犬が脳震盪を起こした!ふらつき・痙攣等の症状、治療法・対処法とはのサムネイル画像

内容をまとめると

  • 犬が脳震盪を引き起こすケースは①抱っこから落とす②犬が転ぶことが多い
  • 代表的な脳震盪の症状はふらつき・痙攣・よだれ・嘔吐・硬直
  • 違和感や不安があ場合、すぐに獣医師に相談することが大切
  • ペットの医療費は保険適用されないので、もしもの時に備えてペット保険に加入しておくと安心

犬は頭を強く打った際に脳震盪を起こす可能性があります。愛犬が脳震盪を起こさないよう、そして起こした際に飼い主さんは冷静に対処できるように基本的な知識は身につけておきましょう。今回のMOFFME記事では、愛犬の脳震盪の症状・予防法・治療法などを紹介します。

記事監修者「高田 菜月」

この記事の監修者高田 菜月
一般社団法人愛玩動物健康管理協会(CAHA)

2年間の愛犬(虹組)の介護中に老犬の飼育放棄の多さに驚愕。すべての犬猫が幸せで穏やかな時間を最期まですごしてもらうためにできることは何かを考え、飼い主さんのサポートや老犬・老猫のトータルケアができるサロンを開業するべく準備中。17歳のミニチュアダックスと16歳のチワックスと暮らす。【保有資格:JKC愛犬飼育管理士・ペットフーディスト・ペット看護士・ペットセラピスト・トリマー・ペットスタイリスト・動物介護】

この記事の目次

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愛犬が脳震盪を起こした?ふらつきなど症状や対処法など紹介

皆さん、脳震盪(のうしんとう)というワードを、耳にしたことはありませんか?脳に強い衝撃を受け、一時的に意識や記憶に関する障害が発生する事を脳震盪と呼びます。

ボクシング選手が頭に強いパンチを受けてクラクラと気絶してしまう。そんなシーンが良くありますが、これも脳震盪が原因と言われています。

しかし人間の日常生活で、頭をぶつけて障害が出る程の衝撃を受ける事って少ないですよね。ではワンちゃんはどうでしょうか。人間よりもはるかに小さいその脳には、日常生活の中でも脳震盪に繋がる危険が潜んでいるのです。

今回のMOFFMEでは、ワンちゃんに起きる脳震盪について、3つのトピックからご紹介していきます。
  • 愛犬が脳震盪を起こしやすいケース
  • 愛犬の脳震盪の症状
  • 愛犬が脳震盪を起こさないようにする対処法・治療法
大切な愛犬を守るために、是非最後まで読んで脳震盪の危険性と、事故対策について学んでおきましょう!

またMOFFMEでは、「ペット保険のランキング」についても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご参考にしてください。
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愛犬が脳震盪を起こしやすいケースを紹介

モデル:あわび


人間に比べて、ワンちゃんの脳震盪は身近な問題であると紹介しましたが、それはどんな時に発生するのでしょうか?


愛犬の脳震盪とはどんなものなのかも合わせて、脳震盪が発生しやすいケースを2つご紹介していきます。

  • 犬の脳震盪とは
  • 犬が脳震盪を起こすケース①抱っこから落とす
  • 犬が脳震盪を起こすケース②愛犬が転ぶ

犬の脳震盪とは

脳は頭蓋骨の中にあり、髄液と呼ばれる液体の中で浮いている状態で存在します。軽度の衝撃であれば、頭蓋骨に衝撃が加わっても髄液がクッションとなって、中身である脳を守る事が出来る構造になっています。


しかし、あまりに強い衝撃を頭に受けると、脳が急激に揺さぶられることで頭の動きと脳の動きがずれ、ひずみが生じて一時的に脳に機能障害を起こします。具体的なメカニズムは解明されていませんが、この回転により神経伝達物質が過剰分泌される事で、意識障害などの症状が発生すると考えられています。


販売されているチワワなど、小型犬の頭に触れると、穴が開いているような部分を触る事ができます。これは脳を守る頭蓋骨を形成している途中であるため、特に注意が必要です。


人間のこぶし程の脳には、些細な衝撃が大きな症状を引き起こす原因になりかねないのです。

犬が脳震盪を起こすケース① 抱っこから落とす

実際によく脳震盪が発生するケースは、人間が誤って抱っこした状態から落下させてしまうケースです。


人間が立ち上がった状態で、犬を抱っこすると、地面から約1メートル程の高さとなります。もし愛犬の体高が20センチであれば、体高の5倍の高さから落下する事になるのです。私たちが身長の5倍の高さから落下すると考えると、如何に危険な行為か分かりますね。


また愛犬の落下事故が発生しやすいのは、特に子犬期です。小型犬の子犬などは、片手で持てるくらい小さいので油断しがちですが、バランスを取ったり、体幹が成長しきっていない子犬は、思いもよらない動きをする場合があるのです。

犬が脳震盪を起こすケース② 愛犬が転ぶ

愛犬が転倒して脳を強く打ち付けてしまう危険性は、全ての年齢のワンちゃんに言える事です。ワンちゃんが転ぶというのは、あまりイメージが無い方も多いかと思いますが、実はよく発生します。


子犬では自分の体格や体力を学んでいる時期なので、無理な段差で転んだり、足元に力が入らずに転倒する場合があります。さらに成長し成犬になっても、ドッグランなどの屋外で走っていて、カーブ時に足が滑って転倒なんて事もあるのです。


そして特に注意すべき時期が老犬期です。足に力が入らなくなったり、バランスが取れずに転倒してしまう事がよくあります。


飼い主さんが気づかないうちに、転倒し頭を強く打ってしまう事もあるので、注意しておきましょう。

愛犬の脳震盪の症状を紹介

モデル:あわび

もし愛犬が強く頭をぶつけてしまったら、どうなってしまうのでしょうか?その場で意識を失ってしまうイメージが多いですが、実は何とも無いように見えて、数日後急に症状が出る場合もあるのです。

ここからは、実際に愛犬が脳震盪を起こしてしまった場合に、どのような症状がでるのか、どんな危険があるのかをご紹介していきます。
  • 脳震盪の症状:ふらつき・痙攣・よだれ・嘔吐・硬直など
  • 翌日や数日後に症状が出る可能性
  • 犬の脳震盪で死亡の可能性
  • 脳内出血や脳の壊死により後遺症が残る可能性

脳震盪の症状:ふらつき・痙攣・よだれ・嘔吐・硬直など

脳は全身の筋肉や内臓に指示を送る大切な部分です。その脳が衝撃によって混乱状態に陥ると、全身へ滅茶苦茶な指示を出してしまうので、脳震盪は全身に多様な症状を発生させます。


ふらつき

平衡感覚がつかめず、真っ直ぐに歩くことができない。真っ直ぐに立てないため、座り込んだり倒れてしまう。


痙攣・硬直

筋肉が意思に判してビクビクと動きを繰り返す。逆に筋肉に力が入ったまま緩める事が出来なくなってしまう。


よだれ・嘔吐

痙攣と同じく、消化器が意思に反して反応して嘔吐やよだれが大量に出てしまう。衝撃により視界がグルグルと動いて見え、車酔いのように酔ってしまう事もあります。

翌日や数日後に症状が出る可能性

脳震盪の恐ろしいところは、その場では何とも無さそうだったのに、翌日や数日後に症状が出て容体が急変してしまう事です。


頭を打った直後に症状が出ていれば、診察を受けるなどの対処ができますが、その場では変わらず元気な様子である事もあるので、対処が遅れてしまうのです。


脳に強い衝撃を受けると、脳細胞もダメージを受けます。その脳細胞の回復には多くの時間を要します。細胞の回復までの時間に、運動をしたり興奮状態になって脳の活動が活発になると、再び脳細胞が暴走状態になり、脳震盪時のような症状が発生するのです。

犬の脳震盪で死亡の可能性

脳震盪には死亡のリスクもあります。正確には脳震盪と併発して、頭蓋骨内に出血や、慢性硬膜下血腫などが発症し死亡に繋がるのです。


慢性硬膜下血腫とは、血腫と呼ばれる血液の塊が時間をかけて脳の周りに溜まって、脳を圧迫・機能低下を引き起こす病気です。人間でも高齢者が転倒などで、脳に衝撃を受けると発症し、最悪の場合昏睡・死亡してしまう恐ろしい病気です。


外部からは脳の状態を見極める事ができないので、軽度の打撲であっても、安心のためにCTやMRIを使用した検査を行って、脳に異常がないか診察してもらう必要があるでしょう。

脳内出血や脳の壊死により後遺症が残る可能性

脳細胞はダメージを受けると、回復のために長い時間を要しますが、回復できず壊死してしまう場合もあります。脳は体全体の司令塔なので、脳細胞の全てに役割があり、管轄する体の部位があります。


もし、強い衝撃によって脳細胞が壊死してしまったり、脳内の出血によって機能を果たせなくなってしまうと、その細胞の管轄する部位に後遺症が残ってしまう事があるのです。


後遺症は様々で、手足の麻痺や声が出なくなってしまう、バランスが取れなくなってしまうなどがあります。

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愛犬が脳震盪を起こさないようにする対処法・治療法を紹介

モデル:あわび


ここまで愛犬の脳震盪について解説してきましたが、死亡のリスクなど恐ろしい話ばかりでしたね。愛犬は症状を説明する事ができず、脳は外から観察する事ができないので、発見が遅れ手遅れとなってしまう事もあります。


まずは、脳震盪が起きるような打撲やケガをさせない環境づくりで予防が大切です。もし脳震盪を起こしてしまったら、どのような治療を行うのか。日常生活で取り入れられる予防法について、解説していきます。

  • 愛犬の脳震盪の治療法
  • 対処法① 自宅での落下事故対策
  • 対処法② トリミング中の事故対策

愛犬の脳震盪の治療法

もし愛犬が強く頭を打った場合は、迅速に獣医師に相談する必要があります。移動や病院で興奮してしまうワンちゃんの場合は、一度動物病院に電話で相談してみると良いでしょう。


脳にダメージがある場合、過度な興奮は症状を悪化させかねません。また症状によっては、体を動かさず安静にさせておく必要がある場合も考えられます。


診察では、打撲時の状況や打撲後の愛犬の様子を訊かれます。どのあたりを打撲したのか、打撲後に普段と違う様子はないかなど、よく観察しておきましょう。


症状によっては、MRI検査などで脳をスキャンして様子を確認します。脳内で炎症や圧の高まりなどが発生しやすいので、投薬して様子を見る場合もあります。

対処法① 自宅での落下事故対策

最初にも述べましたが、愛犬を抱っこしている状態からの落下事故は多くあります。対策としては、抱き上げる際は、飼い主さんが低い体勢や座った状態で行うと良いでしょう。


また、愛犬自身がソファやテーブルに上ってしまい落下する事故もあります。高い場所には登らせない、登れないようにしておく事が必要です。


もし落下した時のために、カーペットやフロアマットなどを敷いておく事で、落下の衝撃を減らす事ができるでしょう。

対処法② トリミング中の事故対策

愛犬とトリミングサロンにお願いした時に、足の長いテーブルに愛犬が乗っているのを見た事はないでしょうか?トリミングテーブルといって、ワンちゃんをカットする際にトリマーと距離が近くなるよう、高さが高く作られています。


大切なワンちゃんを落下させないよう、細心の注意を払っていますが、事故が起きてしまう事もあります。その場で症状がなく元気であれば、トリミング中に落下した事を飼い主さんが知らない場合もあり得ます。


もし急に体調が悪化したり、症状が出ているようであれば、トリミング中にトラブルが無かったかサロンに確認してみる必要があるでしょう。

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まとめ:愛犬が頭を打った際は何に・何をして・どこをを記録しよう

今回は愛犬が脳震盪を起こした際の症状や対処法について解説してきました。


もし愛犬がこのような症状を起こしていたら脳震盪の可能性があるかもしれません。

  • ふらついて歩けない・立てない
  • 体が痙攣や硬直している
  • 大量のよだれを出したり、嘔吐している
その場ではなんの症状も出ていなくても、数日後に症状が現れる場合もあるので、打撲から1週間程度は注意して観察しましょう。悪化してしまうと、後遺症が残ったり最悪死亡してしまうケースもあります。

もし脳震盪が疑われる場合には、すぐに獣医師に相談しましょう。
  • 頭部のMRIを撮って、状況を確認する
  • 脳内の炎症を抑える
  • 脳内の圧力を下げる
このような治療を行う際には、打撲時の状況や現在までの様子について尋ねられます。よく観察して記録しておきましょう。

脳に影響を与える大ケガをさせないために、
  • 低い位置で抱っこする
  • 高いところに登らせない
  • 衝撃を緩和できる床材の準備
  • トリミング時の状況について尋ねる
このような対策をとっておくと安心でしょう。気付かぬうちに進行してまう事もあるので、ケガをしたらよく状態を観察して、獣医師に相談するなどしましょう。

またMOFFMEでは、他にも様々なペットや保険に関する記事を多数公開しておりますので、そちらもぜひご覧ください!