春から夏にかけてマダニの活動は活発化していきます。日頃の散歩などで外に出る際、マダニが愛犬に寄生することは十分考えられます。飼い主さんの中には潰してしまったという方もいるかもしれません。今回のMOFFME記事では、マダニの対処法など紹介していきます。
この記事の目次
目次を閉じる愛犬についたマダニを潰してしまった?寄生しやすい部位や対策
草むらに住み着き、やってきた動物に寄生して血を吸うマダニ。
外をお散歩する犬がその被害を受けることは多く、もしかしたら「うちの愛犬にもついていたことがある」という飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、愛犬の体に付いたマダニを取る時には、十分な注意が必要です。力付くでつまんで取ろうとすると、潰してしまった、一部だけ残ってしまったなど、思わぬトラブルが起きてしまうかもしれません。
今回「MOFFME」では、マダニによるトラブルや、愛犬についたマダニを潰してしまった時の対処法などを紹介します。
- 愛犬のマダニを潰してしまった場合の悪影響とは
- 愛犬にマダニが寄生した際の対処法を紹介
- マダニが寄生しやすい部位と病害を紹介
愛犬のマダニを潰してしまった場合の悪影響とは
愛犬の体にポツリとついたマダニ。放っておけば血を吸ってどんどん成長し、病気まで媒介する害虫です。
しかし、すぐに処置をしようと、ピンセットや指で無理やり潰してしまったりしてはいけません。マダニはしっかりと皮膚に食いついているため簡単には取れず、もし取れたとしても、マダニを潰してしまったことによる悪影響が生じてしまいます。
ここからは、愛犬に寄生していたマダニを潰してしまった場合の悪影響について、以下を通した解説します。
- マダニを潰してしまったら愛犬や飼い主に感染する危険性がある
- 犬についてマダニを潰してしまったら動物病院を受診しよう
マダニを潰してしまったら愛犬や飼い主に感染する危険性がある
マタニは吸血によって貧血や皮膚炎を引き起こすだけでなく、病原菌を媒介することもある害虫です。
噛み付いている間ももちろん感染の恐れはありますが、だからと言って無理やり取ろうとすると、マダニを潰してしまう恐れがあります。この際、潰してしまったマダニから体液が逆流し、咬傷の痕から体内に入り込み病気に感染することがあります。
そして、マダニが媒介する病気は犬にだけ発症するものだけではないため、飼い主である人間にも感染する可能性もあります。
マダニが媒介する感染症の中には、非常に危険な脳炎なども含まれています。素早い対処は必要なものですが、その場合には、必ず正しい手順での対処を行いましょう。
犬についてマダニを潰してしまったら動物病院を受診しよう
本来はマダニに寄生された時点で病院を受診したほうがいいのですが、自分で処置できると判断し、潰してしまったもののどうにか取ったという事もあるかもしれません。
しかし、マダニを取ったからと言って、そのままにしてはいけません。
上記の通り、マダニは病気を媒介させることがあります。寄生のために噛み付いていた間に感染症が愛犬の体に入り込んでいるかもしれませんし、潰してしまったことで血や体液が傷口に付けば、感染症のリスクは更に高くなります。
「自分で処置できたので、もし病気が発症したら病院に行けばいい」という考えは危険です。症状が見て分かるほどに病気が進行する前に検査で発見できるのであれば、それに越したことはありません。
愛犬にマダニが寄生したら、何はなくとも、まず動物病院を受診して獣医師に適切な対処をしてもらいましょう。
愛犬にマダニが寄生した際の対処法を紹介
マダニは、一生寄生を続けるわけではありません。十分に血を吸うと宿主から離れて、その後に大量の卵を産みます。そのため、愛犬や飼い主さんに寄生したマダニも、放っておいてもいずれは離れるというのも間違いではありません。
しかし、マダニは一度寄生すると、数日から十日ほど吸血を続けます。その間、宿主は常に感染症や貧血のリスクを抱えてしまいます。理想は、寄生された事に気づいた時点で対処をすることでしょう。
ここからは、愛犬にマダニが寄生した際の対処法として、以下の二つを紹介します。
- 対処法① 薬を獣医師に処方してもらう
- 対処法② ダニ専用ピンセットを使う
対処法① 薬を獣医師に処方してもらう
最も分かりやすく効果的なのは、駆除薬を処方してもらうことでしょう。
薬には駆除・予防効果があるため、一度投与することで、その後に別のマダニに寄生されてしまうようなことも避けられます。
また、犬に寄生したマダニは被毛や関節に隠れてしまうと見つけづらいため、病院に行って診察を受けることで飼い主さんが気付かなかったダニが見つかることもあります。
理想的なのは、定期的なマダニ駆除薬の使用です。薬剤によって効果期間は異なるため、動物病院で説明を聞き、効果が持続するように処方してもらいましょう。
対処法② ダニ専用ピンセットを使う
もしすぐさまマダニを取りたいというのであれば、ダニ専用のピンセットを使用することで確実に取ることができます。
マダニは、非常に強い力で宿主に噛み付いています。通常のピンセットや指で取ろうとすると、マダニを潰してしまったためにかえって取れなくなる、あるいは体がちぎれて口を含む頭部だけが患部に残ってしまうこともあります。
しかし、寄生されて間もないのであればともかく、しばらく時間が経ってから気づいたのであれば、その間に感染症を媒介されている可能性もあります。できるならば、動物病院を受診して処置してもらうことをおすすめします。
マダニが寄生しやすい部位と病害を紹介
犬は、体のほとんどを被毛に覆われている動物です。ふわふわとした毛は体温調節の役目はもちろんのこと、害虫・外敵から身を守る役目も持っています。
そのため、マダニが寄生しやすい箇所というのは決まっています。必ずというわけではありませんが、お散歩後に愛犬の体をチェックすることでマダニを早期発見することができるかもしれません。
また、先に記述したように、マダニは病気を媒介する害虫でもあります。食らいついた際に唾液から感染する他、潰してしまった事で体液が逆流して傷口から入ることもあります。
ここでは、マダニが寄生しやすい犬の部位および、犬に起こす病害について紹介します。
- 毛の薄い場所にマダニは寄生しやすい
- マダニによる病害① 貧血
- マダニによる病害③ バベシア症
- マダニによる病害④ SFTS
毛の薄い場所にマダニは寄生しやすい
被毛の厚い箇所は毛に守られているため、マダニは皮膚にたどり着く前に落ちることがあります。
一方で、毛の薄い場所は皮膚にたどり着きやすく、すぐに食いついて寄生を行えます。
そして、犬は主に、目、耳、口と鼻周り、股関節、お尻が毛の薄い箇所になっています。お散歩の後は、特にこれらの箇所に気をつけながらブラッシングをしてあげることで、マダニ被害を抑えられるかもしれません。
また、犬によっては首輪のあとによって首の毛が薄くなっていることもあります。日頃から愛犬とのスキンシップを行い、皮膚の露出している箇所を確認しておきましょう。
マダニによる病害① 貧血
マダニは宿主の血を吸う寄生生物です。そして、自分の体が何倍もの大きさに膨らむほどの血を吸うことができます。愛犬に寄生していたマダニを潰してしまった事で吸った血が溢れだし、大出血したのだと勘違いした飼い主さんもいるのではないでしょうか。
そして、時には複数匹のマダニが同時に一体の宿主に寄生することもあります。貧血を起こすほどに血を吸われるのは、大抵、大量のマダニが寄生しているケースです。
寄生数が増えるほど視覚的にも分かりやすくなりますが、関節などは、意外と普段から見ることのない箇所です。急に愛犬の元気が無くなった、ふらつくようになったなどの症状が見られたら、全身をあらためて、マダニが付いていないか探しましょう。
マダニによる病害② ダニ麻痺症
ダニ麻痺症とは、ダニが唾液から分泌する毒成分によって引き起こされる、宿主の麻痺症状です。
麻痺毒は宿主の運動機能に影響するため、足元がふらついておぼつかなくなったり、顔の筋肉が麻痺して口や目の動きが曖昧になったりします。
麻痺毒を分泌するダニは、主にアメリカやオーストラリアに生息しており、日本に広く分布する種ではありません。しかし、何らかの要因で日本に持ち込まれてしまう可能性もゼロではありません。
もし愛犬に麻痺症状が見られて、体にダニの寄生を発見したら、すぐさま動物病院で診察を受けましょう。またその際には、事前に「ダニがついていること」を病院に伝えましょう。何も対策せずに寄生生物を持ち込むことは、思わぬ被害を広げてしまうこともあります。
マダニによる病害③ バベシア症
バベシア症は、マダニによって媒介される寄生虫が起こす病気です。
非常に小さな寄生虫であるバベシア原虫の寄生先は、赤血球です。寄生された赤血球は本来の機能を失い、宿主の体にも貧血や発熱、尿の変色等の症状が現れます。
重症化すると、黄疸や重度の貧血による意識の喪失、臓器不全などが起こり、処置を行わずにいるとやがて死に至ることもあります。
治療は可能ですが、一度寄生したバベシアを完全に取り除くことは現在の医療技術では困難であり、症状の再発もあり得ます。
重要なのは、まずバベシアに寄生されないこと、つまりはマダニに寄生されないことです。マダニ予防の薬を定期的に投与することが、愛犬を危険な寄生虫から守ることに繋がるのです。
マダニによる病害④ SFTS
SFTSとは、正式には「重症熱性血小板減少症候群」という名前の感染症です。マダニによって媒介されるウィルスが引き起こします。
犬にも発症例は報告されていますがその数は少なく、多くはウィルスを持っていても無症状で暮らしています。この感染症を主に発症するのは、人間です。潰してしまったマダニの体液が付いて体内に入る事もあれば、ウィルスを持った犬の排泄物や唾液から感染することもあります。
感染すると、一週間から二週間ほどの潜伏期間を経て、発熱、嘔吐や下痢、筋肉痛などの症状があらわれはじめます。死亡例も報告されている危険な感染症ですが、残念ながら、効果的な治療法は見つかっていません。
感染が認められると、対症療法によって治療が行われます。そのため、必要なのは感染しないための予防です。
愛犬がマダニに寄生されたあとは、特に異状を示していなくても、一度検査を受けることをおすすめします。
まとめ:犬についたマダニを潰してしまったら受診がおすすめ
寄生虫には正しい対処法を取ることが大切です。しかし、知らずにマダニを取ろうとして潰してしまったということもあるかもしれません。
そんな時こそ、動物病院に連絡して「マダニを潰してしまった」ということを伝えた上で受診をしましょう。自分で対処を行おうとして失敗した時こそ、愛犬のために適切な選択を取りましょう。
また、マダニの被害は犬にとどまらず、飼い主である人間にも及ぶこともあります。寄生された愛犬が何の病気も発症していなかったとしても、その体内には人間に感染するウィルスを抱えていることもあります。
ただの小さな虫だからと決めつけず、マダニは危険な病原であると捉えましょう。
今回は、マダニを潰してしまった際の対処法や、媒介する病気などについて解説を行いました。
- 愛犬のマダニを潰してしまった場合の悪影響とは
- 愛犬にマダニが寄生した際の対処法を紹介
- マダニが寄生しやすい部位と病害を紹介