猫は通常口を開けてハアハアと早い呼吸をすることはありません。このような場合、病気や怪我などが原因と考えられます。今回のMOFFME記事では、愛猫の呼吸が早い際に考えられる病気や怪我・呼吸数の測り方・対処法などを詳しく紹介していきます。
この記事の目次
目次を閉じる愛猫の呼吸が生まれつき早い?考えられる病気や呼吸数の測り方
猫は普段から速い呼吸をするのでしょうか?
愛猫の呼吸速度が速いなとふと思った時に、生まれつき速いのかそれとも何か病気などの異常なのかわからないことがあるかもしれません。
愛猫が急に速い呼吸をしていたり苦しそうにしていたりしたら、猫風邪や熱中症、猫喘息や慢性気管支炎などの呼吸器系の病気や心臓に原因があるかもしれません。
生まれつき速い呼吸の子は異常に気づきにくいかもしれません。
早急に対処が必要なものもなかにはあります。
今回MOFFMEでは、
- 猫の正常な呼吸数と呼吸数の測り方とは?
- 猫の呼吸が速い場合に考えられる6つの病気・怪我を解説!
- 猫の呼吸が速い時の対処法とは?2つの場合に分けて解説!
猫の正常な呼吸数と呼吸数の測り方とは?
猫は基本的に「鼻呼吸」をする動物です。
愛猫が口を開けて苦しそうに呼吸をしていたら心配ですよね。
猫の正常な呼吸を知っておくだけで異変に気づけることがあるかもしれません。
私も猫を飼っていますが、この記事を執筆するにあたり調べるまで恥ずかしながら呼吸数を気にしたことがありませんでした。
そこでまずは、猫の正常時の呼吸・異常時の呼吸、呼吸数の測り方を解説していきます。
この項では、
- 猫の正常の呼吸数
- 猫の呼吸数の測り方
- 猫の異常呼吸の種類は?
- 補足:猫の呼吸器
猫の正常の呼吸数
普通に過ごしているときと寝ていたりする安静時のときの呼吸の速さに違いがあります。
正常な呼吸数を知っておくだけで病気に気づけるかもしれません。
生まれつき愛猫が速い呼吸をしている場合は、病気が隠れている可能性があります。
▼猫の正常な呼吸数
- 通常時:約20〜40回/分
- 寝ているときなどの安静時:約15〜25回/分
興奮している場合(遊んだ後や緊張した後など)は呼吸する回数が増えるため判断しにくく、安静時の呼吸数を知っておくことがとても大切です。
猫の呼吸数の測り方
猫の呼吸数の測り方はとても簡単です。
まずは愛猫が安静にしている時に測るようにしましょう。
愛猫が寝ている時が測りやすいですよ。
確認する箇所は猫の胸部分の上下する回数です。
胸の上がって下がる動きを1呼吸とし、1分間に呼吸を何回したかを数えます。
愛猫が動いてしまったりして1分間を測るのが難しければ、30秒間の呼吸数×2や15秒間の呼吸数×4をしても1分間の呼吸数がわかりますよ。
普段の安静時の呼吸数を把握しておきましょう。
生まれつき呼吸が速い子は先天性の心臓疾患がある可能性があります。
もし生まれつき呼吸が速いようであれば動物病院へ連れて行くのをおすすめいたします。
猫の異常呼吸の種類は?
猫の異常呼吸には何種類かあります。主に以下の4つです。
開口呼吸
口を開けて呼吸している状態で、人間でいえば風邪などで鼻が詰まって息がしにくいときに口で呼吸をしている状態です。
肩呼吸
補足:猫の呼吸器
猫の呼吸器は人間と同じような仕組みになっています。
空気の通り道の気道【口・鼻・咽頭・喉頭蓋・喉頭・気管・気管支】と酸素と二酸化炭素の交換(ガス交換)を担う肺実質【肺胞(※1)や間質(※2)】をまとめて呼吸器といいます。
気道では外からの空気の調節と異物の排除や肺実質では生命維持に必要なガス交換をしている大切な器官です。
呼吸が速い原因は気道での病態が原因の場合(炎症や鼻づまりなど)と肺実質での病態が原因の場合(肺水腫でガス交換が行えない状態)、胸腔の中に液体が溜まってしまうことが原因で起こる場合などがあります。
(※1)肺の中の気管支の末端にあるブドウの房のようになっている小さな袋
(※2)肺胞や肺胞の壁を取り囲んで支えている部分の組織
猫の呼吸が速い場合に考えられる6つの病気・怪我を解説!
愛猫がいつもより速い呼吸をしている場合、どのような事が考えられるでしょうか。
愛猫の呼吸が速い場合に考えられる病気を6つに分けて詳しく解説していきます。
▼呼吸が速い場合に考えられる病気はこちら!
- 猫カゼ(猫ウイルス性鼻気管炎)
- 猫喘息
- 猫の慢性気管支炎
- 猫の心臓病(心筋症)
- 猫の怪我
- 熱中症
生まれつきある疾患(先天性疾患)から生まれつきではない疾患までいろいろあります。
今回紹介しているものは先天性疾患ではないものが多いですが、生まれつき呼吸数に影響するものも解説しています。
どのような病気が呼吸に影響を及ぼすのか、また、呼吸が速い場合の対処の仕方も合わせて詳しく解説していきます。
猫カゼ(猫ウイルス性鼻気管炎)
猫カゼとは人間の風邪と同じように、ウイルスや細菌などが原因での鼻炎や鼻水やくしゃみ、鼻づまりなどの症状に乾いた咳などのカゼ症状の総称です。
鼻詰まりや鼻水で呼吸がしづらくなると開口呼吸をしたり、多くの酸素を取り込もうと呼吸が速くなったりします。
生まれつき鼻咽腔が狭い稀な疾患があることもあります。
最も多い猫カゼは、猫カゼを猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルスが原因)と猫カリシウイルス感染症(カリシウイルスが原因)の2つといわれています。
治療方法は抗ウイルス薬・消炎剤・抗生剤・インターフェロンなどを使用します。
子猫の時の感染や慢性化してしまった場合は、症状が一時的に改善したとしても再発を繰り返すことがあります。
猫喘息
猫喘息とは、何かしらのアレルゲン(ハウスダストやダニ、花粉やタバコなど)が原因で咳が出たり喘鳴、呼吸困難などが主な症状の原因不明の慢性の気管支疾患です。
治療は対処療法になりステロイド剤を使う治療や鎮咳薬、ネブライザー(吸入)などです。
猫喘息の特徴は突発性の咳です。咳の特徴はコンコン・ケンケンなどの乾いた咳ではなく、ゼフゼフ・ゲフゲフなどの湿った咳をします。
猫喘息は生まれつきある疾患ではなく、若齢で発症するほど重症化しやすい傾向にあります。
しかし、喘鳴がある状態で生まれつき気管狭窄がある場合も稀にあるそうです。
重症の場合は呼吸ができなくなることもあるため、症状がでたら早急に動物病院へ連れて行きましょう。
猫の慢性気管支炎
猫の慢性気管支炎は名前の通り、気管支に炎症などが生じ慢性的に咳などが続く疾患です。
症状は咳、食欲不振や努力性の呼吸などがあります。
努力性の呼吸とは普通の力を抜いている状態の呼吸と違い、呼吸時に普段は使わないお腹の筋肉などを使って呼吸をすることです。
悪くなってしまうと肺炎などに移行することがあり、注意が必要です。
猫喘息とは違うのですが、症状はとても似ています。
喘息のように突発的に起こり落ち着いてくるような咳とは違い2ヶ月以上の長期間、慢性的な咳が出るのが特徴です。
原因としては異物の誤飲や歯周病、ウイルスや細菌感染、真菌、フィラリア症などの寄生虫、アレルゲンによるものなど様々です。
早期の治療が必要になります。
猫の心臓病(心筋症)
猫の心臓病には呼吸に異常をきたすものがあり、生まれつきのものとそうではないものがあります。
心筋症とは心筋に異常があり、心臓の機能が低下してしまう病気です。
血液循環が悪くなることで胸水貯留や肺水腫を起こし呼吸に影響を及ぼします。
初期症状はほとんどなく、元気が無かったり食欲不振などです。
進行してしまうと予後は不良ですので、緊急性が非常に高く、早急に動物病院へ連れて処置や治療をしてもらいましょう。
先天性の心臓病の代表例は房室弁奇形(生まれつきの弁の奇形)や心室中隔欠損症(心房と心室を仕切っている所に生まれつき穴が開いているもの)、動脈の狭窄症(生まれつき動脈が狭くなっている病態)、動脈管開存症(生まれるときに閉じるべき動脈管が閉じず残存してしまう病態)などがあります。
生まれつきの疾患であってもすぐに気づくこともあれば、大きくなって他の検査をするときに気づくこともあります。
猫の怪我
高い所から落下したときに捻挫や骨折をしてしまったり、猫同士の喧嘩での負傷、交通事故で骨折や怪我を負った場合などに痛みで呼吸が速くなります。
特に外を行き来できる猫ちゃんは帰ってきたときに興奮して呼吸が速い場合もありますが、飼い主さんが気付かないうちに事故にあってしまい、目に見える怪我がなくても内臓を損傷しているかもしれません。
遊んでいて呼吸が速い場合もありますが、骨折や交通事故など命に関わることもありますので、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
愛猫の交通事故や病気、近所への糞尿被害を防ぐためにも完全室内外にすることをおすすめいたします。
熱中症
猫は人間と違って汗腺が少ないため、全身から汗をかきません。
肉球と鼻くらいしか体温調節できるところがないため、熱中症にならないように気をつけましょう。
夏はもちろんのこと、冬でも暖房のつけすぎなどで熱中症になることもあります。
猫が快適に過ごせる室温は約27~28℃です。
猫は比較的高い場所や狭いところなどが好きな動物です。
温かい空気は上に上がるため、特に注意が必要です。
夏場などはエアコンに加えて空気を循環させるために扇風機などを活用しましょう。
狭く締め切ったところも空気がこもりやすく注意が必要です。
熱中症は命に関わることもあるので気をつけましょう。
猫の呼吸が早い時の対処法とは?2つの場合に分けて解説!
愛猫の呼吸が速い場合、早急に対処しないといけない場合と様子を見ていい場合の判断がしにくいことがあると思います。
この項では、
- 様子を見てもいい場合
- 動物病院へ連れて行く場合
を解説します。
「様子を見てもいい場合」に当てはまるからこのまま様子を見ておこう!と思っていても、なかには命に関わるものもあります。
勝手に自分で判断をせずに少しでもおかしいなと感じたり、異常を感じた場合はかかりつけの動物病院に電話で聞いてみたり、動物病院に連れて行って獣医師さんの判断を仰ぎましょう。
猫は元々病気を隠すのが上手な動物なので注意深く観察をしてあげましょう。
様子を見てもいい場合
呼吸が速い場合でも様子を見ていい場合もあります。
例えば、
- 運動や遊んであげたりした後の興奮状態で落ち着いてくる場合
- 高温多湿などが原因で対処したときに落ち着いてくる場合(熱中症注意)
- 猫の意識がはっきりしている場合
などです。
しかし、猫は病気や辛い状態でも上手に隠してしまいます。
気づかぬうちに悪化してしまう場合もあります。
診療費がもったいないから様子を見ようと思ってしまうかもしれません。
何もなければよかったで済みますが、もし命に関わることであれば早急に対処をしないと最悪の場合、愛猫とお別れをしなければいけなくなるかもしれません。
少しでも気になることがあれば早めに動物病院へ連れて行ってあげましょう。
動物病院へ連れて行く場合
逆に動物病院へ連れて行った方がいい場合もあります。
例えば、
- 鼻水が出ていたり咳をしている
- 鼻水がネバネバしていて膿っぽいものが出る
- 鼻血が出る
- 少しの運動で息が荒くなる
- 運動量が以前より減っている
- 舌や口の中(粘膜や歯茎)の血色がよくない
- チアノーゼ症状が出ている
- 安静時に口呼吸や鼻翼呼吸をしている
- 呼吸時に変な音がしている
様子を撮れるようであれば獣医師さんにわかりやすいようにムービーなどを撮って持って行ったりしてもいいでしょう。
急ぐ場合はまずは動物病院へ連絡し指示を仰ぎましょう。
まとめ:元気が無い場合は早めに病院へ!
今回は、猫は生まれつき呼吸が速いのかなどを解説してまいりました。
愛猫はどうでしたでしょうか。
▼まとめ
- 猫の正常な呼吸数と呼吸数の測り方とは?
- 猫の呼吸が速い場合に考えられる6つの病気・怪我を解説!
- 猫の呼吸が速い時の対処法とは?2つの場合に分けて解説!
を詳しく解説してまいりました。
生まれつきでも生まれつきでなくても呼吸が速い場合は、重篤な病気が隠れている場合もありますので、愛猫の呼吸がおかしいなと思ったときはなるべく早めに動物病院へ連れて行ってあげましょう。
MOFFMEでは、他にも様々なペットやペット保険に関する記事を多数公開しておりますので、ぜひ参考にしてみてください!