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愛犬に黒や白いかさぶたができることがあるかもしれません。毛が抜ける・毛が生えない・臭いがひどい場合など症状は様々です。愛犬のかさぶたは取っても良いのでしょうか。今回のMOFFME記事では、愛犬のかさぶたについて解説していきます。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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愛犬のかさぶたの取り方は?症状や対処法などを詳しく紹介!

気がつくと愛犬にかさぶたが付いていたことはありませんか?


そのかさぶた、どんな取り方をしていますか?かさぶたがあるとつい自分流の取り方で取ってあげたくなりますが、本当にその取り方で丈夫でしょうか。


私たちのような取り方で簡単にかさぶたを取り除いてしまうと愛犬には良くないこともあります。


今回MOFFMEではそんな愛犬のかさぶたについて

  • 愛犬の皮膚構成について解説
  • 愛犬にできるかさぶたの原因と病気を紹介
  • 愛犬にできたかさぶたはとっても良いのか
について詳しく紹介しています。

今まで無理な取り方をして逆に愛犬を傷つけていたり、かさぶたの取り方が分からないのでそのままにしていた飼い主さんもいらっしゃるでしょう。

かさぶたについて詳しく知り適切に対処ができるようにと思いますので、ぜひ最後まで読んでみて下さい。

愛犬の皮膚の構成を解説


かさぶたの取り方の前に、皮膚の構成について解説していきます。


犬の皮膚も人間の皮膚も構成は同じ以下の3層で成り立っています。

  1. 表皮
  2. 真皮
  3. 皮下組織

犬と人間との皮膚は3つ違いがありますが、基本的な造りは同じです。
  • 皮膚構造:毛で守られているため、表皮の角質層と呼ばれる一番外側の表皮が人間よりも薄い
  • 汗腺:体温調整をする汗腺が肉球部分にしかない
  • ターンオーバー:人間は約28日、犬は約20日
これらから、犬の皮膚は人間よりも薄く刺激に弱ことが分かりますよね。

それでは皮膚を構成している3層についても詳しく説明していきます。

皮膚の構成① 表皮

犬の表皮は4つの層に分かれています。

  1. 角質層:バリア機能と保湿機能がある
  2. 顆粒層:角質層が正常な働きができるように保湿成分を作る
  3. 有棘層:一番層が厚い所。真皮から酸素や栄養素を受け取る
  4. 基底層:真皮から栄養を受け取り細胞分裂をすることで新しい皮膚を作る

始めに話したように、犬の表皮の一番上にあたる角質層は人間の1/3~1/6しかありません。

人間は毛で守られていない分厚くて強い皮膚を持っており、ある程度の刺激などにも耐えられます。

しかし犬の皮膚は人間の何倍も薄いため、外界からの乾燥や刺激に弱く皮膚トラブルを起こしやすいと言われています。

人よりも皮膚が薄く傷つきやすく、皮膚トラブルも起こしやすいのでかさぶたができやすいと言うわけです。

皮膚の構成② 真皮

真皮の主な組織は「コラーゲン」などの繊維で、皮膚の弾力を保っており、さらにその繊維の間にはヒアルロン酸があり、保湿も行っています。


また真皮の中には汗腺もあります。犬の汗腺の多くはアポクリン腺エクリン腺は肉球と鼻先だけしかありません。


このアポクリン腺、人間には脇の部分にあります。


人間の脇から出る汗は臭いますしベトベトしたイメージがありませんか?


犬の独特な臭いはこの、全身にあるアポクリン腺です。


人間は全身から汗をかき体温調整ができることを考えれば、犬はこの小さい部分にしかサラサラの汗が出ないため体温調整が難しいことが分かります。


真皮には他に毛母や毛包、脂腺があり、脂腺は皮脂を分泌することで、犬の毛や皮膚を乾燥から守る働きがあります。

皮膚の構成③ 皮下組織

脂肪細胞が集まってできている皮下組織には3の役割があります。

保温機能

脂肪は熱が伝わりにくい特徴があり、体を外の熱から体を守ったり、逆に体から外に出ていく熱を逃がさないようにすることで、体温を保っています。


クッション

脂肪があることで外部からの衝撃を抑えられます。そのため、皮膚より下の筋肉や臓器へ伝わる衝撃が少なくなり、内部への負担を軽減しています。


エネルギーの貯蔵

エネルギーを脂肪という形で蓄え、必要な時に活動エネルギーに変換しています。


皮下脂肪と聞くと悪いイメージを持つ方も多いですが、エネルギーの貯蔵はいざと言う時に役立ちますので必要な役割です。


皮下組織は表皮や真皮の一番下にあり、上の2層を支えています。

愛犬にかさぶたができる原因・病気を紹介


皮膚の構造が分かったところで、犬のかさぶたにはどんな原因があるのか、どんな病気が考えられるのでしょうか。


考えられる原因は以下の5つが考えられます。

  1. 外傷
  2. アレルギー
  3. 炎症
  4. 皮膚がん
  5. 腫瘍

では、どの状態が「動物病院を受診する必要がある」かさぶたなのでしょうか。

受診いらないかさぶたの特徴は傷が浅かったり小さかったりするかさぶたで、出血も止まっており、そのままにしておいても剥がれるようなものです。

明らかに下に新しい皮膚ができている場合も様子を見て大丈夫でしょう。

受診が必要なかさぶたの特徴は、かさぶたができても何度も出血したり膿が出たりしており、治る様子がないものです。

すぐに取れないかさぶたは、何とかしようと取り方を考えてしまうかもしれませんが取ってはいけません。

ちょっとした傷だと思っても悪化する危険性はありますので、かさぶたを見かけたら無理な取り方はせず、観察を行いましょう。

原因① 外傷

外傷にはいろいろ種類があり、擦り傷、かみ傷、ニキビによる傷などが考えられます。


外傷はちょっとしたことでできやすく、散歩の時に転んでしまって傷ができてしまったり

気が付かないところで怪我をしてしまったりということはありますよね。


外傷で一番気を付ける必要があるのは「かみ傷」です。


他の犬や猫と交流した際喧嘩になって噛まれてしまい負傷する可能性があります。


犬や猫の口腔内はあまり綺麗ではありません。そのため、色々な細菌が噛まれることによって体内に侵入します。


噛まれた傷は人間でも化膿しやすいので、愛犬は特に注意が必要です。


噛まれた傷でなくても化膿している兆候がある傷はかさぶたで蓋をされてしまうと自然に排出されませんので、動物病院を受診しましょう。

原因② アレルギー

犬にもアレルギーがあり、その原因は3つに分けられます。

  • アトピー性皮膚炎
  • 食物アレルギー
  • ノミアレルギー

皮膚はアレルギーが起きやすい部位だと言われており、ひとたび強い炎症が起きると強い痒みを伴いますので、皮膚をかいてしまい出血し、その結果かさぶたができます。

根本的な治療にはアレルゲンの除去が必要になりますが、食事の改善や環境の改善など長期にわたっての治療と対応が必要です。

もし、長期にわたり痒がる様子が見られた場合はアレルギーの可能性があります。

アレルギーによる痒みは続きますので対処しなければかき傷が増え、皮膚の状態も悪くなり炎症が起こってしまいます。

アレルゲンの特定をする必要もあるので、獣医師に相談をしてみましょう。

原因③ 炎症

外傷でも少し触れましたが炎症の多くの原因が「膿皮症」₍人間でいうニキビのようなもの)と言われています。


皮膚の常在菌であるブドウ球菌が、免疫力や皮膚保護機能が低下したことによって異常に増加し、表皮や毛穴に炎症が起こります。


それにより愛犬に触れるとぶつぶつした赤い発疹ができ、痒みが伴います。フケや黒いかさぶたができたり、脱毛も起こります。


スキンケアの他、抗生物質の投与などが必要になります。


他にもカビが原因の「皮膚糸状菌症」「マラセチア皮膚炎」、ダニが原因で起こる「角化型疥癬」があり、いずれも炎症の原因となりますがひどい痒みを伴う炎症もあります。


犬が炎症を起こしている場所をかけば皮膚が傷つき、かさぶたができてしまいます。


犬は皮膚病での動物病院受診が多いですので、炎症が起こったら悪化する前に獣医師の診断を受けましょう。

原因④ 皮膚がん

皮膚がんの場合は今までのかさぶたとは違い、悪性腫瘍が大きくなると皮膚表面が割れ、出血することでかさぶたができるものが多いです


犬の皮膚がんには

  • 扁平上皮癌
  • 肥満細胞腫
  • 皮膚型リンパ腫
  • 悪性黒色腫₍メラノーマ)
が挙げられます。

簡単にそれぞれ症状について下記に票を作成したので参考にしてください。

がんの種類症状
扁平上皮癌毛が生えない、かさぶたや潰瘍ができる
肥満細胞腫しこりができ、炎症を起こすことで出血する
皮膚型リンパ腫皮膚炎と似た症状が出現し、見分けがつかないことがある
悪性黒色腫(メラノーマ)悪性度が最も高い
ほくろのようなものができるが大きく盛り上がっている
急激に大きくなるようであれば要注意


犬の1/2ががんで亡くなっているというデータもあります。


犬のがんも早期発見と早期治療が命の鍵となっていますので、皮膚がんの症状が見られた時には早めに治療を受けましょう。

原因⑤ 腫瘍

上記に皮膚がんについて記しましたが、皮膚にできる腫瘍の中には良性の腫瘍もあります。


良性の代表的な腫瘍は

  • 皮内角化上皮腫
  • 乳頭腫
  • 皮脂腺腫瘍
以上3つです。

この内、皮内角化上皮腫は皮膚の表面にできる良性腫瘍なのですが、腫瘍の表面にある穴を犬自身が傷つけてしまうことがあります。

そうすることで出血し潰瘍ができ、かさぶたができると考えられます。

また、見た目が腫瘍に似ている皮膚のう胞があります。

こちらも愛犬が自分でこすってしまい、傷つけることで時折破裂してしまうそうです。

そうなると痛みや炎症がが起こり、かさぶたが形成される可能性があります。

良性腫瘍は原因がはっきりしませんが、素人目ではどれが悪性で良性なのかは判断できないと思いますので、動物病院を受診しましょう。

愛犬のかさぶたは取っても良いの?


愛犬のかさぶたを無理な取り方で取り除くのはよくありません

自己判断でワセリンを塗るのもやめましょう


かさぶたは何でできているかと言うと、皮膚の表面や内部から出た血液や浸出液、膿などが皮膚の上で固まって、乾燥したものです。


私たちが絆創膏を使うのと同じで、かさぶたは自然にできる絆創膏の役割を果たしています。


かさぶたは傷を保護して新しい皮膚ができるのを待っています。


無理な取り方をすることで絆創膏を無理にはがしてしまうのと同じ状態になりますので、注意して下さい。

愛犬のかさぶたは取らないほうが良い

私たちであれば自分でかさぶたを取らないようにすれば良いですが、愛犬は自分で無理な取り方でかさぶたを取ってしまいます。


傷の治りかけは私たちも痒みを伴いますが、それは犬でも同じです。


そのため、お腹などの地面につく可能性がある場所や、手足が届く場所は無理な取り方でかさぶたを取ってしまいます。


無理な取り方でかさぶたが剥がれると、出血したり浸出液が出てジュクジュクしたりと治りが遅くなります。


愛犬が気にする素振りを見せたら、エリザベスカラーや服を着用したり、靴下を履かせるなどして対処しましょう。


ただし、かさぶたができた辺りから悪臭がする場合は、中で化膿し細菌が繁殖している可能性がありますので、かさぶたを取った方が良いです。


しかし、私たちの取り方では適切な対処ができませんので、動物病院へ行き診てもらうことをおすすめします。

ワセリンを塗るのは獣医師の判断で行う

乾燥にワセリンを塗るのと同じように、簡単な傷にワセリンを塗って対処することがありますが、かさぶたができてしまったらワセリンは必要ありません。


ワセリンも傷の保護能力がありますが、すでにかさぶたが傷を保護しているので重ねて塗らなくても大丈夫です。


傷ができてすぐにきれいに傷口を洗って保護するのにワセリンを使用するのは良いですが、いつまで経っても治らなかったり悪化する場合は動物病院を受診しましょう。


動物病院ではワセリンに殺菌成分が入ったものを処方してくれるところもあります。

その場合は獣医師の指示に従って、処方されたワセリンをかさぶたがあっても塗りましょう。


因みに普段の乾燥お手入れにはワセリンはとても有効です。


乾燥によりダメージを受けた肌は傷ができやすいので、アトピーがある愛犬などには特に普段のお手入れにワセリンを使うと、乾燥による痒みを軽減し、かき傷を未然に防げます。

まとめ:症状が軽いうちに動物病院を受診するのがベスト

今回は愛犬にできたかさぶたの取り方について

  • 犬の皮膚は①表皮、②真皮、③皮下組織で成り立っている。人間よりも犬の皮膚は薄く、乾燥や刺激に弱い
  • かさぶたができる原因には5つ考えられる。①外傷、②アレルギー、③炎症、④皮膚がん、⑤腫瘍 いずれのかさぶたも無理な取り方をすることで悪化を招く可能性がある
  • 愛犬のかさぶたに取り方はない。病気が原因ではないかさぶたも取り方を学ぶのではなく、自然に取れるのを待つべき。愛犬が触れようとするのであればかさぶたを守る必要がある
以上について説明してきました。

かさぶたは本来、傷を守るためにできているため取り方を調べるのではなく、普段から愛犬の皮膚状態をよく観察しましょう。

かさぶたができた時には様子を見ていいものなのか、動物病院を受診しなくてはいけないのかを判断しなければなりません。

不安があれば症状が軽いうちに動物病院を受診するようにしましょう。

またMOFFMEでは、他にも様々なペットやペット保険に関する記事を多数公開しておりますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。