毛量の多いペットを飼っている方は、フィラリアには特に注意が必要です。フィラリアとは寄生虫によって発症する病気。そのため、ノミやダニが入りやすい毛質の犬・猫は、フィラリア症を患う危険性が高いです。この記事では、フィラリアとペット保険について、解説していきます。
この記事の目次
目次を閉じる死に直面することもあるフィラリアとは?症状や予防法と、補償されるペット保険について解説
ペットを飼っている人なら、ほとんどの人が目にする「フィラリア」という言葉。動物病院はもちろん、テレビCMなどでも見かけることがありますよね。
今回「MOFFME」では、
- フィラリア症はどんな病気なのか?
- フィラリアに感染するとどんな症状が現れる?初期症状など
- フィラリアの正体は寄生虫!同じく蚊に寄生しているマラアリアとの違いは?
- フィラリアに感染したらどうすれば良い?動物病院での治療法
- フィラリア症には予防が有効!まずはかからないようにしっかり予防する
- ペットと暮らし始める時はフィラリア検査を忘れずに!
- フィラリア症の治療費はペット保険で補償できる?
について解説していきます。
フィラリアは、感染すると死に至ることもある恐ろしい寄生虫です。フィラリア症の様々な症状から、ペット保険との関係性まで分かりやすくご紹介していきます。
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フィラリア(firaria)とはどんな病気?
フィラリア(firaria)という寄生虫に感染することにより発症する病気である「フィラリア症」。犬糸状虫症とも呼ばれ、基本的には犬がかかりやすい病気として知られています。
場合によっては猫でも感染することがありますが、発症や重症化率は犬の方が高いのが現状です。フィラリアが寄生するのは、犬の肺動脈や心臓内部の右心室。
一匹ではなく、何匹も同時に侵入することもあります。そのフィラリアが体内で成長するため、徐々に血液の流れに支障をきたすのです。
また、フィラリアが成虫になるころには、体のあらゆる臓器に障害が出るようになります。その症状は患部の心臓から肺や肝臓まで幅広く、時間と共に重症化していきます。
手術をしてフィラリアを取り出すことも可能ですが、重症化すると手遅れで死亡してしまう確率も高い病気です。
フィラリアになったら、どんな症状になる?初期症状から解説!
フィラリアに感染した場合、一番特徴的な症状になるのは咳です。初期に出てくる咳は乾いた感じで、喉につかえたものを気にしているような様子が見てとれます。
他にも初期症状として認められるのは、運動を嫌がる仕草や苦しそうな呼吸です。
とはいえ、フィラリアに感染してすぐに症状が出てくるわけではありません。フィラリアは体に入った時点ではミクロフィラリアと呼ばれる幼虫で、非常に小さいため症状もあらわれにくいのです。
本格的な症状が出てくるころには、すでにフィラリアが成長し体の臓器を蝕んでいる状態に。初期症状で気付きにくいのも、フィラリア症の怖いところです。
主な症状は、「慢性フィラリア症」と「急性フィラリア症」に分けられます。ただし、急性フィラリア症を発症する場合の多くは慢性を経て急性に移行するパターンです。
慢性フィラリア症においては、初期の咳がひどくなり、運動もままならなくなります。その後、急激に痩せてしまう肝硬変や、お腹に体液がたまる腹水症などを併発します。
最終的には肺や胸までもが体液に圧迫されてしまい、全身の機能不全で死亡してしまうケースもあります。
もう一つの症状である急性フィラリア症は、異常な色の尿により発見されます。色は黒に近いような茶色で、明らかに普段の尿とは違います。
症状は突然現れ、急激な食欲減退や呼吸困難を引き起こします。このような症状は、フィラリアが血液内を動き回り血管が圧迫されることにより起こります。
フィラリアの原因は蚊にいる寄生虫!マラリアとの違いは?
フィラリアは、長いものでは30㎝程の体を持つ寄生虫です。フィラリアの宿主は主に犬ですが、蚊と犬の体を行き来して成長していくのがフィラリアの特徴です。
蚊が媒介することで有名なフィラリアですが、実は最初から蚊の体内に存在しているわけではありません。元となるのは、フィラリア症を発症している犬の体中にいるミクロフィラリアです。
そのため、感染経路は以下のような順番になります。
- 犬の体内でミクロフィラリアが生まれる
- ミクロフィラリアが血液に流れる
- 蚊がフィラリア症の犬を吸血する
- 蚊の中で幼虫に成長
- フィラリアを宿している蚊が犬を吸血
- 犬の体内に幼虫が侵入
- 犬の中で成虫に成長
このように、犬の体内で生まれたミクロフィラリアは一度蚊の体内にうつって成長します。 生態上、生まれた犬の体内では幼虫に成長できないためこのような手段を取っているのです。
では、同じように蚊が媒介する病気として知られている「マラリア」とはどんな違いがあるのでしょうか。フィラリアもマラリアも人と動物のどちらにも寄生する寄生虫。
ただしフィラリアは犬、マラリアは人間に寄生する確率の高い寄生虫です。また、フィラリアは心臓部に寄生しますがマラリアは肝臓に寄生するという違いがあります。
フィラリアになってしまった場合の、治療方法について解説!
ペットのフィラリア感染が疑わしい場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。もしフィラリア症になっている場合は早期の検査と治療が必要になります。
また、フィラリアになったら動物病院ではどんな治療をしていくことになるのでしょうか。
ここからは、
- フィラリア用の駆虫薬を使い寄生虫を除去していく内科的療法
- 手術でフィラリアを体から取り除く外科的療法
についてご紹介していきます。
フィラリアは、徐々に成長して体の中を蝕んでいきます。
そのため、治療で治るかどうかは早めの対処をにかかってきます。対処が遅れ大がかりな手術になると、ペットの負担も大きくなります。所見で分かりにくい病気ですので、普段からペットの変化を見逃さないようにしましょう。
フィラリア症の駆虫薬による内科的治療法
動物病院では、まず体内にフィラリアがどれくらいいるのかを確認します。
フィラリアの有無を確認するには、血液検査の他レントゲン写真や超音波エコーの検査などを用います。その上で、どんな治療法が有効なのかを見極めていきます。
体の中で成虫が発見された場合、フィラリアに直接作用する駆虫薬を使う治療ができます。ただし、駆虫薬で成虫を駆除する際には注意しなければいけないことがあります。
それは、寄生しているフィラリアの数が少なめであること。
フィラリアの寄生場所の特性上、うかつに大量のフィラリアを駆虫すると血管や肺に死骸が詰まってしまうことがあるからです。
そのためこの治療は、呼吸器に異常をきたしたり肺動脈が詰まってしまう可能性を考慮して慎重に行っていかなければなりません。薬の投与後は、ペットの様子に変化がないか長期間の健康観察が必要になります。
また、駆虫薬の他にも薬を使用する例があります。
フィラリア自身が持っている「ボルバキア」という細菌をなくすための抗生物質の投与です。ボルバキアは、フィラリア症の症状の一端になっているとも言われているのでこういった治療も行うことがあります。
手術による外科的治療法
急性のフィラリア症になっている場合や、薬での治療が適切でないと判断された場合は手術をすることになります。フィラリア症の外科手術は特殊な方法で行われているため、対応できる病院が限られていることを覚えておきましょう。
また非常に身体的負担が大きいため、出来れば手術にならないように早めに対処してくのが最善です。フィラリアの手術で行われるのは、吊り上げ式という方法。
心臓に寄生したフィラリアを、専用の器具で引っ張り出すという手術です。心臓にいきつくまでには、繊細な血管内に器具を通す必要がありとても困難を極めます。
また、体への負担により術後のペットの体調が思わしくないこともあります。
現在では、どの病院でもフィラリアの予防を積極的に勧めているため、この手術が行われることも少なくなっています。
フィラリアにならないためには、予防が大切!
命の危険もあり、恐ろしい病気であるフィラリア症。出来ることならば、大切なペットが感染することは避けたいですよね。
実はフィラリアは予防薬で完全に防ぐことのできる病気のため、毎年の予防が何よりも大事になってくるのです。
フィラリアの予防薬の種類は大きく分けて以下の4つです。
注射タイプ | 錠剤タイプ | スポット(滴下)タイプ | チュアブルタイプ | |
---|---|---|---|---|
メリット | 飲み忘れの心配がない | 価格が安い | 犬の負担がない 簡単 | 犬が喜んで食べてくれる |
デメリット | 事前検査も合わせ2回の注射が必要 | 薬が苦手な場合は飲みづらい | さし忘れの可能性がある | 価格が高い 飲み忘れの可能性 |
持続期間 | 1年間 | 1ヶ月 | 1ヶ月 | 1ヶ月 |
予防薬は、体に入ったミクロフィラリアを退治するという効果により感染を防ぎます。
そのため、注射以外の1か月持続タイプは蚊が出現し始める春ごろから、蚊に刺される可能性がなくなった1か月後まで飲むというサイクルになります。
途中で投与をやめてしまったり、予防開始が遅れるとフィラリアに感染するリスクが出てきてしまいますので、期間中は毎年しっかり飲み切ることが重要です。
また、薬自体にはいくつかの選択肢がありますが動物病院によってはこの中の一部のみを取り扱っている場合もあります。特に人気なのは、おやつ感覚で予防ができるチュアブルタイプです。
フィラリアの予防は毎年していく必要があるので、一番負担のない方法を決めましょう。
なお、予防を始めるにあたって毎年必ず行うのが、フィラリアに感染していないかどうかを確かめるための血液検査です。もし、予防し始めた時点でペットがフィラリア症に感染していた場合、逆効果でショック状態に陥ってしまいますので注意しましょう。
この血液採取の時、同時に健康診断をしてくれる病院も多いので併せて行うと良いでしょう。
新しくペットを迎える際は、必ずフィラリアの検査を!
フィラリアがいるのは、蚊の体内です。そのため、いつどこで感染してもおかしくない病気なのです。
こちらでは、
- フィラリア症はどのような検査でわかる?血液検査や抗原検査について
- 保護犬を家族に迎える時には必ずフィラリアの検査をすること
について解説していきます。
これまでの生活環境や、予防の有無などが分からない場合は必ず検査をしてあげましょう。
そうすることで、早期発見やこれからの予防の目安になります。新しく家族に加わるペットに検査を行うことは、飼い主としての責任です。
検査方法も、難しいことではなく健康診断の一環で行うことができますので、必ず最初に獣医師に相談に行きましょう。
血液検査や抗原検査などの、フィラリアの検査方法
フィラリアは血液中に存在しているため、感染しているかを探るには必ずペットの血液を採取する必要があります。血液採取後の検査方法は、2つあります。
まずは、採取した血液を直接顕微鏡で見る直接法という検査。血液中にミクロフィラリアがいる場合、この検査で確認することができます。
もう一つの検査法として、抗原検査というものがあります。この検査は、検査キットに血液をたらすことでフィラリアの存在を見つけてくれます。
先ほどの血液検査の場合、ミクロフィラリアが生まれていないタイミングでは感染を見逃してしまうことがあるのです。その点、抗原検査では成虫のみの感染でも見つけることができます。
現在では検査キットの精度も上がっているためこちらが優先して使用されるとこも多くなっています。
保護犬を迎える際は、特に注意!検査キットや病院で必ず検査を受けよう
保護犬を譲り受けて新しい家族に迎え入れることが一般的になりつつあるいま、皆さんも保護犬に出会う機会があるかもしれません。保護犬とフィラリアには、どんな関係があるのでしょうか?
悲しいことに、保護犬は今まで良くない環境で育ってきたり、きちんとした世話や医療を受けられずに生きている子たちが大半です。そのため、外飼いで蚊に刺されそのままになっていることも多々あるのです。
保護犬を扱う団体側で、引き渡しの時にきちんとフィラリアの検査をしてくれているケースもあります。しかし、検査は100%ではありませんし感染時期などによっては検収できないこともあるので必ず自分でも行いましょう。
保護犬を引き取った場合、まずはかかりつけの病院を決めることも大事です。そこで、最初の健康診断もかねてしっかり検査してもらいましょう。
フィラリアを補償してくれるペット保険はある?
ペットの治療費は、ペット保険に加入していると一部補償してもらうことができますよね。
もしフィラリア症を発症した場合、治療や手術に費用がかかります。
フィラリアの治療には大がかりな手術を必要とすることも多く、完治までの治療費用は高額になることもあります。では、ペット保険はフィラリア症の治療中でも入れるのでしょうか。
ここからは、
- フィラリア症を発症している場合はペット保険に新規加入することはできない
- フィラリアの予防薬はペット保険の補償対象外
についてご紹介していきます。
基本的には予防が大前提のフィラリア症ですが、感染をしてしまった時には早めに対処しなければいけません。いざという時のために、ペット保険とフィラリア症の関係についても知っておきましょう。
フィラリアを既に発症している場合は、基本的には保険に加入できない
ペットがフィラリアにかかった場合、ある程度の治療費用がかかることを覚悟しなくてはいけません。治療費を賄えるペット保険がありますが、フィラリアの場合はペット保険は使えるのでしょうか。
基本的にすでに病気にかかっている場合はペット保険への加入はできません。これについては、フィラリア症の場合も同様です。
また、病気になってからでも入れる保険はありますが、数は多くありません。
予防薬の費用は、多くのペット保険会社で補償対象外
毎年かかってくるフィラリアの予防費用についてはどうでしょうか。こちらも、ほぼすべてのペット保険で補償対象外です。
基本的に、ペット保険では予防費用への補償は行われていません。フィラリアの薬代の他、定期的に行うワクチンやマイクロチップの埋め込み費用、ノミ・ダニの予防費用なども対象外ですので覚えておきましょう。
しかし、しっかり予防していたうえでフィラリアにかかってしまった場合はペット保険で治療費が賄えることもあります。まずはしっかり予防することが大事ですので、毎月の投薬を忘れないようにしましょう。
まとめ:フィラリアは予防済みで発症した場合は、ペット保険で補償される!フィラリアの予防は必ず行おう!
とても危険な寄生虫であるフィラリアですが、蚊が媒介する為完全に避けて生活することは難しいですよね。
この記事では、
- フィラリア(firaria)ってどんな感染症?
- フィラリア症の初期症状は?どんな症状が現れてくる?
- フィラリアは蚊に寄生している!マラリアとフィラリアの違いはどんなところ?
- フィラリアになったらどんな治療法で治していく?動物病院での治療
- フィラリア症は予防が絶対!予防することで発症を防ぐことができる
- 保護犬などを家族に迎え入れる場合はフィラリア検査を忘れずに
- ペット保険ではフィラリア症についての費用を補償できる?
について解説してきました。
現在、動物業界ではフィラリアの予防に関してとても積極的で薬の種類も豊富になっています。その種類は、飼い主さんが手軽に行えるものから犬たちが喜んで食べてくれるようなものまで様々あります。
ご家庭で、無理なく続けられるピッタリの予防法を見つけましょう。そして予防で必ず防げる病気でもあることから、毎年絶対に忘れず予防を開始しましょう。