猫に食べさせてはいけない食べ物はたくさんあります。その中でも意外と知られていないのが山椒です。愛猫が万が一舐めてしまうと様々な危険が及びます。今回のMOFFME記事では、山椒が猫にとって危険な理由・舐めた際の対処法などを紹介します。
この記事の目次
目次を閉じる愛猫は山椒を食べるのは大丈夫?危険な理由や対処法を紹介!
粒でも粉でもピリリと辛く、料理にアクセントを加えてくれる山椒。豊かな風味がクセになり、もしかしたらご家庭で育てているという方もいるかもしれません。
しかし、そんな山椒が、猫が食べてはいけない食品であるということはご存知でしょうか。ただ辛いだけではなく、その成分も猫には影響が強すぎるのです。
今回、「MOFFME」では、以下の項目を通して山椒と猫の関係について解説をしていきます。
- 愛猫にとって山椒が危険な4つの理由を紹介
- 山椒の成分とは
- 愛猫が山椒を舐めた際の対処法を紹介
愛猫にとって山椒が危険な4つの理由を紹介
猫が山椒を食べると、様々な影響が出てしまいます。
取り込んでしまった量や山椒の種類などで差異はありますが、いずれも、正常時であれば見られない反応です。
すぐさま病院に連れて行くべき危険な症状から、経過を見守ってもいいものまで、山椒が危険な4つの理由と症状を紹介します。
- 危険な理由① 猫の内臓への刺激が強すぎる
- 危険な理由② 麻痺を起こす可能性
- 危険な理由③ 中毒症状を起こす可能性
- 危険な理由④ 山椒の香り・匂いでマタタビのように酔う
危険な理由① 猫の内臓への刺激が強すぎる
辛い、酸っぱいといった刺激の強い食べ物は、内臓へ少なくない負担をかけます。その刺激は、人間であれば多少の違和感で済むかもしれませんが、猫はそうもいきません。
消化を行う胃腸はもちろん、山椒の成分を無害化して排出するために通過する肝臓や腎臓にも負担をかけてしまいます。そのせいで消化不良や腹痛を起こし、排泄物が下痢状になることもあります。
これは山椒に限ったことではありません。唐辛子や胡椒など、刺激のある香辛料全般に共通することです。
現代では粉末状の香辛料も多く、こぼしてしまっても気付かない事もあります。それを猫が好奇心から舐めてしまい、お腹を壊すなんてことも少なくありません。
危険な理由② 麻痺を起こす可能性
山椒には「サンショオール」という成分が含まれており、これが辛味成分となって、ピリと辛い独特の風味を出してくれています。
しかし、このサンショオールには麻酔効果もあります。山椒をたっぷり入れた麻婆豆腐や担々麺を食べたときに舌先が痺れるような感覚を覚えるのは、これによるものです。
もちろん、危機的なほどの麻痺を起こすのは、大量に摂取した場合のみです。しかし、体の小さな猫は、人間よりもはるかに少ない量で毒などの影響が出てしまいます。
体質や普段の食生活なども関わってくるため、「これくらいなら無害だろう」と安易に判断せず、少しでも愛猫の様子がおかしいようであれば、すぐに動物病院に連れていきましょう。
危険な理由③ 中毒症状を起こす可能性
サンショオール以外にも、山椒には多くの成分が含まれています。
その中にはキサントキシンという痙攣毒の成分もあります。これは、魚類に強い痙攣を引き起こす成分ではありますが、その他の動物にはあまり毒性を示しません。ただし、完全に無害という事ではありません。
念頭に置いておくべきなのは、猫と人間を同じように考えてはいけないということです。
人間であれば無害な食物も、猫にとっては有害になることは多々あります。これは単に人間と猫が毒とするものが異なると言うだけではなく、そもそも、人間の耐毒性が非常に高いということでもあります。
「大丈夫だと思ったのに、中毒を起こした」なんてことを起こさないためにも、愛猫に与える食べ物は、猫用のものを選びましょう。
危険な理由④ 山椒の香り・匂いでマタタビのように酔う
マタタビの匂いで猫が「酔う」ということは、もはや誰でも知っていることです。
ですが、猫によっては山椒の匂いでも酔ったような反応を示すことがあります。何もないはずの床に猫が体をこすりつけているような姿が見られたら、そこに山椒などの香辛料をこぼしていないか思い返してみましょう。
猫がマタタビの匂いをつけるのは、虫よけ効果があるからだと言われています。山椒の匂いで酔う猫は、もしかしたら、山椒の匂いによって虫を忌避できたという経験を先祖が持っているのかもしれません。
一方で、山椒の匂いを嫌う猫もいます。これは全ての猫に共通ではないため、育った環境や個々の好みによるところでしょう。
山椒の成分とは
山椒は料理のスパイスとしても使われるほか、漢方薬としても用いられることがあります。一方で、ここまで解説したように、山椒には毒となる成分も含まれています。
薬と毒、両方の面を持ち合わせている山椒に含まれている成分とは、どんなものなのでしょうか。
ここからは、山椒の成分について、以下の二項目に分類して解説を行います。
- 辛味成分・香り成分
- ビタミン類
辛味成分・香り成分
山椒に含まれる辛味成分は「サンショオール」と言い、刺激的な味わいと痺れるような麻酔効果を持っています。
内蔵の働きを活発にして消化不良の改善をする、新陳代謝を向上させるなどの効果もあり、人間にとって山椒を有益な薬にしてくれる大切な成分です。殺菌・抗菌効果まであり、うなぎに山椒を添えるのは、元々はより安全にうなぎを食べるためだったとも言われています。
また、香り成分としては「シトロネラール」「ジテルペン」というものが含まれています。
シトロネラールは鎮静・鎮痙作用や抗不安作用、更には虫よけ効果まであります。シトロネラールを抽出したエッセンシャルオイルは、虫除けとして使われることもあるほど。ジトロペンは山椒の独特な香りを強く出す成分であり、抗酸化作用を高める効果を持っています。
ビタミン類
山椒にはビタミンB2という栄養素も含まれています。
ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康を維持を助けるビタミンで、脂質、糖質、タンパク質を体内でエネルギーに変換してくれる、代謝活動を支える効果もあります。特に運動やお仕事でエネルギーを多く消費する方は多く摂取した方がいいビタミンです。
また、ビタミンB2は水溶性です。煮たり水につけたりすると溶け出してしまいます。その点で、山椒はビタミンB2の摂取には向いていると言えるでしょう。
ただし、山椒自体、あまり大量に食べるものではありません。栄養バランスを整えるために山椒を用いるよりも、あくまで香りや味付けとして少量使用して、主食や副菜で摂れるの栄養の補助程度として見るほうが良いでしょう。
愛猫が山椒を舐めた際の対処法を紹介
どれほど気をつけていても、山椒のようなスパイスはこぼれてしまうこともあり、それを愛猫が舐めてしまうようなことも起こりうることです。
眼の前でそれが起こったのならばともかく、こぼしたことに気付かず、いつの間にか愛猫が山椒を舐める可能性もあります。
ここからは、愛猫が山椒を舐めた際の対処法を、以下の二項目を通して解説していきます。
- 山椒を舐めた際の症状
- 愛猫が山椒を舐めた際の対処法
山椒を舐めた際の症状
山椒を舐めたことですぐに影響が出るとすれば、それは山椒の持つ麻痺効果が作用した場合です。
辛味成分に含まれる麻痺効果は、少量であれば舌を少し痺れさせるアクセント程度のものですが、大量に摂取した際には、もう少し強く麻痺が見られます。
また、食べた直後には問題がなくても、胃腸で消化・吸収が行われた時点で影響が出ることもあります。辛味成分は猫の内蔵に軽くない負担をかけてしまうため、もし許容量を超えて香辛料を摂取してしまうと、下痢や嘔吐などの症状が見られます。
猫によっては、マタタビに酔うかのように体を擦り付ける反応を示すことがあります。もし、愛猫が何もないはずの床に体を擦り付けていたら、山椒などのスパイス類をそこにこぼしていないか確認してみましょう。
愛猫が山椒を舐めた際の対処法
誤飲誤食の対処に共通することですが、その場で無理やり吐き出させようとすることは厳禁です。
もし異物を飲んだときは、猫自身が反射や異物感で嘔吐しようとします。その様子が見られない状態で、無理やり吐かせようと猫の喉に指を入れたりするとケガをさせてしまう原因になります。
山椒自体あまり強力な毒性を持つ食材ではないため、少量舐めてしまったようであれば、様子を見ても良いでしょう。
しかし、痙攣を起こした、繰り返し吐いているなど、明らかな異常が見られた場合には、すぐさま対処が必要です。
最寄りの、あるいは普段からお世話になっている動物病院に連絡し、「山椒を舐めた」という旨を伝えて診察を受けましょう。
まとめ:料理で山椒を使う際は注意しよう
料理に使う香辛料としても、薬用効果を持つ漢方薬としても有用な山椒。しかし、それはあくまでも人間に向けたもの。
小さな猫にとっては、無害なはずの香辛料も、味も匂いもとても強い刺激物になってしまいます。
猫は「これが危ない」と自分で判断してくれるとは限りません。誤飲誤食には飼い主さんが注意深く気を配り、愛猫の健康を守ってあげましょう。
今回は、猫と山椒の関係について解説を行いました。
- 愛猫にとって山椒が危険な4つの理由を紹介
- 山椒の成分とは
- 愛猫が山椒を舐めた際の対処法を紹介