回復します。
脱臼しやすい犬種とは?
実は脱臼は全ての犬種で起こります。ただし、脱臼を起こしやすい犬種はいます。
例えば、チワワやヨークシャーテリア、トイプードルなどが脱臼を起こしやすい犬種と言われています。
こうした犬種を見ればわかりますが、脱臼を起こしやすい犬種のほとんどが小型犬です。
犬は脱臼を起こしやすい生き物と言われていますが、中でも小型犬に関しては脱臼によるトラブルはかなり多いです。
小型犬はそれだけ、体重に対して足の筋肉が少なく、激しい運動を支える力が少ないのです。
また、小型犬は室内で飼われていることが多く、走り回るスペースが少ないことから運動不足になり、足の筋肉も付きにくい傾向もあります。
こうした理由から、小型犬の多くが脱臼の症状のリスクを抱えています。
犬の脱臼の原因や予防方法とは?
犬の脱臼は仕方がないことでしょうか。
犬の脱臼を防ぐことは難しいと考えている飼い主は多いかもしれませんが、その脱臼の原因を理解することで
ある程度は予防することは可能です。
完全に予防するとなると、犬の行動を制限してしまうため、犬にとって大きなストレスになります。無理な行動制限を行うことなく、脱臼の予防を行いましょう。
この項目では
- 犬の脱臼の原因①:先天性の形成異常
- 犬の脱臼の原因②:過度な運動などによる衝撃から
- 犬の脱臼の原因③:肥満や運動不足
- 犬の脱臼の予防には生活習慣や環境の見直しが大切
- 犬の脱臼の予防にマッサージやサポーターは効果的?
について詳しく解説します。
原因を知ることで、正しく犬の脱臼の予防をしてください。
犬の脱臼の原因①:先天性の形成異常
犬の脱臼は先天性から起こる場合もあります。
先天性の形成異常により起こる場合、もともと生まれたときから筋肉のバランスが悪かったり、関節の溝自体が浅いことがあります。
また、そもそも関節が変形して生まれる場合もあるため、こうした症状の場合は先天性であり、さらには高い確率で脱臼の症状が現れることになります。
先天性が原因により脱臼が起こった場合、その犬の親も同じように脱臼の経験がある可能性が高いです。
つまり、生まれつきこうした症状を持っている場合は、遺伝によることが多いため、その犬の子供も同じように脱臼を起こしやすいと言えるでしょう。
もし、飼っている犬の親が先天性による脱臼の症状が現れていた場合は、注意深く観察する必要があります。
犬の脱臼の原因②:過度な運動などによる衝撃から
犬の脱臼が起こる原因として、過度な運動による衝撃も無視できません。
犬は激しい運動に耐え得る筋力を持ってはいますが、過度な運動により筋肉疲労を起こし、結果的に脱臼が起こる場合があります。
また、屋内で犬を飼っている場合も注意が必要です。飼っている部屋がフローリングだった場合、激しく動くことで滑ってしまい脱臼が起こる可能性もあります。
また、小型犬の場合はソファーから飛び降りた場合や、階段でのジャンプなど、屋内であっても危険箇所はたくさんあります。
とくに過度な運動による脱臼は、どういった犬種でも起こり得る可能性が高いため、日頃から飼い主が散歩時など、しっかりと愛犬の運動量をチェックすることも重要なことです。
犬の脱臼の原因③:肥満や運動不足
犬の脱臼は
肥満や運動不足からも起こります。
日頃から散歩をあまりしていない、また室内でゲージの中で過ごしている場合は、慢性的な運動不足に陥りやすいと言えるでしょう。
とくに餌を食べる量が変わらなければ、そのカロリーを発散することなく体に溜まっていくため肥満の心配もあります。
肥満になれば、その体重を支えている足への負担は大きくなり、激しい運動をしていなくても脱臼を起こす可能性が高まります。
こうした原因の多くは飼い主にあると言えるでしょう。肥満や運動不足による脱臼は、日頃から注意することで間違いなく避けることができます。
犬も人間と同じように考え、肥満防止のための食事管理や、継続的な運動管理を飼い主が行ってあげましょう。
犬の脱臼の予防には生活習慣や環境の見直しが大切
犬の脱臼を予防するには、
生活習慣の見直しが大切です。運動不足でも、すぐに脱臼が起こるわけではありません。
そうしたことが生活習慣となり、慢性的な運動不足に陥ることで、脱臼を起こしてしまうリスクが高まります。
また、運動不足だけでなく、日頃の餌についての見直しも必要でしょう。高カロリーな餌が続くと、どうしても肥満のリスクが高まります。
肥満から起こる脱臼の可能性も視野に入れて、餌の改善を行いましょう。こうしたことが当たり前のように行われている犬なら、環境ごと変えてしまうという方法もあります。
一気に環境を改善して、健康的な愛犬を育てるようにしてください。生活習慣の見直しは愛犬の長生きにも繋がりますので、早めに改善しましょう。
犬の脱臼の予防にマッサージやサポーターは効果的?
犬の脱臼を防ぐために、
マッサージやサポーターは効果的でしょうか。いくら適度な運動をしても、餌を改善して肥満を予防しても、先天性の場合は脱臼を起こす可能性が高いと言えます。
また、小型犬の場合はそもそも体に付けることができる筋力に限界があるため、脱臼を起こすリスクは中型犬以上に比べてどうしても高いと言えるでしょう。
結論を言えば、マッサージを行ったり犬用のサポーターを付けることは脱臼防止の効果があります。
マッサージに関しては、日頃から足や腕の関節を軽く揉んであげたり、伸び縮みなどのマッサージが効果的です。
また、犬用のサポーターは足にかかる負担を軽減してくれますので、上手に活用することで、脱臼を防ぐことができるでしょう。
犬の脱臼の治し方や必要な処置とは?自分で治すことは可能?
犬の脱臼はどうやって治すのでしょうか。
基本的には専門のクリニックにより治療を行うことになりますが、どういった治療が行われるのか気になっている飼い主も多いかもしれません。
また、脱臼であれば自分で治すことも可能なのではないかと考える飼い主もいるでしょう。
この項目では
- 脱臼したら足を伸ばして自分で治す犬もいる
- 軽い症状の場合は投薬などの治療で経過を見る
- 重症化した場合は外科手術をすることも
- 犬の脱臼の外科手術をした場合の費用は?
について解説します。
脱臼したら足を伸ばして自分で治す犬もいる
脱臼したら足を伸ばして自分で治そうとする犬もいます。脱臼をした犬の多くは、その足で正常に歩くことはできなくなります。
そのため、本能的に脱臼した足を治そうとします。何度も曲げ伸ばしをしているうちに、正常な位置に関節が戻ることもありますが、大抵の場合は正常に戻ることはありません。
また、痛みを感じる部分を舐める犬もいますので、こうした仕草をしている場合は何らかの症状を訴えていると思ってください。
いずれにしても、飼い主が愛犬に対しておかしいと感じたときには、早めに専門のクリニックに相談をすることが重要となります。
症状が悪化する前に医師に診察をしてもらえば、重大なトラブルを避けることができるかもしれません。
軽い症状の場合は投薬などの治療で経過を見る
犬の脱臼が軽い症状の場合は、投薬などで経過を見ることがあります。無理に治療を行うと悪化することも考えられるため、しばらく薬を投与して様子を見ます。
投薬は直接的に脱臼を治すものではありません。投薬のほとんどは炎症を抑えるものか、痛み止めです。
脱臼の状態によっては、普段の生活で自然に治ることもあるため、こうした治療が行われることもあります。
ただし、投薬を行っても改善しない場合は本格的な治療を行うことになります。
こうした判断は飼い主側ではできないため、しっかりと専門のクリニックにて適切な判断を行いましょう。
間違えても、人間が使うような痛み止めを投与して、脱臼の改善を行うようなことはしないでください。
重症化した場合は外科手術をすることも
もし、鎮痛剤などを投与しても脱臼の改善が見られない場合、または脱臼自体が悪化していると医師が判断をした場合は、
外科手術を行うこともあります。
まずは、脱臼の症状がどこまで進んでいるのかレントゲン検査により確認をします。
この事前の検査により、慢性的に脱臼を起こしやすい骨格か、それともたまたま何らかの動作により脱臼を起こしたのかがある程度わかります。
外科手術が必要だと医師が判断をした場合、ズレた関節の矯正を行うことがメインになります。
たまたまズレたような脱臼の場合は、元に戻すことがメインになりますが、これからも慢性的に脱臼の症状が現れるとなると、本格的な外科手術になるため注意してください。
いずれにしても早めの判断を行えば、症状の悪化は避けることができます。
犬の脱臼の外科手術をした場合の費用は?
犬の脱臼により外科手術を行った場合は、どのくらいの費用を想定しておくべきでしょうか。外科手術と聞くと、どうしても高額の治療費を想像するでしょう。
あくまでも一般的な脱臼による外科手術の費用ですが、おおよそ20万円ほどを想定しておきましょう。
脱臼箇所の矯正は、筋肉や靭帯を適切な状態にする内容も含まれるため、これだけ多くの費用が必要になります。
早めの外科手術が必要な場合、これだけの費用負担は難しいと感じるかもしれません。実は脱臼による外科手術はペット保険でカバーできます。
適切なペット保険に加入しておくことで、外科手術の一部を補填してくれますので、もしものときに備えて加入しておくことをおすすめします。
まとめ:犬の脱臼の症状や原因、予防方法
犬の脱臼は、飼い主は気が付いてないうちに起こってしまう可能性があります。
自然に治っているケースもありますが、一度起こると繰り返し脱臼を起こすこともありますので注意が必要です。
この記事では、
- 犬の脱臼は足の引きずりや歩くたびにカクンとなることがある
- 犬の歩き方がおかしいと感じたときには注意が必要
- 犬の脱臼は先天性のものや運動不足などの生活習慣から起こることもある
- 普段からマッサージなどを行うことで予防も可能
- 症状によっては外科手術を行うこともある
以上の内容を詳しく解説してきました。
早めに専門のクリニックに検査をしてもらうことで、症状が悪化することを防げます。おかしいと感じた場合は、早めに対処するようにして頂けたら幸いです。
また
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