『愛犬に芸を教えたい!』と願う飼い主さんも多いかと思います。犬の基本的な芸といえば「おすわり」や「フセ」などが挙げられますが、実は他にもたくさんあることをご存知でしょうか。今回のMOFFME記事では、愛犬の芸の教え方や芸としつけの違いを解説します。
この記事の目次
目次を閉じる愛犬の芸にはどんなものがある?種類や教え方を難易度別に解説!
初級の犬の芸4選を紹介
本項では犬の芸の中でもポピュラーな、
- お手・おかわり
- ハイタッチ
- おまわり・スピン
- あご
初級の犬の芸① お手・おかわり
「お手」「おかわり」は、人がさしだした手のひらに、犬が前足をのせる芸です。
覚えておけば、散歩から帰ってきて足をきれいにするときも、スムーズにふくことができますよ。
あらためて教えていなくても、人の手や膝に前足をのせてくる子もいますよね。
前足で人に触れて注意をひこうとする動作は犬がよくとる行動ですので、芸のなかでは比較的覚えやすいものといえます。
のせる前足が右ならお手、左ならおかわりと呼ぶことが多いですが、明確にどちらとは決まっていません。
ただし、一度決めたら統一しないと犬が混乱してしまうので注意が必要です。
教え方は下記の通りです。
- おすわりをしてもらう。
- コマンドを言いながら犬の前足を持ち上げる。(最終的には自分から足をあげるのを待つ)
- おやつをあげる。
初級の犬の芸② ハイタッチ
「ハイタッチ」が人が手のひらを向けたところに、犬が片方の前足でタッチする芸です。
人間同士でハイタッチするときと、ほぼ同じ動きですよね。
犬の前足と人の手の平を合わせる動作がお手と似ているので、そちらを覚えてから移行すると覚えやすいでしょう。
教え方は下記の通りです。
- おすわりをしてもらう。
- お手をする位置をじょじょに高くしていく。もしくは、餌を持った手を高い位置にあげて、犬が前足でさわるのを待つ。
- 餌をあげる。
- 動作ができるようになったら、コマンドを言いながら同じ動きを繰りかえす。
タッチ位置が高すぎると犬がジャンプしなければ届かない場合がありますが、習慣化すると膝関節を痛めてしまう可能性も。
無理のない高さでタッチできるように気をつけてあげてください。
初級の犬の芸③ おまわり・スピン
「おまわり」「スピン」は犬が自分のしっぽを追うようにくるりと1周する芸です。
興奮して同じ場所でぐるぐるまわる犬がいますが、イメージとしてはそれをゆるやかにした動きとなります。
教え方は下記の通り。
- 餌を鼻先で見せる。
- 餌を持った手で弧を描くようにして犬を1周させる。
- 餌をあげる。
- 動作ができるようになったら、コマンドを言いながら同じ動きを繰りかえす。
犬が餌を食べようと追いかけるのを利用して誘導するので、手を早く動かしすぎないように注意しましょう。
指で円を描くなどのハンドサインをつけたり、コマンドを右回り、左回りにわけて教えたりすることも可能なアレンジの幅が広い芸でもあります。
ワンちゃんが回転しすぎて目を回さないように、気をつけてあげてくださいね。
初級の犬の芸④ あご
人がさしだした手の上に犬があごを乗せる芸です。
TikTokなどの動画サイトで流行したこともありますので、記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
手のひらに頭をちょこんとのせる様子がかわいらしいですよね。
教え方は下記の通り。
- 犬のあごに手をあてながらコマンドを言う。
- おやつをあげる。
- コマンドを言われてから「あご」ができるようになったら、徐々に距離を離す。
注意点は「犬が顔まわりを触られるのを嫌がっていないか?」です。
無理に触ろうとするとストレスになりますし、最悪噛まれてしまう可能性も。
嫌がるそぶりがあったときは、
- ゆっくり犬のあごにさわる。
- 餌をあげる。
という流れで、「あごに触らせたらほめてもらえる」という意識づけからはじめましょう。
中級の犬の芸6選を紹介
記事モデル:トゲ
初級の芸を覚えたらチャレンジしてみたいのが、
- バイバイ
- バーン
- ゴロン
- ちん・ちょうだい
- ジャンプ
- スラローム
などの中級者向けの芸です。
これができると「芸達者なワンちゃんだな!」という印象ですよね。
すこし本格的になってきましたが、芸を教える際の基本的な流れは初級4つと同じ。
前項と同じく、教え方や注意点についてわかりやすく解説していきますので、「なにか新しいワザを覚えさせたいな」というときに、ぜひ参考にしてくださいね。
中級の犬の芸① バイバイ
「バイバイ」するように片方の前足をふる芸で、ハイタッチの延長で練習できます。
教え方は下記の通り。
- ハイタッチする。
- 犬がハイタッチしようと前足を数回動かしたら、手と前足が触れあう前に餌をあげる。
- 動作ができるようになったら、コマンドを言いながら同じ動きを繰りかえす。
名前の通りワンちゃんが「さよなら」といっているような仕草なので、お客さんが帰るときのお見送りで披露すると喜ばれること間違いなしです。
ただし、飼い主さんが長期間留守にするときなどに行うと、「バイバイ」が飼い主さんのいなくなる合図となってしまい、犬に悪い印象が残る芸となってしまう可能性もありますので、タイミングには注意してくださいね。
中級の犬の芸② バーン
「バーン」というセリフに合わせて、犬が伏せた状態から横に倒れる芸です。
まるでワンちゃんが銃で撃たれたようなので、セリフに合わせてピストルのハンドサインをする飼い主さんもよくいらっしゃいます。
教え方は下記の通り。
- フセをしてもらう。
- 犬の鼻先で餌を見せ、餌を持った手をゆっくりとお尻のほうに移動させる。
- 仰向けになったらすかさず「バーン」と言い、餌をあげる。
- 動作ができるようになったら、餌なしでも仰向けになるようにする。
- コマンドを言ったらポーズがとれるように、一連の流れを繰り返す。
前述までの芸と比べて、ちょっと複雑な手順になってきましたね。
ポイントは、最初のうちは聞き取りやすいようにゆっくり、はっきり「バーン」と言うことです。
一発で成功するのは難しいので、はじめのうちは後足を崩したらオーケー、体が傾いたらオーケーと段階を踏んで、その都度ほめて餌をあげるようにしましょう。
中級の犬の芸③ ゴロン
「ゴロン」はフセをした状態から横に一回転する芸です。
教え方は下記の通り。
- フセをしてもらう。
- 鼻先で餌を見せ、ゆっくりと手を犬の頭の後ろに持っていく。
- 手の動きで横に転がるように誘導し、すこしでも体を倒せたら餌をあげる。
- 体を起こせるようにさらに誘導する。
- 動作ができるようになったら、コマンドを言う。
- コマンドを言ったらポーズがとれるように、一連の流れを繰り返す。
餌だけで誘導するのが難しいので、行きづまってしまったときは飼い主さんが動きを補助してあげるのも手です。
動きを手助けする場合、焦りは厳禁。
犬がびっくりしないように、優しくゆっくり、手を添えてうながす程度にしておきましょう。また、犬の目線よりも少し低い位置で餌を持った手を移動させると比較的転がりやすいです。
慣れてきたら指で円を描くハンドサインをつけても楽しいですよ。
中級の犬の芸④ ちん・ちょうだい
後ろ足だけで立って、両方の前足をそろえて上下に動かす芸です。
まるでおねだりしているような仕草に、おもわずにっこりしてしまいますよね。
教え方は下記の通り。
- オスワリしてもらう。
- 顔の前でおやつを見せて、座ったままでは届かない位置まで手をあげる。
- 前足が上がったら餌をあげる。
- 徐々に時間を延ばす。
- 前足を完全に上げている状態で後ろ足だけで座れたら、コマンドを言って餌をあげる。
- コマンドを言ったらポーズがとれるように、一連の流れを繰り返す。
注意しなければいけないのは、バランスを保つため、犬の腰に負担がかかりやすい芸だということです。
ダックスフンドなど胴長短足の犬種は椎間板ヘルニアになる危険性が高いので、残念ながらちんやちょうだいは避けた方が良いでしょう。
中級の犬の芸⑤ ジャンプ
「ジャンプ」は掛け声とともに障害物を飛びこえる芸で、いきいきとした躍動感や生命力が感じられます。
教え方は下記の通り。
- 床や地面に座って、犬の前に足をのばす。
- 餌を持った手を犬に見せて、足を乗りこえて移動するように誘導する。
- 足をまたげたらコマンドを言って餌をあげる。
- 徐々に足の高さをあげていき、飛びこえることを覚えさせる。
ただし、骨格が成熟していない子犬や、小型犬・胴長短足の犬種などは体を痛めてしまう可能性がありますので、避けた方が良いでしょう。
体のサイズによってジャンプできる高さも違いますので、小さめの障害物からチャレンジしていけるといいですね。
障害物を怖がる子には、飼い主さんが笑顔で飛びこえる様子を見せてあげるのも有効です。
中級の犬の芸⑥ スラローム
「スラローム」は等間隔に立てた棒や、飼い主さんが交互に出す足を、犬がジグザグによけて前に進む芸です。
- 犬の左側に立って、左足を前に出す。
- 犬が足の間を通るように左手で誘導する。
- 右足を前に出して、右手で誘導する。この動作を繰り返す。
上級の犬の芸4選を紹介
ここから先は上級者向け。
- おじぎ
- フェイス
- バック・ムーンウォーク
- 鼻パク
かなり本格的になってきましたよね。
ここまでくると、いくつか聞きおぼえのない名前もあるのではないでしょうか?
前述の10種類の芸を覚えたあとに挑戦するのもいいですが、あえてこちらの4種類からチャレンジしてみるのもアリ。
より難易度の高いワザに興味がある方におすすめです。
できたら楽しい芸ばかりなので、ぜひワンちゃんと一緒に試してみてくださいね。
上級の犬の芸① おじぎ
「おじぎ」はお尻をあげた状態で頭を低く下げる芸です。
犬が飼い主さんや他の犬などを遊びに誘いたいときにとる「プレイバウ」という仕草に似ていますね。
コマンドを「こんにちは」「ごあいさつ」などにアレンジして、お友達に会うときの特別な芸にしてみても良いでしょう。
教え方は下記の通り。
- 犬を立たせた状態で、おなかの下に手を入れる。
- フセのコマンドを出す。
- 犬がフセをする際、お尻が下がらないように、おなかの下に入れた手で支える。
- 前足をたたむことができたら、コマンドをいいながら餌をあげる。
- コマンドを言ったらポーズがとれるように、一連の流れを繰り返す。
すこしずつポーズを維持する時間を伸ばしていって、最終的には飼い主さんが「ヨシ」というまで続けられるといいですね。
上級の犬の芸② フェイス
「フェイス」は片方の前足を鼻筋にのせて顔を隠す芸で、「顔隠し」とも呼ばれます。
反省したり呆れたりしているかのような、お茶目でかわいらしい雰囲気の仕草ですよね。
教え方は下記の通り。
- 犬の鼻筋の上にティッシュなどを置く。
- 犬がティッシュをどかそうと前足を使ったら餌をあげる。
- 何度か繰り返して、自分から前足を顔に当てるようになったらコマンドを言う。
- コマンドを言ったらポーズがとれるように、一連の流れを繰り返す。
ティッシュをどかす動作が一瞬のことですので、クリッカートレーニング済みのワンちゃんでしたら、クリッカーを使うのもおすすめです。
もちろん、足の爪で眼球を傷つけてしまう可能性もありますので、練習後にワンちゃんの様子に普段と違うところがないか、気をつけて見てあげてくださいね。
上級の犬の芸③ バック・ムーンウォーク
「バック」「ムーンウォーク」は名前の通り、前を向いたまま後ろに下がる芸です。
マイケル・ジャクソンみたいで、ちょっと洒落たイメージのワザですよね。
基本を覚えたあとは「おじぎ」と組みあわせるなどのアレンジもアリ。
教え方は下記の通り。
- 壁やいすなどの障害物で、一直線の通路を作る。
- 犬を通路のなかに立たせる。
- コマンドを言いながら犬の頭側からゆっくり歩いていき、後退させる。
- 餌をあげる。
犬が後ずさるように誘導するとき、手を前に出す、などのハンドサインを加えるのも効果的です。
勢いあまって飼い主さんとぶつかってしまったり、障害物が倒れたりするとワンちゃんにとって怖い思い出になってしまいますので、気をつけるようにしましょう。
上級の犬の芸④ 鼻パク
「鼻パク」は鼻先に餌やおやつを置き、「ヨシ」の掛け声を合図に餌を食べる芸です。
飼い主側の手順は
- マテをしてもらう。
- 鼻先に餌をのせる。
- ヨシと言う。
の3点のみですが、補助をいれられる箇所がなく、手順の簡素さとは裏腹に難易度が高い芸です。
犬にとっては、餌を鼻先から落とさないため身じろぎせずに我慢できることと、「ヨシ」と言われた後、餌の空中キャッチを成功させることが条件。
まずは普段の餌やりのときに、マテを維持しつつフードをひとつぶ鼻筋に置いたり、フードを投げてワンちゃんがキャッチしたりする練習を重ねましょう。
それでも、食いしん坊さんにはちょっと厳しいかもしれません。
気長に特訓して、成功したらたくさん褒めてあげてくださいね。
犬の芸を教える際の3つの注意点を紹介
ここまで、初級から上級にわけて14種類の犬の芸と、その教え方をご紹介してきました。
- ご褒美にあげるおやつの量
- 犬が嫌がったときの対応
- 芸で使用するコマンド
犬の健康やストレス防止の他に、混同しやすい芸としつけの違いについても言及した内容になっています。
小さなことがより良い結果につながりますので、ワンちゃんとトレーニングを行う前に、ぜひご一読くださいね。
おやつの量に注意
犬に芸を教える際は、誘導やご褒美などで餌やおやつをあげることが多いですが、あげすぎは厳禁。
ワンちゃんががんばっているとつい多めに与えたくなってしまいますが、食べすぎは肥満を招く可能性があります。
一日分の食事のなかから少量を拝借するようにしましょう。
なによりも、ワンちゃんにとっておやつをもらうのと同じくらいに嬉しいのは、飼い主さんの笑顔と褒め言葉です。
ワンちゃんががんばった後は、たくさん褒めてあげてくださいね。
無理は禁物!犬が嫌がったらやめよう
犬の芸は基本的に、できなくて困ることがまずないプラスアルファの部分です。
上手くいかないからと練習を厳しくしたり、怒ったりすると、ワンちゃんにとって悲しい思い出になってしまうことも。
また、芸のなかには犬にとって負担の大きい姿勢をとるものもあるので、おもわぬ病気や怪我を引きおこす可能性が高くなります。
犬の反応をよく観察して、嫌がっていたら無理せず一度中断するのも大切です。
短時間の練習を重ね、練習に慣れるところからスタートするといいですね。
コマンドは「聞き取りやすい言葉」で似た言葉を使わない
コマンドは犬に行動を指示するためのもの。
芸のトレーニング中には条件づけという意味合いもありますので、犬を混乱させないことが最優先です。
聞き取りやすい言葉を選び、はっきりと発音することと、途中でアレンジを加えずに、最初から最後まで一貫することを心がけましょう。
「おすわり」や「おまわり」などの、発音が似ている言葉を使わないようにすることも大切なポイント。
もし単語選びに迷ったら、英語圏で使われるコマンドを利用するのもおすすめですよ。
補足:犬の芸としつけはどう違う?両者の違いを徹底解説!
犬の芸としつけの違いをご存知ですか?
なかには、オスワリやフセなど、しつけ・芸両方の要素をそなえたものもありますので、明確にわけるのはちょっと難しいかもしれませんね。
簡単に言うと、しつけは日常生活を送るうえで、マナーを守るために覚えるものです。
人をかまない、むやみに吠えないなどの項目がしつけにあたるでしょう。
芸は周囲とのコミュニケーション手段のひとつで、しつけよりも遊びの要素が大きいです。
たとえば本記事でご紹介したお手やハイタッチ、スラロームはできれば楽しいですが、できなくても困りませんよね。
芸を覚える一番の目的は、トレーニングを通してコミュニケーションをとる機会を増やし、飼い主とワンちゃんの絆を深めることと言えます。
まとめ:愛犬を褒めながら芸を教えよう
本記事では犬の芸とそれぞれの教え方、教える際の注意点についてお話してきました。
犬に芸を教えるときは苦労する瞬間もありますが、ふだんの生活のスパイスにもなりますし、ワンちゃんとのコミュニケーションが増える絶好の機会です。
できる・できない関係なく、楽しいチャレンジになるといいですね。
最後にご紹介した芸を一覧にしますので、興味のある芸がありましたらお役立て頂ければ幸いです。
初級
- お手・おかわり
- ハイタッチ
- おまわり・スピン
- あご
中級
- バイバイ
- バーン
- ゴロン
- ちん・ちょうだい
- ジャンプ
- スラローム
上級
- おじぎ
- フェイス
- バック・ムーンウォーク
- 鼻パク
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