内容をまとめると
- 抗生物質が必要になる主な事例は①下痢②皮膚炎
- 抗生物質処方後に異常が見られる場合は迷わずに動物病院に連れて行くことが大切
- 犬の医療費は保険適用されないので、もしもの時に備えてペット保険に加入しておくと安心
医学に精通していないと不安を抱きやすいものの一つが『抗生物質』です。動物病院で愛犬用に抗生物質を処方されたものの眠気や嘔吐などの副作用が怖い飼い主さんもいるのではないでしょうか。今回のMOFFME記事では、抗生物質が必要な事例や副作用について解説します。
この記事の目次
目次を閉じる愛犬に抗生物質を使用する際の眠気などの副作用について紹介!
愛犬が体調を崩して動物病院に行ったとき、よく処方されるであろうお薬といえば「抗生物質」でしょう。
人間にも処方されることが多い抗生物質は、名前こそ聞いたことはあれど、実際にどんな効果があり、何が入っているのか知らないという方も多いかもしれません。
安全性はしっかりと確認されているとは言え、よく分からないものを愛犬に投与することに不安を覚えることもあるかもしれません。
そこで今回「MOFFME」では、抗生物質の効果や副作用などについて紹介します。
- 犬の抗生物質について徹底解説!どんな薬なの?
- 愛犬に抗生物質が必要になる2つの事例を紹介
- 眠気など抗生物質の副作用について解説
犬の抗生物質について徹底解説!どんな薬なの?
モデル:ぼんど
「抗生物質」というのは、簡潔に言えば「細菌を死滅させる、あるいは成長を抑制する薬」です。
そして、抗生物質と一口に言っても、その種類は非常に多いです。病気を起こしている細菌や微生物によって、使用される抗生物質が異なります。
ここでは、犬に用いられる抗生物質について、もう少し詳しく解説を行います。
- 抗生物質は「天然の抗生物質」「合成した抗生物質」の2種類ある
- 抗生物質は寄生虫や細菌を殺す薬!
抗生物質は「天然の抗生物質」「合成した抗生物質」の2種類ある
抗生物質は寄生虫や細菌を殺す薬!
抗生物質の「抗生」は「生命に拮抗する」から取られており、生物、言い換えれば「菌」に対して拮抗する、つまり菌の生命を奪うことを指しています。
現在、薬として使われている抗生物質は、人や動物の細胞に悪影響のないものが使われています。
ただ生命に影響があるというだけならば、多くの毒物も存在します。しかしこれは「選択毒性」という言葉が関わってくるものです。特定の異物、ここで言う菌に対してだけ毒になることを十二分に確認した上で、抗生物質として用いられているのです。
また、「抗生物質は細菌を殺すのに、ウィルス性の風邪でも処方されるのは何故?」と思われるかもしれませんが、これは風邪から引き起こされる他の病気を予防するためです。
そして、細菌ではない、寄生虫のフィラリアの治療にも抗生物質を使用しています。フィラリアは「ボルバキア」という菌と共生関係にあることからボルバキアを除去することでフィラリアの繁殖を不能にしたり死亡させることができます。
愛犬に抗生物質が必要になる2つの事例を紹介
モデル:ぼんど
抗生物質には非常に多くの種類があり、使用される事例も多岐にわたります。
あまり馴染みのない症例や治療であれば、その際に獣医さんからしっかりと解説が行われるでしょう。しかし、比較的よくある事例だと、「抗生物質をお出ししますので」だけで終わってしまうこともあります。
そこでここでは、愛犬に抗生物質が必要になる、2つのメジャーな事例について紹介します。
- 事例① 下痢
- 事例② 皮膚炎
事例① 下痢
まず、犬が下痢になる理由には様々なものがあります。
食事が合わなくて消化が上手く行かず下痢を起こす、寄生虫によって消化能力に異常が起きているなどもありますが、抗生物質が用いられるのは、主に細菌性の腸炎を起こしているケースです。
抗生物質は細菌に対する薬なので、当然、原因菌を抑えることで症状も緩和・治癒されます。また、病気自体が細菌性のものではなくても、細菌の二次感染を予防・治癒するために抗生物質が投与されることもあります。
しかし、細菌性の腸炎でなくとも抗生物質を投与されるケースもあります。その多くは、腸内環境を一度リセットする目的です。何らかの原因で腸内の悪玉菌などが異常増殖しているものを抗生物質で一度減少させ、正常な腸内環境に戻すことで、下痢の解消を目指すこともあるのです。
ただし、下痢の場合に必ず抗生物質をもらうというわけではありません。アレルギーによるものであれば食事療法を行ったり、ストレス性のものであれば住環境の見直しなど、原因によって、その処置も様々です。
事例② 皮膚炎
犬の皮膚炎のうち、細菌が原因のものであれば、治療のために抗生物質が用いられるケースがあります。
「膿皮症」と呼ばれる皮膚病は、犬の皮膚に普段から存在する「ブドウ球菌」が異常増殖したことで引き起こされるものです。ブドウ球菌は通常では無害なため、数を抗生物質で減らして、皮膚の異常も抑えることができるのです。
このブドウ球菌による膿皮症は、それ以前の原因があることも少なくありません。免疫機能の異常や、アトピー性の皮膚炎などによって皮膚上にブドウ球菌が異常繁殖する事も多いです。そのため、膿皮症を抗生物質でおさえた上で、根本的な治療も行われることがあります。
また、塗り薬よりも内服薬、つまり飲み薬で抗生物質を使用したほうが、犬が舐め取ってしまう心配がないということもあります。
皮膚炎は、多くの犬がかかり得る病気であり、その原因は様々です。薬を飲ませることで治ることもあれば、住環境などを見直す必要があるケースもあります。薬の効果に限らず、かならず獣医師の話を聞き、愛犬に適切な治療を続けてあげましょう。
眠気など抗生物質の副作用について解説
モデル:ぼんど
抗生物質は、十分な研究・実験によって安全が確認された上で薬として使用されています。
しかし、犬の体質によって何らかのトラブルが起こったり、眠気やだるさなどの副作用が出るケースも無いわけではありません。そのような場合は、ただちに然るべき対処をする必要があります。
ここからは、抗生物質の副作用や、使用状の注意について解説します。
- 抗生物質の投与をストップすべき愛犬の症状を紹介
- 処方された薬は残さず飲ませる
- 他の犬に処方された薬などは使わないようにしよう
抗生物質の投与をストップすべき愛犬の症状を紹介
抗生物質は、特定の細菌に対して成長を阻害あるいは殺すことを目的として使用されるものです。しかし、他の薬と同様に、抗生物質によっても副作用が出る場合があります。
処方後は、下痢や嘔吐、痒みなど、愛犬がなんらかの異常を示していないか注意深く観察しましょう。症状が落ち着いて眠っているのであればいいのですが、副作用で強い眠気に襲われていることもあります。そして、異常が見られた場合は、一度動物病院に相談することをおすすめします。
病気の治療のためには続けなければいけないこともあるかもしれませんが、多くの場合は、他の治療方法が提案されることかと思います。
事前にすべてが分かれば良いのですが、犬によって体質は様々である以上、通常は起こらないような反応が起こってしまうこともあります。しかし、そのような場合でも、治療を諦める理由にはなりません。
病気の治療には、根気が必要です。そして、犬は自分の状態を言葉で伝える術を持っていません。必ず、飼い主さんが愛犬の様子を観察・記録して、獣医師との相談を行うようにしましょう。
処方された薬は残さず飲ませる
「もう症状はおさまったから、これ以上薬は飲ませなくていいだろう」「副作用があったから、この薬はやめたほうがいいに違いない」そう考えて、自己判断で愛犬への薬の投与をやめてしまう飼い主さんは、決して少なくありません。
しかし、原則として、処方された薬は残さず飲ませましょう。
特に抗生物質は、細菌を殺す・減らすための薬です。表面上は症状が見られなくなっても、体内には、まだ細菌が異常数残っている可能性があります。その状態で抗生物質を飲ませるのをやめてしまうと、残っていた細菌が再び増えてしまうのです。
もし、どうしても薬を途中でやめたいというのであれば、必ず、その前に動物病院で相談をしましょう。
また、抗生物質の効果は必ずしも永遠に同じであるとは限りません。菌が抗生物質に耐性を持ってしまう、「耐性菌」の発生によって、効果のあった抗生物質が無意味になってしまうケースもあります。一度処方された薬でしっかりと菌を除去することが、後々の愛犬の健康を確保することにも繋がります。
他の犬に処方された薬などは使わないようにしよう
薬は、診察をした上で適切なものが処方されています。そして、同じ症状であっても原因が異なれば、処方される薬も変わります。
「愛犬が下痢になったので、一緒に暮らしている他の愛犬が下痢になった時にもらった薬をあげよう」という行為は、絶対にしてはいけません。
選択毒性が重要な抗生物質であれば、分かりやすいでしょう。原因となる細菌に対してのみ効果が出る抗生物質を、そもそも原因菌が存在していない犬に投与したところで、症状は治りません。それどころか、副作用だけが出てしまい、別の症状を併発するような事態も起こってしまいます。
また、薬の処方は、体重や体調にも合わせられています。同じ病気であったとしても、長期間の治療を続けていると、体重の増減や体調の変化に応じて薬が変わる可能性があることは覚えておきましょう。
まとめ:子犬や老犬には危険な抗生物質もある
抗生物質は、病気の治療には非常に便利なものです。一方で、他の薬もそうであるように、身体に多少の負担をかけるものも存在します。
子犬や老犬など、体力の無い犬であれば、その負担が決して無視できない程度になることもあります。これは、成犬のための薬や投与量をそのまま子犬や老犬に与えてしまうと危険である可能性もあるということです。
抗生物質に限らず、獣医師は専門知識に基づいて薬を処方しています。薬をあげるにしても、やめるにしても、自己判断ではなく、必ず獣医師の診断に従って行いましょう。
今回は、抗生物質の効果や副作用について解説を行いました。
- 犬の抗生物質について徹底解説!どんな薬なの?
- 愛犬に抗生物質が必要になる2つの事例を紹介
- 眠気など抗生物質の副作用について解説